こくた恵二
こくたが駆く

シベリア抑留者は国家によってソ連に売られた

photo

 本日午前中に、シベリア抑留展を見にいった。
 先の国会で、「補償金」ではなく、一人あたり最高10万円相当の「慰労品」を元抑留者らに贈る与党提出法案が賛成多数で可決したことをうけ、関西在住の元抑留者でつくる「棄兵棄民による国家賠償をかち取る会」(林明治代表)は、いよいよシベリア抑留の国家的責任を追及する、国家賠償訴訟に踏みきる。

 私も、証拠集めなどでいろいろと手伝わせてもらっているのだが、今日も新たな文献を提供させてもらった。すでに文芸春秋誌に掲載されたものではあるが、昭和史をえぐって問題提起していいるので、持参した。

 今日持っていったのは、保阪正康著「検証・昭和史の焦点」(文藝春秋社)。昭和史研究の第一人者が書いた書籍だ。
 この本の第17話は「大本営参謀は在満邦人をソ連に売ったのか?」と題して、旧ソ連の公文書館から出てきた、大本営参謀の朝枝繁春名による、在満邦人をソ連に売り渡す内容の「公文書」について検証が加えられている。
 著者はこの「公文書」の書かれた背景について様々な角度から分析・検証を加えて、「モスクワで発見された公文書はまさに『事実』であり、(シベリアへの棄兵・棄民は)国家の意思であったのだ」と結論づけている。

 林代表にこの本を贈呈し、裁判闘争に役立てていただくことにした。

 この本はシベリア抑留以外の話もなかなか興味深い話が満載の良著です。読者のみなさまにもおすすめします。

(Update : 2006/12/24)