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【第159通常国会】 衆議院・国土交通委員会
本日の会議に付した案件
高速道路株式会社法案(内閣提出第一一二号) 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出第一一三号) 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一四号) 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出第一一五号) 高速道路事業改革基本法案(岩國哲人君外四名提出、衆法第三六号) ――――◇――――― ○榊原参考人(慶應義塾大学教授) 参考意見を述べさせていただきます。 私は、法案の細部にわたるコメントというよりは、まず、民営化という方向自体が適切な方向なのかどうかという基本的な問題について意見を述べさせていただきたいと思います。 昨日、二〇〇一年にノーベル経済学賞をとりましたジョセフ・スティグリッツという人が来日しておりますので、たまたま夕食をとって、あした道路公団民営化法案についての参考人の意見陳述に行くんだと言ったら、道路業務を民営化するというのはそれは冗談かというようなことを言いまして、いや、そうじゃなくて、これは真剣に民営化しようとしているんだというふうに申し上げましたけれども、このスティグリッツさんの反応は、欧米の専門家のごく常識的な反応でございます。 道路業務というのは、一番民営化にそぐわない政府の業務の一つというふうに考えられているわけでございます。 御承知のように、一部の観光道路を除いては、欧米で、道路建設なり道路の補修工事その他が民間企業によって行われているという例は、私の知る限り、ほとんど存在していないわけでございます。ですから、道路業務というのは基本的に税金あるいは国債の発行をもって行うというのが、これが世界の常識でございます。 にもかかわらず民営化ということは一体どういうことなのかということについて、若干の意見を述べさせていただきたいと思います。 まず、どうして民営化にそぐわないかということでございますけれども、民営化の本来の目的というのは、市場の競争にさらすことによって、短期的、中期的、長期的な効率化を促進するということでございます。道路業務というのは、基本的に、民間の競争にさらすということができないような構造になっている。例えば、この幾つかの公団を民営化したところで、新たな民間会社がそこに参入して、そこで競争が行われるということは、およそ期待できないわけでございます。 例えば電信電話業務の場合には、電電公社を民営化した後、KDDあるいはほかの民間会社がここに参入し、相当強い競争状況に入っていて、そのことによって効率化が達成され、実は大変なコストの削減が実現できているわけでございますが、このような状況は道路については基本的に期待できない。 それからもう一つは、これは経済学的に言うと道路というのは公共財でございまして、外部経済効果というのは非常に大きいわけでございます。ですから、道路は、道路を使用する人だけじゃなくて、例えばその地域全体に大きな経済効果をもたらすわけでございます。ですから、特定の道路建設が効率的かどうかということを客観的に測定することが非常に難しいわけですね。 例えば、北海道あるいは離島、そういうところへ道路を引いたとき、これは民間的採算ベースには乗らないわけでございますけれども、外部経済効果というのを考えた場合には、これは国としてやるべきだという判断もできるわけでございます。 そういう意味で、道路建設を民営化するということは極めて難しいし、それを評価することは難しいし、また、私は不適切だというふうに考えるわけでございます。 国鉄の場合と電電の場合と若干比較させていただきたいと思います。 電電の場合、NTTの場合、先ほど申し上げたとおりでございます。電信電話というのは技術の塊のようなものでございますから、民営化することによって、技術開発を促進させる、あるいはマーケットでの競争も期待できるということですね。 国鉄の場合にも、もともと、私鉄もございますし、バスもございますし、飛行機もございますし、ある種の競争条件の中にあるわけでございます。また、国鉄の場合には、JRの場合には、実は車両に関する技術を持っているわけでございます。ですから、道路に関して言えば、もともとは自動車とその運行計画を持っている組織だったわけでございますけれども、道路の場合には、自動車は全くほかの人が持っており、その運行計画もこちらがコントロールすることはできない。 そういう意味で、国鉄の民営化というのは、これはやはり国鉄の競争力を高めましたし、効率を高めたわけでございますけれども、道路の場合には全くこれは状況が違う。つまり、線路だけを持っている国鉄なわけでございます、道路の場合には。線路だけを持っている国鉄を民営化して、一体どうやって効率化が図られるかということはどうしても問われなければいけないということで、私は、まず、道路業務を民営化するということ自体の方向が適切ではないというふうに考えております。 第二点。それでも民営化について、これは国会の中だけではなくて、日本の民間サイドからも相当強い支持があるわけでございます。 なぜかということでございますが、一つは誤解だと思います。官は悪であり民は善だから、すべて民に持っていけばよくなるんだ、こういう誤解が実は民間サイドにも大変強く存在しておりまして、その誤解に基づいて、何でも民営化すればよくなる、そういう発想があるのは事実でございます。 しかし、一つ非常に説得的な議論は、財務構造、つまり、民営化することによって公団の財務が金融市場の競争にさらされる。金融市場の競争にさらされることによって、債務の返済が進む、あるいはむだな道路の建設がなくなる。そのことによって公団の資産、負債の構造が実は改善するんです。この条件は、新たにつくられた組織が金融市場に純粋に民間会社として入っていき、その競争にさらされるということが条件になるんです。 ですから、いろいろ審議をなさった川本さんとか田中さんとか、そういう人たちが期待していたのは、これを民営化することによって財務状況を健全化するということでございます。その前提は、金融市場の競争に新たな組織をさらすということでございます。これはそれなりの一定の効果があると思います。私は基本的には民営化に反対でございますけれども、金融市場の競争にさらすことによって財務構造を改善する効果が理論的にはあるということには反対いたしません。ただ、この点で、新たな法案は大変な問題を含んでおります。 まず、借入金について政府保証をするということは、これは民間金融市場の競争にさらされないということでございます。どんな民間企業でも、借り入れをするときに政府保証をしてもらえばこれは民間企業ではないわけでございますから、その意味で、政府保証を当分の間でもつけるというのは大変な問題でございます。 それからもう一つ、民間の金融市場の競争にさらすということについては、投資についての決定がその組織においてなされなければいけません。しかし、今回の法案を見る限り、道路建設について、国土交通省の関与は極めて強いものになっています。これも、投資についても全く、全くという言い方はちょっと極端かもしれませんけれども、投資についての自由度も余り持たない民間会社ということでございますから、実は、金融市場の競争にさらすことによって財務構造を改善するという目的に資するような法案にはなっておりません。その意味で、私は、今度の民営化法案については大変大きな問題が存在していると思います。 結論から申し上げますけれども、最終的には、道路の建設というのは、国が税及び国債の発行をもって行うものであります。過去、年金の積立金、郵便貯金などを使ったことについてはそれなりの理由があったのかもしれませんけれども、これはできるだけ早いうちに解消し、債務を返済し、本来、国が道路をつくるという、税金でつくるという通常の姿に戻すことが肝要だというふうに思っております。 以上、私の意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 次に、梅田参考人にお願いいたします。 ○梅田参考人(社団法人日本土木工業協会会長) ただいま御紹介いただきました梅田でございます。 本日は、社団法人日本土木工業協会の会長といたしまして、参考人の意見を述べさせていただきたいと思います。 今さら申し上げるまでもなく、高速道路は、国土の有効利用、一体化にとりまして不可欠な基幹的社会資本でございます。過去半世紀におきまして、我が国では七千キロメーターを超える高速道路のネットワークを営々と築き上げてまいりましたが、これが我が国の発展に多大な貢献をなしたことは、国民の多くが認めるところだと思います。 高速道路ネットワークが構築されましたことによりまして、私たちはさまざまな面で恩恵を受けております。輸送時間の短縮や物流コストの削減といった物流効率化はもとより、産業立地の活性化や商圏の拡大による地域経済の活性化、各種サービスへのアクセスが容易になることで、国民生活の質的向上など、我々が自覚するか否かにかかわらず、高速道路ネットワークの構築がもたらす効果は極めて大きいと言うことができます。 このような高速道路ネットワークがもたらす便益をすべての国民が享受できるようにするためには、先進諸国の例を見るまでもなく、現代において必須の要諦であり、高速道路ネットワークの構築や維持は国家的課題でございます。したがって、高速道路ネットワークの構築や維持に当たりましては、直接、間接を問わず、国がこれに関与していくことが必要であると考えております。 我が国が本格的な道路整備をスタートさせましてから五十年以上経過いたしました今、幾つかの問題点も顕在化してまいりました。 我が国特有の地形と地質の脆弱性や、地震、台風など毎年のように発生いたします災害などの要因によりまして、我が国の社会資本がコストの高い施設とならざるを得ず、かつ、地価の高さや土地の細分保有、権利関係の複雑さなどから、欧米先進国と比較して、同質、同量の整備を行う場合、コストや時間がかかることにあります。そうしたことから国民負担が増大し、今や四十兆を超える債務を抱えることになったわけであります。 また、地方分権や財政難などの理由から、整備の手法や整備レベル等につきまして、地方の意思尊重を求める声も増大してまいりました。 さらに、我が国の高速道路の整備水準は、いまだ欧米先進諸国に見劣りするとともに、中国や韓国などの新興工業国では驚異的な勢いで高速ネットワーク整備が進められており、国際競争力を維持していく上でも、これに劣らぬ整備水準を保つためには、何らかの制度改革、リニューアルが必要となってきたのが現状であろうと思います。 既に申しましたように、高速道路は、強い公共性を有しておりますとともに、独立したネットワークを形成し、利用料金を課すことが可能であるために、受益者負担の原則を踏まえた有料道路制度によりまして、各公団が、道路管理者にかわりまして高速道路の整備、管理を行う方式をとってまいりました。しかしながら、これまでの公団方式では、企業経営にとって最も重要な組織や予算は国の査定があり、関連事業につきましても、法律によって事業範囲が制限されておりました。 それに対して、民営化案は、代表取締役等や監査役の選任と事業計画についての許可は必要なものの、取締役の選任や資金計画についての制限はなく、また関連事業についても届け出のみで、経営判断に基づき進出できるなど、経営者としてかなりの自由度が与えられていると思います。自由度のない会社経営は停滞を招くものでありまして、新しい民営化会社は、その点、経営者や役職員にとって、新しい発想での会社運営を可能にするものと考えております。 ただし、民営化会社によって事業運営が行われるにいたしましても、高速道路自体は国民共有の財産であり、一般の企業以上に、事業運営にかかわるさまざまな情報の開示、いわゆるアカウンタビリティーの向上が重要なポイントになると考えております。 また、地震や台風などによって大災害を受けやすい我が国の国土条件を考慮し、高速道路が被災した場合の公的支援措置について用意しておくことも重要ではないかと存じます。 次に、効率的な高速道路ネットワークの構築に向けて、私ども建設業界として直接かかわる点について申し上げます。 高速道路は、多くの国民が長期にわたって利用する重要な社会資本でありますので、その整備と維持に当たりましては、ライフサイクルコストを重視するとともに、長期の利用に耐え得る品質の確保と維持管理計画が重要でございます。また、周辺環境や景観への十分な配慮も不可欠な課題であります。 これまで、私ども建設業界は、長大トンネルや海底トンネル、長大架橋などの建設におきまして、我が国の厳しい国土条件を克服しつつ、周辺環境にも配慮いたしましたさまざまな施工方法を御提案してまいりました。例えばシールドトンネル工法では、開削することなくトンネルを掘り進むことに加え、さまざまな技術開発によって大規模な地下空間の創出が可能となったことで、地上の周辺環境などの影響を極力低減させた高速道路の建設がただいま行われております。 私ども建設企業は、このような絶え間のない技術開発によりまして、構造物に求められる必要な品質の確保、環境への十分な配慮、さらにはコスト縮減を図ってまいりましたが、これらは建設企業の重要な使命だ、そういう認識でおります。 コスト縮減などのさまざまな要請にこたえるためには、すぐれた技術力と経営力を持つ企業が公正な競争を行える調達の仕組みが不可欠でございます。民営化会社におかれましては、単に価格のみの競争ではなくて、民間企業からの技術提案や、計画、設計、運営管理、維持補修を含めた多様な分野におけるさまざまな提案を積極的に御採用いただきますように、総合評価落札方式など、新しい入札契約制度を一層導入すべきであるというように考えております。 最後に、高速道路ネットワークの有効活用について申し述べさせていただきます。 これまで高速道路は、目的地間を結ぶ線的な機能を有する道路インフラとして、さまざまな役割を果たしてまいりました。しかしながら、インターチェンジ整備には、広い用地の確保と多額の事業費を必要といたしましたため、欧米諸国並みの十分な数のインターチェンジを、例えば日本は十キロに大体一カ所でございます、これは米国の約倍でございます、整備することは困難であったわけであります。 一方、自動料金徴収システム、ETCと申しますが、これは急速にその普及が進展をいたしまして、三月末時点で約二百七十万台、利用率で約一六%になっていると聞いております。ETC専用のインターチェンジでありますスマートインターチェンジは、コンパクトかつ低コストで整備できるだけでなく、サービスエリアやパーキングエリアなど既存の施設をインターチェンジ化することが将来可能となりますため、その整備促進が期待されるわけであります。 今回の民営化によりまして、これまで容易でなかったインターチェンジやサービスエリア周辺の地域との一体開発、連携開発などが進むことによりまして、高速道路が、従来の線的機能に加えて、沿線にわたって面的な機能を有するものになることが考えられ、物流施設との一体の開発、商業施設やレジャー施設などとの直接のリンク、地域の観光資源の活用、これはサービスエリア周辺の観光地に最短で移動できるということでございます、など地域経済の発展に寄与することができると期待されます。 また、高速道路の出入り口の増加によりましても利便性が向上することはもちろんでありまして、道路ネットワークがより密なものになっていくと思われます。 また、昨今のIT技術の進展を背景に、高速道路の機能を高度化し、情報通信基盤として活用していくことも重要であろうと思います。 いずれにいたしましても、民営化後は、企業ならではの新しい事業展開を期待できると存じます。 以上で私の意見説明を終わらせていただきます。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお願いいたします。 ○佐藤参考人(東京大学大学院客員教授) 御紹介にあずかりました佐藤でございます。 ふだんアメリカの大学におりまして、ちょうど一年前から東京大学に来ておりますので、公共経済学の立場から道路の民営化という問題について考える時間がありました。 結論から申し上げますと、アメリカで公共経済学という学問ができたのが約五十年前でございます。実は、私の恩師のハーバード大学教授のリチャード・マッスグレブという人が初めてつくった考え方、これは先ほど榊原さんが言われましたが、公共財という概念ができました。 ですから、大学で一番最初に講義をする場合に、公共経済学の講義で出てくる例が二つあります、実際は三つですが。その一つは、公共財の例として公園でございます。それから、公共財の例として道路でございます。それから、公共財の例として防衛でございます、国を守る。この三つが、アメリカの大学では、要するに、大学の一年生から公共財の定義の一番。ですから、そういう公共財を使って民間企業のように利益を求めるということを聞いたとき、私は仰天しました。これは正直な感想でございます。 もう少し具体的に言いますと、アメリカの道路は通常フリーウエーと言っておりますが、あれはフリーではありません。フリーと言っているのは、一般に二重の料金を取らないという意味でフリーなので、フリーではありません。 たしか小泉首相が、多分民主党案だと思います、民主党の方がフリーウエーをつくるという提案をされたら、ただより高いものはないというふうに一笑されましたけれども、実はそうじゃないんです。アメリカのフリーウエーというのは、税金、特にガソリン税その他税金を全部使ってつくった道路でございまして、既にガソリンを買うときに税金で道路の建設代を払っているということ。ですから、その上に、もう一回道路を使うときに二重に税金を取らないという意味でフリーなんです。 フリーウエーの長さを言いますと、七万キロでございます。七万キロといいますと、ちょっと私も初めはわからなかったんですが、地球の赤道を回ったのが四万キロですから、約二倍、地球の周り二倍の道路がフリーでございます。 もう一つは、道路の民営化をするとむだがなくなるというふうに言っておりますが、私は、道路というもの、公共財というものは、むだと言ってはなんですが、余裕を持って国民のために奉仕するのが公共財の本当の意味で、ですから、日比谷公園に人がもう入って、ちょうど東京の首都高速みたいに渋滞が続くようなところは公共財の役目をしておりません。 私は、若いときにアメリカ大陸を二回横断しました。例えばミネソタとかワイオミングという、ある意味では山岳地帯の州を通りますと、一時間に一本、対向車と会うくらいです。日本では、たしか、クマが出る道路でむだだという話がありましたけれども、道路というものは大体そういうものなんです。ですから、そういうふうに考えていただかないと、道路の民営化という考え方は、少なくとも、榊原さん言われたとおり、世界の常識にはなかなかアピールすることができないということでございます。 それから、もう一つ申し上げたいのは、公共財で、だれが金を払うかということです。つまり、道路をつくるとき。 三つの考え方がございます。 一つは能力主義。これは英語でアビリティー・ツー・ペイ・アプローチというのを、日本語で、残念ながら、私が言いましたように、アメリカの公共経済学を日本が踏襲しまして、日本で適当な訳をつけた能力主義。能力主義というのは、つまり、所得が多い人が多く税金を払うんだというお金を徴収する方法ですね。 もう一つはベネフィットアプローチ、受益者負担ということ。ですから、ガソリンを買うということは、何かほかの目的じゃなくて自動車を使うんだ、そのためにガソリン税というものがあるということでございます。 それからもう一つは、これはちょっと難しいんですが、ボランタリーエクスチェンジといいまして、要するに、今の日本の考え方からいいますと、ボランティア的な精神で、国のために少しお金を寄附してあげましょうということで国にお金を払う。その三つが、道路その他、公共財をつくるときの主要な財源でございます。 そこで、もう一つここで申し上げたいのは、たしか日本では、民間でやると効率がよくなるという話がございますが、確かにそうです。しかし、公共財のもう一つの重要な点は、公共財は独占財でございます。ですから、新しく独占財を使った企業をつくるということは、今、独占禁止法を改正しようというその一つのトレンドにも沿わないのではないかというふうに私は思います。 ただ、申し上げたいのは、公共企業体の理論によりますと、コストを必ず安くする、最低のコストを安くする。今までの日本の道路のつくり方は、必ずしも、ミニマムコストというか、最小のコストで物をつくるということに徹していなかったかもしれません。ですから、それは公共の企業体であっても、あるいは公共経済学の立場から見ても、費用最小限、つまり、むだをしちゃいかぬということです。 今度民間にしますと、その上に、利潤を最大にしようということ。利潤を最大にしようということは、独占企業では競争がありませんので、価格を適当に一番利益が上がるようにつくる、そういうことになりますので、国民の公正の立場からいったら、これは私は一般的に受け入れられるようなものではないというふうに思います。 最後に、私は、こう言っても、実は今、日本で、ある意味ではハードに対して、つまり建物とかそういうものに対するバッシングが起こっておりますが、それは非常に誤解があると思います。これは短期的なもので、長期的には、日本で例えば高速道路それから首都高速等々の道路をもっともっとつくるべきだと思います。 最後に、皆さんにお配りしております一番最後の表を見ていただきたいんですが、これは、OECDが、過去五百年間に、イタリア、オランダ、イギリス、アメリカ、日本、フランス、ドイツの経済発展と、どういう原因によってこの経済発展が起こったかということを書いたものでございます。 簡単に申し上げますと、ここでは、道路というか交通手段の充実と、それから金融市場の安定、これがその国の経済を発展させた、そういうテーブルから、私がここで皆様に御参考までに持ってきたものでございます。 ありがとうございました。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 次に、久保参考人にお願いいたします。 ○久保参考人(財団法人道路サービス機構副理事長) 財団法人道路サービス機構に勤めております久保でございます。 このたびは、参考人として国土交通委員会に出席する機会をいただきまして、ありがとうございました。 道路関係四公団民営化法案に関します私の意見でございますが、現在の公団方式より前進したものと考えております。 その理由としては、第一に、債務の返済について民営化後四十五年間という期限が設定されたことから、また、新規の建設については新会社が経済合理性と営業政策に基づいた判断ができることから、高速道路事業に対し、会社の自主性と責任が明確になったこと。第二に、全国一律のサービスから、高速道路事業の三分割によりまして、地域の実情により密着した事業展開が可能となること。第三に、サービスエリア、パーキングエリア事業については道路区域から除外など、規制の緩和がなされ、現在よりもお客様に喜んでいただける多様なサービスの提供が可能となると思われること。この三点から、前進と考えております。 さて、私の財団法人での経験に基づきまして、これまでの財団法人の経緯を説明し、これからのあり方について私見を述べさせていただきます。 まず初めに、高速道路株式会社法案では、株式会社の事業の範囲に、有料道路事業のほか、サービスエリア等の関連事業が含まれております。これは、昨年の三月二十五日、政府・与党協議会において、財団法人はSA、PA事業から撤退することとされ、同じく十二月二十二日の同協議会において、SA、PAの資産は基本的に会社が承継するとされたことに基づいたものと理解しております。したがいまして、私どもとしては、道路公団の民営化に合わせ、道路サービス施設を新会社に譲渡し、SA、PA事業から撤退することになると考えております。 ここで、財団法人がSA、PA事業に携わってきた経緯や役割について御説明いたします。 当財団法人道路サービス機構の前身であります財団法人道路施設協会は、昭和四十年に、建設大臣の許可を得て設立されました。名神高速道路の開通を皮切りに、高速道路網の整備が推進されました。長距離を走行されるお客様に対し、休憩所や給油所等の道路サービス施設が必要となりました。当初、道路サービス施設は日本道路公団が直営で行っておりましたが、当時の道路公団には予算上の制約があり、公団にかわって道路施設協会が、民間資金を積極的に活用して道路サービス施設を建設し、また、管理運営してまいりました。 道路施設協会は、お客様に御利用いただいておりますレストランなどのテナントからの営業料収入として、この収益金を新たな道路サービス施設の建設資金や維持管理費に充当するほか、駐車場を含むエリア全体やトイレの清掃、ごみ処理、道路案内や交通安全啓蒙などに充ててまいりました。また、交通量が少なく、テナントによる経営が厳しいエリアでは、直接財団が営業してまいりました。 さらには、社会福祉事業として、身障者の有料道路通行料金割引制度への協力、全国の福祉事務所へ割引証六十万冊の印刷と発送を行い、また、高速道路での交通事故で亡くなられた方の遺児約二千名の高校生等に修学資金の援助を実施するなど、収益をお客様に還元してまいりました。 なお、財団の利益は、すべてを、借入金と合わせて、道路サービス施設の建設、改良に充当してきたところであります。 しかしながら、道路施設協会が高速道路の道路サービス施設を独占的に運営してきたことについて、見直しの議論が高まりました。平成九年十二月二十六日、特殊法人等の整理合理化に関する閣議において、協会については、業務の独占を排除するため、分割の上、相互に競争を行わせること等が決定されました。これを受けまして、平成十年十月に、二つの財団法人に分割いたしました。 この二つの財団は、地域の特色を生かし、より個性的なエリアとなるよう、例えばレストランでは、地元特産品を使った名物メニューを開発し、お客様に提供しております。また、ハンバーガーや牛丼など専門店の導入を積極的に行うとともに、お客様のニーズを満たすための品ぞろえにこたえるよう努め、コンビニエンスストアを展開するなど、お客様からは、最近のエリアは変わったなとの声もいただいております。両財団で切磋琢磨しながら相互に工夫を積み重ね、現在、五百十六カ所のエリアにおいて道路サービス施設を管理運営しております。 一方、私どもは、昭和四十年から三十九年にわたり培ってきた道路サービス施設の建設、管理、運営面での経験やノウハウを蓄積し、その経験のもと、平成十四年にはISO14001の認証を取得しました。また、お客様に安心してお食事をとっていただけるよう、食品の安全性を確保するため、財団独自の衛生管理手法、J―SaPaHACCPシステムを平成十一年から導入しております。そしてまた、約二割の職員が販売士の資格を取得しており、SA、PA事業の専門家集団として全職員が資格を取得することを目指すなど、積極的に意識改革にも取り組んでおります。 最後に、SA、PA事業から撤退する財団法人としての取り組み状況について御説明させていただきます。 私どもとしては、両財団の職員が長年にわたって培ってきたさまざまな経験、ノウハウ、資格をこれからのサービスエリア等の関連事業において活用していただけるよう、国土交通省の指導のもと、日本道路公団など関係機関と調整を図り、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。 一方、SA、PA事業から撤退する二つの財団については、一つの公益法人に統合し、その事業内容についても、国土交通省を初めとする関係機関と調整作業を行い、現在実施しております交通遺児への修学資金援助等、身障者への支援のほか、公益法人として適切かつ有効な事業を行えるよう検討しているところであります。 また、政府・与党協議会において、財団法人は、保有資産を活用し、ETCを活用した社会実験、身障者の高速道路利用への支援等の公益事業を行うことにより、高速道路利用者に還元するとされました。両財団では、有料道路の料金に係る社会実験として、国土交通省と日本道路公団により実施されましたETC長距離割引社会実験に対し、十五億円の協力をさせていただきました。 また、当財団は、ETCによる割引を身障者が受けることができるようになりましたことを受け、身障者の方々がETC車載器を購入される費用の一部を助成することとしました。昨年の十二月から、日本道路公団の関係会社からの協力をいただき、十五万人の方を対象に総額十五億円を用意し、三月末までに、既に五万人弱の方へ助成をいたしました。 このように、道路公団民営化に向けての取り組みの一つとして、幅広くお客様に還元できるように努めているところであります。 国土交通委員会の先生方には、今後とも御指導と御理解を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。 甚だ簡単ではございますが、私の意見陳述とさせていただきます。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 ――――――――――――― ○赤羽委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 私は、日本共産党の穀田恵二です。 参考人の皆さんには、本当にいろいろな貴重な御意見をありがとうございました。 その上で、二、三点、それぞれの参考人にお聞きしたいと思います。 まず、榊原参考人にお聞きしたいと思います。 参考人もお話がありましたように、私は、今の日本の財政が大変な状況にあるということは認識を同じくしています。そこで、今、日本の公共事業のあり方自体の見直しを問われているという時期に本当に来ているんだと思うんです。私は、土建国家の見直しがどうしても必要だ、特に、民営化が議論された背景には、従来型の公共事業の破綻があると思うんですね。 したがいまして、そういう角度からした場合、高速道路など道路行政のあり方を根本的に見直さざるを得ない事態に来ているんじゃないか。その辺の状況認識についてまずお聞きしたいと思います。 ○榊原参考人 私も先生と全く意見を一にしておりまして、やはり、公共事業中心の日本の財政のあり方あるいは日本の政治のあり方が、もう二十年ほど前から破綻に瀕しているということではないかと思います。まさに、土建国家日本を変えていかなければいけない局面に入ってきていると思います。 もちろん、財政破綻の最も重要な要因というのは、実は公共事業ではなくて、年金とか医療なんですけれども、しかし、公共事業も財政の悪化ということには相当の負の貢献をしているわけでございまして、その意味で、今の日本の公共事業のシステム全体を見直す時期に入ってきている。 先ほど森田先生が四〇年体制を変えろというふうにおっしゃっていましたけれども、まさにこれも同じことでございまして、四〇年体制の政治のあり方あるいは財政のあり方を変えなければいけないというふうに思っております。 ○穀田委員 四〇年体制かどうかというのは私は余りよくわからないんですが、戦後の政治といいますか、長く続いた自民党政治のもとで行われたという点ではそうなんでしょうが。 そこで二つ目に、先ほども参考人おっしゃいましたように、政府が政府保証を債務につけてあげるという仕組みをつくったことで、実は、四十五年間ということも相まって、実際は道路をつくり続けるという宣言だと私は思うんですね。 そこで、借金は四十五年で本当に返せるのか。私は、下手したら返せない事態が来る、国民にツケが事実上さらにふえるということだけは確かだ、そういうふうに思っているわけですが、御意見をお伺いしたいと思います。 ○榊原参考人 政府の予定どおり、借金が四十五年で返せるかどうか。 まず一つは、新たな借入金がどのくらいふえるかということでございます。新たな借入金が債務になるわけでございますから、それについてどういう借入金の状況になっているかというのを、少なくとも法案を見る限りではわからないということであります。 それからもう一つ、四十五年間ということになりますと、金利の状況が大きく変わるわけでございます。今は低金利時代でございますけれども、恐らく、四十五年を考えると、超インフレにはならないと思いますけれども、今よりも金利が上がる状況というのは十分考えられるわけでございます。ですから、金利が今よりも例えば平均して二%、三%上がるということであれば、今の債務の返済計画は実現不可能ということになりますから、四十五年で返済できるという計画は、私が法案で見る限りは非常に不確実性の高いものだと言わざるを得ないというふうに思っております。 ○穀田委員 私もそこは質疑で指摘しているのですが、同時に、先ほど来の榊原参考人の御意見で、特に財政の問題は何度も指摘されていましたけれども、例えば、道路無料化にするという案も一方であります。しかも、債務返済に道路特定財源を充てるということにもしています。したがって、通行料金を無料化しても、二兆円規模の国民の税金で処理するということにこれはつながるおそれがある。 そうしますと、やはりいずれにしても、今、税の使い方を考えなければならない時代に来ているということを先ほど来お話があった。私は、その意味で優先順位が、まあ、こういう使い方もあることはあるんだと思うのです。ただし、先ほどあったように、一方では、そういう税金を、道路をつくり続けるということに対してのむだ、むだといいますか、そういう点での指摘をされる榊原参考人が、一方ではこういう形で税金を使うことに対していかがその辺の整合性はお考えなんでしょうか。 ○榊原参考人 今重要なことは、既に相当の有料道路がつくられているわけでございますね。料金が高いために利用されていない有料道路、これは本四架橋なんかはその典型でございますけれども、あるいは東京湾横断道路等もありますね、これは、実は宝の持ちぐされなんです。 あれだけの費用を投入して、それで使われていないということは、先ほど佐藤先生が、全部ただにして、それでも使わなかったらこれはむだだとおっしゃいましたけれども、あれだけ高い料金であれば、これは使わないのは経済合理性にもとるということになりますから、実は、既に持っている道路、有料道路、しかも技術的には極めて高いものですね、そういうものを使えるように無料化する、無料化するために道路特定財源を使うということは、これは国益にかなっているのではないかというふうに考えているわけでございます。 ○穀田委員 わかりました。国益ということなのか、それとも、お金の今の使い方のシフトの仕方という問題について聞いたつもりだったのですが、まあその辺はわかりました。 次に、梅田参考人にお聞きします。率直にお聞きします。 土木工業協会加盟のほとんどの企業が道路公団OBを営業担当などに受け入れています。私は、実は去る予算委員会で指摘したのですが、未供用の七十路線の三百六十一件の公団の工事の受注のうち、公団OBを受け入れていなかったケースはたった一件しかありませんでした。 公団のファミリー企業については、天下りなどが随分批判されてきました。なぜ公団OBを受け入れているのか、その辺の率直なお話をお聞かせいただきたい。 ○梅田参考人 他社のことは私は存じません。自社のことについては申し上げます。 私どもは、例えば道路公団OBを採用するについて、これは技術系が多いのです。技術系の者は、道路公団において技術を習得してきた、そういう土木技術者として非常に重要な人材であるという人を採用しております。 そういう趣旨で、何も、道路公団と営業的なつながりを利用しようとか、そういうことで官庁OBを採用していることは一切ございません。 ○穀田委員 わかりました。なるほど。ちまたでは、もちろん御承知のように、営業担当と言われる話も出ておるということもこれまた事実だということは指摘しておきたいと思うのです。 そこで、参考人はきょうの陳述の中で、情報開示が一般企業以上に極めて重要だとお話しされていましたし、レジュメにもそう書いていました。私もそのとおりだと思うのです。しかし、道路公団が民営化された場合、客観的な問題として、例えば情報公開法などが適用される事態は少なくなります。 どのようにして情報開示を、法的にも、そして機構的にもつくるのかということについてはどうお考えでしょうか。 ○梅田参考人 それは、私がどういうふうにすべきだと申し上げるよりは、国会でお決めいただく問題ではないかと思いますが。 ○穀田委員 いや、重要だとおっしゃっていたから、民営化したら進むのかな、こう思いまして、私は余り進まぬのじゃないかと思ったものですから。 次に、それでは佐藤参考人にお聞きします。 参考人は、きょうお配りされた文章だけじゃなく、いろいろなところで、初めに民営化の結論ありきということを指摘なすっています。私も、その点ではそのとおりだなと思っています。別の文章のところでは、民営化しさえすれば公正、効率を達成できるとするのは幻想にすぎない、こう述べておられます。私もそのとおりだと思うのです。その辺をできれば詳述していただいて、どの辺の改革が必要かというあたりをお聞かせいただければと思っています。 ○佐藤参考人 日本の一般的なムードは、先ほども申し上げましたけれども、何か、官でやることはよくないし、民でやることだけがいいという風潮がありますので、そういうところから公正に、今までは、ある意味では官のやり方が不公正だったという印象があると思います。 先ほどから言われておりますようないわゆる天下りの問題だとか、それから政治家の金銭的な問題だとか等々があって、国民は、政府あるいは官のやること、それから、政治に対する不信が起こっているというふうに思います。ですから、民間にやらせるとその点がなくなってうまくいくんじゃないかという、私は、場合によっては幻想だと思いますが。 経済学でもう一つ使っている言葉がプライベートグッズ、これは日本では私的財というふうに訳しております。もちろん、私的財は民間でつくるのが当たり前で、今まで政府がもしつくっていたとすればこれは間違いでございまして、それがいわゆるディレギュレーション、規制緩和の問題だと思います。ですから、私的財を政府でつくるようなことをやっていたとすれば大きな間違いですので、それはそのとおりだと思います。 それから、今の御質問に直接答えになるかどうか知りませんが、私は、先ほどちょっと申し上げましたが、いわゆるハードパワーとソフトパワーのバランスが必要だというふうに言っております。 例えば、今の御質問のバックグラウンドには、多分、日本の医療制度とかそういうような、もっともっと我々の肌に近いようなところにお金を使った方がいいという、これはいわゆるソフトパワーをもっと強くしなさいということだと思いますが、まさにそのとおりで、大賛成であります。 ただ、歴史的に見ますと、西洋も、恐らくイスラム社会もそうだと思いますが、日本も、ソフトがあってハードがあるんですね。例えば、京都がなぜ有名かというと、京都には歴史があって、それを実際に見ることができるお寺とか神社仏閣があるから京都が有名なんですね。これは日本だけじゃありません。ヨーロッパも全く同じです。アメリカも全く同じです。 ちょっと卑近な例かもしれません。アメリカの大学では寄附をいただいています。例えば一千万ドルの寄附をするという申し出があったら、我々教授は、我々の給料が上がるかもしれないと喜びますが、そんなところへ行きません。その寄附を申し出るほとんどの方が、自分の名前を建物にくっつけてくださいというふうに言います。 ですから、これは人類のある意味ではハードに対する願望というか、そういうものがあります。ただ、それだけじゃなくて、日本の問題はハードとソフトのバランスがよくないということを申し上げたつもりでございます。 ○穀田委員 京都が出ましたので、私、京都に住んでいまして、ふと思いをいたしまして、歴史やすぐれた景観があります。今、参考人は世界的な角度から物を見ておっしゃっていましたが、私なんかは、都市の内部に、インナーシティーのところに、例えば京都などというところに高速道路を持ってくるのはいかがなものかというふうに思っているんですね。その辺は、世界的なレベルで見て、そういう古都、歴史都市、そういったところの例なんかはどうでしょうか。 ○佐藤参考人 私は、京都にハイウエーを持ってくるというのは賛成じゃありません。 この間、京都大学にちょっと講演を頼まれて行きましたけれども、あそこに、駅に大きなビルがあって驚きました。非常に便利にはなったんですが、アメリカの文化になれているのかどうか知りませんが、やはり、何でもかんでも近代的というか、そういうことをすることがいいというふうには思っておりませんので、やはり京都はあのままにしておいていただきたいなという気持ちがあります。 ○穀田委員 ありがとうございました。 では、最後に久保参考人、実は先ほど少し述べたんですが、ファミリー企業に対する批判というのはさまざまございます。これはもう言うまでもありません。 問題は、天下りや公団発注事業の独占などが批判されてきたわけですが、民営化されて、こういうものがどのように変わるというふうに展望としてはお考えですか。その辺、御意見をお聞かせ願えればと思います。 ○久保参考人 新しい会社ができて考えるべきことだとは思いますが、私の個人的な見解で申します。 そういうファミリーと言われるような企業が次第にできてきた発端は、ちょうど一九六五年ごろからです。そのころに、道路公団の組織が余りに肥大化するのはよくないなというような考えがありまして、そういう仕事を、特に維持管理業務をアウトソーシングしようということになって、その時代は道路公団の外側にそういう会社がないものですから、実は卒業したOBに頼んでそういう会社をつくってもらって、それが次第次第に肥大化してきた、そして批判を生むようになったというのが流れでございます。 今後のことでございますが、恐らく、今度は民営化会社が今の道路公団の仕事をもっと効率的にやっていく、あるいはもっと経費を節減していくという視点に立てば、今の仕事をもう一度見直して、自分たちの内部あるいはグループでやる方がいいのか、あるいは全く外に出す部分があるんじゃないかとか、そういうことを今後検討されていくんじゃないかというふうに私は考えております。 ○穀田委員 先ほども梅田参考人にもお聞きしたんですけれども、先ほど述べた七十路線の三百六十一区間という話をしたときに、道路公団でいいますと、これは資料を請求して出していたんですね。また、ファミリー企業の問題でも、出せと言ったら出るんですね。ところが、民間企業になりますとそれは我々の仕事だというわけですけれども、実はそういうことによって遮断されるということが結果としてあり得るんですね。 だから、私は、今言った経費の節減やそれから効率という問題もさはさりながら、一番大事な問題は、先ほども梅田参考人もおっしゃったように情報開示が一般企業以上に極めて重要だ、そのシステムをどう残すかということはとても大切だと思うんですね。その辺だけ最後に御意見を聞かせていただいて、終わりたいと思います。 ○久保参考人 それは穀田先生のおっしゃるとおりだというふうに考えております。 ○穀田委員 どうもありがとうございました。 ――――◇――――― ○寺田参考人(秋田県知事) 秋田県知事の寺田でございます。 きょうは、大変光栄でございます。ひとつよろしくお願いいたします。 私の経歴を少し述べさせていただきますが、五十歳までは民間の一経営者でございました。平成三年でございますけれども、自民党の方からの推薦で市長を六年務めさせていただきましたから、行政的な採用は平成三年でございます。六年間務めさせていただきまして、次は平成九年ですか、知事に就任させていただきました。政党的には、二回目からは根なし草でございまして、ひとつ市民的な物の考えで高速道路について述べさせていただきたい、そう思います。ひとつよろしくお願いいたします。 ここに参考資料としてわずかな資料を皆さんの前に提示させていただいていますが、一つは、秋田県の広さというのが埼玉、東京、神奈川、千葉県と大体同じぐらい、そこに人口が百二十万、キロ平米当たり百一人住んでいますけれども、首都圏につきましては三千五百万、二千五百人ぐらいキロ平米当たり住んでおります。いかに日本の国というのが広いかというのを今それで表現させていただきたい、そう思います。 私は、その二番目に、整備手法ということで書かせていただいていますが、市長時代から、高速道路イコール有料というのはいかがなものか。道路というのは公的なものですから、公物ですから、私は、できるだけ無料の方がいいだろう、特定なものを除いて、一部を除いて無料というような形で進めていくべきであろうという考えを持っておりました。 この秋田県の道路工事の手法でございますけれども、一つは、道路公団が進めるA方式というのは約六〇%でございます。そして、要するにバイパス道路ですね、自動車専用、A方式とAダッシュ方式と見ていただければ、国土開発幹線自動車道密接関連継続事業、これが約二九%させていただいている。全体的に、今度の新直轄を入れて四割ぐらい、これはみんな県費負担を伴う道路特定財源のもとの施行でございます。 ですから、全国的なペースでいきますと、直轄事業、Aダッシュの事業というのが八%でございますから、いかに秋田県は県費負担を伴う工事で自動車専用道路を進めてきているかというのは理解していただきたい。ということは、ある面では、税金を払っても県民は早く自動車専用道路をつくるように、これがやはり県民の願いでございまして、このとおり進めさせていただいているという状況でございます。 今回は、民営化等でございまして、不採算路線につきましては国の直轄事業という形で新直轄方式になるわけでございますが、これから先のことについて、次のページをお願いしたいんです。 なぜ自動車道路が必要であるかということにつきましては、東北地方におきましての自動車の依存度というのは九四・七%。三大都市圏ではフィフティー・フィフティーぐらいで、どちらかというと、鉄道の方が多うございます。全国平均にしましても、七四・一%が自動車に頼っている。ですから、自動車道路というのは基本的なツールであって、特に高速道路はネットワークをつくることが近代国家における生活の基本的なツールだというふうな考えを持っております。そういうことをひとつ御理解賜りたい、そう思います。 また、もう一つお願いしますのは、自動車の保有台数でございます。これは秋田県だけでまことに申しわけないんですが、携帯電話というのは二人に一人ぐらいなんですが、こちらの場合は十人に七人。恐らく東北地方はほとんどの方々が自動車がなければ生活ができない。東北、北海道でも、恐らく三大都市圏の部分を除いたら、そのような生活に必要でないのか、私は、このことをひとつ御理解賜りたいと思います。 また、もう一つは、最後の項になりますけれども、県民の所得でございます。大体秋田県は東京の五五%、それから東北六県は全国平均の八五%となっていますが、秋田県は七八%。 所得の問題というのは、ある面では、高速道路の負担をするということに対しては大変な困難を伴うということで、よく有料道路がすいているとか使えないとかというのは、やはり所得の面もあるし、値段が、道路料金がキロ二十五円では高過ぎる。できれば、それこそできるだけ速やかに、首都圏、三大都市圏等を除いた部分については無料化を進めることが国民にとっては大変なプラスになるんじゃないのかな、私はそう思います。 財源等はどうですかというのは、いろいろこれから議論されるでしょうけれども、ある面では、道路特定財源だとか、おしかりを受けるかもわからないですけれども、今安いうちに国債等を発行してそれを処分してしまうということ、それから、道路をつくるには、道路特定財源をそちらの高速道路に、自動車専用道路に入れるということは、もちろん一般道路の方が少なくなるということも覚悟の上でお話をさせていただいているということを御理解賜りたいと思います。 あとは、皆さんの御質問の上で、基本的なことを、いろいろなことを答弁させていただきたいと思います。 以上でございます。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 次に、広瀬参考人にお願いいたします。 ○広瀬参考人(大分県知事) 大分県知事の広瀬でございます。 昨日は、当委員会の公聴会を大分で開催していただきまして、まことにありがとうございました。 そしてまた、きょう、こうしてお話をさせていただく機会をいただきまして、大変光栄に存じております。 私は、地方自治体の立場から意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。 申すまでもありませんけれども、高速道路は、沿線住民の安全で快適な生活を確保して、また、地域の開発や発展を図っていくという意味で、まことに基礎的な社会基盤であります。だからこそ、国が国土のグランドデザインを描いて着実に整備してもらいたいというふうに考えているところであります。 特に、これからは地域間の競争の時代だと言われております。高速道路というのが基礎的な社会基盤である以上、やはり地域間の競争にとっても大事な競争条件であります。基礎的な競争条件の整備という意味でも、ぜひ高速道路の整備を進めていってもらいたいというふうに思っているところであります。 私は、東九州四県、鹿児島、宮崎、大分、福岡、そして北九州市、四県一市で構成します東九州自動車道建設促進協議会の会長を務めさせていただいておりますけれども、大分県のみならず、東九州地域全住民の悲願となっております東九州自動車道を例にとりましてお話を申し上げさせていただきたい、こういうふうに思います。 ここにちょっとパネルを示させていただいておりますけれども、これは九州の高速道路整備状況を示したものでございます。 西九州の方は九州縦貫道がしっかりと走っております。さらに西に行きますと長崎まで高速道路が走っているということでございますけれども、東の方をごらんいただきますと、ほとんど白紙になっております。これが今の九州の高速道路の整備状況でございます。 私ども、この東側に全長四百三十六キロの東九州自動車道の整備をお願いしたいというふうに考えておりまして、その中で、今、現に供用になっているのがわずか八十一キロ、ぽつぽつと黒い線がありますけれども、これだけでございます。全体の一九%ということでございます。東九州地域の住民にとりますと、九州全体で取り残された感、不安感、不満感が充満しているというのが現状でございます。 なぜ東九州自動車道かということについて、少し詳しくお話をさせていただきたいというふうに思います。 まずは、安全、安心な住民生活の確保というためでございます。 大分と、大分の南の方に津久見というところがあります。ここはおかげさまで、この大分―津久見間は平成十三年の暮れに高速道路が開通をいたしました。おかげで、それまで大分と津久見という間が一時間かかっておりましたのが三十分に、半分になりました。 したがって、この津久見、二万二千人の小さな町でございますけれども、年間百件ぐらいの緊急医療輸送があるわけでございますが、そのすべてが今度新しくできました高速道路を通って大分まで運ばれるということでございまして、大変津久見の市民にとっては安心ができたわけでございます。この安心というのをやはり東九州地域全体に広げていきたいというふうに思っているところでございます。 これはこれからお願いをしたいところでございますが、宮崎県に接するところに蒲江町という小さな町があります。ここに平成十三年に台風が参りまして、町の外に出る道が全部遮断されました。三日間この地域が陸の孤島となりまして、大変住民に不安を与えた。三日間どうして陸の孤島になったかといいますと、高速道路が全くありませんから、そこまで物を運んで復旧作業をやる手だてがなかったということでございまして、やはり住民の安全、安心のためにどうしても高速道路が欲しいというところでございます。 第二に、やはり地域開発にとって高速道路は不可欠のものでございます。 大分市というのは、おかげさまで鉄鋼業、化学工業の最先端工場があります。東芝の半導体工場もあります。キヤノンがデジタルカメラ工場をつくるというような計画もございます。大分市は、おかげさまで有効求人倍率は、十六年の二月でございますが、〇・九〇というところまでいっているわけでございます。 ところが、大分市から南の方に佐伯という町がありますけれども、ここは昔連合艦隊がハワイを襲撃するときに極秘裏に集結した港でございまして、天然の良港があります。したがって、昔は工業も盛んに行われていたんですが、モータリゼーションの中でこの工業もうまくいかなくなったということで、大変今疲弊をしております。有効求人倍率が、すぐ近くの大分が〇・九〇なのにかかわらず、この地域は〇・五六という大変低い状況になっております。せっかくの、高速道路さえできれば大分まで働きに行く、あるいはここに工業が来るというにもかかわらず、そういう状況になっているわけでございます。 また、この地域は、ヒラメとかブリとかいった魚の養殖でも日本で一、二を競う地域でございます。高速道路ができてもっと搬送が速くなれば、もっともっと開発される可能性があるというような地域でございまして、大変地域の開発にとっても重要な高速道路の要望があるわけでございます。 また、大分県は県土の二八%が国立公園などの自然公園の地域に指定をされておる、二八%でございます。年間に五千五百万人の観光客が参りますけれども、この観光客をさらに誘致していくためにも高速道路が非常に大事、地域の開発にとっても不可欠のものであります。そういった意味で、ぜひこれをやっていきたい。 また、高速道路は、東九州自動車道は、ひとり東九州沿線の問題だけではありませんで、九州の、先ほどごらんいただきました九州縦貫自動車道あるいは九州横断自動車道と一体となりまして、ようやく循環型の高速交通ネットワークが九州に完成するわけでございます。そうなりますと利便性も確実に高くなりますし、また道路全体としての信頼性も非常に高くなるということでございまして、そういった九州全体の循環型高速交通ネットワークの整備という上からもぜひ必要であるというふうに考えております。 今、そういう意味で、この東九州自動車道は地域の住民の悲願でございますけれども、非常に住民生活にも密着している。ここに産業が開発されれば住民の若者がここに定着できる、あるいはここに高速道路ができれば安全、安心の生活ができるということで、大変、男性だけではなくて女性にも非常に今この誘致熱が高まっておりまして、女性のグループが非常に立ち上がっているというような状況も、まさにこの東九州自動車道の待望の気持ちをあらわしているのではないかというふうに思っているところでございます。 高速道路の整備というのは、計画的に着々とやっていただくということが全国民に対する約束だったんだろう、こう思います。計画をつくって着々とやっていく、我々はそれを待っていたわけでございますけれども、ぜひお約束どおり着実に実施をしていただきたいと思っているところでございます。 このような観点から考えますと、今回御議論をいただいております政府の民営化法案ということにつきましては、私は、当面有料制を維持して料金収入を最大限活用して長期債務を返済していくということ、そしてまた同時に、効率的、機能的に高速道路を整備していくということで、大変評価をしているところであります。 ぜひとも早期に成立を期して、九州の高速交通ネットワーク体系の早期完成を図っていただきたいというふうに思う次第でございます。 私からは以上であります。ありがとうございました。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 次に、野間参考人にお願いいたします。 ○野間参考人(社団法人全日本トラック協会理事長) 全日本トラック協会理事長の野間でございます。 本日は、日本道路公団等の民営化に関連する五法案の審査に当たりまして、参考人として意見を述べさせていただきます。 まず、トラック輸送は、我が国物流の基幹的輸送機関としまして、トンキロ数において国内貨物輸送の五割以上を担っております。高度化、多様化する利用者ニーズに的確に対応しながら、産業の発展と国民生活の向上に大きく貢献しています。 比較的短距離の貨物輸送に適していると考えられるトラック輸送が、トンキロ数において、昭和三十五年度の二六%から、昭和六十二年度以降一貫して五〇%以上を担うこととなった背景には、その間、高速道路が着々と整備されたという事実があります。また、その年間売上高は十一兆円から十二兆円という巨大産業であります。 しかしながら、平成二年の貨物自動車運送事業法の施行によります大幅な規制の見直しを機に、毎年約二千社程度の新規参入、同じく約五百社程度の撤退があり、平成二年には約四万社であったものが十四年度末には約五万八千社に達するなど、非常に厳しい競争下にございます。そのうち九九・九%が中小企業であり、資本金三億円以上、従業員三百人以上のいわゆる大企業は六十一社にすぎません。 これだけ厳しい競争下にあるための運賃低下、荷主のコスト削減要請の強化の状況下にありまして、トラック運送事業者は、高速道路を利用してもそれだけの運賃はもらえない。したがって、高速道路は利用できないという声が、景気低迷下にあって、近年特に強まっております。 我々の実施したアンケート調査によりましても、利用控えの指導をしているとした事業者が八六%を占めています。これは、現在の高速道路料金の水準が既にトラック運送事業者に大きな負荷を与えていることを示していると思います。 高速道路は貨物輸送に最も適した施設であり、それを利用して急速にシェアを伸ばしてきたトラック運送事業者が、それをいかに使わないで輸送するかに頭を使うというのは、まことにもったいない話であり、ばかばかしい状況であると思います。 そのような状況下で、高速道路利用者は料金に対して非常に敏感であり、これも我々が実施したアンケート調査の結果によりますと、基本料金を引き下げた場合、一割程度の引き下げでは七三%の事業者が利用の増加はしないと答えているのに対し、三割程度の引き下げでは三割程度以上利用をふやすと答えた者が四二%に達し、五割程度の引き下げでは三割以上利用を増加する者が八四%、五割以上利用を増加すると答えた事業者も四七%に及んでいます。 高速道路の整備に伴い発展してきたトラック運送業界にとっては、利用が少ない路線でも、それを利用する者にとっては貴重であり、不必要な路線というものはありません。しかしながら、現状の料金プール制のもと、新規路線の建設が他の路線の料金収入によって賄われる結果、他の道路料金の上昇圧力になることには反対であります。 新規路線の中には、国としての危機対応能力の強化、災害に強い国土づくり等を目的としたいわゆるバックアップ型のものや、国土の均衡ある発展、地域振興、地域交流圏の拡充等を目的とした地域振興型のものがあり、これらを既存の高速道路利用者に負担させるのは適当でないと考えます。 高速道路は、建設そのものの経済波及効果を生み出すほか、これからの新規路線については、費用対効果を十分評価して建設が進められることとなっており、国や地方自治体に税収増加を生み出します。また、高速道路を走行する車両の燃料消費も揮発油税、軽油引取税等として国や地方自治体に大きな収入増となっているにかかわらず、高速道路の建設には還元されておりません。これらの事実や建設目的を十分勘案して、新規道路の建設に当たっては、国費または地方費を投入すべきであると考えます。 また、我々は、必ずしも多くの需要が期待できず、有効活用がなされないとともに、収支の悪化が懸念される路線も含め、需要喚起方策として、割引制度の拡充等による料金体系の弾力化は非常に効果的であり、路線の収支の改善にも大きく寄与するものと考えております。 需要喚起方策としての適切な料金体系を設定するためには、日本道路公団が車種ごとの高速道路利用動向を的確に把握することが不可欠であり、その内容を十分に踏まえ、おのおのの利用者にとって魅力的な料金設定を行うことが必要であります。特にETC前払い割引制度、料金別納割引制度等の既存制度は、高速道路利用促進に大きく寄与しています。今後とも、これら既存制度を充実し、高速道路全般の利用効率を向上させることに加え、平成十五年度において実験的に実施された長距離需要を喚起するための長距離逓減制度の強化等、弾力的な料金設定の拡充が強く望まれます。 高額の料金により高速道路利用を敬遠しかねない利用者の高速道路利用を促進し、高速道路全体の需要の活性化、ひいては採算性の向上を図るためには、割引制度の拡充等による料金体系の弾力化が不可欠と考えられます。 したがって、民営化推進委員会が、新しくできる五つの新会社は、夜間料金の半額割引や通行台数一万台以下の道路の通行料金の三割引き下げ等により、平均で一割の通行料金引き下げを民営化と同時に実現すると言われ、国土交通省が民営化以前にもそれを実現し、さらに、現行の別納制度は廃止をするものの、それにかわる割引制度により、さらなる料金の引き下げを実現されようとしている御努力に大いに期待しております。 また、公団民営化後についても、民営化の目的の一つである民間の経営センスを生かした弾力的な料金設定が図られ、さらに利用料金が低下することを期待いたします。 以上でございます。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 次に、山崎参考人にお願いいたします。 ○山崎参考人(シンクタンク山崎養世事務所代表)(前ゴールドマン・サックス投信株式会社社長) 本日はお招きをいただきまして、大変ありがとうございました。 それでは、ちょっと議論に入る前に一つ、ある本の一節を、最初のところを読ませていただきたいんです。 明治百年を一つの節目にして、都市集中のメリットは、今明らかにデメリットへ変わった。国民が今何よりも求めているのは、過密と過疎の弊害の同時解消である。高速自動車道の建設などをてこにして、都市と農村、表日本と裏日本の格差は必ずなくすことができる。昭和四十七年六月、田中角栄、「日本列島改造論」。 私、今回訴えたいのは、私はこの趣旨に大変賛成です、国土の均衡ある発展を目指して、そして、田中角栄先生を初めとしたいろいろな方がつくられた制度。しかし、結果どうなっているのか。三%の国土に八千二百万人が住むような国になってしまっている。新規上場企業の四分の三が東京からしか生まれない。明らかにこの田中角栄さんの目標は破綻をしております。 三十年前には非常に有効であった制度、今も同じような形で継続して続けていいのか、そのあたりから、しかし、きょうは天下国家論を語りに来たわけでは必ずしもございません。 ただ、具体的に、実現可能性として、もともとはこの高速道路の建設、戦前のドイツのアウトバーン、戦後のアメリカのインターステート、いずれも国運を左右し、それによって国力が大発展して地方分散になった。単に道路公団という組織の経理問題、会計問題を超えた国の形そのものの議論じゃないか、そういうふうに思っております。 もともと想定していた制度は何であったのか、どうしてこうなったのか、そのあたりからきちんと議論した上で、しかも将来何が起きるか、これを検証したい。 もともと、先生方御存じだと思いますが、道路公団ができたときは、道路財源はわずか二百億しかない。名神、東名をつくるのに四千六百億円、つまり二十三年分もかかるから、アメリカから技術も、そして世界銀行からのお金を三分の一導入し、そして、財投で名神、東名をいわば担保つき金融として、特別措置として料金を取り出した。世銀にしてみれば、お金をちゃんと返してもらわなきゃいけないから、料金を取ることを認めましょう。借金を返せばただにします。だから、道路整備特別措置法であって、朝、佐藤先生からもあったように、道路はまさしく公物であり、無料で提供する、これは日本の今も厳然とある制度であり、すべて成り立っているものだと思います。 ですから、では、借金を返したのはいつか、一九九〇年に返しております。ところが、名神、東名で取っている料金というのは、これは七兆円を超えております。四千六百億円のなぜ十五倍も取るようになってしまったのかというところをお考えいただきたいと思います。 お手元に資料がございますので、詳しいお話は質問のところでまたごらんいただきたい、こちらの方でございます。 かいつまんで政府の民営化案についてお話をさせていただき、また、選択肢として今般岩國先生外の先生方が出しておられる無料化案、これは、私がここに書いておりますのはあくまでも私の考えのところが反映しておりますが、その比較をいたしております。 まず、政府の民営化案につきまして、さまざまな問題点をはらんでおります。 一つは、まず、道路公団という組織は完全に民営化とは言えない。いわばサービスの独占企業、鉄道でいえばキオスクの上場、民営化であって、機構というのはそのまま残る。しかも、機構というのは国そのものですから、機構が借金を返さなければ、これは国民負担になるわけですね。 今、道路公団は借金を返さなければ国民負担になるという構成になっていないにもかかわらず、今回これによって国民負担が発生する構造が初めてできる。平たく言えば、借金の飛ばしでございます。 四十兆円の借金を持っている企業は日本国に一つもありません。日本の冠絶するような大きな借金を抱えた、今はこれが国の特殊法人の債券を、果たして民間企業が持てるんですか。すべての民間企業が一年間に出す社債、これは年間七兆円です、すべての会社を含めて。どうやって四十兆円の借金を、国債が出せないとおっしゃるんですから、一体民間企業債を出せるんですかということです。政府保証をとるんであったら、これはリスクとしては、国民負担としては国債と全く同じです。事業債が出せないんだったら、これは民営化と言えないということです。 ただ、それよりももっと大きいのは、この四十五年の借金はいかなる性格を持っているのかということです。 今、財投からお金を借りております。十年ごとの借りかえ、事業債も十年未満です。ということは、十年ごとにお金は金利を変更していかなきゃいけない。金利が上がったときどうなるんですか、この試算は示されておりません。今の超低金利の時代において成り立つような四十五年間、四%、こういうシナリオに基づいた数字が出されているだけの話でございます。 私の資料の五ページをごらんいただければ、いかにこの仮定がかなり非現実的か、五十年、四十年というところをとっていただきますと、日本でも、ついこの間、バブルの崩壊前は何と金利は八%です。しかも、これから少子高齢化が言われ、日本は双子の赤字になると言われています。かつてアメリカが双子の赤字になったとき金利は幾らになったか、一六%です。 この四十五年間の金利が仮に政府想定の四%であったとしても、これは借金の返済総額は八十四兆円です。八%になれば百三十四兆円、この増加額だけで年間の国家予算、一般税収を突破します。さらに、これが一四%に上がったといたしますと二百二十五兆円、公的年金の積立金はすべて吹き飛びます。これを全く考えていない。政府保証するということは、金利上昇したときのリスクはすべて国民が負担をするということを確約するに等しいわけです。 しかも、この道路公団の組織、私が先ほど申し上げたような、例えば名神、東名の四千五百七十三億円、こういったこともわからないと言っている。そういう組織が果たして上場できるのか、債券を出せるのか。私は、限りなく無理である、株式の上場、これは不可能であろう、どうやってこれを民営化するのか、そちらの方がわからないということです。 そして、もっと大事なことは、これによって世界一高い有料の高速道路制度がこれからさらに五十年存続する、今まで五十年、百年そういうことをやっていって、この過密と過疎の構造は永久化されるのではないかということです。 それに比較をいたしまして、私は、本来、田中角栄さんも想定をしていた、なぜそう言えるか、田中角栄さんと非常に親しい方がおっしゃったんです、角栄さんが今生きていたらあなたの言うとおり無料にするんですよ、それで表日本と裏日本の格差をなくせるんですからとおっしゃるわけです。 どうしてそれができるのかということを申し上げますと、二つあります。 まず、国債での借りかえ、今も国が実質的に貸しております。財投です。財投債を発行しておるんです。日本国、年間国債が幾ら出ているか、百六十二兆円です。よく三十兆円の枠とか言っていますが、あれは新規財源債だけのお話、借りかえ債券と財投債を合わせれば年間百六十二兆も出ておって、四十兆の借金というのは四分の一にすぎない。しかも、財投債で借りているものが一般国債にかわるだけの話であって、先ほどの、民営化すれば七兆円しかないマーケットに行く。百六十二兆ですから、どちらが借金の借りかえができるかということは明白であります。 しかも、それによって今の低金利で固定金利で発行ができる。つまり、今の政府案は、四十五年の変動金利の住宅ローンを借りているようなものです。これを固定で固めてしまいましょう、一番金利が低い今の時期に。しかも、日本国で一番安い金利で出せるのは政府なんですから、それで固めてしまえば幾らぐらいになるのかというのが十三ページの試算でございます。 注意をいただきたいのは、確かに発行するときの金利が上がればこれはコストは上がりますが、年限が短いですから、どの想定で見ても、政府の今の想定の四%、八十四兆円を大きく下回るということですね。将来に金利が上がろうと、これは影響を受けないということですから、むしろこれしか高速道路を無料にしていく手段はないと申し上げられます。 政府は、四十五年で必ず機構は解散すると言いましたが、ではそのときに、二百兆円、仮に、料金は今二・五兆円です、四十五年間で百二十五兆円、百兆円だれが返すんですかということの答えがなくして、どうして機構を解散できるのか、どうしてその借金をなくせるのか、何の答えもないわけであります。無料化案は、それに対する答えです。 そして、では、これから道路建設はできないのか、そんなことはありません。受益者負担で、ただで、要するに、高速道路をただにしてやるというのに税金を使うというのは受益者負担に反する、そんなお話があったんですが、日本の今の自動車関連財源は大体九兆二千億あります。これは、特定財源と一般財源に入っている消費税それから保有税、こういうものもあるんですね。何と九兆円以上の税金を自動車ユーザーが払っておるんです。 そのうち、高速道路で使っている税金は、例えばトラック、四五%が人キロでいえば高速道路を使っています。税額で計算すると、大体三割は高速道路を使っている自動車ユーザーの税金なんです。 普通の国は、このお金も使って高速道路をつくります。つまり、年間三兆円近いお金を高速道路ユーザーから既に取っておるわけですね。それがどこに行っているか。基本的にすべて一般道路に行って高速道路に使われていないから、さらに二・六兆円も料金を取らなきゃいけない。つまり、今の制度が高速道路ユーザーから二重取りをしているだけのお話でございます。 先ほどの国債の発行、これは二十二年間年間二兆円、後の十年間は一兆円を使えば、これできれいにこの国債はなくなってしまいます。そうしますと、今大体九兆円から十兆円の自動車関連財源がある。つまり、七兆か八兆、国債を全部返してしまっても、借金四十兆円きれいになくしてしまってもお金は残るわけです。 私の提案は、これをすべて知事さんに配ったらどうだというふうに思っております。 国は執行の監視をし、そして計画を立てる、実行は知事がする、つまり、経営でよく言う執行とそれから監視の分離、この二つを実行していくこと、そして、お金が余ればその県が自由に使う、こういうことで三位一体の実行というのもできるのではないかと思います。 短い時間でございますが、以上でございます。 ありがとうございました。(拍手) ○赤羽委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 ――――――――――――― ○赤羽委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 日本共産党の穀田です。 四人の参考人、本当にきょうはありがとうございます。貴重な御意見をお聞かせいただきました。 そこで、今の日本の中で道路という問題を考える際に、無料であるか無料でないかという問題が随分かまびすしくやられましたけれども、私は、公共事業のあり方全体が問われている問題としてあるだろうと考えています。そして、総合的な交通体系自体が望まれている、ここの中でどういうふうにあるべきかという問題もある。また、公共事業が道路としてやられる場合、地域経済にいかなる影響を及ぼすか、こういう問題も含めていろいろ考えなくちゃならぬ問題は多岐にわたっており、縦糸、横糸いろいろな問題あると私も考えています。 そこで、きょうは四人の方々に端的にお聞きしたいんですけれども、実は、民営化推進委員会の議論が始まった際の最初の問題は何だったかというと、不採算、これはまずいという意見でした。 つまり、この間猪瀬さんもお見えになりましたが、その際に、本四だとか京都の近くの第二名神だとか、まさにむだだ、こう言っていました。ですから、高木さんなんかが得意なんですけれども、むだを省けというふうな話をすることが一つの要素となりました。 それと二つ目に、四十兆という莫大な借金をどないするかという問題が出た。 三つ目に、ファミリー企業それから建設を請け負っている受注業者の中における腐敗、政官財の癒着、これをなくせ。 大きく言ってこの三つが、大体多くの国民の意見であり、世論ではなかったかと思うんです。 ただ、私は、そのことの議論の結論がいつの間にか民営化という問題になりましたが、大きく言って、この民営化が少なくともそれらの三つの問題の解決になるのかということについて疑問だと感じています。 ですから、大枠の話、基本の話を、まずその点で四人の参考人にお聞きしたいと思います。 ○寺田参考人 道路公団の歴史は、昭和三十何年からですか、道路公団も含めていろいろな形の公社公団、道路に関する公団がこのとおりできているわけなんですが、その中で、私言えることは、昭和三十何年から今までかかって四十兆円の借金をつけて、いろいろなファミリー企業つくって、いろいろな問題が起きた、これは余りにも長期にわたる制度改正しない疲労だと思うんです。そして、要するに、働きが二兆円しかないという会社であるということなんですね。 これを無理して民営化して、将来これを解決するというような形で果たして成功するかというと、今の制度を引き継いでこのような会社をつくるわけですから、これをすべて打ち切って会社をつくるんじゃなくて、これを残してつくるということについては、企業としては成功しない、やっていけない、破綻するだろう、私はそのように思います。 ○広瀬参考人 むだを省くということ、それから四十兆円の借金をどうするか、それからファミリー企業の問題、そういう御指摘がありましたけれども、民営化ということになりますと、民間のセンスをできるだけ取り入れる、そういう方式が採用されるということになるわけですから、むだを省くとかいったようなことについては、かなり効果が上がるんじゃないか。それから、今度はどういうふうに路線を設定していくかについて、優先順位を一つの基準を設けてつけていくということになるわけですから、そういうこともむだを省くことに役に立つのではないか。 それから、ファミリー企業のところは、何といいましても一回総ざらえするわけですから、そういった意味ではかなり効果が出るのではないか、こう期待しております。 問題は、四十兆円の借金をどうするかということですけれども、これについてはいろいろな議論があろうかと思います。これを四十五年かけて料金の中で返していくというやり方も、借金の返済、それから新しい高速道路の整備という、両方をやっていかなきゃならぬこれからの国の高速道路政策としては、私はやむを得ない選択だったのではないかというふうに思っております。 ○野間参考人 むだを省くということにつきましては、確かに、公団に任せておくと余りコスト意識というものはないのかなという感じが非常に強うございます。国が道路をつくる場合でも、お金が足りなくなれば税の改正で増収を図る、また高速道路の方でも、お金が足りなくなると高速料金をアップするという形で対応してきて、先ほど言いましたように、世界に冠たる税金大国といいますか、車のユーザーにとっては世界一重い負担を受けている国になってしまったのではなかろうかというふうに考えます。これが民営化されれば、あるいはいい方向に向かうかなと期待しております。 ○山崎参考人 三つの点につきまして、まず、公共事業のあり方全体については、今回民営化案は、高速道路よりもはるかに大きい、一般道路を含めた道路予算のあり方、十二兆円というのは今の日本の税収のおよそ三分の一ですね。これだけ財政が厳しいのに三分の一を道路をつくることに充てていいのか、この議論はされておりませんですよね。 採算問題とか、それから効率化問題で、よく電話の例があるんですね。電話が幾らか、二百五十万円だ。しかし、一番大きいこの道路公団のコストは金利です。先ほど申し上げましたように、半分以上になる。今の政府の想定から、この四十五年間の平均金利が八%に上がったら幾らの金利の支払い、これが積もり積もって料金とか税金になるんですが、五十兆円です。五十兆円というお金はちょっと現実味が出てきませんけれども、では、先ほどの電話の例でいえば、電話二千万個です、電話二千万個分です。ですから、はるかに大きいコストは、この借金を先送りすることから出てきますよ。この四十兆の借金を消せるのは日本国では日本国以外にはない、トヨタでも消せないということを私は申し上げたいんです。 そして、公団の借金を消すということは、即高速道路は道路整備特別措置法の原則に戻れば無料にしなくてはいけないし、道路公団を廃止すれば、すべての人が、民間企業が、だれだって道路を使って、一段の、究極の合理化と効率化は進むというふうに思います。 ○穀田委員 山崎さんにお伺いしたいんですけれども、実は民主党の法案というのは、道路関係四公団を廃止し、管理専門の独立行政法人とする。この際に、実は山崎さんのお考えは、ここにありますけれども、リストラ、再就職させることを前提条件としているんですね。多くの公団職員の再就職先を国が援助するということを明記されています。 実は、先ほどもいろいろ例が出されて、今まで、午前中もありましたけれども、NTTや国鉄の問題が出されました。国鉄民営化の際にも問題になって、その後、就職採用されなかった方も千四十七名問題などいっぱいあるということからしても、そういう重大な社会問題になってしまうことが懸念されますけれども、その辺はいかがお考えですか。 ○山崎参考人 私は、道路を、高速道路を無料化して出入り口を二千つくれば、道ができるんじゃなくて、新しい町が二千できる。要するに、これは地域が、木更津の例でもいいです、徳島でも、淡路島でも、あるいは佐賀でもいいです、どこでも非常に大きな経済需要、建設需要が特に起きます。不動産需要、もちろん農林水産需要も起きます。 特に大事なのは、私は、鉄道会社にバス事業をやらせ、鉄道とバスを連結することによって、整合性のある交通体系をつくらせる。そのために、地域に財源も配分する。平たく言えば、JRとこの公団の合弁会社なりをつくって完全な民間会社にしてしまえば、バスターミナル事業、地域開発事業、そしてそういったところに今まで培った建設、地域開発のノウハウをどんどんつくって、そこに新しい企業をつくっていけば、六万人の方はもう引く手あまたになるんじゃないかと私は思っております。 ○穀田委員 では、次に、野間参考人にお聞きします。 全日本トラック協会から、高速道路に関する要望書があります。そこで、先ほどもお話がありましたが、アンケートが出ていまして、現在の料金の半分にしなければ五割以上の利用者増が望めないという結果になっています。 そこで、現在の不況のもとで、私は、単に高速道路料金だけじゃないと思うんですよね。つまり、荷主から単価がどんどん切り下げられていく、そういう中で、高速道路料金をせめて軽減したいということだと思うんですね。これは単に高速道路料金の問題だけではないと思うんですね。 つまり、トラック協会として、働く人々の健康の問題や交通事故の問題も多発している、そういう安全にも気を配らなければならない。しかも、この問題が社会問題として、時間に間に合わさなくてはならぬという中でいろいろなことが起きているということが出ていますから、私は、それらを総合的な問題として考える必要があるんじゃないかなということを、もちろんそういうことを考えられたんでしょうけれども、思っています。 その上で、アンケートでは約六〇%程度の割引率の要望がありますが、先ほどは弾力化と言いましたけれども、これは簡単に弾力化というのではなかなかうまくいかないと思うんですが、その辺は、その二つの関連、いかがお考えでしょうか。 ○野間参考人 五割引くとか三割引くと、それなりの利用率がアップいたします。ただ、それは基本料率を三割下げて、すべての人たちという形ではなくて、あるいは五割もそうですけれども、柔軟な料金体系といいますと、例えば夜間について五割引というふうにすれば、夜間の利用率がぐっとふえます。それから長距離で、長距離のものについて大きく割り引けば、長距離のものがふえます。そういう形で、全体をダウンするということではなくて、きめ細かく調査をして、ここでそれをやれば効果が出るというところを探していただきたいということでございます。 ○穀田委員 今のお話と関連してお聞きします。 いろいろなことをトラック協会はやっていますよね。見ますと、例えば環境対策について伺いたいと思うんですが、皆さんの要望の中で、迂回指定高速道路料金の導入というのもあります。いわゆるロードプライシングというものですけれども、国土交通省も、兵庫県尼崎の公害訴訟などもあって、国道四十三号線を通らずに阪神高速湾岸線の方に迂回してもらうために、料金の値下げの社会実験をこの二月にしました。 しかし、その結果は、二割から四割値下げしても、路線を変更した結果は一・八%にとどまったというのが状況です。トラック事業者さんも、運転手さんも、できれば迂回をして当然湾岸線を通りたいんだが、単価切り下げのもとでは少しでも経費を削減したいということで、なかなか効果が上がらなかったように私は見受けます。 協会の方から見ると、こういったものなんかについては、どんなふうな形が望ましいとお考えですか、環境問題と関係して。 ○野間参考人 国道四十三号線の件で、暫定的に料金を引き下げて実験的にやってみたということだと思いますけれども、私ども、それで余り、迂回した者が少なかったということはやはり値下げしても経済的な負担が多い。今は、少しでも下げたいという要望が強いですから、それでそちらに移らなかった、四十三号線、ただのところを走るということだったということもあると思います。 もう一方で、非常に実験期間が短くて、会社としてシステム的にそちらに移るというようなことができなかった。たまたまそこに行ったら安かったというだけで、ルートを確定するだけの時間的余裕がなかったということもあると思います。 ○穀田委員 最後に、お二人の知事に二つだけ。 例えば、大分県の広瀬知事は、豊予海峡ルートの問題なんかもお話しになっている模様です。 今の道路建設という問題について、それぞれの必要性、それぞれの地域における必要性、これはさまざまな御意見があります。ただ、グランドデザインとして五全総に言うああいう六つの海峡横断というような道路が本当に必要なのかという点について、私は疑問に思っています。その点についての御意見。 もう一つ、この間議論になってきたんですが、私は京都に住まいをしていまして、いつも大体皆さんに聞いているんですけれども、地域、地方におけるネットというのはわからないでもないし、それは当然の必要性はあると思うんです。 ただ、市内の、京都のど真ん中に、ど真ん中です、まさに北と南そして東西、真ん中のところにどんと道路を入れるという高速道路乗り入れ方式を今考えていまして、ニューヨーク大学の教授である佐藤さんなんかは冗談じゃないという話をしていましたけれども、そういう問題についてのお考え。 二点だけお二人にお伺いしたいと思います。 ○広瀬参考人 一点目の豊予海峡ルートの問題でございますけれども、国の計画で長期計画の中に位置づけられてはいたわけですけれども、これは、やはり今優先的に物事を進めていかなきゃならぬという時期でございますから、私は、むしろそれよりも東九州自動車道だという意味で、豊予海峡ルートはしばらく凍結というか、特に力を入れて運動するテーマではないというふうに考えているところであります。また、そういうことで方向転換をいたしました。 第二国土軸構想というものがあるわけでございますけれども、それ自体は私は一つの国土形成のグランドデザインとしてあってもいいんではないか、こう思っていますけれども、それに今血眼になって運動をするようなテーマではないというふうに考えております。 それからもう一つ、京都の件でございますけれども、私、不勉強で余りよく知りませんけれども、とにかく何とか、大きなトラックとかなんとかが京都の町中を走るのはどうかということで考えた構想と、それが京都の町全体の環境ということでどうかということの御議論だろうと思います。十分に御議論をいただければ、こう思っておるところであります。 ○寺田参考人 私たちのものの計画というのは、行政の計画というのは、経済成長率何%だ、二%だ、三%だ、それからインフレ率がある程度だとか、そういう状況の中で、いろいろなビッグプロジェクトを含めて計画してきたのは事実でございますが、現在、このとおり、経済成長率も要するに低成長、マイナス成長も含めた展開があるということ、それからデフレ経済、こういうインフレにならないという社会の中では、やはりそういうビッグプロジェクト、投資等については、過去のものについても過大投資というものも反省しなきゃならぬということは事実でしょうし、これからの投資のあり方についても、そういう視点であれば、今後はそういう投資自体が過大なものというのはあり得ないだろう。 もうそれは私たち、ここ十年間でいろいろな知恵が、バブルが崩壊してからは、経験している、知恵がついているはずだ、私はそう思っていますし、ですから、今、いろいろなデータを書きかえる、行政機関でもそういう勇気を持ってもらいたいと思うのです。そして、真実を、しっかり実際を見きわめた上で、いろいろ出発していただくことがこれから私は一番大事なことだと思っています。 ですから、そういう点を含めて、これからのいろいろな道路投資とかそういうあり方については考えていただきたい。もちろんこれは高速道路ばかりじゃなくて、空港から何からすべて含めて、行政はそれを書きかえることを嫌がるのを、書きかえる勇気を持った新たな出発点にしていただきたいと思います。 以上でございます。 ○穀田委員 終わります。ありがとうございました。 |
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