国交省の責任も重大―JR福知山線の脱線事故
国土交通委員会の現地調査で現場を見たが、目を覆うような大惨事だった。JR化後最大の事故だけに、なぜ発生したのか、防止できなかったのか、被害者と思いをともにしたい。
事故原因については、事故調の究明を待たなければならないが、余裕時分のないダイヤをつくったJR西日本の「もうけ第一主義」が背景にあると思う。
JRは、車両軽量化と制限速度を上げることで速さを売り物にし、民営化後に乗客を2割も増やした。新型ATS(列車自動停止装置)を設置すればカーブなどでブレーキがかかるが、ダイヤに余裕時分がないから付けなかった。この数年、JR西日本の経常利益は上がっているが、逆にATS設置費は激減した。安全は二の次だったわけだ。
国土交通省の責任も重大だ。曲線に衝突防止ガードなどを設置するように言っているが、これまでの事故調の指摘を貫徹していれば、余裕時分ゼロのダイヤは認めなかったはずだ。国は安全も民営化した。
再発防止については、事故は防げたのではないかという角度からの分析が必要だ。JR西日本の民営化に関する検証や体質の改善、職場に物が言えぬ状況をつくりあげた管理にも目を向けるべきだ。事故調も、西欧のように独立機関としての機能を大きくすべきだ。
京都新聞 5月23日付 政論・京滋の国会議員に掲載
(Update : 2005/05/24)
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