バブルの反省を生かせ――不動産”投機”を抑えることこそ政府の仕事だ(国交委質問)
22日の国土交通委員会で、不動産特定共同事業法改正案の質問に立ちました。
不動産特定共同事業とは、投資家から出資金を集めて不動産の取引を行い、その収益を投資家に分配する事業です。
現行法では、資本金1億円以上などの許可要件を設け、大手不動産会社に限って、事業を認めています。ところが、改正案では、この規制を緩和し、一定の要件を満たす特別目的会社(SPC)については届出のみで事業を行うことを認めます。SPCはペーパーカンパニーで、実際の不動産取引や投資家の勧誘は許可事業者に委託します。
「耐震化や老朽化不動産の建て替えを進めるため、倒産隔離のスキームを導入する」と国交省は説明しますが、私の質問に対し「新規建設も対象になる」と答弁。
私は「新たな大規模開発事業も、ますます資金集めしやすくなる」「事業をする側にとっては、責任が軽くなり、リスクは投資家に負わせることができる。大手不動産・デベロッパーに非常に恩恵の大きい改正だ」と指摘しました。
必要な耐震化、建替え事業は、大企業が儲ける仕組みでなく、まちづくりの計画に位置付けて、国も地方自治体も協力して進めればよいのです。
政府は、官民ファンドに350億円の税金をつぎ込むなど、不動産証券化、不動産投資市場を拡大し、経済成長を図ろうとしています。
私は「こうした安倍内閣の経済政策を進めれば、不動産投機・バブルが再燃することになる」と指摘しました。
既に、安倍内閣の異常な金融緩和で、あふれかえったマネーが不動産投資市場に流れ、不動産価格も上がり始めています。経済誌は「官製バブル」「Jリートバブル」と報じています。現に、南青山で、長年塩漬けになっていた土地が超高値で落札され話題になっています。
私は、元国土庁次官で、その後、参議院議員を務めた清水達雄氏の著書(「バブル現象と土地・住宅政策」1994年)を紹介。同氏は、国を挙げて民間活力、規制緩和、内需拡大を進め、余った金が土地・不動産に流れ込み、地価上昇、バブルが起こった、と述べています。まさに、今の安倍政権の経済政策と瓜二つです。
同氏は、我が国では土地の投機的取引が地価の高騰、土地利用の秩序の混乱等、国民生活に大きな弊害を及ぼしてきたことは否定し得ないと述べています。この反省をふまえ、土地基本法に「土地は、投機的取引の対象とされてはならない」(第4条)と書き込まれたのです。
私は、今回の法改正により新たな資金が不動産投資市場に流入し、不動産の価格が投機によって乱高下し、市民生活・経済活動に悪影響を及ぼす恐れがあることを指摘し、「政府が投機やバブルを再燃させていいのか。投機やバブルを抑えるのが政府の仕事でないか」と追及しました。
太田大臣は、「誤解だ。バブルは生じない」と強弁しました。 私は「あなた方の政策がバブルをもたらし、破たんしたという歴史的事実を想起すべきだ」と批判。バブルの反省を生かすべきと指摘し、法案に反対しました。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2013/05/23