こくた恵二
こくたが駆く

巨大クラゲ!−定置網漁場での闘い(写真が拡大で見れます)

photo 「言葉を失った」
 日本海沿岸に発生した巨大クラゲによって、漁業に深刻な被害が起きている問題で、実態調査のために乗り込んだ漁船で感じた第一印象だ。
 今回の調査では、早朝5時半に京都府・舞鶴市の野原漁港を出港した漁船に同乗し、実際に定置網漁をしている漁場で巨大クラゲと格闘する現場を直接見ることができた。

photo 最初は暗がりの中で何か大きな物体が浮いているなという印象だったが、網をたぐり寄せるに従って、網の中にギッシリと巨大クラゲがいっぱいに。本来なら網の中に閉じこめられた魚の群れがピチピチと元気に跳ねているはずなのだろうが、圧倒的な数量のクラゲが網を占拠し「魚を捕るのではなくクラゲを捕っている」ような状況。
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photo 一体100キロにもなるというクラゲが、何百・何千匹と網の中に入り込み、いったんクラゲを網の外に追い出さないと、クラゲの重みで網が破損してしまうとのこと。クラゲを追い出す作業では当然のことながら、本来水揚げすべき魚も網の外に逃げてしまう。目の前でクラゲとともに網の外へ逃げていく「鯛」や「巨大なアオリイカ」といった、近所のお魚屋さんやスーパーで買えば相当高い値段になりそうな魚たちを見ながら、思わずため息が出てしまった。
 漁師の方々の悔しさは、いかばかりか!

photo 一度クラゲを追い出した後、2度目にたぐり寄せた網の中は、それでもやはり巨大クラゲのほうが圧倒的に多く、クラゲのあいだを泳いでいる魚を手網ですくっているのだが、明らかに少ない量しか捕れていない。
 実際に漁に同行し定置網の巨大クラゲとの格闘の現場を見た私は、そこでは、天を仰ぐしかなかった。

photo 漁の現場調査を終え、野原漁協・田井漁協、舞鶴の京都府漁協連合会の3カ所で、関係者に聞き取り「1回の水揚げが40万円でやっと採算ベース、ところが今日はご覧いただいたとおり数万円しかない」「海水温の上昇が原因といっていたが、どうもそれだけではなさそうで、原因がよくわからないまま、平成13年〜15年の大発生、そして今年は更にひどい大発生」(野原漁協)「年末のおせち料理などに使われる魚などが水揚げの主力で、例年は10月〜12月にかけて1年の3分の2を稼ぐというのに、今年は10月に入ってクラゲのせいで水揚げがクンと落ちている」「漁業は網や船などに多額の金がかかる装置産業、このままでは漁具の更新ができない。金融支援などで国や府に助けてほしい」(田井漁協)「水揚げをする前に一度、網の中のクラゲを出す作業をしなくてはいけないので、ふつうは9時半にセリがはじまるのに、ひどいときには昼の2時半にやっと魚を持ってくる漁協もある」(府漁連)など、深刻な実態が語られた。
 私は「大量発生の科学的な原因究明」「実際の被害に対する救済措置と経営対策」「食糧自給の観点で、漁業の産業としての位置づけを高める」ことが大事ではないかと意見を述べ、国に対してしっかり対策をするよう働きかけることを約束した。
 調査には、吉田早由美・5区代表、梅木紀秀京都府議、小杉悦子舞鶴市議、後野和史・舞鶴地区副委員長が参加しました

(Update : 2005/11/04)