こくたが駆く

「川のシンポジウム」に出席し発言-「『流域住民が主人公』のダム行政への転換を求める

SANY2609   すこし報告が遅くなりましたが、11月3日に京都大学において、 「川の全国シンポジウム―淀川からの発信」が開催され、約640人が参加し、私もパネラーとしてディスカッションに参加・ 発言をしました。
  シンポジウムは、川の本来の姿をとり戻すため、河川整備のあり方を話し合う事を目的に2日~3日にかけて開催され、 「河川法改正の趣旨は活かされているか」をテーマにしたパネルディスカッションでは、私が発言したほか、民主党の前原誠司・衆院議員、 石川良一・京都弁護士会会長、前淀川水系流域委員会委員長の宮本博司氏、フリージャーナリスト・まさのあつこ氏がそれぞれ発言しました。

続きを読むに、発言の要旨を掲載します。

「川の全国シンポ」の開催に心から敬意を表します。参加の皆さんに感謝申し上げます。

私はご紹介いただきました、日本共産党衆議院議員こくた恵二です。私は、京都府が1988年鴨川上流にダム建設を計画したとき、 地元に住むものとして一地方議員として反対の運動に携わったのがダム問題の取り組みでした。

一、河川法改正の趣旨とは何だったのか、

国会で6月に質問した。

きっかけは、淀川流域委員会が河川整備計画に「淀川水系ダムの建設を入れるのは不適当」だとする意見をまとめた。

諮問していた地方整備局は、意見を無視しただけでなく、 最終意見も待たずに河川整備計画案をつくって府県知事の意見を求める手続きに入るという「見切り発車」した。

こんな暴挙は許せない、ということで、委員長の宮本さんにもお会いし意見を聞いて6月11日の国土交通委員会で質問した。

質問のポイントは、そもそも、97年の河川法の改正の趣旨は何だったのか、ということだった。 環境保全と住民参加手続きを充実させるというのが改正の趣旨だった。計画は、国など 「お上がつくり国民は従うだけだという今までのやり方を改めて、 行政も有識者や住民など国民と一緒になって河川整備の計画をつくろうということに改めた」と指摘して、「見切り発車」したことを批判した。

97年当時建設省河川局長だった尾田栄章(おだ ひであき)さんら当時の役所の方々が、 関係住民を含めてみんなで議論して計画をまとめるのが趣旨、基本方針にさかのぼって再度検討もする、ダムがだめだったら代替案がある、 これが改正の趣旨だと明確に答弁していたではないか。

こういう議論をしました。冬柴大臣は、国交省の顧問弁護士ぶりを発揮するが、こういう趣旨を理解していない。 「ダムは必要という意見もあった」などとダム建設に固執する答弁を繰り返すだけだった。

二、宮本さんが、今の国交省の姿勢を「変わった」と言われているが、当時は、 役所の方々も改正の趣旨を生かそうとしていた。

それが、変わった。

改正法に抜け穴があった。計画をつくるときに有識者や住民の意見を聴くことになっているが、法律には「必要に応じて」 という文言がある。これを利用して「もう意見は聞いた」(冬柴大臣)と「見切り発車」の根拠にした。

もうひとつ、法改正するとき「基本方針」には住民参加の規定が入れられなかった。日本共産党は入れろと修正案を出した。この改正法は、 こういう恣意的な使い方ができる欠陥がある。

だから、河川法を再改正し、あいまいさ、恣意的運用を許さないよう住民参加手続きを徹底する必要がある。

それで、法改正の方向を示した日本共産党の政策と考え方を国交省に10月22日に申し入れた。

三、「『ダム建設ありき』を改め、住民参加を徹底し、『流域住民が主人公』の河川行政への転換を求める」(日本共産党の提案と要求)
〈日本共産党の政策のポイント〉

(1)いまこそ「流域住民が主人公」の河川行政に根本的に転換すべき

ダム建設計画をめぐり、熊本県知事が川辺川ダム建設中止を判断し、淀川水系流域委員会がダム計画を不適切とするなど、 新たな事態が生まれています。清流を守りたいという流域住民の粘り強い長年の運動に押されたものに他なりません。

河川行政のあり方をめぐる経済社会情勢は、地球規模の環境保全、水需要の縮小、計画想定外の豪雨の頻発、公共事業費の圧縮等財政逼迫、 そして、住民参加・流域自治の気運の高揚など大きく変化しています。政府が押しすすめてきた「ダム建設ありき」 の河川行政のゆきづまりは明らかです。いまこそ「流域住民が主人公」の河川行政に根本的に転換すべき時です。

(2)計画策定における住民参加、流域自治を徹底させる法改正を含む抜本的な見直し

これは、日本弁護士会連合会が07年に提言した「流域自治に向けた河川法の改正を求める提言」を参考にした。

① 河川整備基本方針を、策定段階から住民参加手続きを採用して流域住民の意見を反映したものにつくり直す。常設機関の 「河川流域委員会(仮称)」をつくり、河川管理者に対し、計画策定から河川管理実施状況についていつでも意見が言えるようにする。 その委員は、学識経験者に流域住民等を加え、公募により選ぶ。委員会の提言や意見の尊重を河川管理者に義務付ける。

② 河川整備計画ができるまで、従前の計画による工事はいったん凍結する。

何十年も前につくった工事実施基本計画をそのまま継続すること自体が法改正の趣旨に反している。

③ 情報公開を徹底し、流域住民から求められた資料などの情報はすべて開示する。

八ッ場ダムで、党議員団が質問主意書を出した。 ダム建設の費用対便益をだす根拠データの一つにどれだけ洪水被害があるか示すことになっているが、どういう範囲が被害を受けるか、 被害額はどういう計算をしたのかなどデータを示せと質問したところ、文書の保存期間が過ぎているので出せない。と答弁してきた。 こんなバカな話はない。仮に本当にないとしたら、もう一回計算し直してだすべき重要な問題だ。まったく説明責任を果たしていない。

(3)ダム計画の中止後の住民の生活再建・地域振興

川辺川ダムや八ッ場ダムなど、多くのダム建設計画は、半世紀もの長い間、水没予定地の住民をはじめ、 地域に多大な苦難や不利益を押し付けている。

ダム事業など大型公共事業が中止された場合においても、地域住民が受けた困難を償うなどの観点から、 国や関係自治体などが地域振興のための協議会をつくり、住民の生活再建支援や地域振興をはかることを義務付ける 「公共事業の中止に伴う住民の生活再建・地域振興を促進する法律(仮称)」を制定する。

四、「ダムによらない治水対策」の徹底追及へ

川辺川ダムで、熊本県知事の白紙撤回の判断をうけ、10月28日に国交大臣と知事が会談した。

国交大臣から「ダムによらない治水を極限まで検討する場を設けたい」と提案したという。国交大臣は、白紙撤回を否定しているが、 蒲島知事は「9月に出した反対表明の方向で動くという認識だ」と前向きに受け止めている。

日本共産党は、国交省に「中止を決断せよ」と強く申し入れた。

淀川水系ダムについても、流域委員会の最終意見を尊重して、計画案を見直せ、中止しろと申し入れた。10月10日、 滋賀県議会が見直せという意見書を可決し、近々、府県知事の意見も出される。日本共産党としては、国政でも、 地方議会でも首尾一貫して運動を強めて奮闘したい。

 

| コメント (0) | トラックバック (0) | Update: 2008/11/06

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