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【第162通常国会】 衆議院・国土交通委員会
一般質疑で、この間続いているJALの事故問題、客室乗務員の派遣問題について取り上げた。
○橘委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 私も、日本航空の問題について質問をします。 航空の現場で働く六十一労働組合、二万名を組織し、航空事故の撲滅を目指して活動している航空安全推進連絡会議は、今度の日本航空に対する事業改善命令等に関する見解を発表しています。それによると、今回の事故の原因について次のように指摘しています。 一つ、ことし二月、拙速に変更された出発前の手順が、明確なやり方を示さないまま現場に押しつけられたことの混乱。二、先任客室乗務員の失念をカバーできなかった理由として、経験の少ない客室乗務員が多数を占める編成であったこと。このため、多数の経験者の中に少数の新人がまじる従来の方式に比べ、お互いにカバーし合う余裕がなく、日常の業務の中で経験者から技術を教わるという機会を奪われていること。偏った編成は労務対策だった。三、コスト削減ばかりに目を向けた会社が、九四年の契約制客室乗務員制度の導入以来、安全に対する教育訓練を削除し、職場間でのサービスやセールス競争を過熱させ、その結果生じる保安要員としての安全意識低下を問題なしとしてきたこと。こう指摘していますよね。 私は、非常に大事な指摘だと思うんです。とりわけ、客室乗務員が保安要員としての役割を果たしていること、ミスをカバーするチームワークが必要なこと、これらがおろそかにされている実態、そして、会社のコスト削減競争による安全軽視が想像以上に進んでいることなど、事故原因について、私は掘り下げて究明する必要があると思います。 その意味でも、先ほど大臣も現場の方々と一緒になってとおっしゃっていましたけれども、こういう現場の意見を聞く必要があるんではないでしょうか。答弁を求めます。 ○北側国務大臣 二度、一度は三社の社長が来られました。一度は兼子さんも含めて三社の社長が来られました。私の方から強く申し上げましたのは、ここにいらっしゃる経営トップの方々が、現場の方々と一体となって再発防止に向けての取り組みをしっかりやってもらいたいということを厳しくお話をさせていただいたところでございます。 おっしゃっているとおり、現場の声を聞けというふうに申し上げているところでございます。 ○穀田委員 大切な指摘だと思うんですね。やはり働いている方々のところで感じている諸問題というのをしっかり見る必要があるんです。 そこで指摘したいのは、保安要員としての役割の問題なんですね。チームワークが必要な客室乗務員を派遣社員で賄おうとする事態が実際に起こっている点です。本当に安全性に支障はないのかという問題です。 航空会社が賃金や雇用に直接責任を負わない派遣社員に、機内の安全や旅客の命に対する責任だけは同等に負わせることになります。人の命を預かる医療関係の業務は派遣対象から外されています。その理由は、チーム医療を乱すことになるという意見だと思います。同じように、チームワークが必要な、命を預かる業務である客室乗務員の派遣社員化は、航空の安全に責任を持つ国交省として派遣対象業務の見直しを検討すべきではないでしょうか、航空局長。 ○岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、派遣される客室乗務員を受け入れてやっていこうという会社が出てきております。 ただ、派遣される客室乗務員につきましても、受け入れ先であります航空会社で、自社の客室乗務員と同様に、運航規程に定められました所定の教育訓練を行う、このように言っております。雇用形態の違いによって、きっちりした所定の教育訓練が行われれば、特段安全上の問題はないと考えておるところでございます。 ○穀田委員 先の方まで言っておられると困るんだけれども、つまり、じゃ、派遣社員のかの実例に即して具体的に聞きたいと思うんです。 これまで航空会社であったハーレクィンエア社が航空業は廃業するんですよね。それで、そっくりそのまま派遣会社に会社自体は転業しちゃうんですよ。そして、航空会社の客室乗務員として採用された人たちが、ある日突然派遣社員となって親会社のJALに派遣されて飛行機に乗務する。当然、賃金とか労働条件は切り下げられる。それどころか、今問題になっているのは、福岡から東京に転居しないと雇用しないなどという条件まである、こんなことまで起こっているわけですよね。 そこで聞きたいんだけれども、今、自社の云々かんぬんと言っていますけれども、じゃ、派遣会社に航空法の適用はあるのか、国交省として派遣会社に対して監督権限を持つのか、そこは聞いておきたいと思います。 ○岩崎政府参考人 先生おっしゃいましたハーレクィンエアが予定しております特定労働者派遣事業につきましては、航空法の適用はございません。特定労働者派遣事業そのものに対する監督権限は有することはございませんが、航空法に基づきまして、受け入れ先であるJALジャパンの方に対して運航規程どおりきっちり教育訓練をしているかどうかについては、私どもの方できっちり見ておく体制になっております。 ○穀田委員 局長、受け入れ先のところが、自社でやっているんでしょう、そういう事態を起こしているんでしょう。あなた、よく聞いてくださいよ。受け入れ先の自社で責任を持つというけれども、受け入れ先のところでまずこういうことが起こっているんじゃないですか。責任持ってやるといったって、そういう事態が起こっているということの先にこういうことが起きたらえらいことになるぞ、どのようにして責任持つのやという話をしているんですから。 だから、派遣されるのが客室乗務員であるのに、その会社は安全教育だとか訓練などの義務づけもされない。確かに、客室乗務員に対する安全教育訓練は受け入れ先の自社が行うというんだけれども、安全は、では確保できると断言できるんですか。 ○岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、受け入れ先でございます航空会社、これは日本航空ジャパンでございますけれども、自社の客室乗務員と同様に運航規程に定められた所定の教育訓練を行う、こういうことを言っております。一連のトラブルを起こしておりますので、こうしたことを本当にちゃんとやっているかどうかというのは厳しい目で見ていきたいと思っておりますが、そういうことがきっちり行われていれば、このことによる安全上の問題は特にないと考えております。 ○穀田委員 私、よくわからないんですよ、なぜそんなことを言い切れるのか。この間、私、三菱の問題のときも言いましたよね。三菱のああいう欠陥事故の際に、そういう、三菱が言っているんだから大丈夫だと言わんばかりの話だったんですよ。今度かて、いや別に、自社でやるのやさかいに大丈夫やと。こんな、相手が大変なことをやっているときに、何で国交省が、JALがやるさかい大丈夫なんて、そういうことを断言できるわけ。そこがわからぬと言っているわけ、私は。 しかも、そのJALが事件を起こしておいて、やります言うたかて、どんなふうな責任が起こるのかということなんですよ。しかも、私、今の問題は、よろしいか、JALで起こしている事件というのは派遣社員で起こった事件ではないんですね。そうでない、現在の事態のもとで起こっていることなんですよ。そういうことでええのかということを聞いているわけですよね。それ、どうですか。 ○岩崎政府参考人 日本航空ジャパンでは、このハーレクィンエアからの派遣社員につきまして、きっちり訓練計画をつくりまして、その訓練計画に従って所要の訓練をやっていく、このように私ども報告を受けております。こうした訓練がきっちりされているかどうか、これについては私どもも見てまいりたいと思っておりますけれども、そうした自社の乗務員と同様の訓練がやられれば、これについて特段、派遣であるからといって安全上の問題が起きるということは考えておりません。 ○穀田委員 派遣であるから起きるとは私も言っていないんですよ。だけれども、そこでもう一度、私が何をさっき言ったかということを見てほしいんですよ。 航空安全会議のところで言ったのは、二つ目は、先任客室乗務員の失念をカバーできなかった理由として、経験の少ない客室乗務員が多数を占める編成であったこと。従来の多数の経験者の中に少数の新人が生じる方式に比べ、お互いにカバーし合う余裕がなく、日常の業務の中で経験者から技術を教わるという機会を奪われていること。また、その偏った編成が導入された理由は主に労務対策であったこと。こういうふうにして指摘をし、さらに、契約制客室乗務員制度の導入以来、安全に対する教育訓練を削減しているということを指摘しているんですよ。だから、私、最初にそれを言ったんですよ。 だから、そうなると、そういう問題意識から物事を見る必要があるんじゃないかと。ただ大丈夫ですと、それはJALが言うのはいいよ、勝手に言うのは。それを代弁せぬでもええと言っているわけですよ、私は。そういう問題について、念には念を入れて、しかもそういう最後の責任は負っているわけだから、我々が。そこを見ていただかないと、何か、大丈夫やさかいに任せておいてなというような話じゃだめだと言っているんですよ。そこだけわかってほしい。 しかも、今、この問題は世界の大勢になってきているんですよ。これは、航空安全会議だとかそれから航空労組連絡会、こういうところがパンフレットを出しているのは、これはよく御承知だと思うんですね。こういう点でいいますと、航空機の安全運航を守るためにということで、保安要員としての任務と責任を果たせる客室乗務員をというのが今や世界の大勢になりつつあるということを指摘しています。私は、こういうことが大事じゃないかと思うんですね。今我々が、一つミスを見つけたときに、それをカバーするというだけじゃなくて、世界がどうなっているかと、先ほどもありましたよね、そういう角度から物を見る必要がある。 例えば、アメリカではFAAが客室乗務員のライセンスの交付を開始している。そして航空機の運航では、客室乗務員の、非常用機材の熟知、緊急脱出の誘導などの訓練について、保安要員としての法的な規定がされている。こういうところまで踏み込んだ形を今私どもはこういう事件を契機にやる必要がある、そういう角度から私、物を言っているんですよね。だから、そういう点は新しい対応として、本当に安全に責任を持つという角度からすれば、世界の先進国がとっている安全に対するより重要な対策を打つ必要があるんじゃないか。そこはいかがですか。 ○岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、私どもも、客室乗務員が保安に対する重要な位置を占めているということについては認識を持っております。客室乗務員は、乗客に対する安全上の指示や説明、あるいはシートベルトの着用の要請、あるいは機内持ち込み手荷物の適切な収納、緊急避難に係る誘導、その他いろいろな形で客室乗務員が保安上重要な役割を果たしているということについては十分認識しているつもりでございます。だから、そういう方がきっちりその役割について訓練を受け、認識して、その役割をきっちり果たしていただくということは重要なことだろうと思っております。 そういう意味で、今回派遣される客室乗務員につきましても、本当にこういう訓練を受けてきっちり業務をされているのかどうかというのは見てまいりたい、このように思っております。 ○穀田委員 最後に、そうはいうんだけれども、私、これ、将来試されると思うんですよ、五年、十年先というのは。やはり、御巣鷹山でああいう事故が起こった教訓は何かという問題が今多くの新聞、雑誌も含めて指摘しているように、大丈夫かということがあるから、念には念を入れてだと思うんです。 しかも、私は最後に、この問題について第三番目に航空安全会議も指摘しているように、やはり根っこのところに、規制緩和によって激化する競争のための事業再編だとかコスト削減だとかリストラだとか安全軽視というのが大もとにある、ここにしっかりメスを入れないとだめなんだということだけ指摘をしておきたいと思います。 終わります。 |
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