「伝統的文化財の保存に国として責任もて」―歴史的まちづくり法案を質疑
本日、国土交通委員会で「歴史的まちづくり法案」について質疑にたった。
同法案は、価値の高い文化資産や「歴史的風致」 を保全するため、文化庁と国交省が連携し、市町村を支援できるようにするもの。 これまで「点」として守っていた文化財を、その地域全体とあわせて「面」として守っていくというものだ。
私は、国から重要文化財に指定された「住宅(重文民家)」 のことを中心に質問。
「改築が制限されるなど、所有者は大変な苦労をされている」等の実態を紹介し、
「重文民家のみならず、法案にもとづき指定されることとなる『歴史的風致形成建造物』は、人が住むなり活用してこそ「民家」
としての価値を維持・継承できる。居住するなどの活用がされなくなってしまっては 『廃屋』だ。
この努力を高く評価することが大事だし、そのための支援が所有者に見える必要がある」と述べて、
住民が住み続けられるようにするための支援を要求した。
また2003年頃、「重文民家」への盗難事件が近畿地方で相次いだ問題で(京都の「二条陣屋」も被害にあい、 先祖代々伝わる鎧(よろい)・甲(かぶと)などが盗難された) 対策を要求、文化庁の担当者は「通知を発して所有者への注意を喚起するなどしている」 と回答したが、「防犯設備の設置が制限される一方で、 一般に公開しているために、侵入のための下見がしやすく狙われやすい」と反論し、 重要文化財への防災・防犯設備の設置・管理は、国の責任で行うべきだと主張した。
続いて、枕草子の一節にも
「雪は檜皮ぶき、いとめでたし
すこし消えがたになりたるほど
いとおかし」
と登場する、檜皮葺(ひわだぶき・写真左は檜皮葺の屋根が見事な清水寺本堂)について、関係者の声として 「中小の寺社等で、
葺き替えられていない屋根を見ると心が痛む。檜皮葺の仕事は需要の変動が激しく、計画的に改修への補助があれば仕事も安定する」 と紹介。
「現場の声をよく聞き、国がしっかり支援する必要がある」と指摘した。
さらに、京都市下京区の重要文化財 「角屋」の建物が、JR山陰線の振動・
騒音被害にあっている問題で は 「民間会社の地域に対する貢献、社会的責任を果たすことが求められている。
指導監督する官庁として、JR西日本に指導すべきではないか」と指摘。
冬柴国交相は「鉄道を撤去することはできないが、防音壁や消音バラストなどの対策はある。
JRと住民が裁判で調停中であり当事者の話し合いで解決されることを期待している」と答えた。
質問の最後に『古都保存行政の理念の全国展開小委員会』の報告について触れ「(報告書は)対策の方向を次のように述べている。 『歴史的な風土や歴史的・文化的資産を後代に継承していくにあたっては、維持保存、修復、復元・整備、活用等… 当該風土にそぐわない物件の修景・除却など、歴史的な風土の保存・活用に係る総合的な取組みが必要であり、当該土地・ 資産の所有者のみにとどまらず、住民、行政、公共マインドを有する民間、専門家等、多様な主体の理解、協力と参画が必要である』まさに至言 (しげん)である。JR西日本が、地域に対する貢献、社会的責任を果たすこと求められている」と述べて締めくくった。
| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2008/04/18