国会会議録

【第162通常国会】

衆議院・拉致問題特別委員会
(2005年2月24日)

  朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会に出席し、質問。 北朝鮮から持ってかえった遺骨めぐるDNA鑑定問題の、日本と北朝鮮双方のやりとりとその到達点について質した。

○赤城委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
 北朝鮮から持って帰った遺骨をめぐるDNA鑑定問題と、日本と北朝鮮の双方のやりとりについての到達点について、まず質問したいと思うんです。
 横田めぐみさんの遺骨だと北朝鮮側が説明したものがにせものというDNA鑑定結果が出ました。年明けに、日本側の鑑定結果に対して、北朝鮮側が、公式回答と言い、問題点を挙げた備忘録が出ました。これに対して、政府が反論文書を伝達したこと、その後、細田官房長官が記者会見で、北朝鮮は科学的知見、分析を早く受け入れてほしい、質問があれば説明することやぶさかでない、こういう発言をしたことについて、私は、非常に重要な態度表明として聞きました。
 話し合い、協議を持たなければ、この問題についての解決はなかなかできません。私は、粘り強く努力し、事実と道理に基づいて議論をしていくことが今一番大事だと考えています。
 そこで、この問題についての対話の糸口をどうつくるのか、そして、展望、見通しについて報告されたい。

○逢沢副大臣 穀田先生御指摘のように、第三回目の協議を経て、持ち帰った数々の物証を精査した結果、横田めぐみさんのものとされる骨は横田めぐみさんのものではなかった、そのことが確認をされ、また、その他の物証を精査した結果、北朝鮮が主張しているものを裏づけるものは何もない、大変残念な、また憤りを表明しなくてはならない、そのような結果でありました。
 そのことを北朝鮮側に伝え、また、北朝鮮はそのことについて反論をいたしてまいりました。我が方は直ちにそのことについて再反論をし、今御指摘のように、必要ならば直接説明することはやぶさかでない、そのような意思表示をいたしているところであります。それに対して北朝鮮側は、基本的な説明を求める、そういう態度を今の段階では示していないわけでございます。
 委員御指摘のように、この問題については、対話と圧力、そのことを基本方針に今日まで臨んでまいりました。これからもその基本方針を貫いていかなくてはならないと考えるわけでございますが、適切な圧力は北朝鮮に対しては必要でございます。つまり、それは対話のテーブルに彼らを引き戻す、対話のテーブルに着かせるという意味で適切な圧力が必要ではないかというふうに考えております。これは、周辺諸国の協力、支援、そういうことも必要であろうかと思います。
 また、日本国民が毅然とした強い憤りの姿勢を持っている、この問題が解決、解明をされない限り、北朝鮮とよい関係を結ぶことは不可能であるという強いメッセージを引き続き送り続けるということも、当然のことでございますが、必要なことというふうに存じております。

○穀田委員 もう少し短く言っていただきたい、私、時間がないものですから。
 次に、北朝鮮の核問題と六者協議について、質問したいと思います。
 十日の北朝鮮外務省声明で、核兵器の製造の旨を表明しました。今回の核兵器を保有したという北朝鮮の声明は、力には力で対応するという例の先軍思想、そういう立場に立ったもので、私どもも、この立場というのは絶対に容認できないものだと考えています。
 そこで、北朝鮮の軍事優先、そして核武装がみずからの安全保障の決め手であるような考え方を改めさせることが大事だと思うんですね。やはり、私どもは、安全保障の第一の条件というのは、当然、隣国との信頼できる平和友好の関係を確立することにある、そういう道理を尽くした外交を行うことが日本側の立場だ、それが必要だと思っています。
 私は、北朝鮮外務省声明に対して、関係諸国、とりわけこの六カ国協議をやっている国々が非常に冷静な対応をしていることは重要だと思います。私は、六カ国協議を再開して、粘り強い努力が必要だと考えています。
 そこで、北朝鮮に関する日米外相共同声明が出されました。この声明では、六者会合を通じ、核問題の平和的かつ外交的解決を引き続き目指す、このことを改めて表明しています。
 平和的な解決に向けて、関係国とどのような連携をとろうとしているのか、そして、六カ国協議再開に向けてどのような努力をしているのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。

○逢沢副大臣 朝鮮半島の非核化が実現をする唯一最大の手だて、それは六カ国協議、六者協議のプロセスを生かすということを改めて確認しなくてはならないと思います。
 北朝鮮が核の保有宣言をいたしました。また、六カ国協議には応じられない、そういうステートメントを発表したわけでありますが、韓国、中国、ロシアを含めた国際社会が一致をして、六カ国協議に彼らは無条件で立ち戻るべきだ、基本的にそういった意思表示をしたのは大変適切な行動であったというふうに思います。
 核を持っている、また、持っていると示唆することで受けるデメリットがいかに大きいか、そのことを手放すことによって、核を手放すことによって得られるメリットがいかに大きなものであるか、このことをあらゆる機会、あらゆる手段を通じて、金正日、北朝鮮当局に理解させる、そして、その実際のことを六者協議の場で具現化していく、そのことにこれからも引き続き全力を尽くしてまいりたいと存じます。

○穀田委員 具体的に言うとなかなか大変なことでして、今、一般論はそうなんですけれども、もちろん関係六カ国だけじゃなくて、国連の事務総長も非常に冷静な話をして、例えば、当事国に対して、きちんと北朝鮮に働きかけて協議を可能な限り早く再開されることをお願いしたい、こういうメッセージも出していまして、私は当然だと思うのですね。
 そこで、最後に、中国の王家瑞共産党対外連絡部長が二月二十一日、北朝鮮の金正日総書記と会談をして、その中で金正日総書記は、朝鮮半島非核化と核問題を対話を通じて平和的に解決するという原則は維持している、こう言った上で、一流の言い方だというような意見がありますけれども、いずれにしても、協議の枠組みから離脱する必要はないと述べたということが報道されています。
 私は、この立場は北朝鮮の外務省声明の後ろの方で述べてはいるんですけれども、中国の代表との会談で金正日総書記が表明したことは、これは大きな意味があると思うのですね。日本政府としてこの問題についてどう評価しているのか、聞きたい。
 それと、報道によれば、王家瑞対外連絡部長と阿南大使との話し合いも行われた模様です。そういう意味で、今後とも中国との連携をとっていくのでしょうけれども、日本政府としてどういうスタンスで中国と協議していくのか。この二つ、最後、ちょっと時間の範囲内でお答えいただきたいと思います。

○逢沢副大臣 六カ国協議を立ち上げることを考えます場合に、中国の適切なリーダーシップ、まことに大きなポイントであるというふうに思います。
 委員御指摘のとおり、中連部部長、王家瑞部長が平壌を訪問し、金正日総書記とも会談をされたわけでございます。その会談を通じて、六者プロセスに、一定の条件が熟せば、あるいは整えば、立ち戻る用意がある、そういった趣旨の発言があったというふうに承知をいたしております。
 もとより、私どもは、早期に無条件に六者協議の場に戻ってくる、それに臨むということを北朝鮮に求めているわけでありまして、その考え方、立場に依然として違いがあるということが明らかになったことは、率直に言えば残念なことでありますが、その事実を冷静に受けとめ、あらゆる外交努力を通じて、それは中国の説得も必要でしょう、また、アメリカ、韓国、日本、ロシア、当事者の、あるいはそれ以外の国際社会の北朝鮮に対する適切な圧力、六者に戻るべきだ、そういった発言、あらゆる国際的な力をかりなくてはならないわけでありますが、それを傾注していかなくてはならないというふうに考えております。
 また、阿南我が方の駐中国大使が、王家瑞部長に同行されました寧賦魁朝鮮半島問題担当大使と直接会談をし、どのような会談であったかということについて直接話をし、また、機微な問題も含めて情報を入手いたしているところであります。
 そういった会談の中身をつぶさにこういった場で申し上げかねるわけでございますけれども、そういった直近の情報をしっかり受けとめながら、引き続き関係国と協議の上、今週の土曜日には日米韓のいわゆる実務者の責任者がソウルで会談をいたしますけれども、そういった場を通じ、一刻も早く六カ国協議が再開ができる、そういった道筋をつけてまいりたい、そのように努力をいたしてまいりたいと存じます。