「日本の青空」を観賞して
映画「日本の青空」を観賞した。 日本国憲法制定過程の歴史を描いたもので、 憲法をめぐるせめぎあいの情勢のもと、 憲法に関心を寄せる多くの方々に見ていただきたい作品だ。
監督の大澤豊さんは、製作意図を、「憲法制定時、 民間人グループの憲法草案に日本の民主主義運動の伝統に基づき、 国民主権が明文化されていたこと」 「日本国憲法の核心部分はまぎれもなく日本人が生み出したもの」で、「そのことを立証するために映画 『日本の青空』をつくった」 (07年メーデーにて)と語っている。いま全国で上映運動が進められている。私も京都での上映会に参加。 ぜひ各地での成功を祈念するものです。
私が学生の頃、鈴木安蔵氏は静岡大学の憲法学の教授であった。 立命館大学学生平和を守る会の会員であった私は、末川博総長・京都平和委員会会長や松岡正美教授のもと、 憲法改悪阻止各界連絡会議代表委員である氏の講演などを学んだ。
それでいながら、氏がGHQを驚かせた「憲法研究会」の新憲法草案の起草者・中心人物とは知らなかった自分を恥じいる。
月刊誌編集部の派遣社員・沙也可が主人公である。ストリーは、沙也可が企画 「特集・日本国憲法の原点を問う!」で、憲法学者・鈴木安蔵の足跡を取材をすることになる。安蔵の娘たちの取材を通じて、 憲法学者鈴木安蔵の戦時下の生き様、戦後安蔵を中心にした「憲法研究会」の憲法草案要綱が、GHQに提出され、 後のGHQ案に多大な影響を与えたこと知る。
これを核にして、日本国憲法誕生の過程を描いたものとなっている。
「GHQ草案のお手本」という言葉にしがみつき、沙也可と恋人・修介が、 図書館通いをして憲法研究会草案とGHQ草案の類似性を認める文書の発見のシーンは、原作者の行動と重なり出色である。
戦後まもなく、安蔵を中心にして、高野岩三郎大原社会問題研究所所長、森戸辰男(後の文部大臣)室伏高信(評論家)らが、 新生日本の憲法のありようを一条毎に熱っぽく議論する場面は、新生日本をつくろうとする意気込みが伝わってきて感動的だ。
戦後の日本政府の憲法草案が、戦前の「大日本帝国憲法」の焼き直しで、 民主主義を理解しない如何にひどいものであったかをあらためて実感した。
安蔵ら「研究会」の憲法草案は、戦争条項を空白として提出された。それが戦争放棄の九条となった案に感動する安臓夫妻は、 私どもの共感を誘う。
また「国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス」が、今日の日本国憲法第25条にそのまま生きていることを知るのは喜びである。
だからこの憲法を手にした国民は、世論調査に見るように、圧倒的な賛意を表明したのである。それ以来日本の理想となったのである。 そして憲法自身の力が生まれたのである。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2007/06/12