「エレベーター事故再発防止を」国交省に申し入れ
「エレベーター事故の再発防止対策に関する申し入れ」を国交省に行った。 申し入れは、私と小林美恵子参院議員が、江崎鉄麿副大臣が応対。
2006年6月28日 国土交通大臣 北側一雄 殿 日本共産党国会議員団 国土交通部会 衆議院議員 こくた恵二 参議院議員 小林美恵子
「エレベーター事故の再発防止対策に関する申し入れ」
東京都港区の高層区立住宅での男子高校生のエレベーター死亡事故は、高層マンションや団地の居住者に不安を与えています。とりわけ、事故を起こしたシンドラー社製のエレベーターをはじめ、他社のエレベーターでも、閉じ込め等のトラブルが多発しているだけに、事故原因の解明と再発防止策が緊急に求められています。 今回の事故では、メーカーであるシンドラー社、保守点検会社、そして住宅の管理者である港区とその指定管理者である港区住宅公社の責任が問われます。 また、建築確認や完了検査など、チェック体制についても検証する必要があります。 今回の事故の背景には、九〇年代以降の政府の規制緩和政策による行き過ぎたコスト削減、安売り競争があります。メーカー、保守管理会社の安売り競争を放置したまま、ルールを整備してこなかった責任が問われます。「安ければどこでもいい」という安全を二の次にした姿勢も問われなければなりません。 また、同じ港区の六本木ヒルズで起こった自動回転ドアの死亡事故では、行政による不具合情報の共有化と対応が教訓となりました。これを、条例化するなどどのように具体的に対応してきたかについても検証する必要があります。 こうしたことを踏まえて、次のことを申し入れるものです。
記
1、調査と不具合情報の収集を全メーカーでおこない、公表すること 現在調査中のシンドラー製エレベーターはもちろんすべてのメーカーのエレベーターを対象に公共施設にとどまらず、駅、百貨店、スーパーなど大規模集客施設、民間マンションについても調査・点検整備をおこなうこと。 また不具合情報を収集し、その結果を全面的に公表すること。また住民、利用者に周知徹底するよう管理者に指導すること。
2、技術的基準を見直し、リコール制導入などチェック体制を整備すること シンドラー社が、制御盤のプログラムミスを放置していた事実は、構造・装置に欠陥があってもチェックできないことを示しており、製品のJIS規格適合だけでは安全性確保が不十分なことも明らかです。そのため、事故原因や不具合情報を踏まえて、技術的基準を見直すこと。 また、自動車のように、メーカーが製品の欠陥を自ら届け出て、公表し、無料で回収・修理するリコール制度(勧告制度、罰則の適用等含む)をエレベーターなど建築設備についても検討すること。 3、保守管理会社の登録制度、保守点検方法の法令化を検討すること エレベーターの保守管理会社の登録制度を新たにつくり、検査資格者要件の明確化など制度を整備すること。また、下請けへの「丸投げ」を禁止すること。 「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」(日本建築設備・昇降機センター)については、特定行政庁に報告すべき内容に、閉じ込めなどの不具合を加えるなど保守点検のあり方を充実・改善したうえで、法令化するなど行政が責任をもつこと。 メーカーが「企業秘密」として独立系に部品情報などを渡さないケースがあるなどの指摘について、調査し、改善方法について検討すること。
4、所有者・管理者への製品に関する図書、点検マニュアル等の提供を義務付けること。 所有者・管理者が、エレベーターなど建築設備の安全確保に責任を負えるよう、メーカーに対して、製品に関する図書や点検マニュアル等の所有者等への提供を義務付けること。 所有者等は、それらを保存し、保守管理会社の変更があっても、支障なく引継ぎができるよう徹底すること。
5、事故・不具合情報の共有化、事故防止対策の策定を義務化すること 建築基準法に基づく定期検査・報告について、資格者要件、定期報告時期等の必要な見直しを行うこと。 公共施設についても、国等に、検査結果等の報告を義務付けること。 所有者・管理者に、事故・不具合情報の特定行政庁への報告を義務付けること。 特定行政庁には、報告された情報を分析し、事故防止対策を策定・実施することを義務付けること。
6、建築確認・検査のマニュアル策定など厳格化すること。 エレベーター製品の技術高度化等により、検査側の能力が及ばず、確認・検査が形骸化しているとの指摘がある。そのため、エレベーター等建築設備の建築確認・完了検査の実態を調査し、検査マニュアルの策定など検査内容を厳格化すること。
7、国・自治体等の入札・管理のあり方を見直すこと エレベーター等の入札のあり方について、不具合発生状況等を勘案することを入札参加条件に加えるなど、安全確保を図るための検討を行うこと。 公的住宅にかかわる管理の外注化(指定管理者制度など)について、安全確保する上で問題がなかったのかどうか、検証すること。 被害者への一刻も早い救済を行うため、公的施設における事故等の場合、損害額の立替制度など被害者救済の仕組みについても検討すること。
以 上
(Update : 2006/06/28)
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