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【第162通常国会】 衆議院・国土交通委員会
JR西日本脱線事故問題に関わって一般質問。JR西日本の人員削減の実態について質した。
○橘委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 JRの問題について質問します。 JRの事故の際、事故地尼崎消防だけでなく、二十近くの消防の医療救急チームが駆けつけました。改めて私は敬意を表したいと思うんです。 関西の自治体消防と鉄道機関は、鉄道事故時の安全対策に関する覚書を交わしています。相互連絡協力体制を定めることにより、安全で迅速な災害防除活動のためとしています。具体的には、事故内容、避難状況及び死傷者数を通報することになっています。 JR西日本はこの間の事故で事故地の尼崎へ約束を履行したか、それで他の消防も援助に来たのか、この点についてまずお聞きします。 ○梅田政府参考人 鉄道事故時の安全対策に係る消防機関との覚書の件でございます。 平成十四年十一月に、東海道線の塚本駅の構内におきまして、救出作業中の消防隊員が列車にはねられ、死傷した事故がございました。この事故にかんがみまして、JR西日本を含む近畿地区の九つの鉄軌道事業者と全国消防長会の近畿支部、これは大阪府、兵庫県でございますが、の消防機関との間で、基本方針について鉄道事故時の安全対策に関する覚書を交換しているということは承知しております。 この覚書に基づきまして、鉄軌道事業者は異常時対応のマニュアルの整備を行っております。また、現場レベルで消防あるいは警察との合同訓練などを実施しているというふうに聞いております。 JR西日本では、事故発生時の取り扱いにつきまして、先ほど言ったようなマニュアルをつくりまして、連絡体制、非常招集等について規定しておりますが、また支社におきましても、これに基づきまして、鉄道事故あるいは災害応急処理の準則というのをつくりまして対処してきたところでございます。 先生御指摘の今回の事故でございますが、JR西日本の運転指令が状況の確認に時間を要したとともに、実は、指令から尼崎及び塚口両駅の係員に対しまして、警察やあるいは消防に対して通報するように指示をしたところでございますが、業務がふくそうしていたせいかと思いますけれども、消防あるいは警察への通報を失念いたしまして、現実には通報はされなかったというのが事実でございます。 ○穀田委員 最後のことだけ言ってほしかったんです。つまり、尼崎で事故があったときに、今までの例でいいますときちんと連絡しているんだけれども、今回は連絡がなかった、怠っていたと。 私は、一緒に来られたたくさんの消防チームというのは、もともとボランティアで来ていますから、これについてJRが、自分のところの、自己の敷地内でということもありますから、通報する義務がないことは知っています。問題は、事故直後に尼崎市長が依頼した伊丹市以外は、だから、すべて自主的判断で駆けつけているわけですよね。これらの自治体の多くが実は一様に、きちんと情報を知らせてほしいということで、それぞれの所属する議会とともに要望していることを私は深く受けとめる必要があると思うんです。 そこで、考えなくちゃならない一つの点は、広域な人的被害があったときの連絡のあり方についても一考を要するということが一つあります。もう一方で、私は重大だと思っているのは、尼崎市が、安全性向上計画の説明に訪れたJR側との話し合いの中で、今回の列車脱線事故に伴うJR西日本の対応は鉄道事故時の安全対策に関する覚書が何ら履行されなかったと、ここまで厳しく主張している点なんですね。そのことを実は議会の各会派に説明したほどなんです。 自治体は今、今度の事故を契機に防災計画の見直しを始め、自然災害ではない事故への対応についてもやらなければならないという努力を始めています。問題は、このような努力にこたえて、安全性向上計画には欠落している自治体との連携問題について、JRとの話し合いをきちんと指導すべきではないでしょうか。その点、お答えいただきたい。 ○梅田政府参考人 JR西日本では、事故発生時の取り扱いにつきまして、今回の事故の際に情報連絡体制あるいは初動体制について反省すべき点があったと認識しております。 私どもも、こういう点につきましては大変残念なことだというふうに思っておりますが、今後、こういう情報提供あるいは救助の点につきまして、関係の自治体を含めまして、関係者間で十分な話し合い、あるいは、場合によりましては訓練等も行う、こういうことが必要かと思います。そういう点で今後指導してまいりたいと考えております。 ○穀田委員 なぜ私はこんなことを言っているかというと、大臣、安全性向上計画というのがありますよね。これの中に、危機管理ということで十五ページに書いているんですけれども、その中には、重大事故が発生した場合、お客様への対応を迅速に行うべきという一項はあるんですけれども、やはりこういう点を、現実に行った自治体のきちんとした意見を聞くべきだということを、わざわざそれぞれのJRが説明に行かれた自治体のところでそういう要望が出ているから、やはり現実にその声をしっかり聞きながらやることが必要だと。 しかも、先ほどお話しした覚書という中には、鉄道各社と消防機関は、中略しますが、平常時においても情報交換を行うと規定されているんですね。だから、JRが今後こういった問題について、今鉄道局長お話ありましたけれども、きちんとした協議を行うということは安全に対する取り組みの試金石だということを言っておきたいと思います。 次に、安全性向上計画の問題について聞きます。 前回私は、六月八日でしたけれども、JR西日本が提出した安全性向上計画をいかに実効あるものにさせるかということで、国交省の監視、監督権限、体制の強化について議論し、提案をしました。まだまだこれからですが、本当に大丈夫かという疑問が出ています。 実は、JALを初め航空機の事故が、業務改善命令や、JALの新社長がこの委員会でも繰り返し反省を口にしました。それにもかかわらず、その後頻繁に事故が発生している。だから、この点を見ても、JRも同じ事態を生むのではないかと思わざるを得ないわけですね。というのは、JR西日本とJALに共通した問題があって、それが効率化というキーワードなんです。効率化という言葉の実態は、実はリストラであり、人員削減であり、人減らしです。 そこで、JR西日本のこれまでの人員削減の実態についてお聞きしたい。 JR西日本の民営化の時点の人数ですね、合計。そして部門ごと、民営化直後と統計資料のある直近の〇二年度の比較について、駅、工務、電気、車両、それについてお答えください。 ○梅田政府参考人 JR西日本における駅、工務、電気、車両の要員を分割民営直後の昭和六十二年度と平成十四年度を比較いたしますと、まず駅の職員についてでございますが、一万一千七百七十八人が五千五百四十九人に、それから工務でございますが、六千七百十三人が二千四百十九人に、電気でございますが、三千六百五十人が千二百六十三人に、車両につきましては、三千八百三十六人が二千百七十五人となっております。 ○穀田委員 駅職員と車両が半分に減っている、そして工務と電気はおよそ三分の一に激減している。私、この委員会でも質問し、ただしましたけれども、ATS―P型の設置がおくれた要因の一つに、技術者が不足していたことを垣内社長は答弁で認めています。電気部門の技術者、人員が足りなかったということだったわけです。 大臣に聞きたい。 大臣は、この間、安全規制など社会的規制は緩めるべきでない、むしろ強化すべきだ、監視、監督を強化すべきだと繰り返し発言されています。私は、安全を確保しようと思いますと、安全に携わる人員の確保が当然必要だと思っているんです。安全を損なうような安全要員、人員の削減は行うべきでない、安全を確保するための人がいなくては安全規制を幾ら強めても実効性が担保できない、私はそこがポイントじゃないかと思うんですが、その点の見解をお聞きしたい。 ○北側国務大臣 今おっしゃったのは、JR西日本の職員の数のことですね。これは、JR西日本に限らず、多くの鉄道事業者において、現業部門の職員数が減少を来しておるというふうに思っております。 大切なことは、安全性を確保することがやはり一番の大事なことでございまして、各鉄道事業者におきましては、外部委託をしたりだとか、それから機械化を促進したり、さまざまな手段を通じて、一方で合理化、省力化を図ってきているというふうに認識をしているところでございます。 なお、軌道の保守作業について外部委託を行う場合について言えば、作業自体は委託を行っても、作業後の安全の確認は鉄道事業者が行うなど、所要の安全性を確保しつつ、合理化、省力化を実施しているものというふうに承知をしております。 ○穀田委員 それは私、認識が残念ながら少し不十分だと思うんです。各社が確かに減らしていることは事実です。でも、JR西日本を私がわざわざ指摘をしたのは、ほかの社と違ってその比率が激しい。工務、電気、この関係でいくと三分の一に激減している。こんなところはないんです、ほかのところは。しかも、外部委託という問題が今出てきましたから、そういう問題がどうかということなんですけれども。 では、一つお聞きしますけれども、大臣、CD七百という言葉を知っていますか。 ○北側国務大臣 よく承知しておりませんが。 ○穀田委員 CD七百というのは、実はコストダウン七百億という略なんですね。今私が言ったのは、人員削減の問題について言いましたよね。大臣は、外部委託という問題について言いました。実は、外部委託で何を減らそうとしているかというと、修繕費をがばっと減らすというところにポイントがあるんですね。 それで実は、JR西日本は、今言いました、〇三年から五年間で七百億円台に修繕費を減らすというコストダウン七百というものを推進しようとしているんですね。それは、徹底したコストダウンにより利益を確保できる体質を確保し、筋肉質にしていくという、当時の南谷昌二郎社長が修繕費を一千億円台まで削減したと誇ったのが九九年なんですね。それをさらに三〇%減らそうという計画なんですね。 だから、今、JR西日本が安全性向上計画と言っているけれども、一つは修繕費を減らすという、しかも、減らす際に外注でやるということで公然と言っている。もう一つ言っているのは、今言いました人減らしの問題なんですね。 では、局長に聞きましょう。JR西日本は安全性向上計画を出していますが、事故発生前から掲げている効率化計画は、人員削減との関係ではどうなっていますか。 ○梅田政府参考人 従来からJR西日本がつくっています業務計画と今回つくっていただきました安全性向上計画の関係でございますが、私ども、この安全性向上計画をつくる際に、投資の額につきましても、先生御承知のとおり見直しをしていただいております。それから、ダイヤその他につきましても、要員につきましても、ゆとりのあるという観点を入れてきております。 したがいまして、今後、今までの計画がどうなるかは会社から聞いておりませんのではっきりはいたしませんが、この計画、安全性向上計画というものを実行していく上において、必要な修正はなされるものと考えております。 ○穀田委員 必要な修正はなされるものと思いますということで言っていたんじゃ、今どういう計画があって今後どうなるかと両方つかまなくちゃ、修正されるも何もないじゃないですか。そんなの希望というんです、そういうのを。希望的観測で物を言っちゃだめですよ。 〇四年から〇九年までの計画では、全体で五千人を減らすという計画になっているんですね。今皆さんが言っているのは、安全投資の例を今局長はお話がありました。 安全関連投資の概要というのを確かに安全性向上計画で出しています。その中には、投資費用についてお金を言っているだけで、例えば、保安防災対策費を四百二十億円ふやす、設備を取りかえる、百億円ということで、設備投資総額の中で六百億円安全投資をふやすと言っているだけで、あとはさらに、保安防災対策のうち主な項目ということで、ハードのATSの整備やP型やSWや踏切保安度の向上等を言っているだけにすぎないんですよ。この中で、一番肝心な人員の問題についてどうするかという案は一つも出ていないんですよ。だから私は指摘しているんですよ。しかも、その計画はどうなっているかということが問題なんです。 その計画によりますと、実は、私が入手した資料によりますと、〇五年から〇九年までに今お話しした四千百人と、そして〇四年に九百人していますから、合計では五千人の削減を計画しているんですよ。部門別では、駅の要員千二百五十名、乗務員六百名、車両の整備要員九百名、施設関係八百人、先ほど挙げた電気要員については五百五十名、その他九百名となっております。 今でも足りなくて四苦八苦して、この間JRに聞きますと、ATSの設置のために、出している人間を呼び戻さなくちゃならないというぐらい四苦八苦しているんですよ。そういう実態の中で、この電気要員をさらに五百五十人も減らすということを考えているんですよ。 この問題について、そうされるだろうなどという安易なことで、どないして守れますのや。そう思いませんか、皆さん。だって、投資の話は、額の話は、関連投資として六百億円ふやす、それからその中心はハードだと。肝心なハードを運営するにも四苦八苦していて、それをつくるにも人が足りないということで、今現場から呼び戻すということになっているんですよ。 だから、私が言っている中心ポイントは何か。この安全性向上計画の最大の欠陥は、人の問題に触れていないことだ、そして修繕費の問題について言っていないことだ、この二つが今後どうなるかということを注目しないとえらいことになるぞと言っているんですよ。 先ほど局長は、この問題について、この点も見直しされると思うからということを言っていましたけれども、私は、そういう希望的観測ではなくて、今二つ述べました、修繕費の問題と人員確保に対するこの問題についての計画を是正する問題、最後に大臣に聞いておきたいと思います。 ○北側国務大臣 この安全性向上計画がきちんと実施をされていくのかどうか、これは今後、国土交通省としても厳しく監視、監督をしてまいりたいと思っております。その中で、今委員のおっしゃった人員の問題、修繕の問題、これにつきましても、我々も問題意識を持って見てまいりたいと思います。 ○穀田委員 最後に一言言っておきますと、やはり先ほど言った外注化という問題も、大臣は、外注化とその後の点検とありましたけれども、次に、外注化とその後の点検はどうなっているかということでまたやりたいと思うんですけれども、これは大変なんですね。外注化によって起きている事態というのは、ミスが多発しているのが現状だと思うんですね。 しかも、その点で下請業者は、安い単価で人もふやせず、休みもなく働きづめ、いつミスが出ても不思議でないと訴えています。私も聞いてまいりました。また、保線区で働いている労働者は、下請会社で工事ミスが続いており、ほっておいたら危険だ、施工能力などお構いなしに外注化される傾向がある、安全の土台が揺らいでいるということも指摘しています。 ですから、私は、今お話しした人員削減と修繕費の問題については見守っていく、また、きちんと監視していくとありましたので、きちんとやっていきたいと思います。さらに続いて、次回でまた問題提起したいと思っています。終わります。 |
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