「京都市内高速道路の建設止めたら!」の声を
私は、国土交通委員会に所属している。担当の重要法案は「道路公団民営化法」である。現在は、衆議院を通過し次は参議院だ。 この法案に対して、私は、「高速道路行政と道路公団問題での国民的な関心事は、第1に、ムダな道路建設にストップがかかるのか。第2に、40兆円にも及ぶ債務を税金の投入や通行料金の値上げなどの国民負担なしに返済できるのか。第3に、高速道路建設に関わる政官財の癒着、大型ゼネコンやファミリー企業などのぼろ儲けにメスを入れることができるのか」という立場で臨んだ。 この法案が、国民の3つの期待に応えるものでないことから反対した。 ムダな道路建設の典型として、“京都市内への高速道路乗り入れ”問題を追及した。国交省当局は最後まで、言を左右にして、「地方の問題」と逃げたつもりだろうが、重要な点が明確になった。 第1は、京都市の説明とは違って、総経費4600億円以上の巨額の建設費用がかかり、阪神道路公団は市に半分以上の負担を負わせるつもりであること。 第2に、小泉首相でさえ、「京都の景観は守っていただきたいですね。京都の町に不粋な高速道路ができるということを想像すると私も嫌ですね」と答弁したこと。 (この時与党自民党席から「最高の答弁が出たのだから、質問やめにしたら」の野次が多く飛んだのだ。読者にはこっそりお教えしよう) 高速道路推進の立場で陳述した参考人も「京都に高速道路とは何を考えているのか」と叱責する場面も一度や二度ではなかった。 第3に、道路建設に当たって、自然や景観、環境などへの影響すなわちマイナス効果を考慮すべきだという点だ。私がそう主張した翌日、圏央道の建設は違法であるとの東京地裁の画期的判決が出た。 判決は「浮遊粒子物資などでの影響で大気汚染の被害が発生する恐れ」を指摘した。 東京新聞は、この判決の重要性を「公共事業の計画段階から住民の声を十分聞くなど、地元への慎重な配慮を求めるだけでなく、『公共の利益』をいうからには、誰もが検証できるデータを提示すべきだという考え方だ」と社説で述べた。 「質問やめにしたら」ではなく、いよいよ「京都市内への高速道路建設止めたら!」の声を轟かす新たな武器を手に入れたのである。
(「左大文字」2004年5月8日号)
(Update : 2004/05/08)
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