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【第162通常国会】 衆議院・国土交通委員会
住宅関連法案の質疑に先立って、二日前におきた兵庫県尼崎市のJR宝塚線(福知山線)の快速電車の脱線事故について質問。引き続き、住宅関連法案の質疑では、都市機構のニュータウン整備計画について質問した。
○橘委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 JR福知山線列車脱線事故でお亡くなりになった方々に改めてお悔やみを申し上げたいと思います。そして、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。 昨日もお話ししましたが、事故の原因の究明というのはとても大事です。その内容を受けて改めて質疑をしたいと思っています。ただ、きょうは、今わかっている範囲内で、JR西日本の安全設備の問題、対策の問題について若干聞きたいと思います。 JR脱線事故を起こした車両は、自動的にブレーキが働くATSが旧型である。自動的にブレーキをかける新型とは異なって、信号無視を防ぐのが目的です。新型の設置基準がJR各社によってまちまちと言われています。JR東海では、直線とカーブの制限速度の差が四十キロメートル以上の場合には新型ATSをつける。今回の事故現場のカーブの制限速度は時速七十キロです。カーブ手前の直線は時速百二十キロメートル、カーブと直線の制限速度の差が五十キロメートルあり、東海エリアなら新型ATSをつける対象になります。 国鉄労働組合や建交労などの組合も設置を要求していたと聞いています。JR西日本の社長は、新型のATS―Pはコストがかかる、投資効果を考えながらなどと事故当日も会見している。私は、安全設備についても効率だとかもうけ優先の姿勢と思わざるを得ないし、はっきり言って許せない、そう大臣もお思いになりませんでしょうか。大臣に最初にお聞きしたいと思います。 ○北側国務大臣 今、福知山線の事故につきましては、航空・鉄道事故調査委員会が現地に十名体制で入っておりまして、この事故原因の調査に精力的に当たっているところでございます。 この事故原因につきましては、私は、予断を持ってはならないというふうに思っておりまして、この調査委員会が原因が何かという取りまとめをするまでには時間がある程度かかるわけでございますが、途中経過で、判明した事実につきましては、私は、国民の皆様に、また国会できちんと御報告をしていくように努めなきゃならないというふうに考えているところでございます。 今御指摘のATSの話でございますが、速度超過を防止する機能を有するATS、正確にはATS―Pというふうに言うわけでございますが、列車本数の多い首都圏と、それから近畿圏のJR線の一部線区に設置されておるところでございます。残りの線区は、今回事故のあった福知山線と同様のATS、これは正確にはATS―SWというふうに言うわけでございますが、これが設置をされているところでございます。今回、事故を起こしたJR西日本における速度超過を防止する機能を有するATSの整備率は、六・七%でございます。 このATSの改良、その他の対策につきましては、航空・鉄道事故調査委員会が今調査をしているわけでございますけれども、その最終結果を待つことなく、原因分析の調査中に得られる情報等も踏まえながら、その効果、適用範囲等を検討し、必要なものから逐次実行に移していきたいというふうに考えております。 ○穀田委員 私は、逐次実行していくのは当たり前だし、そして、この間わかる事実については知らせるということも当然だと思うんです。私は、ATS―P型の設置について、やはり、コストがかかるからなかなか大変なんだみたいな話をして、当日も言っている、投資効果を考えているなんという話が許せぬという話をしているんですよ。 その上で、今もあったように、JR東日本などでいうと、東京二十三区内の山手線や京浜東北線など都市部、また東京メトロや大手私鉄でも古いタイプのものはもう少なくなってきている、そういう報告です。 ここで聞きますけれども、各鉄道会社のATS新型設置状況について、国土交通省として掌握していますか。 ○梅田政府参考人 お答え申し上げます。 JR東日本につきましては、ほぼ、私ども十分把握しております。設置キロでいいますと、総延長大体六千八百キロでございますが、そのうち、ATS―PあるいはATC、両方含めまして、大体三三%の装備率になっております。御指摘のように、首都圏におきましてはかなり網羅的に整備をしているというのが現状でございます。 また、民鉄におきましては、個々の会社につきまして現在調査をしております。といいますのは、このATSにつきまして、今御説明ありましたATS―P型あるいはATS―SW型だけでなくて、さまざまなタイプのものがございます。私ども、そのタイプを分類しながら調査を進めているところでございます。 ○穀田委員 要するに、ATSの新型、最新型、旧型が何ぼあるかというのは掌握していないということですよ、簡単に言えば。だから、国として安全に最終責任を負うという点、こういう点では極めて不十分だということを私は指摘したいと思うんです。 そこで、もう二つぽんぽんと言いますから、局長、答えてください。 九一年の信楽鉄道の事故以来、国は鉄道事業者に、ATS設置の補助金を出しているわけですよね。したがって、ATS新型については、最低限の設置基準を設けて、それを強力に推進すべきだというのが一つ。 それから二つ目に、国交省は、営団地下鉄日比谷線の脱線事故を受けて、脱線防止ガードに関する基準というのを省令で出し、さらに通達でも解釈基準というのも出して図っています。簡単に言って、JRの大体半径二百メートル以下のカーブには脱線防止用のガードを設置せいという趣旨なんですよね。JR西日本は、それよりも厳しくて半径二百五十メートル以下を設置対象としていた。ところが、今回のものは三百メートルでガード設置の対象外だったということが事実。したがって、私は、急カーブガードの設置基準については、この解釈も含めて見直しが必要なんじゃないか。 その二つだけ、ちょっと端的にお答えください。 ○梅田政府参考人 ATS―P型につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁がありましたように、私ども、その効果、適用の範囲を検討して、必要なものから実行に移していきたいと考えております。その方法につきましては具体的にこれから検討して、私どもとしては積極的に整備を進めていくつもりでございます。 それからもう一点、急カーブの脱線防止ガードの基準の見直しでございます。 御指摘の脱線防止ガードは、本来、主として日比谷線事故のような低速走行時、大体時速にしますと十キロとか二十キロの車輪の乗り上がり脱線を防止するために設置されたものであります。今回のような、制限速度、これは七十キロでございましたが、これを大きく超えるような脱線について本当に効果があるかどうかについてはいま一度検証する必要があります。 現在の原因分析の調査中に得られるいろいろな知見があるかと思います、あるいは情報があるかと思います。こういうものを踏まえながら、基準の見直しが必要かどうかについても検討してまいりたいと思っております。 ○穀田委員 効果の問題については確かめていただいて、科学的知見に基づいてやっていただく、それはそのとおりなんですよ。ただ、自分たちの決めた基準について、これも含めて、見直しも含めて検討すると言っているわけだからこれ以上は言いませんけれども、やはりこれは常識的に考えて、こういうものについて、今わかっている範囲内でもしっかりこういう改善をするということが必要だと言っておきたいと思います。 次に、住宅関係の法案について質問をします。 私は、この委員会でも、また予算委員会の分科会でも、都市機構が所有するニュータウンなどの宅地処分のあり方について取り上げてまいりました。大型店など大型商業施設事業者に売却、賃貸する場合、周辺住民や商圏内の商店街、中心市街地に悪影響を及ぼさないように配慮すべきだということを何回も指摘してきました。 今回、ニュータウン整備事業を十年で打ち切って、計画どおり宅地供給できないものも造成しないまま処分する。その結果、処分先相手がだれであろうと、処分を優先する圧力がそれぞれの現場に働く、まちづくりに悪影響を与えることがこれまで以上に危惧されます。 また、これまで都市機構と協力してきた地元自治体や地権者からは、計画はどうなる、約束を守ってほしいなど、心配と危惧の声が出ています。こういう心配や危惧に対して都市機構がどのように対応するのか、その誠意が問われるし、当然、自治体や地権者、周辺住民、商店街などとの対話は言うまでもありません。それを進めていく上で一番大事なのが、情報の開示であり情報公開だと考えています。 都市機構に聞きます。 今回の計画では、五千七百ヘクタールのうち、三千二百ヘクタールは宅地として供給するが、残り二千五百ヘクタールは、現況処分、塩漬け処分、素地のまま処分するということになっています。宅地供給する部分をA、現況処分をB、塩漬け処分をC、素地のまま処分をDと区分した上で、十年間で五千ヘクタールを処分する計画です。 全体の関係で少し質問時間が短くなりましたので、まとめて聞きます。 いただいた資料によると、総額で、財投残高が三・三兆円だ。売却による収入によって繰り上げ償還を一・三兆円程度。民間調達による繰り上げ償還一・六兆円、一兆六千億円だ。それから、約定の償還、従来の規定どおりで四千億円、〇五年度には一兆円を見込む。こういう資料になっているわけです。 そこで、売却収入で一兆三千億円程度というけれども、一体どこでどれくらい土地を売るのか、その裏づけが必要です。A、B、C、Dに区分けするというが、面積はあるんだけれども金額はないんですね。それぞれの金額は幾らか、お答えいただきたい。 ○田中(久)参考人 お答えいたします。 先生御指摘のように、私ども、今回処理をすることになりました面積の総量は五千七百ヘクタールでございます。先生おっしゃいましたようにA、B、C、Dと区分をされておりますが、このうち、大きく言いましてA、BとC、Dというふうに理解をしていただいた方がいいかなと思います。A、Bにつきましてはおおむね宅地として完成をして販売するものでございますし、C、Dにつきましては中止をしたりして素地のまま処分をする土地でございます。 現在、この処理の仕方につきましては、地方公共団体と協議をしたり、今後、地域ごとの需要を見きわめながら、住宅でありますとか商業施設でありますとか学校等の具体的な販売用途を確定していく部分もありまして、販売用途いかんによってはその売上金額が影響を受けるということもございますので、分類ごとの売上金額についてはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。 ○穀田委員 それはおかしいですよね。 私は、今後のそういう問題について影響するというのは、個別の事業について聞いているんだったらそういう答えもあると思うのですよ。大体どこでどれだけ売れるという、その裏づけとなるA、B、C、D、まああなたが言うようにA、BとC、Dでもいいですよ、そういう見積もりが出せないというのでは、売却できるという根拠はないに等しいと私は思います。 では、ちょっと聞き方を変えて、もともとニュータウン整備事業というのは、宅地開発を目的に土地を購入し、それを造成、整備して、保留地などを販売し事業費を捻出する土地区画整理事業がほとんどです。それぞれの事業で、土地を購入したときの費用に事業費を加えた価格を根拠にして、損をしない価格で整備した土地を販売する。皆さん方のところでいえば、当初計画では、取得した土地の整理前価格それから整理後予定価格、これを明確にして事業計画を当然立てるはずですよね。 では、具体的な事例で聞きたいと思います。 私が住んでいます京都府の中で、御承知かと思うのですけれども、木津中央、木津南、木津北、こういうふうな形であります。木津南の例をちょっと聞きたいと思います。 ここは関西文化学術研究都市の一画で、京都府相楽郡木津町のほぼ真ん中であります。山林や田畑を切り開いて、施行面積が二百四十五・七ヘクタールという広大な敷地で、計画人口は一万三千九百人、戸数は四千戸、そのほかに、これは地図で色が分かれているのですが、学研施設、教育施設のための用地を開発する、総事業費は約一千億円の計画です。地価下落がはっきりしていた九七年に事業計画が認可されています。 そこで、何点か聞きたいのです。 旧都市公団が取得した用地面積は幾らか、機構が供給する予定の面積は幾らで、どのくらい供給したのか、お答えいただきたい。 ○田中(久)参考人 先生今御指摘の地区は、木津南とおっしゃいましたが、恐らく木津中央地区のことかと思います。木津中央地区につきましては二百四十六ヘクタールで事業をやっておりますが、買収面積は約九十六ヘクタールでございます。 この木津中央地区につきましては、現在計画の大きな見直しを行っているところでありますが、その中で機構が供給する予定の面積は、百二十三ヘクタールを予定しております。 ○穀田委員 言い間違えたかもしれません。木津中央です。北も南も、三つもあるものですからね。売れていないところをがばっと言ったのはひどいところで、そのとおりです。 では、結局ゼロだということなんですよね。この土地取得は一平米当たり幾らで取得したのか、そして整理後は幾らで販売する予定なのか、お答えいただきたい。 ○田中(久)参考人 木津中央地区の購入価格についてお尋ねでございますが、個別地区の購入価格は私どもの原価情報そのものでございまして、私どもは、これから宅地を市場に供給していくに当たりまして、販売活動に不利な影響を与えることになると懸念しております。事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがありますので、その価格については差し控えさせていただきます。 それから、整理後の価格についてお尋ねでございますが、区画整理をやった後の整理後価格につきましては、先ほど申し上げましたが、現在土地利用計画の大幅な見直しを行っている最中でございまして、土地の用途や、時期や、これに伴って決まる整理後の価格について現在見直しをしている最中でございます。 ○穀田委員 これも答えられないと。すべてやみの中だ。では、こちらで独自に入手した資料で紹介をしたいと思います。 これは、実は都市整備公団都市開発事業部が作成した「事業地区の概要」というものなんですね。これの八十二ページにこの問題が書いてあります。それで見ますと、整理前価格は一平米当たり三万九千七百円、整理後予定価格は一平米当たり十二万三千百円という計画になっているということが書いてあるんですね。これは、旧都市公団が各事業の内容を整理した冊子のコピーでして、事業中の基本方針未決定地区などについて記載している。全部持っている人も結構いるんですよね、これは。だから、そんなに秘密だということでもないんです。 そこで、木津中央地区はその一つでして、問題は、計画認可当時の九七年二月に比べ、当然地価が下落しています。ちなみに、木津町内の周辺の宅地の公示地価を調べてみると、九五年当時、一平米当たり平均が十五万七千円であったものが、二〇〇五年は半額の七万八千円だ。つまり、地価が半減しているから、当然、当初の販売予定価格の一平米当たり十二万三千百円という額では売れない。値下げして売るしかないということになると思うんです。先ほど、見直ししてどうのこうの言っているわけだから、そういうことだと思うんですね。 そうすると、これは時価に合わせれば損が出る。結局、出資者である地権者や地方自治体などがその負担をかぶることになる。今売り出そうとしている土地はこういうケースがほとんどだと思うんですね。それをどうするつもりかということを聞きたいと思うんです。 ○田中(久)参考人 先ほど先生おっしゃいました単価は区画整理事業の施行後単価でございまして、現在の事業計画書に記載してあります単価でございます。先ほど申し上げましたように、それにつきましては事業全体の見直しを行っているところでございます。 それから、一般論として、土地区画整理事業で土地が値下がりをして当初の計画どおりできない場合どうするか、こういう御質問かと思います。 私ども、土地区画整理事業というのは、先生御存じかと思いますが、地権者から公平に土地を供出していただきまして、これを減歩と申しますが、減歩をしていただきまして、道路や公園等の公共施設をつくり、地権者の土地を活用しやすいように換地いたしまして、その手続を踏んでまちづくりを行うという手法でございます。減歩で供出いただいた土地のうち一部が保留地になりまして、この保留地を売却して得た資金によって区画整理事業を行うものでございます。 したがいまして、地価が下落をいたしますとこの保留地処分金が減少いたしますので、これに対して私どもは、収入の確保、支出の削減ということを当然ながらやることになります。どうやってやるかと申し上げますと、当然、工事費の縮削減等、事業費の低減にあらゆる手を尽くしたいというふうに思います。もう一つは、地権者の方々にも御協力いただきまして、減歩率を上げて保留地面積を拡大するというふうな収入拡大策もとらざるを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。 ○穀田委員 やり方については先ほど私が言っているわけだから、そんなこと言わなくたっていいわけじゃないですか。そんな、一々答弁書を見て、質問されたからといって言っておるようじゃだめだよ。 土地区画整理事業の法案のときにも私は言ったんですよ。事業で発生した損失をどのように処理するかというのは、出資者などとよく協議をして納得を得られるようにするのは当然なんですね。その前提として、関係者に十分な情報が開示されている必要があるということをこの前も私は言ったわけです。だから、私は、ここの点を、そういう問題の情報開示なしにやるのはだめだよということを言っているわけです。 しかも、大体機構が出している計画どおりにはいかない、土地は売れない。しかも、実際には今何をやっているかというと、帳簿上処理していこうとするものだから、当然賃貸なんかが多くなってくる。それで、幾らで貸すのか。この間議論しましたように、分科会で私言いましたが、大型店に貸す。貸せば、競争激化の中で、事実上撤退するところが生まれる。自分のところが管轄するところでもそういうことが起こっているのに、賃貸料を値下げしても貸すとなれば、また借金の利子分程度がやっとで、元金はいつまでたっても残ったままだ。結局、借金は減らないことになる。こういうことになるわけなんですね。 だから、結局、いずれにしても、こういうことが起こった原因というものをきちんと反省しなくちゃだめだということを私は言いたいと思うんです。 大体、バブルの時期に、過大な需要予測によって郊外住宅型土地開発を進めたこと、これも問題です。同時に、理解できないのは、バブルが崩壊して地価の下落が始まった九〇年以降も広大な土地を取得していることなんですね。これも、いただいた資料によると、九〇年以降の土地の取得で、トータルでいいますと二千三百八十九ヘクタールが取得されているんですよ。だから、バブル崩壊後の取得なんです。今回処理しようという半分がこれに当たる。 地価が下落し始め、あるいははっきりと下落しているのがわかってから、宅地開発の名で土地を購入し続けた。これでは、当初計画どおりに販売できないのは当たり前だと思うんです。 だから、問題は、バブルが崩壊し、地価下落が顕著になってからも土地を購入していた、そのツケが今日の事態を生んでいる。その反省はあるのか、教訓はどのように考えているのか。この点を端的に教えてほしい。 ○北側国務大臣 ニュータウン用地の資産の評価損によって財務が悪化しておるというのは、そのとおりでございます。 バブル崩壊以前に取得したものもございますし、委員の御指摘のように、バブル崩壊後に土地を購入しているものもございます。しかし、あのバブル崩壊後、委員今九〇年以降とおっしゃったんで、九〇年というのはちょうどまだバブルが、どの辺がバブル崩壊と言うか、またなかなか難しいところでございますけれども、少なくとも平成四年とか五年というのは、明確にバブルがもう崩壊しておって大変な状況でございました。 あの当時、私の記憶でも、政府の政策といたしまして、土地の流動化をいかに進めていくのか、土地の資産デフレが急激に進む中で、やはり一方で土地の流動化を進めないといけないという議論があったこともぜひこれは御理解をいただきたいわけでございまして、そうした政府の政策の要請もあって土地の取得が、土地の購入があったということもぜひ御理解をお願いしたいところでございます。 今回、都市再生機構については、御承知のとおり、ニュータウン事業については、もう新規事業には着手をしない、継続中の事業についても、事業計画を抜本的に見直した上で早期の処分を図るというふうにしているところでございます。 都市再生機構に対しましては、中期目標において事業実施中のすべての地区における採算見通し等の把握、管理とともに、必要に応じた事業の見直し等の指示をしているところでございます。都市再生機構において、事業コストの削減それから経営改善、こうした最大限の自助努力を行いながら、ニュータウン用地の処分が行われるものと考えております。 ○穀田委員 例えば土地白書で、平成七年版といいますから九五年ですね、そこの中でも、政府は宅地開発の推進ということを相変わらず言っているんですね。だから、単にバブルの時期、その終わってすぐの時期じゃなくて、それ以後もやはりそういうことを奨励してやっているということも、それはいかがかと私は思います。 そこで、住宅政策を土地対策という形で利用すべきでないということが一つの教訓だと私は思うんですね。宅地開発の名で住宅化のめどのない土地を買いはった結果が今日の事態を生んでいるということが一つと、もう一つは、やはり情報公開という問題についてしっかりやっていくべきだということを改めて言っておきたいと思います。 最後に一つだけ。 今回の法案では、ニュータウン整備に関する勘定は分離する、しかし、賃貸住宅事業と土地有効利用事業などを都市再生勘定にするというけれども、これでは極めて私は不十分だと思います。 さっき言ったように、賃貸住宅の管理というのは、入居者が実際に住んで生活を営んでいる人間を対象にした住宅政策と、それから時には投機対象ともなり得る土地対策を同じように扱うというのでは、根本的に私は間違っていると考えます。同じ勘定でくくれば、公団賃貸住宅の利益を、住宅対策とは無関係の土地有効利用事業などの穴埋め、都市再生事業に流用されることになりかねない。賃貸住宅にお住まいの皆さんが安心して住み続けられるようにすることこそ住宅政策と言えると私は思うんです。ニュータウン事業への流用を厳しくチェックするのは当然として、この際、抜本的な改革が必要です。 機構が土地対策、都市再生事業を中心に進めるというのなら、賃貸住宅の部門を別勘定にすべきだと思うが、その点について、最後、お答えいただきたい。 ○北側国務大臣 都市再生機構の業務には、例えば、賃貸住宅の建てかえ事業におきまして、公営住宅等の公共施設や社会福祉施設、民間住宅等をあわせて建設することによる総合的なまちづくりを推進することだとか、市街地の整備改善事業により整備した敷地を定期借地として民間賃貸住宅の供給のために提供することなど、賃貸住宅部門で行う業務には都市再生業務としての性格もありまして、両者一体の勘定として業務を推進すべきと考えておるところでございます。 ただし、部門別の損益状況はやはり明確にする必要があると考えておりまして、賃貸住宅に関する業務と市街地整備改善に関する業務については、区分経理を行いまして、きちんと情報公開をさせていただきたいと思っております。 ○穀田委員 区分経理だけではならないということはもう自明の理でして、例えば公団自治会を初め多くの公団にかかわる方々の要望は、そこでとどまっていないわけですね。やはり、会計処理に当たっては、そういう賃貸住宅事業の収益を他の事業会計には流用しないでほしいということがあるということを改めて指摘して、質問を終わります。 |
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