こくた恵二
こくた恵二のこだわりエッセー

衣笠・金閣民報「左大文字」3月号

 いま日本国憲法をめぐって、せめぎあい・綱引きが激烈に行なわれている。
 この局面をどう見るのか。
「九条をめぐる状況が戦後史のなかでももっとも危険なものとなっており、国会で自民、公明、民主が公然と改憲の大合唱をはじめている危険を直視すること」、同時に「国民の闘いによって改憲の流れをくいとめる可能性と条件が存在することにしっかり目を向けること」この両面を絶えず見ることが大事だと、私は考える。
 財界も動き出している。一月発表の日本経団連の提言は、「最も求められる改正は、九条二項ならびに九六条(憲法改正要件)の二点」と明記。九条が“じゃま”と公然と叫び、「集団的自衛権の行使」「九条二項は国際貢献・協力活動の大きな制約だ」とまで言い出している。そして改憲のハードルを下げる提案を行なっている。
 自民党の新憲法起草委員会がまとめた「論点整理」は、「憲法九条二項を改変し『自衛軍』を明記する」、国内体制として「非常事態」規定や「国防義務規定」などが多数意見として、記述されている。
 これに見るように改憲側の狙いが「九条を変える」ことに主眼があることは明々白々である。
 憲法を守ろうとする側の運動が、加藤周一、梅原猛、井上ひさし氏ら日本を代表する九氏が立ち上げた会の名称が「九条の会」というのは、まさに名称も時宜に適しており、改憲勢力と真っ向から対峙し闘うものとなっている。
 この「会」の運動は、全国8ヵ所で地方講演会を開催し、各々超満員で大きな反響を巻き起こし3万人近くが参加している。一部の新聞は取り上げたが、多くのマスメディアは事実上黙殺している。ここに一つの“壁”があり、軽視できない。
 だから運動の側のメディアが求められるのである。
「左大文字」もその一翼を担っており、日本共産党が発行するしんぶん「赤旗」は欠くことのできぬ「憲法九条を守り抜く運動の共同のメディア」なのである。
一歩いっぽ前に進もう!そして、黙殺できないほどの運動に発展させようではないか。映画人、科学者、女性、スポーツ界に「九条の会」が発足し、いま全国各地で地域の「会」が誕生しつつある。文字通り燎原の火のように広がりつつある。
 この衣笠・金閣の地でも「九条の会」の準備がすすんでいると聞く。まさに草の根から運動が起こりつつある。



(Update : 2005/03/26)