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【第164通常国会】 衆議院・国土交通委員会
「運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案」の質疑ー第1ラウンド・踏み切り問題
○林委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 私は昨年の四月の六日、東武伊勢崎線の竹ノ塚近くの踏切事故について質問をしました。その際に、二〇〇一年から、都や区、東武鉄道による立体交差化の協議がなされてきたが進まない、そして、事故が起こるまで放置してきた事業者や自治体の関係者の責任は重い、あわせて、国交省がイニシアチブをとってこれを進めるべきだということを提起しました。その際に、連続立体交差化事業の要件が合わずに、国の補助金が出ないということをあわせて指摘しました。 それについて緩和するとのことですが、どう変わって、どういう判断をしているのか、そこをまずお聞きしたいと思います。 ○柴田政府参考人 国土交通省といたしましては、あかずの踏切を初めとしました踏切への対策を重要施策の一つといたしまして、抜本対策によります踏切の除却と速効対策による踏切交通の円滑化を車の両輪として、対策のスピードアップに努めております。 今御指摘の、抜本対策の主軸でございます連続立体交差事業につきましては、従来は、都市内の混雑緩和の観点から、自動車交通の多い幹線道路の踏切を対象としてまいりましたが、竹ノ塚駅周辺の踏切のように、歩行者交通の多い生活道路の踏切、こういうところにも支援できるよう、来年度より新たに制度改正を図ることといたしてございます。 ○穀田委員 制度改正はわかっているんです。 問題は、今それをする上で、つまり、要件に合わなかったんだという、いわば要件問題について、どういう趣旨でやるのかということを聞いているんです。もう一度。 ○柴田政府参考人 これまで、都市計画道路でございますとこの歩行者の観点の部分も入ったわけでございますが、今回、制度改正をすることによりまして、歩行者交通の多い生活道路も対象にするとはっきり制度としてやることによりまして、その辺が明確に対象となるということでございます。 ○穀田委員 要するに、要件もそういう形で緩和しつつ、財政当局もうんと言ったということですわね。 そこで、今回の改正では、鉄道事業者及び道路管理者に対する勧告制度を創設する、それで、強制力を持って踏切道の改良に取り組むことができるということが中心ポイントですよね。しかし実際には、鉄道事業者や道路管理者である自治体などがいかに真剣に踏切道の改良に取り組むかにかかっているわけです。ところが、なかなか実際は、鉄道事業者が消極的であったり、自治体の側も予算の関係もあったりして大変なことがあるわけですね。 そこで、きょうは具体的な話をちょっとお聞きしたいと思うんです。 昨年の十二月二十日に、私ども日本共産党の近畿ブロックが、鉄道や踏切危険箇所における安全対策について、近畿整備局だとか、さらにはJR西日本に申し入れしました。 その中で、まず第一の問題は、歩道の拡幅を求めますと、JRは、踏切の統廃合と一体でなければできないという回答をする例があるんですね。 まず、国交省にこの点を確認したいんです。 二〇〇一年十月の踏切道の拡幅に係る指針、これでは、緊急を要するところについては統廃合をしないでも拡幅できるとなっています。これは間違いないか、そして、この考え方について説明されたい。 ○梅田政府参考人 踏切道におきましては、踏切事故の防止あるいは道路交通の円滑化のために、立体交差化あるいは統廃合等によりその除却に努めてきているところでございます。 一方におきましては、踏切道において前後の道路と幅員差が生じるなど、交通の安全上危険となっている狭小な踏切道の改良につきましては、道路管理者と鉄道事業者の協議を早期に進めるために、踏切道の拡幅に係る指針、これは平成十三年のことでございますが、定めております。 この指針におきましては、具体的には、踏切道に歩道がない、あるいは歩道が狭小である、こういうときには歩道を整備する、また、踏切に交差する道路に対しまして踏切道の方が狭いというような場合でございますが、その場合には、道路の拡幅を行うということで、踏切道の統廃合を行わずに実施するという指針でございまして、その旨、鉄道事業者あるいは道路管理者に対しまして周知の徹底を図ってきているところでございます。 ○穀田委員 その周知の徹底をよく図ってほしいと思うんですよね。 大体、JRは、この点を指摘すると、確かに、統廃合でなければ絶対だめですよという言い方はしないんですよ。確かにしないんです。ところが、一方で踏切の数を減らしていくのが大原則だという回答もして、実際、地域によっては統廃合を大前提にしているところもあると感じているんですね。だから、なかなか彼らも、うまいと言ったら言い方は悪いけれども、そういう原則をしっかり徹底するということをして、現場で何が起こっているかについてよく見ていただきたいと思っています。 二つ目に、近江八幡市に日吉野踏切というのがあります。この踏切は非常に狭く、小学校の登下校時には父母が付き添わなければならないほど、危険だと言われています。白線が引いてあるだけで、歩道が確保されていない。そこで、議会でもたびたび取り上げられ、当面の対策として、とりあえず児童が通れるスペースを確保してほしいという切実な話だけれども、JRがなかなか了解しない。 こういう踏切は直ちに拡幅すべきだし、立体交差がすぐできないんだったら、歩道橋をつけるというか、緊急に対策をとるべきではないか。こういうことについての国交省としての指導はどうなんですかね。 ○梅田政府参考人 先生御指摘の踏切は、東海道線と近江八幡市の市道が交差する踏切でございます。近江八幡市からJR西日本に対しまして、朝夕のラッシュ時に自動車とそれから通学する児童が踏切道の中で混雑している、したがって、踏切内の歩道整備をお願いしたいという要望がなされております。 それで、この踏切道におきましては、御指摘のとおり、歩道が整備されておりません。近江八幡市におきましては、踏切と交差する道路の歩道整備にあわせて、踏切道内にも歩道を整備したいという意向を持っているというふうに認識しております。私どもといたしましては、JR西日本に対しまして、近江八幡市とよく連携をして、踏切道内についても歩道の整備が図れるように指導してまいりたいというふうに考えております。 ○穀田委員 では三つ目に、昨年九月、京都府綴喜郡井手町で、軽トラックが踏切内に進入し、運転手が死亡する事故が起きています。 この踏切には赤外線探知装置が設置されていなかった。こういう踏切はほかにないのかどうか。これはたくさんあるはずなんですね。点検して、もちろん時間はかかるわけですが、すべての踏切に障害物検知装置を設置するように指導すべきではないか、こういう点についての考え方を聞きたいと思います。 ○梅田政府参考人 御指摘の事故は、JR西日本の奈良線山城多賀駅構内の多賀道踏切において発生した事故でございました。当該踏切におきましては、踏切支障報知装置として、非常押しボタン式のものは設置されておりましたけれども、自動的に支障物を検知して列車に知らせる障害物検知装置というものは設置されておりませんでした。 それで、踏切道につきましては、列車の本数あるいは速度、自動車の交通量あるいは通行制限などなど、いろいろ踏切道によって区々異なっております。したがって、一律には障害物の検知装置の設置を義務づけてはいないところでございます。 しかし、踏切事故の防止という観点に立ちますと、有効な対策の一つであるというふうにも考えておりますから、個々の踏切道の状況を勘案して、その設置の効果の高いところから優先的、重点的に整備の促進が図られるよう、鉄道事業者を今後とも指導していきたいというふうに考えております。 ○穀田委員 これは、後でも議論になるわけですが、ヒューマンエラーだとかヒヤリ・ハット、そういう考え方のあれがありまして、私は、一度起きた事故のところなんかはやはり重点的な問題だ、諸条件はわかるんですよね、そういう立場で努力していただきたいと思うんです。 法案についてもう一度質問をしますと、今回の改正では、先ほど言いましたように、鉄道事業者及び道路管理者に対する勧告制度を創設している。勧告を受けても踏切道の改良を実施しない場合には、鉄道事業法による事業改善命令、または道路法による指示等ができるようになる。この場合、正当な理由がなく踏切道の改良を実施していないと認めるときに勧告できるわけだけれども、正当な理由というのは何かということについてお聞きしたい。 ○梅田政府参考人 改正後の法律第六条第一項及び第二項の中の「正当な理由」の具体的な内容についてでございます。 正当な理由、いろいろなケースがあろうかと思いますので、すべてを網羅して言うわけにはまいりませんけれども、一つは、例えば、天災等の不可抗力によりまして鉄道施設が非常に甚大な被害を受ける、その結果、鉄道事業者の経営も非常に悪化して、被害の回復にもかなり時間がかかるというようなときには、やはり報告を求めて直ちにやれというのはちょっと酷だろうというふうに思います。 また、こういうことは最近では余りないかもしれませんけれども、技術的に見て、どんなに検討してもなかなか難しいというようなケースもあり得ると思います。そういうようなこともやはり正当な理由の一つではないだろうかと思います。 これは、やはり個別に判断をしていく話だろうと考えております。 ○穀田委員 最後に一つだけ聞きます。あさって、もう一遍質問しますけれども、その前段で一つだけ、JR西日本の伯備線事故について。 ことし一月二十四日、JR西日本の伯備線で、保線作業中の作業員三名の方が亡くなる事故が起こりました。私どもは、心から冥福をお祈りしたいんですけれども。十日の委員会で質問はしますが、まず、事故の概要及び事故原因についてだけ報告していただけますか。 ○梅田政府参考人 JR西日本の伯備線の事故についての概要でございます。 本年一月二十四日十三時十八分ごろ、JR西日本伯備線におきまして、これは根雨駅と武庫駅の間でございますが、これを走行中の下り特急列車が、保線作業中の保守要員、これはJR西日本の社員でございますが、四人と接触して三人が亡くなる痛ましい事故でございました。 JR西日本によりますと、当日は、列車の遅延によりまして、これは単線の区間、当該の単線区間でございますけれども、これを走行する上り列車と下り列車の順序が変更されました。にもかかわらず、列車の見張り員が列車の来る方向と反対側の方向を見張っていたというふうに聞いております。 事故原因につきましては、なお現在、詳細調査をしておるところでございますけれども、JR西日本は、今後の作業時におきましては、原則として、関係する信号機を赤にいたしまして作業区間には列車を進入させない、いわゆる線路閉鎖工事という手続をとりまして作業をするということにしたと聞いております。 私どもといたしましては、事故後、中国運輸局から職員二人を現地に派遣いたしまして、事故現場の現地調査等を行うと同時に、JR西日本に対しまして、文書により、原因究明と再発防止について警告を行ったところでございます。今後とも、同様の事故が発生しないよう、引き続きJR西日本をしっかり指導してまいりたいと思っております。 ○穀田委員 終わります。 |
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