こくた恵二
こくたが駆く

予算委員会、JR脱線事故問題で、国とJRの責任を追及

photo 衆院予算委員会が開かれ、NHKで放映された。
 私は、13日の国土交通委員会に引き続き、さらにJR西日本の福知山線脱線事故を取り上げた。
 今度の事故の原因は事故調査委員会の解明を待たねばならないが、スピードの出し過ぎに要因があったことはすでに明白、「事故の路線にATS(列車自動停止装置)が設置されておれば事故は防げたのではないか」と国民の多くが思っている。
 そこで私は、JR西日本の垣内剛社長に「ATSを設置していないのは、JR西日本の数ある近畿圏の主要路線の中で、福知山線だけだ。設置しなかったのは何故か?」と迫った。これに対して、垣内社長は「総合的に勘案して計画的に施行していっている」と述べた。

photo とんでもない話だ。03年12月のダイヤ改正の際、停車駅を増やし、必要な所要時間が1分以上増加したのに、所要時間を増やさなかった。事故起こした快速電車は、ダイヤ上、トラブルなどによる遅れを駅間で回復する余裕のない「余裕時間」がゼロの設定で、その中でも最も短い運行時間だった。余裕がないから、遅れるとスピードを上げて時間を取り戻す、これが常態化していたのだ。「この路線で、ATSを設置すれば、制限速度以内のスピードしか出せない。定時運行や遅れを回復するのにATSのブレーキが作動しては困る。「だから設置を遅らせてきたのではないか」と私は指摘した。
 JR西日本の経営上状況を見ても一目瞭然。経常利益は年々増え続けている、一方、安全の要である、ATS設置工事費は、98年度の21億円から04年度は5億円と激減している。安全よりもスピードと定時運行、安全よりも利益を優先させてきたJR西日本の経営方針がここにある。 

photo と同時に国交省の責任も見逃せない。 02年4月、京都駅ポイント切り替えのミスで先行車両に異常接近などの重大事故につながるミスが発生。
 航空・鉄道事故調査委員会は「重大事故の兆候として」、「時間的余裕がないことが、異常時にあせりをまねき、基本動作の確実な実施を阻害した可能性があった」と警告を発した。
 このときJR側は、事故調査委員会の指摘に対して、「余裕のない時間設定に問題があった」と回答しており、是正すると約束していた。JRが回答通り是正するか、他にそのような路線はないのかキチンと点検し監督・指導するのが国交省の責任のはずだ。
 ところがその後に行なわれたのは、”是正”どころか、運転士に一層のスピードアップを強いる過密ダイヤの編成。事故調が警告した”事故”の一年後の03年12月のダイヤ改正で、宝塚〜尼崎間では、停車駅を一つ増やし、所要時間が一分以上増加したのに、同じ時間内での運転を強要。”余裕時分”ゼロの運行だった。
 このダイヤ改正申請を何の点検もせずにフリーパス。
 このうように、まず国交省自身の反省が必要だ。 
 この問題だけではない。大本に、政府がJRに対して、安全指導を緩めた根本問題があったのだ。
 政府は67年に大手私鉄に対してATSの設置を義務づける通達を出し、私鉄各社では、70年代までにATSを整備した。ところがこの通達をJR発足時に廃止、JRへの適用を避けるためだった。
 これらのことが事前に是正されておれば、未然に事故を防ぐことができたのではないか。
 私は、「悔やんでも悔やみきれないではないか」と述べた。
 私は小泉純一郎首相に対し、「国民の命と安全を守る、今回のような鉄道事故を起こさないための監視・監督責任は、まぎれもなく政府にある」と迫った。小泉首相は、「私鉄に対する対応と、JRへの対応が違うということが事実だとすれば、政府にも反省ずべき点がある」と政府の責任を認めた。
 「安全まで民営化して、国の責任を放棄してきた結果が、利益第一主義を許して今回の事故につながっている。この視点から徹底して、事故原因の究明と再発防止策をたてる必要がある」と結んだ。

(Update : 2005/05/16)