分譲マンションの地デジ対応で現地調査
私は5月30日、京都市内の分譲マンション数ヵ所を訪問し、マンション建設時に電波障害を起こすため周辺地域住民のために設置した “共同受信施設” =共聴アンテナ+分配器+ブースター等の地上デジタル放送対応の状況について聞き取り調査を実施しました。
調査には、京滋マンション管理対策協議会の幹事である久守一敏氏(元日本共産党の府会議員でもあります)が同行し、説明を受けました。
この問題は、政府が地上デジタル放送が2011年7月から、開始しようとしているのに、実行の環境整備が極めて不十分で、多岐にわたっていることなのです。
久守氏によると「(地デジ対応への)改修には数十万とか数百万の金がかかる」 「私が管理組合の理事長をしているマンション (伏見区・ 約650戸)では約800万かかった。”共同受信施設” は無くて受益者がマンション住民だけだったがそれでも多額の出費であり、”共同受信施設” であれば管理組合で揉めるのは目に見えている」「古いマンションの”共同受信施設”があるため、 近隣で新たに建設されたマンションの中には、”共同受信施設” を設置していないケースがある。この場合、 古いマンションの住民だけが負担することに不公平感がある」「デジタル波とアナログ波とで、 マンションによる受信障害の影響範囲が違ってくるが、その範囲を再調査するのにも金がかかる」 「改修費用の負担割合は地域住民とマンション住民が話し合えというのが総務省の方針だが、 自治体なり国なりが間に入って調整しないと、住民同士だけで解決は無理だ」といった様々な問題点があると説明を受けました。
アナログの停波に向けて、各地のマンション・共同受信施設利用者の間で大問題になることが予想されます。住民同士のトラブルに発展しかねない問題であり、これから対応を迫られる多くのマンション管理組合が頭を悩ませることになるでしょう。デジタル化を推進してきた総務省の責任は重大であり、住民同士の話し合いに「丸投げ」するだけでは問題は解決しないでしょう。
<地デジ問題の解説>
地上アナログ放送を打ち切って、地上デジタル放送(地デジ)に完全移行する2011年7月24日まで、残り2年余りです。地デジの受信には地デジ対応のテレビやチューナーの他に、アンテナの改修が必要です。高層のマンションを建設する時には、マンション周辺でアナログ放送の受信障害がおきる地域に対し、”共同受信施設”を設置して対応する義務がありますが、この”共同受信施設” で地デジ放送を受信するには”共同受信施設”を地デジ対応のものに改修する必要があります。
電波障害に強いと言われている地デジ波ですが、受信障害が残った場合、対策の費用負担は当事者間で協議するよう総務省は指導しています。しかし、地デジ波が流される以前にビルなどがどんどん建ち、どの建物が障害を起こしているのか「原因者」の特定が困難な例も数多くあり、分譲マンションの”共同受信施設”の地デジ対応への改修は約14% にとどまっています。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2009/06/03