こくたが駆く

ハンセン病問題で申し入れ

DSC_0705

  16日、日本共産党国会議員団ハンセン病問題プロジェクトチームは、長妻厚生労働大臣にたいし、 ハンセン病問題に関する申し入れを行いました。(「続き読む」に全文)

 申し入れに参加したのは、ハンセン病プロジェクトチーム会長の高橋千鶴子衆院議員、赤嶺政賢、塩川鉄也衆院議員、仁比聡平 (PT事務局長)、小池晃参院議員と私。厚生労働省の長浜博行副大臣が対応しました。

 東京都東村山市の国立療養所・多麿全生薗に、公立保育園をつくる案があり、市長が「2014年までにつくりたい」と表明。 全生園の入所者全員が賛成。ところが国が高額の賃借料を課しており、そのことが療養所開放の壁になっている。 この壁を取り除いてほしいと長浜副大臣に要望しました。

 長浜副大臣は「機会があれば皆さんと全生薗にお邪魔したい。計画実現の障害は解いていきたい」 と率直に思いのたけを語っていただきました。 

 

厚生労働大臣 長妻 昭 殿

ハンセン病問題に関する申し入れ

                                              2009年12月16日

                                              日本共産党国会議員団

                                              ハンセン病問題プロジェクトチーム

                                              会長 高橋 千鶴子 衆議院議員

 

 今年は、 国によるハンセン病隔離政策開始から100年、ハンセン病国賠訴訟熊本地裁の原告勝利判決から8周年のときにあたり、4月1日からは 「ハンセン病問題基本法」が施行されなど、入所者をはじめ社会復帰を果たした方々、これを支援する関係者に、 大きな期待が高まっています。ハンセン病に対する差別・偏見の克服とハンセン施設の社会開放及び入所者の命ある限り、 安心して十分な医療と介護を受ける体制を整備するため各施設における将来構想のまとめが総力をもって進められているところです。また、 同時に施設内職員の確保と施設・設備の拡充を図るなどは、いま、緊急の課題として抜本的対策が求められています。 入所者の切実な生活実態を直視し、入所者の要請に答えることは国の最低限の責務であり、 歴史的経緯にてらし国が誠実に責務を果たすべきです。

以下、申し入れます。

 

1、定員削減計画からハンセン施設を除外し、 必要十分な職員を確保すること。

171国会における 「国立ハンセン病療養所における療養体制の充実に関する決議」(09年7月9日)に基づき、ハンセン病療養所については、 第11次国家公務員定員削減計画の適用施設から除外すること。 これまでに第10次に及ぶ削減計画で、 371人の職員が減員され、 231人の純減となっている。加えて、 最も不足が深刻な看護師や介護助手は大幅な定員割れの状態にある。このため、入所者の日常は悲惨な状況となっている。 視覚障害者は、「食事に何が出されているのかもわからず、手足の不自由で1人で食べることもできない、職員不足から、 満足のゆく食事をした実感がない。食事が一番つらい」と訴え、また、入浴中の死亡事故に見られるように、看護・ 介護職員の著しい不足が取り返しのつかない事態を招いていることを危惧する。政府は、必要十分な職員を緊急に確保すること。

 

2、各園の「将来構想」に予算を確保し、 実現まで国の責務を果たすこと。

いま、ハンセン病問題基本法に基づく各園の 「将来構想」が策定されつつある。沖縄愛楽園、宮古南静園をはじめ厚生労働省に対し「将来構想」を提出している園については、 着工の予算を確保し実現のため国の責務を果たすこと。

多磨全生園では、敷地全体を「人権の森」 として整備し、園内に保育所を設置するなど地域に開かれた福祉ゾーンづくりが計画されている。ところが保育所を整備する場合、 国有地の借地料として1千万円前後の賃借料が発生し、「将来構想」の大きな障壁になっている。国有財産法の縛りを解き、 入所者自治会や地方公共団体の意向に沿って土地や施設利用の開放を図るべきである。

 

3、 社会復帰者の入院治療を認める制度を確立すること。

療養所を退所し社会復帰を果たした人たちの多くが療養所での入院治療を希望している。宮古南生静園が行った 「入退所者意向調査」では、退所者31名のうち23人(74%強)が、 友人や知人に対し自身がハンセン病の回復者であることを話すことができない、と答え、家族に対しても50%の状態である。

差別や偏見を受けてきた心の傷は深く、 社会復帰後もなお苦しんでいる。また、社会の差別・ 偏見も克服されていないことやハンセン病を理解する医師が極めて限られていることから、一般病院での入院治療に不安を感ずるとして、 療養所での入院治療制度の確立を強く望んでいる。その際、退所者給与金の支給停止を行うなどは、歴史的経緯に照らし論外である。 厚生労働大臣は、社会復帰者の入院治療制度を確立のため具体的な検討を行うこと。

 

4、 施設開放後の入院に関する保険会計との混在について検討すること。

各療養所の「将来構想」等の実施に伴い、 入所者の入院(一般会計)と一般の入院患者(保険会計)に会計法上の格差が生ずることから、 その取扱いについて混乱のないよう検討を行うこと。

 

5、ハンセン病に対する差別・ 偏見をなくすため検証結果の広報及び啓発を行うこと。

ハンセン病に対する偏見、 差別はいまだに克服されてはおらず、隔離政策から100年の今、政府がなぜ隔離政策をとったのか、 その隔離政策とは何であったのか、検証結果を広く国民に知らせ、二度と同じ過ちを繰り返さないための啓発活動を積極的に講ずること。

以上

 

 

 

| コメント (2) | トラックバック (0) | Update: 2009/12/16

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kokuta-keiji.jp/mt/mt-tb.cgi/1555

コメント

こんにちはー。私は日本共産党や民主青年同盟、科学的社会主義
に興味がある19歳の大学受験生です。男子です…。

国会中継を見ると共産党の議員さんは総じてまじめに審議に
参加している印象を受けました。

ハンセン病の隔離、ひどいですね。こんなことが私の生まれた
当時にもあったのが一寸信じられないです…。これは強者の
論理がまかり通り、弱い立場の人を平気で切り捨ててきたということを象徴していますね。

ところでこれが発覚したのは10年ちょっと前のような気がする
のですが、どういった経路で表に出たのか説明をよろしくお願いします。

それでは失礼いたします。

>パワプロくん

 はじめまして。
 元・ハンセン病患者の隔離が世間の注目を集めるきっかけになったのは、ハンセン病国家賠償訴訟の提訴と、2001年・熊本地裁判決で原告勝訴の判決が下り、国が控訴を断念したことが大きいです。
 確かに10年ちょっと前ですね。

 日本共産党は、戦後直後から療養所内の皆さんと連帯して、療養所内に党支部を結成したり、寺前巌衆議院議員や神谷信之助参議院議員が国会質問で取り上げるなど、積極的に支援をいたしました。

 弱い立場の人を平気で切り捨てる発想という指摘は仰る通りだと思います。さらに、国際会議で隔離方針が否定されたのが1923年、薬(プロミン)の有効性が確認され完治可能になったのが1943年ですから、2001年の判決はあまりに遅きに失したと言わざるをえません。

 ところで、パワプロくんも日本共産党・民主青年同盟、科学的社会主義に興味をお持ちのようなので、是非、大学受験を突破していただいて、大学で日本民主青年同盟の活動にご参加いただければ幸いです。

コメントを投稿

(コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になります。承認されるまではコメントは表示されません。すぐに表示されないからといって何回も投稿せずにしばらくお待ちくださいますようよろしくお願いします。)