こくた恵二
こくた恵二のこだわりエッセー

鶴見俊輔氏の思い

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 有事法制が採決され、憲法が乱暴に踏みにじられた翌日、哲学者の鶴見俊輔氏を訪ね親しく懇談した(写真)。氏はこの間、「戦争いやだ、これが市民の声だ」の集会を呼びかけ、イラク攻撃反対、有事法制反対で精力的に活動し、その日も京都の集会を終えてきたばかりであった。
 「国会では、9割を超える賛成者。戦前の翼賛体制と見紛うばかりだ」と氏はのべ、「今度、戦争が起こったら、牢(ろう)屋に入るよ。もし、私が牢屋に入らなかったら裏切り者といってほしい」との“過激”な言葉も飛び出した。「闘いはこれからも続きます」と私どもは応じた。
 ひょうひょうとした語り口の陰に、深い洞察がうかがわれ、日本共産党に寄せられた熱い思いがひしひしと伝わってきた。戦前の党を、動かぬ座標軸としての「北斗七星」になぞらえ、創立80周年記念にあたっては「日本共産党の役割は、はっきりしています。戦争反対の努力をともにしたい」と激励の辞を送っていただいた。まさにその歴史にふさわしく、平和の党としての役割を発揮すべき時である。
 懇談の最後に、戦時中の帝国議会で反軍演説を行ない、議員を除名されるも次の選挙で見事返り咲いた斎藤隆夫議員と送り返した選挙民のことが期せずして話題になった。
 私たちに対するこれ以上のエールがあるだろうか。国民の審判で勝利をという鶴見さんのメッセージ、国民の平和の願いに応え、「勝たねば」と身の引き締まる思いがした。

(「京都民報」2003年6月15日付、国会議員リポート)

(Update : 2003/06/15)