林業再建に向けて、外材輸入拡大政策から国産材需要拡大への転換を
本日午前、農林水産委員会と国土交通委員会の”連合審査会”が開かれ「公共建築物等木材利用促進法案」についての審議がおこなわれました。
同法案は、公共建築物に木材利用を義務付け、過去30年で4分の1にまで落ち込んだ日本の林業にテコ入れを図ることを目指したもので、日本共産党としても「林業は、地域経済を支え、低炭素社会を実現する不可欠な産業として、国の政策にしっかり位置づけることが必要」という立場から、当然推進を図るべきだと考えます。
そこで私は「“山”から加工、流通、消費の流れをつくる国産材を使う供給のルートを地域で再建することが、決定的な仕事だ」と述べてから質問に入りました。
まず「木材はその特性から、切り出してから乾燥させるなどして実際に利用できる状態、製材品にするのに時間がかかる。実際に木材が使われる前年度には切り出しておく必要がある」「木材の大量発注の際に、地元地域産の木材を使おうと思っても単年度の公共事業では地域産木材は対応できない」と指摘。
「発注してから実際の工事は翌年度に実施する二段階方式の採用や、公共事業に使う木材を確保しておく『ストック・ヤード』を造るなどの改善が必要ではないか?」と質問しました。
前原誠司・国土交通大臣(写真右)は「工事の期間にゆったりと余裕を設けないと地域産の木材は対応出来ない。設計を前年度に行い、工事は次年度にすることが考えられる。また、この法案によって大規模な製材施設をつくるなど、公共建築物向け木材の円滑な供給体制を構築する」と答弁しました。
続いて、高度化資金の融資などを受けることが出来る事業所の認定の問題について質問。滋賀県・高島市では、森林組合や製材所、さらに工務店まで、木材を使う45の業者が「高島の木の家」グループを作り、間伐材の利用等「自然を生かした街づくり」を進めているという事例を紹介。「公共事業という大量の需要の発生を契機として、地方自治体が主導してそういうグループを立ち上げるのも良いし、国はそういう動きがあれば応援すべきだ」と指摘し、今回の法律で「(製材所だけではなく)このようなグループも認定することが出来るか?」と質問しました。
これには「共同事業体や事業協同組合を作れば認定することは可能」との答弁がありました。
次に、整備が遅れている山林の作業道の整備の問題を質問。
地元・京都の日吉町森林組合が、作業道の整備や作業の集団化・効率化で「日吉モデル」として、全国の林業関係者から注目を集めていることに触れて「効率的な森林の整備・保全や木材生産を進めるためにも、林道・作業道などの生産基盤の整備は重要だ、1ヘクタールあたりの整備率はどうなっているか?」について、諸外国との比較を質問。
赤松広隆・農林水産大臣(写真左)は「1haあたりの作業道は、ドイツは118m、日本は17mで、7~8倍の差がある。ただドイツは平坦な山が多く、日本は斜面が急峻という違いがある」「機械が入れるしっかりした路網をつくることが森林整備の大前提」と答弁しましたので、私は「日本と同じ急峻な斜面が多いオーストリアでも作業道は1haあたり87メートルで、作業効率は日本の倍だ」「数値目標を持ってしっかり進めるべきだ」と指摘しておきました。
今回の質問をつくるにあたって、京都府森林組合連合会や、日吉町の森林組合(写真右)をはじめ、林業に関わる多くの関係者の皆様にお知恵を拝借しました。
実は、連合審査会の日程が正式に決まったのが先週の金曜日で、急遽の質問機会でした。本当に急なお願いにも関わらず、快くお時間を作っていただいた皆さんに、感謝申し上げます。
日本の人工林は多くがこの10年以内に収穫期を迎えます。
きちんと山林を整備し資源として活用できるか?必要な整備を怠って、倒木・流木などの環境破壊の原因になるのか?日本林業再生に向けて、今がまさに正念場の時期とお聞きしました。
これまでの外材輸入拡大政策から、国産材需要拡大への転換を行い、山村の基幹産業である林業・木材産業を再生していくことは政治の責任です。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2010/04/28