【第159通常国会】
衆議院・国土交通委員会(午後) (2004年3月31日)
本日の会議に付した案件
国土交通行政の基本施策に関する件
○赤羽委員長 穀田恵二君。
○穀田委員 私は、三菱自動車の欠陥ハブリコール問題について聞きます。
三菱側は、この間の二十四日の記者会見で、二〇〇二年六月に立入検査を受けた際に、ハブに摩耗は少なくても亀裂があることを発見したとするサンプル調査の結果を国土交通省の検査官に報告したと述べています。新聞でも、六月二十七日、八日に特別監査を行った国交省に報告を行ったという報道がありますが、このことの報告を受けた事実はありますか。
○峰久政府参考人(国土交通省自動車交通局長) 三月二十四日の会見におきまして、ハブの摩耗と亀裂に関するサンプリング調査の結果を国土交通省に報告したとの三菱ふそうの発言がございますが、具体的にこれがどういう内容なのか、いろいろな報告の内容とか書類といいますか、そういう資料なんかもあると思いますが、その中でどういうことを三菱ふそう側が言われているのかということについて報告を求め、これについて三月二十五日に一応の回答はありましたけれども、これはまだ途中段階のものでございまして、これらについてさらに精査をしている段階でございます。
それで、今、自主点検、回収からリコールを行うという判断に至った経緯についていろいろ調べておりますので、この中で確認もあわせて行っていきたいというように思っております。
○穀田委員 いいかげんにしないとあかんと私は思うんです。冗談じゃないと思うんですよ。
大体、二十四日にそういう報告があって、少なくとも六月二十七、二十八日は行っているわけでしょう、この検査に。ということは、行っている人を調べれば、どんな報告を受けたかすぐわかるじゃないですか、そんなこと。それをあれだこれだ精査しているなんて、そんなばかな話あるかと私思うんだよね。そう思いませんか。人の命にかかわる問題について、あっちは報告したと言っている、どういう報告書だ、全部報告書は調べたらわかるじゃないか。そんなことがいまだもって精査しないとわからぬなんという話が通用すると思ったら大間違いだと私は思うんだよ。
そこで、なぜそんなことを言っているかというと、そのときのサンプル調査というのは、新聞報道によれば、脱落は今まで整備不良が原因だと言っていたことが事実と違うということが出ているんですよね、約三割が亀裂を生じていると。整備が行き届いても磨耗が少なくても亀裂が起こる、この二つの事実を報告したと、それは言っているわけですよ。その二つの報告の事実をつかんでいるんですか。
○峰久政府参考人 会見の際に言われたのは、亀裂の、今おっしゃられましたように三〇%とか、そういうものについて具体的にそこに報告した、そういう趣旨で言われているものではございません。それで、我々も、そういうふうにそこで報告したというのが、では、どういう内容だったのか、それで我々が何を見たのか、そういうところについてもう少し報告を受けながら精査しているということでございます。
○穀田委員 では、報告書をもらったということは認めるんですね。
○峰久政府参考人 それは必ずしも報告書であったかどうかについて、まだ明確になっておりません。報告書で、報告としてきちっともらったということについては、まだ確認できておりません。
○穀田委員 今のお話を聞いてもわかるように、だれが聞いたかて、相手は報告書を渡したと言っていると、その内容の報告書は今までの報告とは違った重要な問題が入っていたということについて言っているわけですよ。そんなこと新聞に全部出ているんだから、あなた方は、逆に言えば、そういう問題について自分のところで調べて、自分のところで調べたら、そういう三割が違うという報告と、摩耗しなくても起きるという二つの報告書だったということは確認できたんですか。
○峰久政府参考人 そこのところは必ずしも明確になっておりませんので、さらにいろいろ報告を求め精査するということでございます。
○穀田委員 こんな押し問答をしていてもしようがないんだよね。あなたのところにあるかということを聞いているんですよ。精査するといっても、膨大な資料があるわけじゃないんですよ。その日、六月二十七日、六月二十八日と二日間に決まっているんだよ。報告書もあると決まっているんだよ。その内容が、二つの内容があった報告書としてつかんでいるかと聞いているんですよ。そんなこと、精査するのに何日間かかるんですか。何ぼ書類があるんですか。すぐできるじゃないですか、そんなこと。
○峰久政府参考人 六月の監査の際に、そういう報告書としてきちっともらっているかどうかについては確認できておりませんので、そういうことについて、具体的に会見でどういう内容だったかということについてさらに確かめている、こういうことでございます。
○穀田委員 よくこういうことが言えるね。六月二十七日、二十八日、行った人を調べればすぐわかることじゃないですか。だれもそう思いませんか、みんな。行った人がだれかわかっているんだから、その人にもらったかもらっていないか聞けばいいんですよ。そして、書類を全部集めて調べればいいんですよ。
そういうことをしないというところに、まだ精査しているとか、一週間たっているんですよ、一週間。それでもわからないなどというばかげたことがあるかと私は言いたいんですよ。人の命のかかった問題について、なぜ一週間たっても発言できないかということを私は言いたい。
そこで……(峰久政府参考人「委員長」と呼ぶ)いい、また慌てなさんな、いいって。言っていないんだから、僕は。時間もないんだから、こっちは。
そこで、先ほどの昼間のそういうほかの質問の中にも、何か、この間、一貫して国土交通省は、あたかもあっち側からうまく乗せられたみたいな、あたかもだまされたみたいな言い方が大体多いんだよね。知らなかったという話が多いんだよね。それは本当にそうかと私は言いたいんです。
実は、〇二年の五月、私どもの瀬古議員が当委員会で、今まさに問題になっている三菱のリコール問題について、このタイヤ脱落事故はリコールに値する、こう指摘して、よろしいか、整備不良だけではなくハブの強度などにふぐあいがあった可能性もある、メーカーからこれは整備不良ですよと聞いただけで、整備不良ですといって国土交通省は何で断定できるのか、立入検査をしてもっとよく調べろと追及していたわけです。
そこで、せっかくですから、皆さん、こういう発言をお知らせしたいと思います。「ホイールナットなどの締めつけが適正な方法で行われ、かつ適切な点検整備がなされていればハブの異常摩耗が生じないと考えられること、」「実際に調査した結果におきましても、そのような実態であること」、こう言っているんですね。これはだれだと思いますか、三菱じゃないんですよ。
もう一つ、きちっと点検を受けている大型自動車については、そういう摩耗というのは起こっていません、これも三菱の発言じゃないんです。
三つ目、「これが製造上のあるいは設計上のミスで、そして同一型式においてこれがずっと定性的に消耗が発生するというものではないということがはっきりしている以上、」「はっきりしている以上、」こんなことまで言っているんですね、いやに強調して。
これ、三菱の人が言っているんならわかりまっせ。三菱自動車がこうやって、うちのところのは大丈夫や、摩耗はこうやねんと言うんだったらわかりまっせ。違うんです、これは全部国土交通省の発言なんですよ。これはだれの発言かと今言ったのは、普通、これを聞いたら自動車会社の話じゃないかと思うぐらい自動車会社の代弁をしているんですよね。ここに私は問題があると言っているんですよ。
しかも、五月に発言して、我々が追及しているときに、実はそれはその年の一月に横浜で事故が起きているんです。そして、それに基づいて、これは大変だとみんな思っているんですね。そうしたら、クレーム台帳というのは当然自動車会社にあるんですね。見に行っているか、見にも行っていない。
二つ目に、ハブの自主点検を三菱自動車側もやり始めた。ところが、あそこはひどい話で、ユーザーの協力が得られぬというので千台を放置しているんですね。その放置していることについて国土交通省は、けしからぬと一応言って、その事実を知っていて、そういう対処の仕方がまずいということを掌握しているんですよ。
そして三つ目には、今お話ししたように、サンプルの調査をやっていたという事実が背景にあった。それが同時的に進行していたんです。
そして、事故が起こったときに警察は何と言ったか。警察は、欠陥車の可能性もある、こう言っているときに、よろしいか、警察は可能性があると言っている、クレーム台帳を見にも行っていない。自主点検をやっている際に、どうも無責任な安全軽視の態度が目立つ、掌握していた。ハブのサンプル調査をやっていた、こういう事実も知っていた。こういうことがありながら、先ほどのような発言をしている。まさに三菱の代弁者と言われても仕方がないんじゃないか、私はそう思うんです。これをみんな明らかにしたら、だれだってそう思いまっせ。
だから、ここの反省が私は大事じゃないかと思うんです。少なくとも当時、こういう問題を、さまざまあった話を総合してみると、やはり、ぐると言われても仕方がないんじゃないか。先ほど、うのみにするなという話をしていましたけれども、うのみじゃないんですよ。うのみだったら、まだかわいげがある。ぐるになって隠していると言われるぐらい大事な問題じゃないかということを私は言っている。
したがって、そういう点を、きつい言葉を言いましたけれども、石原大臣に見解を、そういう問題についての反省こそ大事じゃないかということをお伺いしたい。
○石原国務大臣(国土交通大臣) うのみ、ぐるという大変厳しい御叱責をいただいたわけですが、今の委員と政府委員の話を普通に聞いていても、早く、一週間たってまだ報告書があるのかないのか調べていないなど、こちら側も非はあると思いますので、早急に事実関係を精査して、当委員会にも御報告をさせていただきたいと思っております。
○穀田委員 これは、早くにこういう問題がわかっていれば、本当にこの事故が防げたんじゃないか。私、先ほどの午前中も言いましたけれども、何を企業の社会的責任の大きな柱と据えるかという問題にあると思うんですね。安全を、命を守る、そういう安全を企業の社会的責任として第一の柱に据えるよう指導を行う、こういう姿勢に欠けているとはっきり言って私は思うから言っているんですよね。
なぜこの法律ができたかといえば、リコールをやらないような事態が生まれる、そういうときに、おかしいじゃないかと言ったらリコールで命令ができるという法律をつくったわけです。ところが、これをつくってから、では、ついでにちょっと聞いておきますけれども、局長、一回でも、何か発動したことありますか。ちょっと、それだけ言って。
○峰久政府参考人 リコールの命令制度自体は、勧告したにもかかわらず、実施しない場合に命令ということでございまして、これについては十四年七月の道路運送車両法の改正により導入されて、一年前の十五年の一月十七日から施行されているところで、これについては命令した例はございません。
ただ、その前の、改正以前においてのリコール勧告については、一度行っております。
○穀田委員 時間がないんだから、聞かない話はいいんだよ。
要するに、していないということなんだよ。しかも、皆さん、背景を見てください。これは三十年間だまし続けた三菱自動車だったんです。そしてこの問題が起きて、しかもこれほどの事故が起きて、これは大変だとみんな思ったわけです。それを今になってそういう違う事実が出されてきた、おう、自分も聞いたというような話をして、何か自分も被害者みたいな話をしているけれども、違うぜということを私は指摘したんです。
だから、やはりここの肝心な問題は、三菱側の立場に立つような姿勢じゃなくて、国民の安全を守るという本来の立場にきちっと立ってやるべきだというふうに私は思います。
そこで、最後に、そういった問題を指摘しますと、例えば、では立入調査というけれども、実際にそういうものを白か黒かを判断する力量があるかどうかということが問われちゃうんですね。要するに、リコール命令したが、それで違っていたというんじゃまずいというのでやられちゃうんですね。それはわかるんですよ。
だけれども、そういうものを、それじゃ体制的に、相手側の自動車会社なりの、そういうつくる側に立っての今までの経過なんかを調べて、それをチェックできる、それを上回る力量があるかどうかという問題がまた問われちゃうんですね。だから私は、その意味では、相手の言い分をうのみにする事態があっては困るわけで、したがって、それを凌駕するだけの体制もつくらなくちゃならぬということだけは言っておきたいと思うんですね。
しかし、その場合、国土交通省にはいろいろな研究機関もあるし調査機関もあるんです。したがって、私は、単にリコール対策室に何人いるかというだけじゃない、総合的な対策をとる、そういうことを含めてこの問題について今後当たっていくということが大切だということを最後に指摘をして、その点についての大臣の見解を求めて、私の質問とします。
○石原国務大臣 先ほども申しましたが、今回の事案の重要性に立脚して、事実関係の詳細をできる限り早く明らかにし、皆様方に御報告させていただきますとともに、リコール制度の適正な運用に努め、また、今委員の御指摘のとおり、リコール勧告に従わない場合の命令の創設、罰則の強化を行ったけれども、こういうものが実際にうまく運用できるような体制の強化というものもあわせて検討させていただきたいと思います。
○穀田委員 終わります。
【「しんぶん赤旗」2004年4月2日】
タイヤ脱落 整備不良説否定 三菱の報告書 02年、国交省に提出 穀田議員が追及
三十一日の衆院国土交通委員会で日本共産党の穀田恵二議員は、三菱ふそうのハブ欠陥リコール(回収・無償修理)問題で、国交省の監督責任を追及しました。
タイヤ脱落事故について三菱側はこれまで利用者の整備不良が原因としてきましたが、整備不良が原因ではないことを示す重要な報告書を二〇〇二年六月に国交省に提出していたことが明らかになっています。
穀田氏は、三菱が国交省の立ち入り検査の際に出していた「整備がゆきとどいて摩耗が少ないハブでも亀裂がおこる」というサンプル調査の報告書について確認したのかと追及。峰久幸義・自動車交通局長は「報告書の有無を確認できていない」と答弁。穀田氏は、人命にかかわる問題なのに調査もしていない無責任な姿勢は許されないと批判しました。
穀田氏は、当時の自動車交通局長が「ハブの設計ミスで摩耗が発生するものではないことがはっきりしている」(〇二年五月、衆院国交委、日本共産党・瀬古由起子議員=当時=への答弁)と答えていたことをあげ、「はじめから三菱の立場を代弁していたといわれても仕方ない。反省が必要だ」と批判しました。
石原伸晃国交相は「こちらにも非がある。早急に精査して委員会に報告する」と答弁。穀田氏が監督体制の充実を求めたのに対し、「リコール命令を実際に運用できるような体制の強化に努める」とのべました。
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