関西空港・伊丹空港統合法案審議で、民営化方式の破たんを厳しく追及。「津波対策、安全・環境対策をおろそかにしてはならない」と主張(国土交通委員会・その2)
昨日の続きです。13日の国土交通委員会で、関西空港・伊丹空港統合法案が審議されました。
私はまず、マグニチュード8.5程度と想定される東南海・南海地震が発生した際の、関空の空港島の津波対策について追及しました。
関空は、その際の津波を3.3メートルにとどまり、島の護岸が最低でも3.7メートルあるから、「現時点では大丈夫」としていることを指摘。「しかし、それが信用できるだろうか」と私は、この間の空港島の地盤沈下の「想定」を超える深刻な実態や、それが現在も続いている点、関空の西側にある大阪湾断層帯を震源とするマグニチュード7.5の地震が発生すれば、震度6強、津波は5メートルと推定されている点などを示し、「津波対策の再点検」を求めました。
大畠章宏国交相は、「津波は、これ(想定を)を超える津波が来ることも考えて検討しなければならない。検討のための専門家チームを立ち上げたい」と答弁しました。
関空と伊丹の両空港の統合問題の本質は、民営化方式の関西空港の1兆3,000億円にものぼる債務を、国直轄の伊丹空港の利益で穴埋めしようとするののです。私は、「負債の大本には本来国が造るべき国際空港を、『民間活力の導入』路線による株式会社方式で進めたことに原因がある。さらに、過大な需要予測に基づく二期事業を進め、債務を拡大させた」と厳しく批判しました。
関空開設について、「当時の自民党政権や関西財界などは、『関空建設で関西経済は活性化する』とバラ色に描いてきたが、りんくうタウンの破たんをはじめ、周辺の地域経済は衰退し、惨憺たる状況に陥っている」と指摘し、大畠国交相に対して、「『民活』方式の推進政策、このやりかたが関空の巨大な債務を生んだと考えるがどうか」とズバリ質しました。
大畠国交相は、「結果的に見れば、ご指摘の面はあった」と述べ、「民活」路線の破たんを認めざるを得ませんでした。
次に、安全・環境対策についてただしました。
「伊丹空港は、市街地を周辺に抱えた空港として、歴史的にも航空機騒音など周辺環境対策や安全対策が重要な課題であった。1967年以降、8,200億円を超える国費も投入されてきた。発生源としてのジェット機枠200枠など発着回数枠、午前7時から午後9時までの時間制限等の運用規制や住宅騒音防止工事など周辺対策もとられてきた。これまでは国直轄だったから、国が責任をも持ってきた。民間事業者では、「効率化」「コスト削減」が優先され、安全・環境対策がおろそかにされる懸念がある」と率直に指摘しました。
国交省は、「国として(伊丹空港周辺の)地元自治体と確認書を交わし、国交省として責任を持つことを明確にした。また、騒音対策としては、航空機騒音防止法を新会社に適応する」と答弁しました
さらに、私は、民間の「空港運営事業会社」が関空の1兆3,000億円負債を返すことが出来るのかなど「計画」をただしました。
2つの空港の全事業営業収入の実績から見ても、必要な返済額が捻出できないことを示し、「仮に毎年1%需要が伸びたとしても、その営業収入では、債務の返済にまったく足りない」と指摘しました。これに対し政府側は、「(債務の返済にまったく足りない)可能性も、なきにしもあらず」と答弁。「そんな空港の営業権を、いったい誰が買うのか」とい質問に対しても、「応じる人がでるかどうか、申し上げにくい」としか答弁できませんでした。
私は、「形ばかり統合しても、需要が伸びなければ収益は上がらず、債務も返済できない。関西地方の地域経済を活性化させるなど航空需要を伸ばす方策こそ先決である」と主張しました。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2011/05/14