柳澤厚生労働大臣不信任賛成討論を行なう
柳澤大臣を不信任する最大の理由は、いわゆる「宙に浮いた年金」「消えた年金」 の問題をめぐって無責任きわまりない態度をとってきたからであります。
今回の年金記録の未確定問題や支給漏れ問題は、すべて国の責任で起こった問題です。
1997年に基礎年金番号を導入し、 国による一元的な年金記録の管理が始まって10年経過し、5千万件にのぼる年金記録がいまだに統合できないまま放置されていること。 また、保険料を払ったのに納付記録が消失していて年金が受給できない被害者を多数生み出していること。 これらは、保険料を納めてきた国民には何の非もありません。ひとえに国の責任です。歴代政府、とりわけ厚生労働大臣の責任は、 きわめて重大です。
柳澤大臣が、厚生労働大臣として、まずやるべきは、いわゆる「消えた年金」の解決に国が責任をもって対処することでした。 現状の正確な把握、当面の救済策や再発防止策、今後の年金の記録管理のあり方など、立法措置も含めた抜本対策をだし、 国民の年金不安をとりのぞくことが今国会で求められていたのであります。
ところが、安倍内閣と柳澤大臣は、「消えた年金」の解決のメドも方途も明確にしないまま、社会保険庁解体・民営化法案を提出し、 審議不十分なまま、強行採決までおこなって、その成立をはかろうとしているのであります。断じて許すことができません。
第二に、安倍総理の指示で急遽まとめた、いわゆる「救済策」と特例法案の内容がいまだに不明確であり、かつ、 総理と柳澤大臣の答弁がまったく矛盾していることであります。
そもそも、国民に責任がないのですから、年金記録が突き合わせできて、 記録の誤りを訂正する場合に時効を適用しないというのは当然のことです。問題は、本人が申請し、保険料を納めていたことを証明しなければ、 記録が訂正されず、被害が補償されないという、従来の枠組みがまったく変わっていないことであります。
昨日の厚生労働委員会で、わが党の高橋議員が、 年金記録が誤っていると本人が申し出たのに証拠がないとして却下された2万件についてまず再調査すべきだと求めました。驚くべきことに、 柳澤大臣は、即座に首を左右にふって否定し、「納得いかないのなら本庁にあげてもらいたい」などと従来答弁を繰り返したのであります。 2万人の再調査さえやらないというのでは、一歩もすすまないではありませんか。
さらに、昨日、安倍総理は「政府の責任で5千万件を一年で調査する」と明言しました。ところが、柳澤大臣は 「優先して調査するのは2880万件だ」と答弁したのであります。しかも、必要なシステム開発に2年かかると答弁しています。 総理答弁とまったく違うのであります。
総理の「やります」という決意表明には、具体的な実施の担保は何もないということではありませんか。 これほど国民を愚弄する態度はないと言わねばなりません。
そもそも、年金は、老後の生活を支える最後のセイフティーネットであります。「消えた年金」 などという国民の年金受給権にかかわる問題は、本来、すべての党が真剣に協議し、 審議をつくして最善の打開策をつくることが求められている問題であります。
急ごしらえの法案を、 しかもわずか4時間の審議で強行し、幕引きを図ろうとすることは、 言語道断の許しがたい暴挙であります。
最後に指摘したいのは、「成長戦略」と称して大企業・財界支援の政策を推進する一方、 今日の深刻な貧困と格差の拡大を放置かえりみない、安倍内閣の冷たい政治姿勢であります。
そのもとで、国民健康保険証のとりあげや入院患者の病院追い出しをはじめ医療難民や介護難民が急増し、また、長時間労働と低賃金、 不安定雇用の拡大が大量のワーキングプアーを生み出しているのであります。にもかかわらず、 国民の年金不信の根源にある高い保険料と低い給付という制度の欠陥にはいっさい手をつけず、 労働法制のいっそうの改悪をすすめようとしているのであります。国民の生存権の危機的状況をつくりだしてきた安倍内閣と柳沢大臣、 政権与党の責任はきわめて重大です。
さらに今国会冒頭、 柳澤大臣の「女性は子どもを産む機械」という発言は、 女性の人格と尊厳を否定するものであります。
いまや柳澤大臣が、福祉・健康・ 労働における国民の人権をまもることを職責とする生労働大臣の資格に欠けることは明白であります。
以上、柳澤伯夫厚生労働大臣の不信任決議に賛成する討論を終わります。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2007/06/01