国会会議録

【第159通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2004年5月12日)

本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 景観法案(内閣提出第三八号)
 景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第三九号)
 都市緑地保全法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

     ――――◇―――――

○赤羽委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 日歯連等の問題について、最初に大臣に聞きます。
 大臣は、日本歯科医師会が選考しているザ・ベストスマイル賞というのはどういうものか御存じですか。

○石原国務大臣(国土交通大臣) いつだったかは忘れましたけれども、笑顔がすばらしいということで、賞をいただきました。

○穀田委員 これは日歯広報という新聞です。これ、ちょっと大きくしたものですけれども、ベストスマイル賞ということで、〇一年にちゃんと受賞をしています。これはことしで十二回だそうです。十二回の中で、男性で、政治家で選ばれているのは大臣だけです。よっぽど親密だということがうかがい知れる。
 そこで、大臣は、さきの選挙で日歯の臼田会長からどんな選挙応援を受けましたか。

○石原国務大臣 どのような選挙応援と言われましても、具体的に応援演説をしていただいたことがあると思います。

○穀田委員 日本歯科医師会の日歯広報では、「臼田会長」という動向の欄があるんですね。それを調べますと、二〇〇三年十月一日から二〇〇三年十一月八日まで、三十日間ちょっとという極めて短い期間に五回も応援したことが掲載されています。この二つのことから見ても、いかに日歯連の臼田会長と親しいかがわかると言えると思うんです。
 日歯は、二〇〇〇年の当時、身体障害者手帳交付に当たっての診断書作成を歯科医師もできるように要望していた、それが例のそしゃく機能障害の診断問題ですね、その件で政治家に働きかけていた。
 八月の当時の八日、大臣は、他の議員と一緒に、議員会館で臼田会長と面談したことはありますか。

○石原国務大臣 これも他の委員会でお答えさせていただいたんですが、さまざまな業界の方々と、さまざまな議員の方と勉強会を開いておりまして、今の記憶で言いますと、臼田会長がその勉強会に来られたという記憶はありません。

○穀田委員 新聞には、一つの新聞だけでなくて、メディアでは二つ報道をしています。わざわざそれは臼田会長が依頼して実現したということまで書いている。しかも、今お話ししたように、日歯でベストスマイルはもらうは、五回は応援は受けるは、顔を知らぬはずはないんですよ。
 しかも、調べてみると、そういう点がはっきりしたという点では、さらに、その新聞報道によれば、その問題の依頼の際に、厚生労働省の担当幹部らも出席をしているということまで出ているわけです。
 ですから、こんなこと、すぐ行って厚生労働省含めて調べれば、朝から行って昼間調べたって、すぐわかる話なんですね。そういう問題だということをぜひ私は指摘しておきたいと思うんです。
 ですから、その際に、臼田会長から先ほどの要請を受けたという事実はありませんか。

○石原国務大臣 臼田会長は、私の地元の先生でございまして、初当選以来、私は存じておりますが、私の記憶する限り、何をしてください、石原さん、こうしてくださいというような要求というか要望を私にされたことはないと思います。

○穀田委員 それはなかなか微妙でして、そんなもの、こうしてくれよと言ったことが、やったかどうかなんという話じゃないんですよ。だから、それは、この間の答弁を見ていましても、要望を受けたことはない。それは、勉強会で話を聞いて、いろいろ、こうして、これが今の要望ですという話をすれば、それでいいんですよ。それをやってくれなんという話をしたかしないかという話が根本じゃないということだけ言っておきましょう。
 なぜこんなことを言っているかというと、当時の日歯の要望書で見ますと、「平成十三年度予算及び制度などに関する要望書」十項目のうち、一つとして、一番大事な問題として指摘しているんですね。
 だから、要望書全体があり、そういう話を勉強会でしているということ、それ自身は、それを聞いているということなんですよ。その中に、「第十五条に規定する診断書の作成ができるように法改正を要望いたします。」こう書いているんです。
 ですから、この答弁は、私ははっきり言って、個別に、ではお願いしますと言ったかどうかは別として、そういう要望の中にあったということなんですよ。そういうことも含めて知らないとおっしゃるんですか。

○石原国務大臣 知らないなどと一言も言っておりませんで、個々のさまざまな政策について勉強会は数限りなく与党の場合はやっております。その中の一つに委員が御指摘のものがあったということは記憶していると私は答弁しております。
 ただ、そこにだれが来たのか。四年前の会合に役所のだれが来たかなんということまで、私は覚えている道理がありません。

○穀田委員 私は、覚えていてくれなんて言っていませんよ。調べようと思ったらすぐ調べられるはずだと言っただけの話ですよ。
 しかも、そういう報道には載せているわけだし、相手もよく覚えている方だし、一番選挙の応援を受けている人ですよ。しかも、業界で、いろいろな選挙応援というのを皆さん、受ける方はいらっしゃるでしょう。しかも、選挙期間中に五回も応援に来る業界のトップなんて、それはいませんよ。それほど親しいということなんですよ。そこに肝心かなめの事実があるということだけ指摘しておきましょう。
 だから、私は、覚えているんじゃないかという八月八日の件は言ったし、そして、要望というのは、いろいろな勉強会において聞いている、それも要望なんですよ。それを要望を聞いているということは、相手は受けとめるということに、お互い政治家になった意味でいいますと、それが自民党の通例だということも申し上げておきたいと思います。
 では、献金について聞きます。
 大臣、あなたは日歯連から、いつ、幾ら、どのように献金を受けているか、お教えください。

○石原国務大臣 質問通告がございませんので、後日御報告させていただきたいと思いますし、政治資金報告書に記載されていると思います。

○穀田委員 そのとおりでしょう。質問通告を受けてないからと、まあ、それはいいですけれども。
 では、パーティー券なんかも受けているということは、念のため言っておきましょう、せっかくですから、私の方から出しておきたいと思います。
 では、それは最後に出すとして、先ほども、それらの事実関係は、調べて、後刻理事会に出すとおっしゃっていましたよね。私は、金曜日にまた委員会がありますから、それまでに出していただくことが必定である、必ず必要であるということを申し述べておきたい。
 では、きょう毎日新聞が報道した四千万もの献金の問題の事実について聞きたい。
 きょう、あなたは、一般論として、答弁で、政党本部からの支部への交付金は問題ないとされていました。しかし、自民党本部からの選挙区支部への交付金一千万単位は極めて異例なんです。〇二年でいえば、あなたの選挙区支部にしか交付されていないんです。問題は、献金の原資が日歯連から出ているということなんですよ。
 具体的に言いましょう。
 二〇〇〇年の七月十一日、日歯連から一千万円が国民政治協会へ。七月十九日、国民政治協会から自民党本部へ。七月三十一日、自民党本部から石原大臣が支部長をしている自民党東京第八選挙区支部へ。私がつかんだ内容はこれです。
 さらに、二〇〇一年六月二十一日、日歯連から一千万円が国民政治協会へ。その五日後、六月二十六日、国民政治協会から自民党本部へ。その三日後、六月二十九日、自民党本部から自民党東京第八選挙区支部へ。
 三回目は、〇一年十一月十四日、日歯連から一千万円が国民政治協会へ。その六日後、十一月二十日、国民政治協会から自民党本部へ。その九日後、十一月二十九日、自民党本部から自民党東京都第八選挙区支部へ。
 四回目、〇二年五月十四日、日歯連から一千万円が国民政治協会へ。一週間後、五月二十一日、国民政治協会から自民党本部へ。十日後、五月三十一日、自民党本部から自民党東京都第八選挙区支部へ。
 まさに、日歯連から国民政治協会、そして自民党本部、さらに自民党東京都第八選挙区支部への金の流れは見事に符合しているじゃありませんか。流れは明確だ。これを迂回献金と言わずにどう言うのかという点について見解をお聞きしたい。

○石原国務大臣 ただいま言われました事実について承知しておりませんので、調査をさせていただきたいと思います。

○穀田委員 調査はしていただいて、いつまでにそれは明らかにしていただけますか。

○赤羽委員長 それは、午前中の岩國委員の質疑で、次回の理事会で承るということを私から申し上げました。
 内々、国土交通大臣からも、金曜日の理事会に、その場に合わせて資料を提出するということをいただいておりますのでということを私から申し上げます。

○穀田委員 知らないのでという理屈だけは通らないということだけ私は申し述べておきたいと思うんです。
 つまり、石原大臣の東京都第八選挙区支部への自民党からの交付金というのは、例えば二〇〇〇年は三千百五十万入っているんですね。しかしこれは、一律二百五十万、一千万、選挙との関係を含めて一律交付というのはあるんですよ。それがずっと続いていまして、ほかの政党の支部に対しても同じ金が払われている。そうじゃないところがぼんとあるというのが一千万なんですよ。
 だから、知らないはずはなくて、どこから来たのかということについて、ほかのところとは違う内容があるということについて気がつきもしないというほど小さい金なのかということを私は言いたい。一千万ですよ。しかも、それが四回もある。しかも、選挙のないときにもあるということについて、それほどこの問題について、いや、記憶がないななどと言うほど、お金に執着がないと言ったらそれはそうなんでしょうけれども、もらっているのがその程度の金は大したことないと思っているのか知りませんけれども、解せないということだけ私は言っておきたいと思います。
 次に、余り政治の景観はよくないわけですが、景観の方を言いたいと思います。
 四月二十日、本会議で石原大臣はこう言っています。「国民の財産というべき京都等の歴史的な都市の景観の保全については、」中略しますと「さまざまな景観の保全のための措置がとられてきました。」さらに、こうも言っています。「今回の景観緑三法を契機として、」「京都等の歴史的な都市の景観を守るために引き続き取り組んでまいりたいと考えております。」と答弁しておられます。
 政府が目指している観光立国にとっても、国際文化観光都市として、日本の顔、歴史的な都市である京都の景観保全は欠かせないことは言うまでもありません。
 大臣にまず聞きたい。その京都の中心部、市内の景観は守られてきたと思うか、京都の景観の現状について、その率直な認識をお聞きしたいと思います。

○石原国務大臣 京都は私も何度も訪ねさせていただいておりますけれども、千二百年の都として、先ほど来御議論いただいております美観地区や伝統的建造物群保存地区など都市計画制度に加えまして、市等々の自主的な条例による規制も活用して、その貴重な歴史的景観を保全するための努力をされてきた都ではないかと、訪ねるたびに感じております。

○穀田委員 それは確かに、さまざまな景観条例をつくり、そして第二に、住民がその景観を守るためのさまざまな努力をする、そういうことを通じて守られてきた部分があることもこれまた事実であります。しかし、今日の状態は、その景観が非常に破壊されているというところに私は現状認識を持たなければ甘いとはっきり思います。
 なぜこの問題、京都の問題を取り上げるのか。それは、私が京都に住んでいるからというわけじゃないんです。京都は歴史都市というだけじゃありません。今度の道路の問題や、それから景観の問題、一連の議論をこの国土交通委員会でしてきましたが、すぐれた景観といえば京都とみんなが答えて議論をしてきたことは御承知のとおりだからです。
 さらに、昨日、参考人質疑でも、景観を守るという場合、多くの議員の方も、同僚議員の方々は、議論の素材として京都を例に取り上げざるを得ない。そして、大臣も、一等最初に申しましたように、京都を挙げた。それと同時に、しばしば京都は、景観論争の中心に位置してきたことも事実だ。こういうことからして、京都の現状というものをよく見て、それをどないして守っていくかということを議論するのは大事なことだと思うからです。
 そこで、具体的に聞きたい。
 既に皆さんにはお配りしていますが、京都では、市内の中心部、いわゆる田の字型というんですけれども、地名で言いますと、京都市の中京区、下京区の一部で、余り地域的に言うとなんですが、東西を堀川、烏丸、河原町、南北を御池、四条、五条に囲まれた碁盤の目の地域のことを言うんですけれども、ここでマンション建設が進み、四十メートルを超える巨大マンションが次々とあらわれている、こういう事実については御承知でしょうか。

○石原国務大臣 何棟建っているとか、どこに何棟建っているという話はわかりませんけれども、マンションが問題になっているという話は知っております。

○穀田委員 そこで、皆さんにお配りした資料一を見ていただきたい。この資料は、住環境を守る・京のまちづくり連絡会として運動を続けている木村万平さんらが、田の字型地域の共同住宅の建築状況を調査し、作成したものです。
 一枚目は、北部地域の北西部と北東部に分け、バブル以前の一九八四年からことし一月現在の二十年間にどう変化したかを示したものです。北西部では、バブル以前は全部で十五棟しかなかったのに、現在は百五十八棟と、十倍以上にふえています。しかも、黒塗りの部分の十階建て以上のマンションは四から六十一棟に、十五倍に増加しています。北東部も、十階建て以上は二から三十七棟に、十八倍にもなっています。
 次にめくっていただきますと、二枚目、田の字型南部地域の状況で、バブル末期の九〇年十一月時点と現在の比較です。ここでも、マンションなど共同住宅は百五十二棟から三百五十六棟に、倍以上にふえ、十階建て以上もどんどんふえているのがわかると思います。
 三枚目。これは、京都御所南地域です。十階建て高層マンションがいつふえてきたかを示した表があります。バブル前はわずか一棟であったのが、九八年末までには四棟にふえ、ところが、九九年から現在までに、建設中を含め、十三棟に急増しています。しかも、十四階、十六階建ても、この時期に建てられています。北東部でも、御池通りに面して四十五メートル、十五階建てのリクルートマンションができるなど、四十メートルを超えるマンションが、二〇〇〇年を皮切りに建設され始めています。
 京都市内の中心部の現状は、バブルのとき以上に高層マンションラッシュとなっているのが実態なんです。ですから、私は、一番最初にどうやと聞いたときに、努力しておられる事実については述べていただきましたが、それじゃ、それだけじゃない、こういう実態があるんだということを知っていただきたい。
 そして、二つ質問したいんです。
 こういう実態をどうお感じになるかということと、こういう事態を生んだ原因はどの辺にありや、こういう点についてお答えいただければと思います。

○竹歳政府参考人(国土交通省都市・地域整備局長) ただいま先生から事細かに、資料を使って御説明を受けたわけでございますが、原因としては幾つかあると思います。
 一つは、バブル期以上にというお話がございましたが、最近の継続的な地価下落ということで、都心部に人が戻ってきておられるということで、都心部の商業地域では、地価の下落が比較的大きかったことから、ファミリータイプのマンションでも二千万円台ということで、非常に人気があると聞いております。
 それから、従来、地元の事業者の方が市の指導に従って高層建築物を建てなかった地域で、強制力のない指導には従わず、外から事業者が来て、市の言うことを聞かないでどんどん建てているということも、高層マンションの増加の原因になっていると聞いております。
 ということで、京都市の方では、やはりいろいろ解決すべき課題があるというようなことで、新しい都心部の建築ルールというものを平成十五年四月から施行されまして、このルール後は、今おっしゃった田の字地域のうち規制強化が行われたエリアについては、高さ二十メートル以上のマンションは一つも建築確認は出ていない、このように聞いています。(穀田委員「最後のところをもう一遍」と呼ぶ)
 十五年四月から、京都市で新しい都心部の建築ルールをつくられて、二十メートル以上は建てないということで、そのルール以降は、新たな建築確認ですね、それ以前に建築確認をとっておられて建築中というのはあったかもしれませんけれども、そのルール以降は、新しい、そういう二十メートル以上のマンションの建築確認は出ていないと我々は聞いております。

○穀田委員 どうも、原因の方となるともごもごという感じで、土地の下落の話と、指導に従っていないという話しか出ないんですが、それでこれほどできるとは思えませんよね、普通、だれが考えたって。
 先ほどもあったんですけれども、この間もそうなんですが、相続税の問題もあることは事実なんですね。だけれども、そういう方々が自分のところで建てようというときには、そんな、四十メーターも五十メーターも建てることはないんですよ。これは、自分も住んでおるんやから、みんな。そうじゃない、いわば開発業者が来てやっているということが事実でして。
 そこで、きのうの参考人質疑の中で、平安女学院教授、中林参考人はこう言っています。日本各地で見られる景観の荒廃は、高層建築の林立と自動車交通蔓延によるところが大きい、適切な高層建築の規制や自動車交通の抑制を怠ってきた従来の国土計画、都市計画の責任は大きいと陳述されています。
 先ほども、ルールの話を参考人はしていましたけれども、まさに、そういうものがさまざまな形で努力されてきたけれども、やはりそれを怠ってきたというところの結果であることは、もはや明らかだと私は考えます。したがって、町並み破壊の原因というのは、私は、規制緩和並びに民間活力の導入というところにあると考えます。
 先ほども、大臣は、京都の努力について語られたわけですが、早くから景観条例を策定したり、建物の高度地区指定によって一定の高さ制限が守られてきたということは事実です。
 ところが、バブル期以降の開発ラッシュの波が押し寄せるということによって、高さ制限いっぱいのマンションが建てられ、実は、京都市も、当時、総合設計制度に基づいて、京都ホテルの六十メートルビル化を推進したんですね。私、当時、京都の市会議員でしたから、よく覚えていますが、商業地だからということで、容積率を一気に四〇〇%にしたんですね。そういう規制緩和があったがゆえに、これが進んだということを私は見なければならないと思います。
 そこで、考えなければならないのは、開発業者が、目先の利益に追われて、町壊しというのを続ける。本来、地方自治体などが景観条例などで規制しているはずなんだが、一方で規制緩和するのはなぜか。こういう二律背反が起こっているわけですよね。
 例えば京都でいいますと、高層の建物、中高層の建物のために指導要綱というのがあったわけですね、これをこれだけこうしなさいと。ところが、法律上は総合設計制度でやればできる、こういう仕掛け、二つあるわけですね。どっちが上位かというと法律なんですよ。
 したがって、今、私がお話ししましたように、民間活力の導入だとか規制緩和の流れを進めてきた、いわば全国一律にやり、画一的な開発を推進してきた、ここのところの反省がないと、私は、今後、いろいろな景観保全をする上で、きのうもありましたように、この景観法というところのサイドだけじゃなくて、都市計画のサイドやさらには建築基準法のサイド、ここをしっかり結合しなけりゃならないという問題が厳然として存在すると思うんです。
 その辺の見解は、政治論として少し大臣にお聞きしたいと思うんです。いかがでしょうか。

○竹歳政府参考人 民活と規制緩和、特に容積率の緩和が町壊しを進めてきたんじゃないかという御指摘でございます。
 容積率緩和につきましては、実は、地価高騰の中で、より広い住宅をより安くできないだろうかとか、それから、オフィス環境が劣悪で、それを何とか広い、労働環境をよくしなくちゃいけないというようないろいろな要請があったと思います。
 問題は、今まさに御指摘があったように、京都ホテルの問題で京都市が容積率を緩和して伸ばした。結局、道具は確かに国が用意しているわけでございますが、それをどう使うかというところがやはり重要な点ではないかと思います。
 今回、景観法ということで提案をさせていただいておりますけれども、容積率の緩和とか民活とか規制緩和とか、そういう道具と同時に、やはりきちっと守るべきところは守れるような、規制力を持った道具、これもこの景観法の中で盛り込んでいるということでございます。

○穀田委員 きのう金沢市長の山出参考人も陳述の中で高さ制限の授権をと語られていました。景観を守る上で、高さ制限と規制の強化というのはそれぐらい重要な意味を持っているんですよ。これはかなめなんですよ。
 両方の武器を持っている、そんな矛盾した話を、それこそ盾と矛みたいな話をしていたってだめで、どうしたらこれができるかということをやはり見なくちゃならないと私は思うんです。
 だから、そこでお聞きしたいんですけれども、今回の法案は、京都などの景観条例に法的根拠を持たせ、高さ制限などの規制をある意味じゃ強めるもので、当然だと考えます。むしろ、遅過ぎるぐらいだと思っています。
 そこで、実際にどれだけ効果があるのか、また効果を持たせることができるのか。特に、マンション建設業者などはいつもこう言うわけですよ。都市計画法それから建築基準法に違反していないと言って、住民の強い反対の声を無視して建設を強行していったわけですよ。だから、景観地区などに指定したりすれば、都市計画法や建築基準法に違反していないという理由などで建設許可をとめることができるのかという点はいかがですか。

○竹歳政府参考人 従来から、高度地区とか美観地区を活用して、建築物のボリューム感とか高さを制限はできたわけでございますが、やはり今回、基本理念、それから国、地方公共団体、事業者の責務等々も定めた景観法というのをつくって景観地区というのを打ち出したわけでございます。
 もちろん、この中で高さは規制できる。結局、使いようでございますので、これをきちっと使えば、今おっしゃったようなことも防げるということでございます。

○穀田委員 わかりました。
 きのうの、今、中林さんという話をしましたし、山出さんという話をしましたので、西村さんもちょっと参考人でお話しされていまして、東京大学教授の西村参考人は、やはり同じく、規制緩和型の他の都市計画制度との整合性はとれるかということを言っているんですよね。だから、きのう参考人で来た方々は皆共通して、景観を守る上で規制緩和、なかんずく高さという問題についてはとても大切だということを共通して言っていると思っています。
 そこで、もう時間が終了したので、次にまたやるとして、私は、京都の場合、歴史的な町並みの修復や回復もどうするかということが大事だと思うんです。先ほども参考人は長い目でと言っていましたけれども、もちろん、千二百年の都ですから、また今から百年といったって十二分の一ですから、それはその程度の話ですし、清水寺などは、今苗木を植えて、四百年たったときに使える木をというので今やっているわけですね。それはそれで大事なんですよ。
 だけれども、そういうことの中で原点をどこに据えるかということがこれは極めて大事だ。京都の場合には、ユネスコでやはり世界遺産条約に指定されたことを私はこの間も言いましたよね。そういうものを守っていくという原点にしっかり立つことが大事だ。それをどうして行政の側が援助できるかという立場に立って、初めてこれはまた実ることができるということを申し上げて、きょうは質問を終わりたいと思います。


【「しんぶん赤旗」2004年5月13日】

石原国交相に 迂回献金4000万円
日歯連 自民の資金団体通じ
衆院委で穀田議員が追及

 日本共産党の穀田恵二衆院議員は十二日の衆院国土交通委員会で、診療報酬改定をめぐる贈収賄事件で会長らが起訴された日本歯科医師会(日歯)の政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)から石原伸晃国土交通相側に対して、自民党の資金管理団体・国民政治協会を経由する形で計四千万円にのぼる「迂回(うかい)献金」がおこなわれていた疑いがあると追及しました。
 穀田氏によると、献金は二〇〇〇年七月から〇二年五月にかけて一千万円単位で四回に分けて支出。日歯連から国民政治協会にいったん寄付された後、一週間足らずで自民党本部に渡り、その後また十日足らずで党本部から石原氏が支部長を務める自民党東京都第八選挙区支部に流れていました。
 穀田氏は、総選挙があった〇三年の十月から十一月八日までの短期間に石原氏が臼田氏から五回も選挙応援を受けるなど親密な関係にあり、そしゃく機能障害で身障者認定を受ける際に必要な診断書を歯科医師も書けるよう日歯が権限拡大を要望していた二〇〇〇年当時、日歯側と面談していたことを指摘しました。
 そのうえで、党本部からの一千万円単位の交付金は異例で、〇二年度は同第八支部にしか交付されていないことを指摘。同日付の新聞報道でも「迂回」献金がとりあげられていることにもふれて、「金の流れは見事に符合している。これを、迂回献金といわずにどういうのか」と追及しました。
 石原氏は、献金について「承知していないので調査したい」と答弁。日歯からの要望については「勉強会のひとつ」と弁明しました。

 迂回(うかい)献金 企業や政治団体が、政治家に対する献金関係を隠すために、政治家本人の資金管理団体や政党支部に直接献金するのではなく、別の団体を経由して行う献金。自民党の政治資金団体「国民政治協会」にいったん寄付し、自民党本部を経て政治家に金をまわすなど、これまでゼネコン汚職事件、KSD事件でも、迂回献金疑惑が浮上しています。

臼田前会長と異常な癒着

 日本歯科医師連盟(日歯連)から四千万円の「迂回(うかい)献金」が発覚した石原伸晃国土交通相。日歯連からの「迂回献金」発覚は自民党の佐藤勉衆院議員に続く二人目です。石原氏と日歯連前会長の臼田貞夫容疑者との深い関係は、業界ではかねてからよく知られていました。
 日本歯科医師会の広報紙「日歯広報」の臼田容疑者の動静欄によると、石原氏としばしば面会、ときには父親の石原慎太郎都知事も交えて懇談しています。
 臼田容疑者は石原氏の地元、東京・杉並区に歯科医院を開業、杉並区歯科医師会の会長をしていたこともあり、石原氏を応援。とりわけ昨年秋の総選挙では、臼田容疑者は石原氏の国政報告会や出陣式、個人演説会、街頭演説会に参加するなど、異常なてこ入れをしています。
 一昨年五月、臼田容疑者が首相官邸に小泉首相を訪ねたさいにも、安倍晋三官房副長官(当時)とともに、石原氏(当時行革担当大臣)が同席しています。
 昨年八月二十九日、東京・九段の歯科医師会館で開かれた職域代表の自民党参院比例・笹井ひろふみ候補の事務所開きでは、石原氏が青木幹雄参院自民幹事長に続いて登壇、「石原親子は、(笹井氏の)知名度アップのために少しでもお役に立ちたい」と父親まで持ち出し大サービスのあいさつをしています。
 日歯連から石原氏へは、公表された献金だけでも二〇〇〇年から〇二年の三年間で三百八十万円にのぼっています。

画像