|
【第162通常国会】 衆議院・国土交通委員会
区画整理事業に民間の会社が参入できるようにすることを柱とした、区画整理法等「改正」案について質疑。まちづくり・区画整理事業のあり方について、都市機構ニュータウン用地での大型店への賃貸にきちんとしたルールづくりの必要性を提案。
○ 橘委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 私は、今回の土地区画整理法の改正で、事業の施行者に区画整理会社を新たに追加することについて聞きます。 土地区画整理事業運用指針を見ますと、土地区画整理事業の特色として、施行者には権利制限を伴う事業執行の権限が与えられることとあって、このため、地権者の権利利益を保護するため厳格な手続規定を設けて、例えば、施行者となれる者が限定されているほか、こう書いています。 そもそも、施行者となれる者を限定してきた理由、株式会社等民間企業は施行者になれないとしてきた理由は一体何だったのか、そのことをまず最初に聞きます。 ○竹歳政府参考人 現行の土地区画整理法におきましては、施行者は、地権者またはその同意を得た者が一人または数人共同して施行する個人施行者、二番目に、施行地区内の地権者の三分の二以上の同意を得て設立する土地区画整理組合、三番目に、地方公共団体、国土交通大臣、独立行政法人都市再生機構及び地方住宅供給公社の公的主体に限定されております。 これは、土地区画整理事業が、建築行為の制限、建築物の移転、換地処分など強制力を伴うものであることから、個人施行者もしくは土地区画整理組合のように地権者の一定の同意に基づく主体または地方公共団体など公的主体に施行者を限定し、地権者の権利保護など事業の適正な施行を確保する趣旨でございます。 次に、株式会社などが施行者になれないとしてきた理由はどうかというお尋ねでございますが、株式会社などによる施行につきましては、実は、再開発につきましては平成十四年に再開発会社方式が導入されました。区画整理につきましては、従来は強いニーズがございませんから、会社形態による施行者を追加するという制度改正が行われてこなかったものでございます。 ○穀田委員 後半の理由、成り立たないんですよ。そうなったからそうなったと言っているだけで、AイコールAでBイコールB、したがってAイコールBだみたいな話で、さっぱり理屈になっていないんですよ。 つまり、最初に言ったもので、限定してきた理由というのはあるんですね。施行者には強制力を伴うというお話がありました。そういう権限が与えられる事業であるからこそ、営利を目的とした株式会社等は排除されてきたわけですね。そして、今ありましたように、また法律上もそう書かれているように、地権者の権利利益を保護するためにあったわけで、それは当然の制限だったわけです。 それを今度解禁する。解禁する理由、つまり区画整理会社でも事業ができるようにする最大のメリットというか、理由というか、何をとらまえて考えておるのか、そこを再度聞きたいと思います。 ○竹歳政府参考人 我が国の現下の重要課題でございます全国都市再生の実現のためには、中心市街地の活性化など各都市の課題を解決するための重要な手法となっておる土地区画整理事業の活用が求められております。また、その実施は、地方公共団体等の公的主体のみが行うのではなく、民間のノウハウや資金等を活用して進めていくことが求められております。 しかしながら、地価が引き続き下落傾向にある中で、土地区画整理事業の事業期間の長期化、事業収支の悪化等の問題が生じており、個人施行者または土地区画整理組合では、これらの問題に的確に対処し、迅速に事業を実施していくことが困難な場合が増加しております。 このため、個人施行者及び土地区画整理組合と比較して、事業への参加意欲が高い者がリスクを負担することができ、民間事業者のノウハウの活用や資金調達が迅速かつ容易である等の利点を有する会社形態により土地区画整理事業を施行できることとする必要があります。 先ほど申し上げましたように、平成十四年に再開発の会社の制度ができておりますが、区画整理事業は換地処分など強制力を伴うものでございますので、平成十四年に導入されました再開発会社と同様に、地権者が支配しているなど一定の要件を満たす会社に限って施行権能を与えるものでございます。 ○穀田委員 いろいろ述べていますが、要するに、長期化している、したがって迅速にしなくちゃならぬということで、簡単に言えば時間を短くするということが目的だということは大体わかります。 そこで、区画整理事業がなぜ時間がかかっているのかという分析が私は必要だと思うんです。つまり、強制力を伴うものだから、それを受ける側にとっては非常に大事な問題なんですよ。それをスピードだというふうに言っていいのかということなんです。確かに、今お話あったように、資金だとかノウハウだとか、土地が下落したからとかいろいろ言っているけれども、要はスピードなんですね。 それでは、こういう問題について時間がかかっているのが悪いのかというふうに私は思うんですね。大体、立ち上がりの際の合意形成に当たって地権者の同意がなかなか得られない、また決定過程で地権者の利害調整に時間がかかる、あるいは事業資金の調達がスムーズにいかないからなかなかできない、保留地が売れないなど、さまざまな原因があるでしょう。しかし、事は、この法律の本来の趣旨である地権者の権利利益にかかわる問題がやはり一番肝心なんですよ。だから、そういうものについて、納得と同意というのは民主主義の基本だし原則ですから、早ければいいというものじゃないんです。 結局、事業に反対したり迷ったりしている地権者、さらには小規模地権者の意思を尊重するのではなくて、事実上抑え込んででも事業を早く進めようという意図が見えてくるというのが私の率直な感想です。 そもそも、私は、土地区画整理事業のあり方についての検討が必要な時期に差しかかっているのじゃないかと思うんです。区画整理事業が破綻したり行き詰まっているという話は随分聞いています。バブル時に計画された事業が、不況や、今お話あったような地価下落の影響で、保留地が売れないで事業費が捻出できない事態などが各地で発生しています。 そこで、国土交通省として全国の区画整理事業の実態についてどのように把握をしているのか、お答えいただきたいと思います。 ○竹歳政府参考人 国土交通省が平成十三年と十六年に区画整理組合の経営状況について調査をいたしております。 平成十三年調査で、収入不足、すなわち赤字になっている組合は百三十三組合ございまして、赤字額は千八百八十億でございました。十六年までにどうなったかと申しますと、それは皆様の大変な御努力によってこの赤字解消ということで、七十四組合が解消されました。しかしながら、新たに赤字になった組合がございまして、これが六十九組合。差し引き五減りましたが、平成十六年調査でございますと、赤字になっているのが百二十八組合、そして赤字の額が約千五百二十億円、このようになっております。 ○穀田委員 数字はそのとおりです。今、分母があるんですね。十六年度で、八百九十二組合のうち百二十八組合でそういう実態になっている。その前の、今お話あった十三年度でいうと、千五十九組合で百三十三組合だ、こういうことなんですね。だから、そう簡単にいい話ばかりしたらあきまへんで、それは。分母が少なくなっているんだから、その割にふえている、こういう実態で、しかも新たに収入不足が六十九組合で、ふえている。 実は、同じ調査を三年前にもやっているんですが、その三年度で見ると、その前三年度でいけば、新たに収入不足が出てきたのは四十四組合なんですね。ところが、新たな三年度で出てきたのは六十九組合。ふえているんですよ。分母は減っているもとで割合はふえている、収入不足に新たになっているのはふえているという事実をしかと言わなければあきませんよ、それは。 なぜこんな事態が起こっているかということなんですよ。 私は、先ほどお話ししたように、土地区画整理事業のあり方そのものを見直す必要があるんじゃないか。右肩上がりの土地の値上がりを前提に、その売却益で事業費を捻出する、これ自身が、バブル崩壊後、成り立たなくなっています。もともと、住みよいまちづくりのために地権者みんなが協力し合うことで成り立っていたのが本来の区画整理事業だと私は考えます。もうこれがゆがめられている。バブルの時期などに土地の投機的売買が横行し、もうけのために事業が利用されたり都市の郊外化が広がったりといった、いわば午前中も議論のありました、まちづくりとの整合性がなく、逆行する事態が蔓延した結果だと思っています。 そこで、大臣に聞きたいんです。区画整理事業そのもののあり方がゆがみ、破綻や行き詰まりを生んでいる現状をどのように認識し、今後の事業のあり方についての見解をお述べいただきたいと思います。 ○北側国務大臣 委員の御指摘のように、かつては土地の値段が上がるのが当たり前というふうな中で、さまざまな事業の取り組みがあったわけですね。しかし、その後、おっしゃったように、バブルの崩壊で地価が下落する中で、保留地の処分金による収入が当初予定したようには入ってこないというふうなことなどによりまして、今おっしゃったような実態になっているんだという認識は私も共通をしているところでございます。 まずは組合みずからが、みずからの経営状況というのを十分掌握また分析していただきまして、事業費の縮減等、みずからの事業計画を抜本的にやはり見直しをしていただかないといけないと思っておりますが、そうした見直しがなされた場合には、都市開発資金の無利子貸付金の償還期限の延長をするなど、国土交通省としても、組合のそうした取り組みに対してはしっかり支援をしていかねばならないというふうに考えております。 また、今後の土地区画整理事業の考え方なんですけれども、これからは、何か新しいところを区画整理するというのではなくて、やはり中心市街地の活性化だとか密集市街地の解消というふうな、既成市街地を再生することを特に念頭に置いた、重点に置いた土地区画整理事業というものをしていくことが重要である、そこに重点を置いてやっていく必要があるというふうに考えております。 ○穀田委員 前半の方は、分析等含めて共通していることは確かなんですね。私は、情報開示の進展というような、それをきちっとする、それから少数権利者の権利保護、住民参加、こういう原則をしっかり打ち立てながら進める必要があるし、そういうものを支援していく必要がある。 規制云々かんぬんと言いますけれども、ただ、行き詰まった事業をどのように処理するか、売れない保留地、土地をどのように処分するか、これもやはり重大問題なんですね。そこで、銀行に債権放棄してもらうなど、いろいろ手を尽くすことが必要だ。しかし、どこでも売れるところへ売ればいいというものではないと思うんですね。 区画整理事業の保留地処分がどうなっているか、一番わかりやすい事業ということで、都市再生機構の施行事業について見たいと思います。 機構はニュータウン事業からの撤退、縮小方針を打ち出していますが、これ自体が行き詰まりの実態でもあります。これまで機構はどこに土地を処分したか、ここ五年ほどの間、大型店など複合商業施設、集客施設に売却、賃貸したケース、何カ所、土地面積は幾らか、お願いしたい。 ○小神政府参考人 お答え申し上げます。 平成十一年度から十五年度の五カ年間におきまして、都市再生機構が供給いたしました五千平米以上の商業施設用地、これは複合商業施設ですとかスーパーマーケットあるいはドラッグストア、ホームセンター、いろいろな対象がありますけれども、また、供給の方式につきましても、販売する、所有権を分譲する場合と借地をする場合がございまして、最近は借地が割合的には多くなっておりますけれども、合計で九十二件、二百五十ヘクタールになっております。 ○穀田委員 要するに、資料をもう少し細かく言ってほしかったんだけれども、そちらからもらった資料をあえて言えば、全体の三分の一が商業用になっている、しかも、それが最近ふえているということが特徴なんですよね。ですから、そこを指摘しておきたいと思うんです。 そこで、私は言いたいんだけれども、今後なんですよ。都市機構がニュータウン用地を売却しようとしている計画は、五千百ヘクタールのうち、二〇〇八年度までに千七百ヘクタール、二〇一三年度までに四千四百ヘクタールを処分する計画なんですね。それが一体どこに売却されるかが問題で、先ほど答弁にもあったように、賃貸がふえているんですよね。 私、予算委員会の分科会で質問しましたが、明らかになった関西学研都市の事例を引きたいと思うんです。 都市機構が所有する土地を関西学研都市センターという子会社が賃貸し、大規模施設を建てて、その中にイオンなどの商業施設を間借りさせるというものなんですね。大臣、ちょっとここは聞いておいてほしいんですけれども、イオンなどはいつでも撤退できる仕組みを用意していまして、しかも、大臣も関西ですからよくおわかりのとおり、関西学研都市で研究用施設の用地が売れ残っていることは見てのとおりですよね。大型店など大規模商業施設に区画整理の保留地などがどんどん賃貸される、こういう事態が進められようとしているわけであります。 そこで、私、きょうはこれを持ってきたんですけれども、国交省が出している政策課題対応型都市計画運用指針というものがあります。その中で、この指針では、中心市街地の衰退の要因の一つに大規模店の郊外部への展開があって、周辺の都市に対しても影響を及ぼしかねない。さらに、「商業開発や公益施設等の立地は、」云々ということで、「郊外部には立地を認めないといった措置も必要になる」として、郊外型ニュータウンの大型商業施設が周辺のまちづくりへ与える影響をこれで指摘しているんですね。これの分析は正しいと思うんです。 だから、私は大臣に聞きたいのは、都市機構がニュータウン用地を大型店に賃貸するということは、中心市街地など周辺のまちづくりにとって問題がある。私は、まちづくり三法の見直しを初め、大型店の身勝手な出店規制をすることが大事だと。あわせて、ここからなんです、機構が売却等の際にはまちづくりに配慮させるルールをつくることの検討を提案するものです。こういう点についての見解を伺いたい。 ○北側国務大臣 大型店舗の立地規制の問題につきましては、この委員会でも何度か御議論をいただいているところでございます。 先ほども答弁させていただきましたが、都市計画、まちづくりというのは基本は市町村が担っているわけでございますけれども、市町村がさまざま計画を策定しても、隣の市で全くそれと不整合な都市計画、また、例えば大型店の立地等がなされてしまった場合に、大きな影響を与えてしまうことになってしまうわけです。 ですから、今検討しておりますのは、こうした大型店の立地につきまして、広域的な規制が、事前調整ができるようにすべきではないか、こういう議論が今なされておりまして、例えば県でこうした事前調整をできるような仕組みというものが考えられないか、専門家の方々にも入っていただいて、このまちづくり三法の見直しの一つの論点として今議論をしている真っ最中でございます。 私は、やはりそういう事前調整があってしかるべきではないのか、広域調整があってしかるべきではないのかというふうに考えているところでございます。これは、都市再生機構であれ何であれ、どこであれ、私はそうしたことはそうあるべきであるというふうに考えておりまして、都市再生機構だから例外的にどんどん大型商業施設に売却していいんだ、貸していいんだというふうには考えておりません。 ○穀田委員 今国土交通省が出している分析も報告書も、地域で、市町村が主体になってやるべきだと書いているんですよ。そうありながらも、こういう都市機構自身が、実はそういう処分について、大型商業施設にどんどんどんどんやっているという実態がある。身内のところ、身内という言い方は悪いけれども、そこでやっておって、そういうふうにしなさいという話は通用せえへんし、こういうところはしっかりやる必要がある。 だから、大型店の身勝手な出店に歯どめをかける、そういう意味での、市場に何でもかんでもゆだねるというやり方については転換をしていく必要がある、まして国土交通省はそういうことをしっかりすべきだというふうに思うんですけれども。 ○北側国務大臣 都市再生機構がニュータウンを整備するに当たっては、ニュータウンに居住することとなる住民の利便性の観点から、住宅はもちろんですけれども、学校、公園、商業施設等の用地を確保することが原則でございます。 このような土地の利用計画を定めるに当たっては、地方公共団体とも、ここがまちづくり、都市計画の責任者、権限を持っているわけでございますね、この地方公共団体とも協議を行って、その計画に従って整備を進めるわけでございます。 今後とも、都市再生機構におきましては、良好なまちづくりに資するよう、土地利用計画を定めるに当たっては、地元の地方公共団体とも十分に協議を行って、整備を適切に行ってまいりたいと考えております。 ○穀田委員 最後に一言。 それはわかっているんです。一般論はそうなんですけれども、現実は、関西学研都市の木津町なんかでいうと、自分の持っているところに二つも、近くでイオンに出したりいろいろなところに出したりして、商業施設を競合させるみたいなことをやる。自分のたな子になっている商業施設があるにもかかわらず同じところにやるとかいう手ひどいやり方をやっているさかいに、そう言っているんですね。 そこをよく見ていただきたいということを述べて、質問を終わります。 |
|