控訴せずすぐ開門を(京都民報7月6日付け)
諫早湾の干拓事業めぐる裁判で、六月二七日佐賀地方裁判所が下した判決は極めて重い。干拓事業による有明漁業環境の悪化を認め、調査のため潮受け堤防の排水門を五年間常時開門することを命じた。
判決は、堤防閉め切りと湾内環境悪化の因果関係について「蓋然性は立証されている」として、政府・農水省の開門調査拒否の姿勢を「もはや立証妨害」と断じたのである。
マスメディアも、「水門開放へすぐに動け」(朝日)、「諫早湾判決『強行行政』への戒めだ」(東京)、「諫早干拓の開門に応じよ」(日経)、「諫早湾干拓訴訟 漁民の要望を聞く番だ」(佐賀新聞)と一様に、政府の態度を批判し、開門せよと主張している。当然だ。
仁比聡平、紙智子両参議院議員と私は、さっそく七月一日、政府に対して、「控訴せず、すみやかに開門せよ」「大臣が原告団・弁護団と直接面会し協議せよ」の申し入れを行った。
対応した農水省の局長は、私どもの判決の重要な意味についての度重なる指摘に「判決を真摯に受け止め、一定の時間をかけて吟味したい」と述べた。
この問題の対応は、環境問題、ムダな公共事業、漁民と住民無視のやり方を改めるかどうかの試金石である。ムツゴロウに代表された干潟の生物などの環境破壊、干拓に二千億円を超える巨費を投じて将来の農業生産額は年間四十五億円というムダの典型だ。ときあたかも「環境」が重要なテーマのサミットが開催される。だが、足元の宝の海を取り戻し環境破壊に終止符が打てないようでは、開催国として情けない限りだ。
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