薬害肝炎救済法案が本会議で可決
8日、薬害肝炎被害者救済法案が衆院本会議で全会一致で可決された。 同法案は参議院に送付され、週内に成立する見通しだ。
本会議に先立つ衆院厚生労働委員会では、全会一致で委員会決議が行われた。決議の内容は、▽裁判所が投与の事実を判断する際には、カルテのみを根拠とすることなく、 関係記録や病院関係者による証明、本人や家族などの記録・証言なども考慮する、 ▽先天性の傷病治療で感染した被害者への必要な措置について早急に検討する、 ▽給付金の申請期間について請求状況を勘案し、延長を検討する、 ▽約350万人と推計されるウイルス性肝炎患者に医療費助成措置などの早期実現を図る―など5項目。(全文は後掲)
写真は7日に行われた薬害肝炎原告団・弁護団と日本共産党の懇談会。
原告の方々は、「ようやく解決の方向性がしめされてきた」「救済法案について課題はあるが、国の責任が明確にされている法案ができた。 うれしい」と述べられた。
志位和夫委員長は、同法案を「一刻も早く成立させたい」と述べ、一方で、製剤が限定されていることや、 先天性疾患の患者救済が含まれていない問題もあることを指摘し、「すべての被害者が救われる枠組みをつくるために力を尽くしたい」と表明。 恒久対策の法律については、「治療費の負担の問題など、できるだけよいものにするために議論が必要。引き続きがんばりたい」と述べた。 「みなさんが一歩突破したことで残された課題の解決にも道が開かれた。私たちも力を尽くします。ともに頑張りましょう」と握手を交わした。
2008年1月8日 衆院厚生労働委員会決議
ウイルス性肝炎問題の全面解決に関する件
特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎ウイルスの感染という薬害事件は、 多くの被害者を生んだが、これ以外の要因によるウイルス性肝炎感染者も多数おり、 それらの方々は症状の重篤化に対する不安を抱えながら生活を営んでいる。このような状況を踏まえ、政府は、 「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」 の施行及び今後の肝炎対策の実施に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 「投与の事実」、「因果関係」及び「症状」の認否に当たっては、カルテのみを根拠とすることなく、手術記録、 投薬指示書等の書面又は医師、看護師、薬剤師等による投与事実の証明又は本人、家族等による記録、証言等も考慮すること。
二 法律の施行の日から五年に限られている給付金の支給の請求については、施行後における請求状況を勘案し、必要があると認めるときは、 その期限の延長を検討すること。
三 約三百五十万人と推計されているウイルス性肝炎患者・感染者が最良の治療体制と安心して暮らせる環境を確保するため、 医療費助成措置等の早期実現を図ること。
四 先天性の傷病の治療に際して血液製剤を投与されウイルス性肝炎に感染した者への必要な措置について、早急に検討すること。
五 特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第 IX 因子製剤以外の血液製剤の投与によるウイルス性肝炎の症例報告等を調査し、その結果を踏まえて受診勧奨等必要な措置について、 早急に検討すること。
右決議する。
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