こくた恵二
こくたが駆く

国立国会図書館法「改正」案の提出に反対

 私の所属する衆院議院運営委員会には、国会図書館の運営に関する“図書館運営小委員会”が設置されている。
 今日、その図書館運営小委員会が開かれ、国立国会図書館長の給与を引き下げるため、「館長の待遇は国務大臣と同等」とする規定を削除する国立国会図書館法改正案を29日の本会議に提出することを、自民、民主、公明3党の賛成で決めた。
 私はその場で、「図書館長が議員より高いのは問題などという理由だけで、『館長の格付け』を下げるのは、あまりにも早計だ。国会図書館の使命と目的、役割にてらした十分な議論が必要だ」と批判した。
 国会図書館長の給与は、現在年収3041万円で、衆参両院の事務総長(2976万円)や国会議員(2077万円)を上回っており、高額すぎるというのが自民党などの言い分。見直し後の給与額については、自民、民主両党が「衆院法制局長(2912万円)並み」とする方向で一致している。

 国立国会図書館法の前文は、「国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、設立された」と明記している。58年の設立当時の審議では、過去の軍国主義と翼賛政治に対する深刻な反省にたって、戦後の日本が、国会を中心とした平和・民主国家となるため、国会(立法府)が行政府に対抗する立法機能をもつ意義が強調されている。政府・官僚から独立した国会図書館の立法調査機能が、委員会中心主義の国会審議を補佐するという構想でつくられたもので、国会図書館の館長が、国会承認を得て任命され、その待遇は「国務大臣と同等」と規定されているのも、この「使命」に基づくものだ。
 現実に国会図書館がその使命と目的にふさわしい活動をしているかどうかは大いに検証する必要があるが、単に当面の財政的理由であれば、議員歳費の一割削減に準じた措置をとることも可能である。しかし、まともな議論もなく「館長の格付け」そのものを引き下げることは、国会図書館の使命という本質問題を軽視した、あまりにも浅薄なものといわなければならない。

(Update : 2005/03/23)