こくたが駆く

2012年度予算案ば衆院を通過。日本共産党は、「予算の組み替え」を提案。

エピデンドロン花近景

8日、2012年度予算案は、衆院本会議で採決が行われ、民主、国新など与党の賛成で可決されました。

メディアの記者団に問われ、私は、予算案についての評価(3月4日、NHK日曜討論)を述べました。

日本共産党は、2012年度予算の組み換え動議を提出しました。
   組み換え提案の主な内容は、「①消費税増税を撤回する ②社会保障の再生に踏み出す ③国民所得を増やし、内需拡大の経済政策に転換する ④東日本大震災からの復興、生活と生業の再建を本格的に進める ⑤東京電力原発事故の除染と賠償に総力をあげる」を柱とするものです。(全文は《続きを読む》欄に。

 

 

 

2012年度一般会計予算、特別会計予算及び政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

2012年度一般会計予算、特別会計予算及び政府関係機関予算については、これを撤回し、下記の要領により速やかに組み替えることを要求する。

第一、編成替えを求める理由

野田内閣は、消費税大増税と社会保障の連続削減という「一体改悪」を強引にすすめようとしている。日本共産党は、暮らしも経済も財政も破壊する消費税増税に強く反対するとともに、「社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表し、消費税増税に頼らずに、社会保障の財源を確保し、財政危機を打開する道を提案している。この方向への改革こそ断行すべきである。

日本経済は長期にわたり低迷・後退に陥ったままである。ところが野田内閣は、旧態とした大企業中心の「成長戦略」にしがみつき、TPP参加という危険な道に踏み出そうとしている。この路線を転換し、閉塞状況からの打開をはからなければならない。そのために、260兆円もの大企業の内部留保を賃金など国民の所得を増やすために還流させることをはじめとして、内需主導の経済政策へと舵取りをきりかえることが必要である。

東日本大震災からまもなく一年が経とうとしている。被災地の復興は遅々として進んでいない。被災者の生活と生業の再建に力をそそぎ、復興への展望を本格的に切り開かなければならない。また、東京電力福島原発事故の被害から国民のくらしと健康を守ることはますます切実な課題となっているが、「収束宣言」を出した政府や東京電力の対応に多くの国民、被害者から不信と憤りの声があがっている。東電と政府に除染、賠償などで責任ある対応を取らせることが求められている。あわせて、原発からの撤退を決断し、原発に頼らないエネルギー政策への転換をすすめなければならない。

以上の立場から、2012年度予算案について、以下の内容で抜本的に組み替えることを要求する。

第二、編成替えの内容

1、消費税の大増税計画を撤回する

消費税増税は、暮らしも経済も財政も壊す最悪の道である。社会保障などの財源を確保するため、歳出のムダを一掃し、富裕層・大企業に応分の負担を求める税制改革を実施する。

(1)消費税率を10%に引き上げる増税計画を撤回する。消費税増税による税収を償還財源とする交付国債の発行をやめる。

(2)歳出を見直し、浪費を一掃する。

ダム建設、高速道路、大規模港湾、干潟の埋め立てなどの大型開発にメスをいれ、不要不急の支出を削減する。

原発推進予算を大幅に削減し、安全対策に必要なものに組み替える。

沖縄の新基地建設計画を撤回し、普天間基地の無条件撤去を求めてアメリカと本格的に交渉する。グアムの米軍基地建設費や「思いやり予算」、「SACO(沖縄特別行動委員会)」関係費などを全額削除する。F35戦闘機、ヘリ空母、新型潜水艦、新型戦車などの主要装備品を中心に軍事費を削減する。ミサイル防衛、宇宙の軍事開発・利用を中止する。武器輸出禁止3原則「緩和」決定を撤回する。

政党助成金を廃止する。

(3)富裕層、大企業を優遇する不公平税制を是正する。

大株主などへの大減税となっている証券優遇税制をただちに廃止する。金持ち減税を見直し、所得税・住民税、相続税の最高税率を引き上げる。

大企業への新たな減税を中止するとともに、研究開発減税、連結納税制などの大企業向けの優遇税制を見直す。

2、大きく崩された社会保障の再生に踏み出す

日本の社会保障は、小泉内閣による「構造改革」路線と、それを丸ごと引き継ぐ民主党政権によって、医療、年金、介護、障害者などあらゆる分野で連続的な削減が行われてきた。国民の暮らしに大きな負担を押しつけるとともに、「医療崩壊」「年金不信」「介護難民」「保育所待機児童の増大」など、社会保障の基盤を崩し、国民のいのちと健康を脅かしている。社会保障の再生は急務である。

(1)医療の窓口負担を軽減し、高すぎる国民健康保険料(税)の引き下げをはかる。国公立病院の統廃合を中止し、診療報酬を適正に引き上げる。

(2)年金削減を中止し、減らない年金にするなど、年金への国民の信頼を回復する。年金受給資格期間を10年間に短縮するとともに、無年金・低年金の底上げをはかる。

(3)特別養護老人ホームの待機者をゼロにすることを目標に、計画的な建設に着手する。低所得者の介護保険料・利用料を減免する。

(4)障害者自立支援法を廃止し、総合福祉法を制定する。

(5)雇用保険を拡充し、失業者への生活援助と再就職支援を強化する。

(6)生活保護の排除と切り捨てをやめる。

3、国民の所得を増やし、内需主導の経済政策に転換する

日本経済は、長期の低迷と後退に陥っている。このもとで日本の税収も大きく落ち込み、財政危機を深刻化させている。この間の極端な外需依存の「成長戦略」、一部輸出大企業の利益を最優先する経済政策の破たんは明瞭である。国民のふところを暖め、内需主導の経済政策に抜本的に転換しなければならない。大企業の内部に蓄積された260兆円もの内部留保を賃金や下請・納入単価の引き上げなどで日本経済に還流させる経済政策をすすめる。

(1)TPPは、日本農業に壊滅的打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するものであり、参加すべきではない。アメリカはTPP交渉などを通じ、「非関税障壁」と称して広範な分野の対日要求を強めている。郵政の完全民営化、金融・保険、混合診療などの医療、食品安全基準、公共事業など、国民生活のさまざまな分野に弊害をもたらす規制緩和・市場開放はおこなわない。

(2)人間らしく働ける労働のルールを確立する。労働者派遣法は「改正骨抜き」をやめ、製造業派遣の全面禁止、登録型派遣の原則禁止、派遣労働者と派遣先の労働者との均等待遇の確保など、真に派遣労働者を保護する抜本改正をおこなう。非正規労働者の雇用の安定、待遇の改善をはかるとともに、非正規から正社員への流れをつくる。

最低賃金を抜本的に引き上げる。中小企業への賃金助成などを行う。

不当な解雇や生活を無視した強制配転など、無法なリストラをやめさせる。

(3)中小企業を日本経済の「根幹」にふさわしく位置づけ、本格的な振興策を実施する。中小企業予算を抜本的に増やし、大企業と中小企業の公正な取引のルールを確立する。

全業種指定の「緊急保証」の期限を延長するなど、資金繰り対策をとる。生活密着型公共事業への転換、中小企業むけ官公需の拡大、「公契約法・条例」の制定をすすめる。

(4)食料自給率の向上、農林漁業の再生をはかり、「食料主権」を尊重した貿易ルールを確立する。

安心して農業に励めるよう、価格保障・所得補償を抜本的に拡充する。「平地で20~30ha」「中山間地で10~20ha」規模の経営体への構造改革を進めようとする戸別所得補償経営安定推進事業は、米生産者の9割以上の離農を迫るものであり中止する。

木材の野放図な輸入を抑え、国産材を優先的に使う公共事業や住宅建設をすすめる。

漁業者の経営をささえるため、大手スーパーなどの買いたたきをやめさせ、魚価安定制度を創設する。

(5)総合的な子育て支援をおこない、教育条件を拡充する。

待機児童を解消するため、認可保育所を計画的に整備する。保育所さがしまで親の自己責任にし、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども子育て新システム」の導入を中止する。学童保育の充実をはかる。

「子どもの貧困」解消にむけ、就学援助の国庫補助の復活・拡充、ひとり親家庭への支援強化などをはかる。

高校授業料無償化を後退させず、私立高校の実質的な無償化に向けて前進をはかる。奨学金の無利子化、返済猶予・免除制度の拡大、給付制奨学金の創設など、教育の経済的負担の軽減をすすめる。

少人数学級の推進、教育条件の充実にむけ、教員定数の改善を行う。

削減されてきた国立大学運営費交付金の復元、私学助成をはじめ、高等教育や科学研究の予算を増額する。文化・芸術関連費を抜本的に増額する。地域スポーツ振興の予算を拡充する。

4、東日本大震災からの復興、生活と生業の再建を本格的にすすめる

被災者の生活と生業の再建は、被災地での懸命な努力が続けられているが、遅々として進んでいない。住宅、生業、まちの再建の道筋さえ明らかにされず、生活の展望が描けない状態に置かれている。復興のカナメとなっている“働く場の確保”、農林水産業の再建をはじめ、被災者の生活と生業の再建に国が責任を果たし、被災地の復興をすすめる。

(1)「二重ローン」対策は、再開の意思があるすべての事業者を対象にする。中小企業・業者再建のためのグループ補助は被災事業者の実情をふまえ改善をはかる。店舗、工場などの復旧整備を後押しするなど直接支援を強化する。

(2)失業給付の延長をはじめ、被災者の実情に応じた多面的な分野での緊急の雇用・失業対策をとる。

(3)農地の復旧、生産・加工・流通一体での水産業再建など、農林水産業の復興に全面的な支援をおこなう。

(4)住まいの再建のため、住宅再建支援の限度額引き上げ、復興公営住宅の整備をすすめるとともに、集団移転事業や液状化対策などは、被災者の負担を大幅に軽減し活用をはかる。

(5)被災者の医療・介護の負担軽減措置を継続する。医療機関や学校の再建をはじめ、医療、福祉、教育を再生し、子どもも高齢者も暮らし続けられる地域社会を再建する。

(6)仮設住宅など避難者の住環境の改善、生活に困窮する被災者への特別支援など、被災者の生活と健康を守る。

5、原発事故から国民のくらしと健康をまもり、原発からの撤退を決断する

東京電力福島第一原発事故の発生から一年たった今も、福島県では子育て世代を中心に避難者が増え続け、家族バラバラで長期の生活を強いられている事例も少なくない。ところが政府は「原発事故収束」を宣言した。東電と国は全面賠償に背を向け、除染も遅々として進んでいない。このため多くの国民と被害者から不信と怒りの声が噴き出している。被害者、国民本位の対策でこうした状況を打開する。

(1)「収束宣言」を撤回し、被害者の立場にたって除染、賠償をすすめる。

放射能汚染の調査と除染に総力を傾け、線引きすることなく取り組む。

食品の安全確保のために、国の責任の下で検査体制を確立するなど万全を期す。

被害の全面賠償を大原則とし、賠償請求手続き、賠償支払いを被害者本位に改める。

「福島復興再生特別法」においては、国の原発推進政策の責任と原発事故をおこした東電の責任を明確にし、住民の生活・生業、地域経済と自然環境の再生を目的とする内容とし、18才までの医療費無料化など特別の措置をとる。

除染、賠償に第一義的責任をもつ東電、さらに電力業界など「原発利益共同体」等からの資金拠出で「基金」をつくり財源にあてる。

(2)原発から撤退し、自然エネルギーの普及と低エネルギー社会への転換をすすめる。

原発事故の原因は多くが未解明であり、放射能被害がどこまで広がるかもわからない状態で、住民の安全への不安を無視して政府が再稼働に向けた取り組みを行うなどということは論外であり、再稼動計画は中止する。

自然エネルギー(再生可能エネルギー)の豊かな可能性に挑戦する。地域の条件に見合った自然エネルギーの「地産地消」と固定価格買い取りをさらにすすめる。

 

| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2012/03/08

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