国会会議録

【第159通常国会】

衆議院・予算委員会
(2004年2月23日)

本日の会議に付した案件
 平成十六年度一般会計予算
 平成十六年度特別会計予算
 平成十六年度政府関係機関予算

     ――――◇―――――

○北村(直)委員長代理 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
 私は、きょうは、道路公団の問題について質問いたします。
 日本道路公団が今後建設しようとしている高速道路の整備計画区間は残り二千キロで、事業費も十三・五兆にも上ると言われています。新たに建設する予定の路線の未供用七十区間のうち、既に工事が進められている工事入札について、まず聞きます。
 一九九八年度から二〇〇二年度、五年間に契約された十億円以上の工事三百六十一件の工事入札状況について、三百六十一件の工事の合計金額は幾らか、落札率の平均は幾らか、そしてそのうち、落札率九七%以上の件数、九五%以下の件数、これをそれぞれ明らかにしていただきたい。

○山本参考人(日本道路公団理事) お答えさせていただきます。
 今先生御指摘の九八年から二年度までの事業中の七十区間につきまして、契約金額の合計は一兆九百五十三億四千四百二十五万円でございます。
 平均落札率につきましては、九八・一八%となっております。
 落札率九七%以上の件数につきましては、三百六十一件中三百二十七件、率で申し上げますと、九〇・六%ということでございます。なおまた、落札率九五%以下の件数につきましては、三百六十一件中の四件、一・一%でございます。

○穀田委員 資料を配付してください。
 大臣には、今お渡しします資料をつくるに当たってもとの資料となった資料をお渡ししたいんですが、委員長、許可いただきたいと思います。

○北村(直)委員長代理 はい、どうぞ。結構です。

○穀田委員 資料(1)を見ていただきたいと思うんです。
 今、公団の答弁を一覧表にしたものです。落札率の平均がこの五年間で九八・一八、八の方は言わなかったですけれども。それから、工事の金額、価格は約一兆円にも上るという膨大な費用だと。大体、落札率の九九%台が七%、九八%以上が七割を占めていると。今お話があったように、三百六十一件のうち三百二十七件が九七%以上の落札率になっている。資料にもありますように、九五%以下というのはたった四件しかない。まさに神わざと言うしかない。
 そこで、大臣に聞きたいと思うんです。
 こういう落札の状況、受注の状況というのは、異常だと思わないかと、あり得ないと、そして、どう説明するのか、お聞きをしたいと思います。

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○石原国務大臣(国土交通大臣) ただいま穀田委員から、委員にお配りの資料のもとになるものを見せていただきまして、ざっと見ましたら、委員の御指摘のとおり、九五以下のものが、ばっと見た限りでは私も発見できない。ですから、委員の御指摘は事実だと思うんです。
 これはもう委員わかっていて御質問されていると思うんですけれども、公団の発注ですから、国土交通大臣として、それがどうであるかということを個々のものについてコメントする立場にはありませんが、一般論でお話をさせていただきますならば、これも委員御承知のことだと思いますけれども、予定価格というものは、つくるであろう建設業者の方々が、例えば、ここにいろいろ区間が出ていますけれども、この区間をつくるには一体幾らかかるだろうというそのコストを積み上げて、発注者側である答弁された道路公団が積算するものである。
 一方、その工事をとろうとする側はどうするかというと、積算基準というものが公開されておりますので、業者の方はこれを参考に見積もりをつけていって、その結果、きょう委員が御指摘されたこの厚い資料の中のとおり、三百幾つでございましたか、その三百六十幾つのうち七割ですか、八割ですか、それが九五%以上になってしまう。言葉をかえますと、落札価格と予定価格が近くなってしまったというのが、私は、この数字の物語るところではないかと思っております。
 このような議論は、実は先般、違う、ある公団が発注する事業で、これは安く落札して、安かろう悪かろうの例みたいなものだったんですけれども、やはり公共工事、道路公団も含めてですけれども、入札にかかわる透明性あるいは公開性というものはこれからも高めていかなければならないと思っております。

○穀田委員 どうも歯切れが悪いなという感じがするね。
 やはり、この三百六十一工事箇所の中には、実は、青木参院幹事長の道路公団介入疑惑で有名になった島根県の仏経山トンネル西工事も含まれています。ここでは談合疑惑が浮上し、マスコミでも報道されているのは御承知のとおりです。それによりますと、間違いなく談合、マスコミざたになったので急遽本命を差しかえたということで、地元建設会社幹部の話として報道されています。
 また、道路公団をめぐっては、一昨年、道路保全工事の入札で、ファミリー企業による公団ぐるみの談合事件もありました。
 大臣は、一件一件どうのこうのと言う立場にないと言って、結局、全体としてどうだという話も含めてお話しされていないんですけれども、しかし、積算根拠云々かんぬんと言うけれども、驚くべき数字、よく見てほしいんですね。
 例えば、この三百六十一工区の中で、百億を超えるそういう工事について言うならば、七件あります。その七件は、一般競争入札にもかかわらず、入札参加JV数が三社が四件、二社しかない工事件数は一件、この五件すべてが、予定価格を下回ったのは落札者のみなんですね。しかも、大体、驚くことには、百億を超す工事入札予定価格なのに、違いはたった八千五百万しかない。まさに神わざなんですよ。幾ら積算数が公表されている、いろいろそういうことでやったとしても、それが違うのが当たり前というのが今の現実なんですね。
 それがここまで来ているという問題について、やはりだれが見ても、この落札の高さには、談合以外に考えられない。一般常識でいえば、九五%を超えれば談合だというのが常識なんですよ。そういった問題について一言も触れないというところに、私は、大臣の姿勢があらわれているんじゃないかと思うから聞いているんですよ。

○石原国務大臣 先ほど、入札価格と応札、落札価格、予定価格とが近づくからくりは情報公開によってだというお話はさせていただきましたけれども、それが一致しているからあるいは近いからそれが談合であると直ちに言うことは、論理的には難しいのではないか。
 先ほども申しましたように、これは道路公団が発注者でございますので、個々のものについてはコメントする立場にございませんが、こういう御質問があるということで、私、調べたんですけれども、平成十四年、二年前でございますけれども、ここで、やはり談合というものは、情報ですね、談合情報というものが寄せられるわけであります。直轄工事、私どもに関係ある地方の整備局等々が取り計らっている直轄事業の中で、談合情報というのはやはり百件近く寄せられて、そういう情報が寄せられたら、直ちに調査をいたします。
 その結果、これはなかなか、おまえらは談合であると実証することは難しいわけですので、灰色である、そう言われるものが一割程度あったということは事実でございます。

○穀田委員 私は、この問題をなぜ解明する必要があるかといいますと、これは未供用の部分なんですね。これからまたさらにどんどんつくられるという問題をはらんでいるわけでしょう。しかも、この問題をめぐって、この路線をどうするかという検討の素材になったといういわば重大な問題を含んでいるから私はこれを言っているんですね。だから、だれが考えたって、今のこういう経過から見れば、談合じゃないかというのは多くの方々が当然思っておられるわけです。
 しかも、なぜそういうことを言うかといいますと、次の資料を実は見ていただきたいわけです。ここに資料(2)がございます。
 ここでちょっと道路公団の方に聞きたいんですけれども、道路公団のそういう工事受注企業への天下りについて、これが、実際は高い落札率が価格が漏れている証拠だと私は言うんですけれども、安い入札が起きないように談合しているというのがこの世の中の常識だと言われています。
 そこで、今資料はお示ししたわけですけれども、全体についてお聞きしたいんですが、大臣に聞きますが、道路公団の発注する発注工事を受注するゼネコンなどにどれぐらい公団幹部が、OBが天下りしているか御存じですか。

○石原国務大臣 この天下りの議論はかなり奥が広くて、どのぐらいの公共事業、すなわち、変な話ですけれどもピンからキリまである、そういうものをどこまで見るかなどによって天下りの数というものが大きく変化するということは承知しております。

○穀田委員 では、道路公団に聞きたいと思うんです。さきの工事を受注した二百二十社のうち、公団幹部、OBを役員で受け入れている企業は何社あるか、人数はということについてお聞きしたいと思います。

○奥山参考人(日本道路公団理事) お答えします。
 先ほどの二百二十社のうちの、公団のOBを受け入れている企業数ということでお尋ねがございました。
 一般論として申し上げまして、公団の役職員の退職後の再就職につきましては、基本的には、当事者でございます本人と民間企業との契約関係、私的な問題になりますので、再就職状況を把握する立場にはございませんが、OB、公団を退職した者によりまして設立されております道友会という組織がございます。ここで会員名簿がございますので、平成十四年の十一月に作成されました会員名簿によりますと、先ほどの受注企業二百二十社のうちで、公団のOBが在籍していると思われる企業が百七十六社、先生の方の資料の(2)に百七十七社とございましたが、私どもでは、百七十六社、OBと思われる者が二百九十七名というふうに考えております。

○穀田委員 すごい数なんですよ。一社が違うと言っているのは、私調べたんですけれども、多分そちらの資料ではサクラダという会社が、これがゼロになっているんですけれども、会社に聞いてみると、OBはいますと言っているんですから。
 それで私は、ここに資料を出しましたように「注1 日本道路公団提出資料及び平成十四年度日本道路公団OB名簿等より作成。」、「等」ということをわざわざ書かせていただいて、これがその名簿なんですよ。道友会という名簿なんですけれども、三百五十二ページにわたる資料で、三千四百人を超えるOBがどこへ行っているかという名簿なんですね。今お話があったように、百七十七社、二百九十八人というのは、とんでもない多い数だと私は思うんですね。
 そこで、実際の工事が、ほとんどが二から三社一緒になって工事を請け負うJV方式、いわゆる共同企業体として受注しているわけですから、例えば、大手ゼネコンと地方の建設会社というのが一緒になっているケースもあるわけだから、OBを受け入れる、そういう余力のない中小企業も当然それに含まれているわけですね。だから、さきの三百六十一件の工事、先ほどお示しした三百六十一件、この数字ですよ、一兆一千億円近い金のそういうところ、これを落札した企業、JVで見てみると、ほとんど、OBを受け入れた企業が落札しているんですよ。この三百六十一件のうち、OBがいない会社というのは一件しかないんですよ。だから、ここまで大変だというところがわかるんです。
 しかも、そこで資料をもう一度眺めてほしいんです。皆さん、「日本道路公団OBの在職状況」という欄、右の欄がありますね。ここにあるように、ただ会社にいたというんじゃないんですよ。ここにありますように、顧問、営業部長、営業部長、営業部長、営業部長、こうずっとありますね。ほとんどこれは営業にかかわっている。そういう部署に配置されていることがおわかりいただけると思うんです。本当に偉い人たちになっているんですよ。
 だから、何を意味するか。私は、そういう意味でいいますと、今度の道路公団からの天下りというのは、お仕事つき、天下る際に一緒に仕事を持ってくる、持参金つきだというふうに言えるんじゃないかと思うんです。だから、あるところで言われているのは、この天下りの人たちは談合屋とさえ言われているという声まであるわけです。受注企業にとっては、公団の仕事を獲得するための部署に配置をして、確実に仕事を受注する、利益をねらう、こういうことになるわけですね。今言いましたように、談合屋の声もあると言っているんですね。それぐらいこの資料の重みは大変なものだと私は言っているんですよ。
 国土交通大臣にお聞きしたいんですけれども、こういう状況というのを放置していてええのんかということをお聞きしたいんです。

○石原国務大臣 委員が、一般論としてか道路公団の問題としてか、今御指摘がございました、いわゆる仕事を押しつける形の天下り、こういうものはあってはならない。特に道路公団は、現在まだ特殊法人でございますので、やはり公務員の天下りの問題と同じように、その地位にあった者が時の権力あるいは後輩への影響力を行使して民間に天下るというようなことは厳に戒めなければなりませんし、これまで議論されてまいりました入札をめぐる談合等々はあってはならない。
 そういうこともございますので、国土交通省の直轄事業では、そういうものに対して、立証はできませんけれども、再入札を行う等々厳しい措置もとっておりますし、平成十三年には適正化法も新たに、国会で御審議いただき、お通しいただき、適用させていただいている現状にございます。
 今委員の御指摘の点は、言ってみるならば、道路公団から民間の企業に再就職をしているという話でございまして、個人に限って言うならば、道路公団をやめているわけでございますので、民民のケースでございます。ですので、個々のケースについて、それがどういうことであったのか、不正があったとしたならばそれは厳に戒めていかなければなりませんが、個々のケースについてどうこう国土交通省としてコメントをする立場にはございません。

○穀田委員 それはおかしいんじゃないですか。
 例えば、大臣、ファミリー企業の問題でも、随分、こういう点については厳しくしようと言ったことはあったじゃないですか。しかも、民民の問題と言うけれども、発注者の側はこういう立場にもあるわけですから、問題は、受け入れる側じゃなくて、発注者の姿勢を正せばこれは十分できるわけですよ。
 だから、いろいろお話があるけれども、大臣自身の今までの言動から見たって、ファミリー企業に対してはその点、規制をする。そして、この問題についても、直轄の話じゃないんです、今実際行われている現実があるわけですから、ここに対しても規制をすべきだということになりはしませんか。当たり前じゃないですか、それは。

○石原国務大臣 これは再三再四御答弁させていただいておりますように、その以前にいたポストを利用して、仕事をもって、あるいは権限をもって再就職をするというようなことがあっては私はいけないものだと思うということは、ファミリー企業の天下りの問題のときも他の委員会で御議論をさせていただきました。
 私がコメントできないと言っているのは、今委員がお示しになりました二百数十社のうちの個々のケースが、委員は一般論か道路公団に限っての問題か、そこのところは私の理解が至らないんですけれども、そういう押しつけ型、権限をかさに着た天下りであるということを前提に御議論されているように聞こえますので、そういうことは私の方からコメントすることができない。
 何度も一般論で恐縮でございますけれども、公共事業に関する入札等々をめぐりましては、国民の皆様方の厳しい目ということをしっかりと認識をして、道路公団も受け入れる、受け入れるというのは民民でございますけれども、民間企業も対処しているものと承知をしております。

○穀田委員 そんな態度じゃ、国民が、これは何とかこの問題について改善してほしい、癒着の問題があるじゃないか、そして、こういう談合の疑惑があるじゃないか、天下りがあるじゃないかという問題に対して、民民の問題だというような話でやっておったんじゃ話になりませんよ。一般論じゃないんですよ。個別具体的に、道路公団はこんな事態になっているじゃないかと、この事態については改善する必要があるじゃないかと言っているんですよ。
 しかも、そう言いますけれども、考えてくださいよ。大体、人事院の規則でいいますと、公務員が自分の関係するところに行くには二年間猶予期間を持って、やっぱり迂回、ストレートには行かないんですよ。それを、例えば、今お話ししたように、一般論じゃなくて、まさに、きょうまで発注者側の人間であった者があすは受注者側に回ると。
 押しつけというので話をしているんじゃないんですよ。そういう形で、実際は天下っていることによって受注するという仕掛けができているじゃないかと。まさに今、道路公団をめぐって改革しなくちゃならぬ国民の議論はここにもあるじゃないかと。この構造自身をやめさせること。ファミリー企業でもそう言っているんだから、少なくとも、今指導権限があるその問題について、発注者側であるその問題について、きちんと正す必要があるんじゃないかということを聞いているんですよ。

○石原国務大臣 私も、一般論ではありますが、かなり踏み込んで発言をさせていただいているつもりでございます。
 それは、道路公団は特殊法人である、公務員型の特殊法人じゃありません、しかし公務の中での天下りと同じように権限を背景に、また、委員が指摘されたように、仕事をとるということを前提条件とするようなことがあってはならないとお話をさせていただいておりますし、これも再三再四お話をさせていただいているんですけれども、公共工事をめぐる契約や発注に、その再就職をしたことが条件になっている、背景になっている、こういうものがあってはならないということは委員の御指摘のとおりでありますが、私は個々のケースでこれがそうなのだということを認識する立場にはないし、それはわからない。
 先ほどの談合の話と非常に似ておりまして、灰色であるかもしれないけれども黒であることを実証するのが大変難しいという議論と同じでございまして、しかし、先ほど来、本当に再三再四申し述べさせていただいておりますように、平成十三年の四月でございますか、入札契約適正法に基づいて、すべての発注者に対しまして、入札契約にかかわる情報の公表、談合と疑わしき、先ほど来議論をさせていただいている灰色というようなものについて、公取の方へ通知する義務等によって入札の適正化に努めておりますし、この特殊法人であるところの日本道路公団においても、私たち公共が利用する高速道路というものをつくっているわけである以上、それに準じて、行動を厳に正していくということ、透明性、合理化というものをさらに図っていって、委員御指摘のような点がないようにするということは、一般論として当然のことだと先ほど来御答弁をさせていただいているわけでございます。

○穀田委員 わかりました。
 今お話があったように、これは本当に厳しくやらなくちゃならぬ。大臣はすぐ、入札の問題について出した二〇〇一年のものを言いますけれども、でも、これを見てもわかるように、二〇〇一年のところでもそんなに下がっているわけじゃないんですね。だから、適正化法という問題を、何度も通達も出されて、しかも昨年も二度にわたって、そういった問題が起きないようにという通達を出しています。その実態はどうかと見ていると、これを見ましても、さほどそういう、まあ〇・五ぐらいは下がっているという、それはあります。だけれども、こういうもの自身について、もっと厳しく、本当の意味で、疑惑を招かないようにという趣旨が徹底されるような仕方をしなければならないと私は思っています。
 そこで、構造的な問題だと私は指摘したんですけれども、もう一つ実は構造的な問題があるから、これはなくならないんですね。
 今、私は、未供用のところで、今後引き続いて供用を開始される大きな額があるところで起こっている問題だということを指摘し、そしてそれが、事実上談合に近いことがやられている、その基礎にあるのが、実はやはり天下りという背景がある、構造があるというふうに言ってきましたけれども、もう一つは、やはり道路公団に関連して政官財のトライアングルについて指摘をしないわけにはいかないというふうに思うんです。
 そこで資料(3)を見ていただきたいんです。
 これは、三百六十一カ所の工事で受注した企業が、自民党の政治資金団体、国民政治協会に政治献金した金額の資料です。これは、五年間で二千万円以上の会社四十六とそれから受注契約金額について、比較検討できるように載せた資料です。
 この五年間に政治献金したことのある受注企業は、先ほど述べた二百二十社のうち百三十九社、六割を超えているんですね。そして、総額は何と、これは資料の下に書きましたように、二十八億なんですね。だから、比較していただいたらわかりますように、皆さん、これは、最初の一の新日鉄や八の川崎製鉄、十三の住友金属工業、石川島播磨重工、十六番、これはほかの仕事もしていますから、ここの工区だけで受注しているわけではないんですが、ほかは大体、ほぼ重なっているということがわかると思うんです。
 しかも、それを見ますと、大体、政治献金が多いほど受注契約金額も多い。だから、政治献金すれば公共事業を受注する機会、仕事をふやすことにつながっているということが大体、これを見ますと一目瞭然だと思うんですね。
 ここが大事でして、今、自民党は、仕事確保のために高速道路をつくり続けるということを政治の場で決めると。今度の高速道路残り二千キロの建設を続けるというのは、ここにあるんじゃないかと私は思うんですね。だから、このような仕掛け、仕組み、結局、自民党が、税金である事実上公共事業を食い物にして公共事業の受注企業から還流してくる献金のやり方、これはやめるべきだというふうに大臣は思いませんか。

○石原国務大臣 ただいまの委員の御質問の中で一点、どうしても承服しかねる点がございますのは、まだ未整備の整備区間二千キロを、公共事業に従事する会社から政治献金を国民政治協会が取得するためにつくるというように、もし私の思い違いであればお許しいただきたいんですけれども、私はそのように聞こえたのでありますが、残りの二千キロの残存区間につきましても、費用対便益、採算性あるいは社会的外部効果、BバイC等々を見まして、それによって、必要になる道路の順位づけをして、原則的に順位づけの高いものからつくっていく、すなわち、公共財として必要なものをつくるということでこの道路公団の民営化論が始まっているという点につきましては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 それと二点目の、企業が政治活動を行う団体等々に対しまして献金を行う場合は、もうこれも委員御承知のことだと思いますが、政治資金規正法あるいは公職選挙法関連法令に準じて適正に行われるべきでありますし、先ほど来答弁をさせていただいておりますように、公共事業、国民の皆さん方に必要な社会インフラを整備するということに透明性あるいは合理性、説明責任というものを高めていくという努力を政治は行っていかなければならないという点については、考えが同じなのではないかと思っております。

○穀田委員 ちょっと違うんですね。それは、明らかにこのトライアングルを今やめさせるということが大事だと。しかも、未供用の七十区間というのは一番、今大臣からもありましたけれども、CやDのところなんですよ。これをどうするかという問題について、採算性の問題や必要性の問題それ自身が議論になったところなんですよ。だからあえて私は問題にしたということを先ほど言ったじゃないですか。そこで、献金をもらう場合については法にのっとりと、それは当たり前の話ですよ、だけれども、こういう仕掛けができていること自体に問題があるじゃないかと。
 しかも、国土交通省は、先ほど、一言、私、言いましたし、また大臣もお話あったけれども、〇二年の四月二十六日には、工事受注企業を含む建設業界団体あてに通達を出しているんですね。「公共工事の入札及び契約に係る不正行為の排除の徹底等について」ということで、「政治活動に係る寄付について」ということで「国民の疑惑を招くことのないよう」にと、わざわざ、私どもの議員が指摘をした、ダム建設をめぐって献金がその受注した企業からどっと行われているという会議録まで添付してやっているんですね。そういうものなんですよ。
 だから私は、今何か言うと民営化することが改革だと大見え切っているけれども、しかし、今お話ししたように、民営化の基本的枠組みでは、必要性が乏しく、そして採算性のない高速道路を今後もつくり続ける、そのために四十兆円もの債務返済も国民負担になる方向が結果として打ち出されているわけですよ。これのどこが改革なのかと私は思っているわけです。
 先ほど来、私、言いましたように、きょうは、未使用で、今後引き続き建設しようとしている整備計画区間での工事に絡んで、談合による落札価格の引き上げ問題、そして道路公団からの天下りによる受注確保、そして受注企業からの政治献金の実態を明らかにしたわけです。このトライアングルを本当に打破することこそ、多くの国民がいわば道路公団問題をめぐる改革として大きな期待を寄せているところじゃないでしょうか。
 私は、今後、改革をするのであれば、この問題の究明は当然だと思います。一般論として言うだけでなくて、この問題をとことん究明するということが、今政治に求められていると思うんです。したがって、このような問題にメスが入らない、また、そういう形で逃げを打っているだけでは、国民の願う改革というものにはならないと私は指摘したいと思うんです。
 ゼネコンやファミリー企業が仕事を独占する癒着と利権の構造にメスを入れる、そして談合や天下り、さらには政治献金の問題、政治家の介入、このことが実はむだや浪費をつくり出している。その根本的な問題を解決すること、これが今求められているということを改めて指摘をして、私の質問を終わります。

○北村(直)委員長代理 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。


【「しんぶん赤旗」2004年2月24日】

天下り先が大半を受注
道路公団建設工事 穀田議員が疑惑追及
予定価格の98%で落札
衆院予算委

 日本道路公団が発注した新規路線の高速道路建設工事の99%を公団幹部が天下りした企業が受注し、そのほとんどが談合の疑いが極めて高い価格で落札されていた――。二十三日の衆院予算委員会で日本共産党の穀田恵二議員は独自調査をもとに追及しました。穀田氏は「政官業の癒着と利権の構造にメスを入れるべきだ」と迫りました。

受注企業 自民に献金28億円

画像  穀田氏によると、一九九八年度から二〇〇二年度の五年間に契約された十億円以上の工事三百六十一件をみると、平均落札率(予定価格に対する契約金額の割合)は98・18%でした。95%未満となったのはわずか四件で、97%以上は全体の工事件数の九割を占めました。
 穀田氏は「95%を超えれば談合というのが常識だ」と述べ、徹底解明を要求。工事受注企業二百二十社のうち百七十七社に公団幹部OB二百九十八人が「営業本部長」などの肩書きで天下りしていること、落札したJV(共同事業体)でみると、OBがいない工事は一件しかない実態を示し、「まさに“仕事付き、持参金付き”だ」と述べ、公共事業をゆがめる天下りをやめさせるよう求めました。
画像  石原伸晃国土交通相は「民間対民間のケースであり、個々についてはいえない」などと答弁。穀田氏は、同じ民間のファミリー企業に社長退任まで要求した国交相の対応から見ても後退していると厳しく批判しました。
 穀田氏は、受注企業の六割にあたる百三十九社が、この五年間に自民党の政治資金団体「国民政治協会」に約二十八億円も政治献金し、献金が多いほど公共事業の受注契約額も多くなっている関係を指摘。採算性も必要性も無視した高速道路建設が続く背景には「自民党が公共事業を食い物にし、税金が受注企業から還流するやり方がある」として、その是正を求めました。

写真=質問する穀田恵二議員=23日、衆院予算委員会


【「しんぶん赤旗」2004年2月24日】

道路公団 穀田議員が追及
政官業癒着トライアングル打破こそ

 「政官業の癒着をたださずに何が改革か」――二十三日の衆院予算委員会で道路公団の政官業癒着を追及した日本共産党の穀田恵二国対委員長。「改革」の掛け声の裏で温存されている利権の構図が浮かび上がりました。

官→業 “神業”の高落札率
 高速道路の整備計画九千三百四十二キロのうち、残りは約二千キロ、事業費は一三・五兆円です。このうち建設が決まった七十区間を調べると、驚くべき実態が浮上しました。平均の落札率が98・18%で、予定価格と実際の契約金額がほとんど一致していたのです。
 一九九八―二〇〇二年度の五年間に契約された工事(十億円以上)三百六十一件のうち、落札率の最高は99・95%で、99%台は二十五件、98%が最多の二百二十七件、97%が七十五件。94%以下はわずか四件で、ほとんどが95%以上です。
 百億円を超える工事で、予定価格と契約金額の違いはたった八千五百万円のものもありました。「まさに神業」(穀田氏)です。企業から見れば、利益がより多くなる高値で工事を受注できたことを意味します。
 穀田氏は、自民党の青木幹雄参院幹事長の介入疑惑が報道されている島根県の仏経山トンネル西工事などが含まれていることをあげ、「95%を超える落札率は談合なしにできないというのが業界の一般的な見解だ。大臣の姿勢が問われる」とのべました。
 石原伸晃国交相は「落札価格が近いから談合だと直ちにいうのは難しい」と異常さを見ようとしません。

官→業 天下り先に工事発注
 異常な落札率の背景には、受注企業にたいする公団幹部の天下りがあります。
 穀田氏が明らかにした資料によれば、公団幹部OBが天下りしている企業は実に百七十七社、二百九十八人に上ります。OBがいないJV(共同事業体)が落札したケースは一カ所だけです。
 天下りは、営業部長など工事にかかわる要職で、“仕事付き、持参金付き”のOBを受け入れた企業が工事を受注する構図が鮮明です。
 しかも、公務員は二年間直接関係する部署への天下りが禁止されていますが、特殊法人である公団職員には、こうした規制は適用されません。
 工事を発注する側の公団から、受注する企業側に天下りする――。この不正常な状態について穀田氏は、天下りを禁止すべきだとした過去の政府答弁も引き、「ファミリー企業だけでなく受注企業への天下りについても厳しく対処すべきだ」とただしました。
 石原氏は「あってはならない」としながらも、「民間対民間のケースであり個々についてはいえない」と答弁しました。
 穀田氏は「発注者の姿勢を正せばできることだ」と批判しました。

業→政 5年で28億円献金
 政官財のトライアングルの一角を占める政治家との癒着――それを示すのが受注企業から自民党への献金です。
 穀田氏が示した資料によると、この五年間で自民党の政治資金団体である国民政治協会に献金した受注企業は百三十九社、約二十八億円にものぼります。受注契約金額が多いほど献金額が増えています。
 公共事業をめぐる献金については二〇〇〇年四月、国交省が受注企業を含む建設業者団体に対し、関係法令の順守と「国民の疑惑を招くことのないよう」注意を喚起する異例の通達を出しています。
 穀田氏が「自民党が税金である公共事業を食い物にして、税金が企業から還流する献金のやり方をやめるべきだ」と追及。石原氏は「献金をとるために工事をしているのではない。必要な道路をつくっている」と答えました。
 穀田氏は「トライアングルを打破しない限り、国民の期待にこたえることはできない。癒着と利権に徹底的にメスを入れるべきだ」とのべました。