こくた恵二
こくたが駆く

本会議にて、建築基準法の反対討論を行なう

photo

 日本共産党を代表して、建築基準法等の改正案に対する討論を行います。

 耐震強度偽装事件が発覚して半年あまり、この間、当初の姉歯元建築士が関与した物件以外にも、新たな構造計算書の偽装・改ざんや耐震強度不足の建築物の存在が明らかになり、「わが家は大丈夫か」という国民の不安は、ますます強まり、建築物の安全性を確保するための建築行政に対する信頼は失墜しています。
 
 いま、求められているのは、今回の事件の原因や背景を徹底して解明し、反省すべきところはきちんと反省したうえで、抜本的な再発防止策をとることであります。
 
 私は、根本原因として二つ指摘してきました。
一つは、九八年の建築基準法改悪です。九八年改正は、「規制緩和」の名のもとに、公の事務である建築確認・検査を民間開放し、チェック体制も整えないまま、性能規定化等により建築士の設計の自由度を拡大させました。これがコスト最優先の「経済設計」を可能にしたのであります。建築行政を「安全よりも効率優先」に変質させた責任はきわめて重大です。
 もう一つ、事件の背景には、政府が、住宅分野の規制緩和を推しすすめ、安全をないがしろにする“コスト削減競争”を助長してきたこと、「名義貸し」や「粉飾決算」「丸投げ」など業界に蔓延する違法状態や建築生産システムの不備・機能麻痺状態を放置してきたことなどがあります。
こうした、これまでの建築行政の全般にわたる問題点に対する反省がなければ、再発防止はもちろん、建築行政に対する国民の信頼回復はできません。

 ところが、政府は、建築確認・検査の民間開放について、「民間にできることは民間にという方向は間違っていない」「基本的に現行の枠組みを維持」すると答弁するなど、建築行政を「安全よりも効率優先」に変質させたことに対する反省がまったくありません。

photo  とりわけ、民間確認検査機関については、営利目的の競争を認めたままであること、特定行政庁が、建築確認・検査の責任をもつ仕組みをあいまいにしたままであることは問題です。
 政府案では、民間確認検査機関のあり方について、指定要件を強化や特定行政庁の民間確認検査機関に対する監督を強化するとしています。
 しかし、現行の民間確認検査機関が、構造計算書の偽装を見抜けなかった要因には、建築主など顧客を獲得するため、検査を甘くするという競争がありましたが、この営利目的の競争を排除する仕組みが、政府案にはまったくありません。

 また、建築確認・検査は、民間確認検査機関がおこなったものも含めて、地方公共団体の事務であることは、昨年六月の最高裁判決でも明らかです。
 ところが政府案は、民間確認検査機関に偽装やミスを見落とすなど瑕疵があった場合における賠償責任の帰属先をあいまいにし、地方自治体が責任を持つ仕組みがとられていないのであります。
 このような政府案では、「国民の信頼回復」もできす、実効ある再発防止ともならず、賛成できません。

photo 民主党案は、建築確認・検査済証の発行を特定行政庁に限定している点は、政府案より改善です。また、建築士の地位と独立性を高め、設計・施工・監理を分離することは、かねてより、わが党が主張してきたことであり、賛成するものです。

 最後に、今回の偽装マンション被害住民の方々が、二重ローンなど新たな負担を余儀なくされ、生活再建のメドがたたないままです。これは政府の救済策が不十分だからです。この事態を打開し、早期解決をはかるため、超党派で力を尽くすことを呼びかけて、討論をおわります。

(Update : 2006/05/25)