『国際戦略港湾』に5,500億円も使うカネがあるなら、港湾や漁港の復旧・復興・再生にまわせ!国交委で追及
25日、衆議院国土交通委員会で、「港湾法改正案」の質疑が行われました。冒頭に私は、あらためて、東日本大震災でお亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災者の方々にお見舞いを申しました。
まず私は、「青森から茨城までの15港湾中、青森を除く14港湾が被害を受け、被害額は1兆円をくだらないことが明らかになっている。国民生活を立て直す上で、物流の拠点、漁業の拠点たる港湾を一刻も早く復旧させるのは、喫緊の課題であり、『国際戦略港湾』の予算を災害復旧にまわすべき」と主張しました。
(京浜港、阪神港を「国際戦略港湾」に指定し、2011年度予算で514億円、今後10年間に約5,500億円も投入する計画です。いま必要なのは「国際競争力の強化」ではありません。そんなカネがあるのなら、被災者の救援、インフラ復旧に回すべきです)。
大畠章宏国交相は「大事な指摘だと考えるが、同時に日本経済を衰退させてはならない。ヨーロッパ、アメリカなど日本からアジアの諸国にシフトしている。震災からの復興予算をどう捻出するのか、両方が求められている」と答えました。
そこで、私は、「悲惨な事態に直面し、明日をも知れぬ避難生活にあえぐ国民生活の改善よりも国際競争力強化と銘打った大型港湾事業が大事とは思わない。今直ちに必要な国民生活に欠かせないインフラにお金を回すことが常識ではないのか」と批判しました。
また、港にかかわる労働者で組織されている「全国港湾労働組合連合会」(略称全国港湾)と「全日本港湾運輸労働組合同盟」(略称港運同盟)の二者は、大津波によって、当該地区の組合員はもとより、(多くの)港など職場も壊滅的な打撃を受けました。そこで、「今次春闘も一旦中断し、救援活動に全力を挙げる」として、「復興のために蓄積した能力のすべてを傾注する。さらに、現国会で審議されている港湾法の改正は行わず、その予算を損壊した港湾施設の復興に振り向ける措置をとるよう提案する」と訴えていることを紹介し、「これが常識ではないか」と指摘しました。
次に、「国際戦略港湾」の趣旨である「国際競争力を強めて、アジア諸港に奪われた貨物を取り戻す」という点について質しました。2005年4月、港湾法等改正が行われ、整備されたスーパー中枢港湾について、私は、「このプロジェクトの結果はどうだったか確認したい」と追及。答弁の結果、事業費総額は5100億円にものぼりながら、減少が少し緩やかになった程度で、効果がなかったことが改めて明白になりました。
私は、90年代にも「大交流時代を支える港湾」を構想し、アジアの国際ハブ港湾にするというふれ込みで、7年間に7兆5000億円も港湾に使ったが、日本の港湾の貨物取扱量の順位は下がり続けたこと。自公政権時の04年度からスーパー中枢港湾プロジェクトが取り組まれたが、効果がなかったこと。今回の「国際戦略港湾」も、「国際競争力を強めて、アジア諸港に奪われた貨物を取り戻す」という発想は、過去の2回と同じであることを指摘し、「良く何回も同じ台詞を使って莫大な税金を惜しげもなくつぎこみ、ムダをして恥じないものだ」と批判しました。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2011/03/25