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【第162通常国会】 衆議院・国土交通委員会
5次にわたって計画・実施されてきた「全国総合開発計画」(いわゆる「全総」)の基になってきた国土総合開発法の一部を改正する法案について質問。
○橘委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 今回の法案は、国土計画制度全体を変えようとするものであります。これまでの国土総合開発法に基づいて具体的な事業として計画、実施されてきた全国総合開発計画、いわゆる全総、これをどのように評価し、総括してきたのかということは、この問題を論議する際に避けられない問題です。ですから、多くの議員がこの問題について論じてきたわけであります。 本委員会における参考人質疑でも、森地参考人は、総括については、毎回の計画の中でレビューをされ、論議があったと。さらに、五十嵐参考人は、従来の事業や計画について評価をしたとは到底思えない、こういうふうに片や陳述されています。 大臣は、前回の質疑の際に、プラスの面もあるがマイナスの面もあったと評価しています。例示も含めて、全体として大ざっぱな話、議論展開であったので、あえて私は尋ねたい。これまでの全総計画の負の遺産についてどの点がそうなのか、認識を問いたいと思います、大臣。 ○北側国務大臣 私、ちょっと話がそれるかもしれませんが、先日、ソウルに行ったんですよ。ソウルでは、韓国の人口の半分近くがソウルに集中しているんです。今ソウルで何が問題になっているかというと、首都圏移転なんです。これが非常に大きなテーマになっております。 私は、確かに不十分であった、不十分であったんですが、これまでのさまざまな取り組みがもしなければ、もっと都市に人口が集中して、さまざまなひずみがもっと生じていただろうというふうに思います。ただ、十分であったかというと、例えば多極分散型国土をつくるといっても、必ずしもそうなっていない、やはり今も首都圏にさまざまな機能が集中しているという問題点が残っているわけでございます。 そういう意味では、きちんと示された成果もあると思います。地方に工場等が分散をされたというふうなこともございます。所得なんかも、所得格差についても、日本はほかの国に比べますと非常に格差が小さいわけでございまして、そういう意味でも果たしてきた役割というのはあると思いますが、一方で、当初想定した目標には十分に至っていないという事実もあるというふうに考えております。 ○穀田委員 相変わらずばくっとした話で、もうひとつ私が提起しているような問題にはお答えになっていないというのが率直な私の感想です。 といいますのは、例えば所得格差の問題でも、今日でいえば、もちろん日本におけるそういう事態についてはあるんでしょう、そういうものについて一生懸命言ってはるんでしょうけれども、世界で比べるとまさに二極分化と所得格差の拡大というのは、日本はジニ係数からいっても、およそひどい事態になっているというのが今の現実なんですね。それは御承知のとおりだと思うんです。 その上に、当初の目標といいますけれども、私は、何が問題かということをぜひこの際言っておきたいと思うんです。 全総計画に基づいて、簡単に言えば、国土と国民がどうなったのかということなんだというのが私の考えなんですね。公害が発生し、この間自然破壊がされ、言われるように、私の住んでおりますところも含めて町壊しが進行する、そして、それをむだな大型公共事業が席巻をする、こういう事態が生まれてきた。その上に、政官財の癒着もこれまた出た。この間の参考人質疑でも、そういう中身についても議論されたと私は考えています。ですから、私は、今言ったことを含めまして、全総計画全体を総括する上で三つぐらいやはり必要じゃないかと思っているんですね。 一つはやはり、日本の国土がどうなって、そしてそれが実は利権の場になったということも隠れもない事実だと。そして、五十嵐参考人の陳述をかりれば、むだな公共事業が目につくということだと思うんです。しかも、五次にわたって行われた全総計画は、ずっと調べてみますと、太平洋ベルト地帯構想、日本列島改造、さらに日米構造協議による公共投資基本計画、そしてリゾート開発構想などに具体化されました。 その後、民活、民営化、規制緩和、構造改革路線など、巨大開発の構想を進める根拠とされてきたわけです。その結果、さきに述べましたように、公害問題を発生させ、そして自然や町壊し、むだな公共事業というのを生んで、しかも、その政策的にいいますと、達成できなかったどころか、事実は各地で行き詰まりを生んだ産業立地政策。リゾート開発などは破綻の極端なものです。そういう点をしっかり見る必要があるということが私は第一の問題だと思うんです。 二つ目の問題は、やはり国民の暮らしがどうなったか、当時の法の目的にあった社会福祉の向上はどうなったか、こういうことをしっかり見る必要があると思います。政府の総括では、生活環境の改善など一定の成果を上げた、こう書いています。しかし、私は、今述べた公害問題や自然破壊や町壊し、こういった問題について、住民の運動が非常に盛り上がってそれを押し返したというのが歴史の事実じゃないかと考えています。だから、そういう角度から物を見る必要がある。 それと三つ目に、ゆるがせにできないのは政官財の癒着だと思うんですね。国土の開発に、それがいつも枚挙にいとまがないほど起こっていたということについて、しかも、この間の国交省に絡む談合疑惑でも四十年間も続いていたということの、いわば負の遺産の総決算ともいうべき事態についてもしっかり見る必要があるんじゃないかと私は考えています。そこだけ最初に言っておきたいと思うんです。 そこで、具体的な問題について一、二議論をしたいと思います。 自然環境を守る問題について聞きます。新たな国土計画の中では、持続可能な美しい国土の形成が挙げられています。しかし、自然環境を破壊してきた最も典型的な事例はダム事業です。私は、今国会でも、今後、総額九兆円にも及ぶダム事業建設が進行していることに関して、中止、凍結を含む根本的見直しを主張してきました。 大臣にここで聞きます。本年の一月、淀川水系の河川整備計画の策定に関して、淀川水系流域委員会から近畿整備局に対して、「事業中のダムについての意見書」が提出されました。その中で、「ダムは自然環境に多大な負の影響を与えるため、自然環境の保全・回復という視点からダム建設は基本的に避けなければならない。」として、さらに、自然環境への影響とダム建設との因果関係が実証されなくても、重大な負の影響を及ぼす恐れがあると考えられる場合には、たとえ治水あるいは利水の面からダムが必要と判断されても、ダム建設を極力回避するようにしなければならないと指摘しています。この意見書について、大臣の見解をお聞きします。 ○北側国務大臣 委員も、治水対策、利水対策が必要だということまで否定されないと思うんですね、当然。治水対策、利水対策というのは、特に我が国の国土の状況から見れば、これは非常に重要な政策課題であると思います。その治水対策、利水対策を効果的に進めていくために、ダムも有効な対策手法の一つである場合も当然あるわけでございます。 ただ、ダムは、これは当然水没を伴いますので、河川環境を大きく変えていくことも事実であるわけでございますので、治水、利水対策の選択肢として、初めからダムを排除するのではなくて、またダムにこだわることも適切でないというふうに考えておるところでございます。個々の河川や地域の特性を踏まえて、ダムまたその他の治水、利水対策のさまざまな手法を比較して、その中から最もふさわしい手法を選択し組み合わせて実施する、こういうことが大事であるというふうに考えています。 今委員の方からおっしゃいました淀川水系流域委員会から提出されました意見書でございますが、このように書かれているんですね。 「もとより流域委員会はダムを全面的に否定するものではない。提言および意見書で述べたように、「ダムは原則として建設しないものとし、ダム以外に有効な方法がなくかつ社会的合意が得られた場合にかぎり建設する」、事業中の新規の四ダムについては「中止することも選択肢の一つとし、提言の趣旨を尊重した抜本的な見直しをする必要がある」との考えは変わっていない。」とされており、ダムを全面的に否定しているものではないというふうに理解をしております。 ○穀田委員 私、全面的に否定したということを提起したつもりはないんですね。今言いましたように、原則的につくらないという意見が多くの国民の支持を得ているということです。 大臣は引用されませんでしたけれども、これはさらにこう言っているんですね。「治水・利水の効果が自然環境に及ぼす負の影響にもまして人間生存に不可欠と認められる場合に、」と言って、人間生存に不可欠な場合はそれはあり得るだろう、こういう原則論を展開しているということもぜひ見ていただければと思うんです。 この背景には、いかにダムが自然を破壊してきたかという事実があります。コンクリートの巨大な建造物をつくるということで、貴重な動植物の生息環境を破壊してきた、さらに生態系に影響を及ぼすということで、日本の自然に大きな悪影響を及ぼしてきたということだと思うんですね。 根本的な問題の二つ目は、財政の問題もあるわけです。一たんつくった巨大なコンクリート建造物であるダムは、その維持修繕費用、耐用年数が過ぎれば更新するための費用もかかります。既設のダムの今後の維持更新費用はどれだけかかると想定しているのか、当局にお聞きします。 ○清治政府参考人 ダムの維持管理、それから一部改造とか改善にかかる費用もございますが、現在、国土交通省が直轄で管理しておるダムが八十一ございます。これらのダムを管理していくに当たりまして、平成十七年度に要している維持管理あるいは施設の改良に要する費用でございますが、四百九十一億円でございます。一ダム当たりおおよそ六億強ぐらいの予算が必要になっている現状でございます。 ○穀田委員 そうですね、八十一カ所あると。それ以外に、機構と補助ダムが約三百五十カ所あります。 いただいた資料では、もう少し詳しい話をしますと、二〇〇五年度までの維持改良費の合計は五千七十八億円で、総事業費の大体一二%に当たる、これは確かだと思うんです。あわせて、今ありましたように四百九十一億円、これは、既設ダムの総事業費が大体四兆三千六百八十三億円ですから、一・一二%に当たる。そうすると、簡単に言えば、毎年の事業費の一%強の維持改良費がかかるということなんですね。したがって、二〇三〇年度までに一兆四千八百億円、二〇五〇年には二兆二千二百億円になる、こういうことになるわけです。 今ありましたように、一ダム当たり大体六億円強だと。だから、そうすると単純に計算しても、先ほどの数値、八十一カ所と三百五十カ所あるわけですから、毎年三千億円以上の費用がかかるということになるわけですね。だから結局のところ、総計しますと二〇三〇年までに七兆五千億円、さらには二〇五〇年までには倍の十五兆円、これだけの負担が次の世代にのしかかるという、計算上はなるわけですね。これぐらい大きなものなわけです。 日本の国土や自然環境保全を言うんだったら、こうしたダムの事業計画を真っ先に見直しをして検討すべきだ。新たな国土計画の中でダム事業計画は具体的に見直しされるんですか。 ○尾見政府参考人 お答えを申し上げます。 先ほど来御説明させていただいておりますように、今度の国土総合開発法改正案では、国土の質的向上を図るという観点から、基本理念に、豊かな環境の基盤となる国土の実現を図るということを明記しております。それから、計画事項には、国土における良好な環境の創出その他の環境の保全及び良好な景観の形成を明記するなど、環境保全を国土計画の極めて重要な課題として位置づけております。 ただ、ダムにつきましては、先ほど大臣の方から御答弁があったとおり、治水、利水対策を進めていく上で有効な対策手法の一つであるというふうに認識をしているところでございます。 具体的にダム建設をどうするかという問題につきましては、ダム建設がそういう意味で具体的な整備手法でございますので、個々の河川や地域の特性を踏まえて地域の理解を得ながら適切に判断されていくべきものでありまして、全国的な国土形成計画の中でダム建設一般の適否について言及するということは適切ではないのではないか、こういうふうに考えております。 ○穀田委員 最後の言葉は全く理にかなっていない。検討する、見直しをするということが、やはりそれほど何度も環境問題、自然問題と言っているのであれば、お金の面からいっても環境の面からいっても、そういう点での見直しは当たり前だというふうに私は考えます。 そこで、結局のところ何が根底に据わっているかというと、開発中心からの転換といって、開発を基調としたこれまでの国土計画にかえ、今お話があったし、この間ずっと議論になっているように、利用、保全に力点を置いて、国土に関する施策を一体的、総合的に推進する計画だ、こういうわけですわな。 だけれども、これまでの開発中心の政策は、先ほどありましたように、私が指摘しましたように、負の遺産もある。では、開発中心の転換をするという場合に、何が問題であって、それでどこがいけなかったのか、そういう分析が必要だと思うんですね。そうでないと、これまでの開発計画を変える変えると言ったって、どこに問題があったのかもわからずに一般的な論議では済まないと思っていますね、私は。 したがって、これまでの開発計画のどこに、何が問題だったのかということを改めて問いたいと思います。 ○尾見政府参考人 お答え申し上げます。 これまでの計画は、人口が急増するあるいは右肩上がりである、開発を時代背景として昭和二十五年に制定されました国土総合開発法を根拠としておりました。全体として開発基調を旨とした国主導の計画であったということで、いわゆる金太郎あめでありますとかフルセット主義の開発を招いたという御指摘もあるものと承知しているところでございます。また、開発に重点が置かれておりましたので、国土の利用、保全といった質的向上に関する観点は不十分であったと思います。 新たな計画におきましては、地域の自立的な発展を実現すべく、一つには、既存ストックの有効活用や景観、環境の保全、創出など、成熟社会にふさわしい課題に重点を置いた計画にしたい、こういうふうに思っております。 ○穀田委員 これは何回も聞いている話で、そういうことを聞いているわけじゃないんですよね。私は、だから、総括の視点を先ほど述べて、こういう点が必要だということを言ったわけじゃありませんか。あなた方のおっしゃっている話は、客観的条件が変わったというだけを一生懸命言っているにすぎないんですね。 例えば、先ほど言いましたように、自然破壊だとかむだな公共事業などが起こされて、各地で産業立地や先ほど述べたリゾート開発なども失敗しているわけですよね。そういう点の反省をしているわけじゃないということが改めて私ははっきりしたと言えると思うんです。 そこで、さらに具体的に聞こうと思うんですが、今の五全総では第二国土軸構想があります。その具体的事業として、いわゆる六大橋という、橋の大きなプロジェクト、東京湾口、伊勢湾口、紀淡連絡道路、関門海峡、豊予、それから島原天草という構想が描かれています。これらの調査費等、費用と現在の進捗状況はどうなっていますか。 ○谷口政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘の六つの海峡横断道路プロジェクトにつきましては、二十一世紀の国土のグランドデザインにおきまして、「長大橋等に係る技術開発、地域の交流、連携に向けた取組等を踏まえ調査を進めることとし、その進展に応じ、周辺環境への影響、費用対効果、費用負担のあり方等を検討することにより、構想を進める。」と位置づけられているところでございます。平成十七年度は、その調査に必要な予算として、四億七千八百万円を計上しているところでございます。 調査内容につきましては、大きく技術調査と経済調査というようなことになっておりますが、技術調査につきましては、各地域における海峡部の地震動、風、波などに関する継続的なデータ観測、技術的に建設可能な構造案の検討及び新技術の活用等によるコスト縮減の検討を実施しているところでございます。また、経済調査につきましては、各地域において、この構想が実現した場合の産業振興や観光ルートの形成等の経済的効果及び広域的な救急医療体制の構築等の社会的効果に関する調査を実施しているところでございます。 ○穀田委員 今もありましたように、例えば本四架橋の問題を踏まえて、どれほど財政負担になったか、どれほど自然の問題があったかというのは全く議論されていない。それで、技術的調査、経済調査というのも、その中にも入っていないという、およそナンセンスなやり方だと私は思う。まさに従来型の巨大開発構想そのものだと思います。これをやめるのかというと、今の話でいうと、結局これを実行するということになりますわな。 私、そこが大事だと思うんですね。今まで、自然だとか環境だとかということを重視する必要がある、開発中心から考える必要がある、その開発中心のいわば目玉ともいうべき、そういう象徴ともいうべきものがこの六大橋じゃありませんか。だから、集中と選択、さらには重点化と称してやっているやり方のいわば頂点をなすものだと私は考えます。 改めて、開発中心を改めると言うんだったら、これらの内容も含めて見直すべきと違いますか。 ○尾見政府参考人 お答えを申し上げます。 新しい国土計画におきましても、高速交通体系の整備等によってモビリティーの向上を図るということは重要な政策の一つであるというふうに考えております。 新しい計画におきましては、先ほど国土の質的向上ということで環境とか景観のお話もさせていただきましたが、もう一つの大きな柱として、国民生活の安全、安心、安定の確保など、新たな国土形成の視点に立ったこれからの社会資本整備の基本的方向について明らかにするというふうに考えております。このような観点から、現在の国土計画の内容について必要な見直し、検討を進め、その結果を新しい計画に反映させてまいりたいと思っております。 なお、全国計画におきましては施策の基本的な考え方を記述するということにしておりまして、具体的なプロジェクトについて言及するということは考えておりません。 ○穀田委員 言及することは考えていませんって、やめるのかということを聞いているわけだけれども、やはり国民生活と安全、これはそうならないんですよ。だって、本四架橋で財政的破綻をしたことをさらに巨大な形でやる、みずから言っていた環境と自然ということから大いに矛盾するんだということを言っているわけなので、そういうことも見直しできないようでは先が知れているということだけは言っておきたいと思うんです。 最後に、橋梁工事の入札談合について聞きます。 これはもう国交省の責任は極めて重いということだと思うんです。この間の参議院決算委員会で、橋梁談合の事件の舞台となった関東、東北、北陸以外の五地方整備局が発注したところでも談合組織が動いていたと。さらに、衆議院の経済産業委員会で、国土交通省発注の港湾工事入札でも平均落札率が九八・七%にも上っている、こうなっています。国交省発注の工事で談合が摘発されているのは、鉄鋼製橋梁だけじゃありません。昨年十月には、PC橋梁の談合も公取で審判中です。 確認しますけれども、これら国交省の発注工事に絡んで、これまで談合情報や疑義案件などが寄せられ、公正入札調査委員会で審議されている、これは御承知のとおりだと思う。ここ最近三年間、審議対象となった件数、それを受けて公取に通報した件数、事情聴取など調査した件数、その結果入札を取りやめた件数は何件あったのか。このことについて、さらに調査した中に、今回の鋼鉄製橋梁工事に関するもの、PC橋梁工事に関するものはあったかどうか、お答えください。 ○峰久政府参考人 国土交通省で不正行為の防止策として談合情報等の対応マニュアルをつくり、対応しております。これは、外部から談合情報が寄せられた場合に、それをチェックしまして、その調査結果を公正取引委員会に通報するということでございます。 それで、これは十五年から強化しておりまして、外部からの談合情報だけではなくて、工事の内訳書のチェックも、職員が疑義があると考えたものについてはみずから行うこととして、強化しております。さらに、そういうふうな工事の内訳書自体をとるのも、もともと従来は談合情報があった場合に限っておりましたけれども、順次対象を広げまして、最近では一億円以上のものについては工事の内訳書をすべて提出してもらっています。 そういう結果、十三年度におきましては、談合情報等は百一件、事情聴取等の調査、これと公取への通報件数は一致しますけれども、これが八十五件、その結果、十三年度は入札の取りやめ件数はゼロでございました。それが十四年度におきましては、談合情報等の件数百六件、事情聴取等の調査件数及び公取への通報件数九十四件、入札の取りやめ件数は九件。十五年度におきましては、談合情報等の件数が百二十四件、事情聴取等の調査及び公取への通報件数が百十七件、それから入札取りやめの件数が三十二件となっています。こういう意味で、特に取りやめあるいは通報件数等が増加してきているところでございます。 それから、その中に鋼橋上部あるいはPCの工事のものがあったかということでございますが、これは、平成十三年度におきましては、PC工事関係が三件ありまして、うち二件について調査、通報をしております。入札の取りやめは行っておりません。十四年度におきましては、鋼橋上部構造で一件ありまして、当該一件について調査、公取への通報を行い、当該一件について入札を取りやめております。それから十五年度におきましては、鋼橋上部一件、PC工事一件がありまして、二件とも調査、公取への通報を行っております。入札の取りやめは行っておりません。そういう状況でございます。 ○穀田委員 これはとても大事でして、要するに、国交省というのは談合の灰色案件をつかんでいたわけですよね、簡単に言えば。そういうことになると思うんですね。だから、大臣はこの間の答弁で、談合の事実を知ったのは事件が報道されてからだと答弁されていましたけれども、やはり国交省自身はその案件を、灰色というものをつかんでいた。しかし、今回の事件をつかむことはできなかった。なぜ、灰色という実態があるにもかかわらず談合を排除できなかったのかということが問われると思うんです。私は、ここに、実は談合を絶対許さないという姿勢が欠如しているということに起因していると考えています。 今回の事件では、日本道路公団発注分の工事についても談合した疑いが強まっていますし、私、昨年二月、予算委員会で、鋼鉄製、PCなどの十億円以上のすべての道路公団発注工事三百六十一件について、五年間の平均落札率が九八・一%だ、そして三百六十一件中三百二十七件が九七%以上になっている、そして九五%以下というのはたった四件しかない、まさに神わざだと指摘しました。こういうことがあることをしっかり見ていく必要が私はあると思うんです。 したがって、当時石原大臣は、この落札率を異常だと思わないかと聞いたら、まあ積み上げ方式でいろいろわかっているからという話をしていましたけれども、こういうところにあると思うんですね。私は、大事なのは、疑わしきは調査する、疑わしきは、やはりこの問題について今後きちんとやってもらうということが必要だ、ここを申し上げて、終わります。 |
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