こくた恵二
こくたが駆く

「『銀行にもリスク負担は同感』検討する」、国土交通大臣が答弁

 11月1日に特別国会が閉会、閉会中は通常、委員会は開かれない(閉会中審査ということで開かれる場合もあるが)。しかし今回は耐震偽装問題に関わり、毎週国土交通委員会が開かれている。今日は政府質疑が行われた。

photo

 私は質問に先立ち、昨日も理事懇で協議した、ヒューザーの小嶋社長の証人喚問、総研の四ヶ所氏、平成設計の山口・徳永両氏、伊藤公介衆院議員の参考人質疑をあらためて要求した。
 そのうえで、まず金融庁に銀行の関与・対応について質問。「木村建設倒産の背景にメーン銀行の貸しはがしともいうべき関与があった。主要取引銀行の熊本ファミリー銀行は、債権保全のため約13億3千万円の木村建設の当座預金を拘束・凍結。これが、木村建設倒産の引き金となった。銀行は、耐震偽造発覚で木村建設の経営が先行き不安となったため、有無をいわさず『貸しはがし』を行った。今回の木村建設倒産に至った『貸しはがし』について、事情を聞いたのか。」金融庁の佐藤隆文監督局長は「コメントは差し控えたい」と答弁。
 これは驚くことだ。私は「熊本ファミリー銀行は、公的資金注入銀行であり、いわば国は株主だ。金融庁は、株主として銀行経営について意見を言える立場にある。事情すら聞かないというのはおかしい。」「多くの偽装・欠陥マンションを施工した木村建設が倒産したことによって、住宅ローンをかかえる被害者住民への損害賠償請求による被害回復の道が狭くなっている。被害者救済の観点から、自分の債権だけ先取りするやり方は、道義的に問題だ。」と指摘した。
 さらに、一番多くの被害者を出した建築主・販売会社であるヒューザーと銀行についても金融庁に聞いた。「ヒューザーの取引先銀行は、東日本銀行、みずほ銀行、りそな銀行など。それら銀行は、当然、ヒューザーに融資する際に、事業内容について審査している。今回のように販売したマンションが、偽造・欠陥があれば、販売業者に瑕疵担保責任があることなど、融資先に何らかのトラブルが起こるというリスクを承知の上で、審査したのではないか。」これについても、佐藤局長は個別問題であるとして、答えなかった。しかしこれもまた、公的資金を注入している銀行がほとんどだ。
 ヒューザーが販売した偽装マンションにかかる住宅ローンは、25金融機関で190件。ヒューザーの取引銀行から、住宅ローンを借りている方も少なくない。こうしたケースの場合、これらの銀行は、加害企業であるヒューザーに融資した利子で利益を上げ、被害者に融資した住宅ローンの利子で利益をあげる。二重取りということになる。
 まさに、銀行は“加害者ヒューザーに融資し、被害者からは住宅ローン、二重で儲ける”こういう構図があきらかになった。
 「銀行協会は、住宅ローンの返済の一時繰り延べなど真摯な対応に努めることを申し合わせているが、そんなことでは済まない。住宅ローンの利子分の債権放棄すらふみ込まない。こういう事態なのに、銀行はひとり加害企業・被害者からきっちり儲ける。血も涙もない。」「大臣、行政責任として、銀行に対する応分の負担要請を積極的に行うべきではないか。」と国土交通大臣に迫った。
 これに対し、北側大臣は「金融機関も一定のリスクを負うという問題意識は持っている。今後金融庁とも協議していく」と答えた。

(Update : 2005/12/21)