アスベスト(石綿)対策に関し、官房長官申し入れを行う
石綿(アスベスト)を取り扱った労働者に、がんやじん肺などで多数の死亡者がでている。その被害は家族や周辺住民までおよび、不安が広がっており、その対応が急がれている。 日本共産党国会議員団は、11日、この間実施してきたクボタとニチアスなどへの調査にもとづいて、アスベスト対策チーム(責任者・市田忠義書記局長、責任者代理・吉井英勝衆院議員)の第一回の会合を開いた。そして今日、政府に対策をとるよう申し入れた。細田博之官房長官が対応した。
アスベスト(石綿)対策に関する緊急申し入れ
最近の石綿関連企業において石綿を吸い込んで、がんやじん肺で死亡した労働者は明らかになった分だけで約500人にのぼっている。その被害は家族、周辺住民にも及び、さらに健康被害の拡大は必至となっている。さらに、石綿が主な原因とされるがんの一種、中皮腫による死亡者は、政府が統計をとりはじめた95年以降6000人を超え、今後40年間で10万人にのぼるともいわれている。事態はきわめて深刻である。 こうした事態を招いた原因は、70年代、すでに石綿使用の有害性が医学的に指摘され、国際的にも明らかになっていたにもかかわらず、75年吹きつけ作業の原則禁止の措置をとったものの、発がん性が特に強いとされる青石綿、茶石綿の使用も95年まで放置してきたことにある。主な石綿製品の使用の原則禁止措置がとられたのは昨年のことである。 安全対策も不十分なまま大量の石綿の製造と使用を続けてきた企業と、危険性を認識しながら長期にわたって使用を容認してきた政府の責任は重大である。また、86年のILO総会で採択された石綿使用安全条約の批准を今日まで放置してきた政府の責任は看過できないものである。 日本共産党議員団は、70年代から労働者の健康被害や環境対策を国会質問などでとりあげ、早急な製造・使用等の全面禁止を政府に強く求めてきた。この間、健康被害についても「クボタ」や「ニチアス」本社への調査を行い、被害実態の開示、被害補償と健康診断、被害防止と住民への説明などを求めてきた。 こうした、取り組みをふまえ、政府に次の事項について、緊急に要請する。
【緊急要求事項】
一、石綿に関する輸入・製造・使用・在庫、除去後の石綿廃棄物等の緊急全国実態調査を厳密に実施し、公表すること。
二、石綿の製造・使用等の全面禁止、在庫回収、安全除去などの被害防止対策、被災労働者等の被害者救済の徹底を早急に図ること。
三、石綿に関する製造・使用事業所等の関連企業、吹き付け及び含有製品使用事業所、事業所周辺住民などの健康診断調査を原因企業と国の費用負担で緊急に実施すること。地方自治体と協力して「相談窓口」を設置すること。
四、石綿の労災認定を抜本的に見直すとともに、被害労働者に家族・周辺住民も含めた石綿に関するすべての健康被害者を救済する新たな救済制度(公害健康被害補償法の適用も含む)を早期に実現すること。
五、石綿使用施設の解体、解轍作業等による作業者、施設関係者、周辺住民の安全など、被害発生防止に万全の対策を実施すること。
六、全国の学校施設における石綿製品の使用実態の再調査を実施し、完全撤去を徹底すること。
七、米軍基地等での石綿使用の実態把握と被害防止・被害者救済対策を米国政府に求めること。
2005年7月14日 日本共産党国会議員団 アスベスト対策チーム 内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
(Update : 2005/07/14)
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