国会会議録

【第166通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2007年3月16日)

民間都市再生事業者の認定申請期間を延長することについて議論。

○塩谷委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 今回の三法、出ているんですけれども、その中心は都市再生特別措置法にあります。それで、民間都市再生事業者の認定申請期間を延長することにあると考えます。きょうは、したがいまして、都市再生政策について議論したいと思っています。

 政府の都市再生政策は、小泉前総理が二〇〇一年に立ち上げた都市再生本部で本格化し、翌年の〇二年に本法が制定されました。この都市再生は、バブル崩壊後、地価下落など低迷した経済を活性化することを主眼にしていたと思います。

 そもそも、この都市再生のきっかけは何だったのか、また、この法律で規定する都市再生というのは何か、それをどういう手段、手法で行うのか、初めに確認しておきたいと思います。

○冬柴国務大臣 今御指摘のような沿革の中でこの法制度ができ上がってまいりました。

 私は、当時の本当の経済状況というものを考えたときに、やはり、低迷する地価もどんどんどんどん下がり、そしてそれがまた都市が抱えるいろいろな問題というものを際立たせてきたというふうに思うわけであります。したがいまして、そういうものについて、民間の活力、力も協力をいただきながらそういうものを解決していこうというところからの発想であったと私は理解をいたしております。

 これは、時代が変遷をいたしてまいりました。経済は右肩上がりから本当に奈落の底へ落ちるように、地価は総体としてはまだ下がっているというような状況がありますが、平成十三年当時は本当に最低の状況だったと思います。

 そういう中で、民間の力をおかりしながら、大都市が抱える大きな問題、物流機能の強化、すなわち慢性的な道路の渋滞とか、あるいは大地震が起きた場合に大変な被害が想定される危険な密集市街地の早急な改善とか、あるいは空洞化が進む中心市街地の活性化、こういう中にあって暮らす高齢者の方々への配慮とかいうようなものを解決していくについて民間の方々の力をかりたい、そういうところから出発したと思います。

○穀田委員 簡単に言うと、都市再生の手法として民間投資を活用しようとするのがこの法律のポイントだと。ただ、そこに、この法律の「目的」にありますように、「都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上」、こういうことが一つの大きな目的であるということを掲げたということですね。それは一致していると思うんです。

 そこで、都市開発への民間投資見込みというのは、都市再生緊急整備地域六十四、これは大臣も地元の話も含めて随分されていました。六千五百六十七ヘクタール、全体で約十二兆円が見込まれているとしています。うち、主要事業の判明分だけ見ても、〇六年三月までに六兆円規模に上ると資料が出されています。

 これは、金額を聞いただけではなかなかわかりませんし、具体的にはどういう効果、影響があったのか、東京ミッドタウン、名古屋ミッドランドスクエアなどを例に、簡潔に述べていただきたいと思います。

○中島政府参考人 東京ミッドタウン、いわゆる防衛庁の跡地の開発でございます。着工が平成十六年五月でございまして、この三月末、開業の予定でございます。

 事業区域が七万八千四百平米でございまして、大小合わせて八棟、合計で五十六万平米余の施設が建ちます。内訳は、業務施設、商業施設に加えまして、住宅が約八百戸。業務、商業、文化、交流、居住、いろいろな機能を備えたいわゆる複合開発でございます。あわせて、公園をかなりの量とります、あるいはオープンスペースの創設等、快適な環境にも資するということが期待されるプロジェクトだと思っております。

 名古屋の例でございますが、ミッドランドスクエア、これは名古屋駅前のプロジェクトでございまして、着工が平成十六年の一月で、これは十九年の三月六日、開業をしております。

 面積は一万八千五百三十平米、ビルは一棟でございますが、十九万平米余の床面積でございまして、事務所、店舗のほか、シネマコンプレックス、映画館が入ったビルでございます。名古屋駅周辺における機能更新のリーディングプロジェクト、国際的な商業、業務拠点を形成するということを目的としたプロジェクトだというふうに承知しております。

○穀田委員 いや、プロジェクトの中身はわかっているんですよ。要するに、何がどうして、今回の法との関係で影響があって、うまくいったと考えているのかと聞いているんですよ。こっちから言うから、それだなと。

 要するに、環境アセスメントや何かの条例の手続簡素化によって極めてスケジュールが短縮されたということと、それともう一つは、容積率の緩和があって、いったと。要するに、具体的に例を出しながら何が起こっているのかと聞いているんです。

 だから、その二つが、規制緩和と容積率の緩和が行われた、それでスケジュールがうまくいった、こういうことですよね、うんと言ってくれたらいいけれども。

○中島政府参考人 法律の効果としてはそういうことでございます。税の特例を設けたりもしております。

○穀田委員 つまり簡単に言うと、中身は知っているんですよ、それは行ったらわかるので、あのミッドタウンというのはすごいですね。だから、問題は、それらをつくる手法として、非常に簡素化して期日が短くなったということと規制緩和されてどかんといいものができた、こういうことですね。だから、そこはメリットがあったということは、そちらの言い分だということを確認しておきたい。

 そこで、先ほど、低迷する地価、こうありましたから、地価はどのようになったかということを聞きたいと思うんです。

 都市再生緊急整備地域や都市再生特別地区の地価は指定前と比べてどうなったか、そう言いますと、その地域を特定することはなかなかできないでしょうから、当然、指定の多い東京都心の公示地価の推移から類推するしかないわけですね。それは仕方ないんです、それはそちらを助けてあげて。

 だから、地価が低迷していたという事態の中で、今でもとありましたけれども、では、都心三区と言われている港区を例にどうなっているかということを報告してください。

○中島政府参考人 お答えします。

 地価公示、東京都港区の数字を申し上げます。地価の対前年の変動率、一九九七年、平成九年でございますが、住宅地は一一%下落……(穀田委員「商業地でいいわ」と呼ぶ)では商業地だけ。同年、商業地、一五・二%下落。二〇〇一年、平成十三年、商業地、四・三%下落。二〇〇六年、平成十八年、商業地、一一・二%上昇であります。

○穀田委員 歴年の状況を見ていると、下落率が全体として落ちて、全体として次に上がっている。だから、二〇〇六年版の土地白書を見ますと、商業地は、東京都及び東京都区部でも九一年以来十五年ぶりに平均で上昇になった、いわゆる港区だとかそういう都心三区というのは高い上昇率になった。

 そこで、都心部では地価下落に歯どめがかかって、転じて地価の上昇という状況が生まれている。このことは、都市再生プロジェクト、それから都市再生事業にかかわった開発会社や出資会社など、土地保有者の資産をふやしている結果になっていることは明らかだと思うんです。

 そこで、都市再生事業計画の認定企業の業績について聞きたいと思うんです。認定を受け事業を行った企業の業績は法制定前の〇一年度と〇六年度比較でどうなっているか、経常利益、純利益、純資産、この三つの点について、三井不動産と三菱地所の例で示してほしいと思います。

○中島政府参考人 二〇〇六年決算は未発表でございますので、二〇〇五年の数字で申し上げたいと思います。

 三井不動産。二〇〇一年度決算、経常利益七百二十八億円、これが二〇〇五年度決算では千百九十億円でございます。純利益、二〇〇一年、二百九十八億円、二〇〇五年度決算では五百六十五億円。純資産というお尋ねでございますが、ほぼ同義でございますが株主資本で御容赦いただきたいと思いますが、株主資本、二〇〇一年度は六千九十億円、二〇〇五年度は八千五百八十四億円でございます。

 三菱地所。二〇〇一年度、経常利益四百八十二億円、二〇〇五年度、千二百十二億円。純利益、二〇〇一年、マイナス、つまり赤字、七百十一億円、二〇〇五年度、黒字で五百五十八億円。株主資本、二〇〇一年、八千三百二十五億円、二〇〇五年度、一兆一千三百三十六億円でございます。

○穀田委員 私どもの調べた資料と少し違いはあるけれども、いずれにしても、国民の給与だとかがずっと五年間落ち込んでいるということからすると、不動産の最大手である二社は純利益も純資産も約二倍近い利益を得ているということだけは確かだ、ここは確認できる。

 私、見たんですけれども、この都市開発のやり方がまたひどいという現実があるわけですね。

 例えば、民間都市開発事業計画が認定された大手町の第一次再開発事業は、有限会社大手町開発がやっています。これは、東京都千代田区の大手町の国有地、合同庁舎跡地ですけれども、二〇〇五年三月に国から都市再生機構に随意契約で売られる、すぐ十一月には都市再生機構から大手町開発に売却される、わかりやすく言えば都市再生機構がトンネルになって譲り渡されたということなんですね。

 この開発全体を立案してきたのが大手町まちづくり株式会社というところで、社長は日本経団連の事務総長、取締役は三菱地所の社長、こういうところがやっている。

 この開発事業は、経団連会館をつくって、この合同庁舎跡地に移転して次々に建てかえをしていく事業だったわけですが、七〇〇%の容積率を一五九〇%、二・三倍にするなど容積率を緩和して、簡単に言えば、入居する経団連なんかは等価交換で入って大もうけする仕組みだ。こういうふうに、先ほど述べたようにもうけているということもあるんだけれども、やり方もめちゃめちゃというふうに言っておきたいと思うんです。

 民間活力と言うんだけれども、国有地売却がもうけの道具として使われたことは紛れもないやり方で、先ほど私が言いました、容積率を緩和して手品のような仕掛けをして大もうけできるやり方ということだけはあったということも少し指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、高度化という問題と、もう一つあった、住生活の安定、向上という点はどうかということについて見てみたいと思うんですね。「都市の居住環境の向上」ということをわざわざ目的に掲げた。そこで、全部をするわけにはいかないから、端的に一つだけ例を挙げて聞きたいと思うんです。低所得者の住生活は改善されたかどうかということ一点に絞って聞きたいと思うんです。

 東京などの公営住宅の募集倍率はこの間どうなっているか。九九年度と〇二年度、〇四年度について報告を求めたいと思います。

○榊政府参考人 東京都におきます公営住宅の応募倍率でございますが、一九九九年度、応募倍率十・八倍、二〇〇二年度、二十九・二倍、二〇〇四年度、二十八・五倍となっておるところでございます。

○穀田委員 ですから、九九年度は、これも大変だけれども、十・八倍だったものが、都市再生本部ができた〇一年度には、これは言ってもらっていませんけれども、二十二倍で、今言ったようにこの法律ができたときには二十九・二倍へと上がった、ひどくなった。

 住生活基本法による国の全国計画によりますと、「住生活の分野において憲法第二十五条の趣旨が具体化されるよう、」「住宅セーフティネットの確保を図っていく」とされているんですね。しかし、都道府県の計画では、十年かかっても現状の公営住宅応募者の七割程度しかカバーできない。

 つまり、私、なぜこの例を挙げたかというと、応募者がふえているというだけではなくて、ずっとふえていて倍率が高くなっていって、入れない人がたくさんいるという現状なんですね。だから、はっきり言ってこれは何の改善もされていないということを私は指摘したいんですね。

 だから、ちょうど二〇〇一年前後というのは、リストラや倒産が相次いで、不況の真っただ中で、低所得者が急増した時期なんです。にもかかわらず公営住宅の新規供給については絞り込んだ結果、その時期から募集倍率も高くなっているということなんですね。

 まさに、一つの例ではあるんだけれども、今、住生活基本法という法律をつくって、住生活をこういうふうに安定させるといった中で計画がつくられても、実際はこういう実態になっているということが示されているように、住民生活は置き去りになっているということが浮き彫りになっている。東京という例を見た場合には、片や大もうけしている、片や極めて困難になっているという現状があるということはおわかりいただけると思うんです。私はそこを指摘したい。

 そこで、大きな二つ目に、では、国土政策、地域活性化という関係で、大都市と地方都市との格差の問題について最後に議論したいと思っています。

 大臣は、この間の答弁で、一極一軸の国土というのは好ましくないと答弁されています。そこで、都市再生政策と東京への再集中が進んでいる関係について、この際聞いておきたいと思うんです。

 まず、民間都市再生事業計画が認定された二十四件のうち、東京の案件は何件あるか。二つ目に、都市再生政策で進んだ民間投資約六兆円と言われていますが、東京にはどれだけ民間投資がされているか、ここについてお聞きします。

○中島政府参考人 民間都市再生事業計画、認定を受けました二十四件のうち、東京二十三区内で実施されている事業は十三件であります。

 二点目のお尋ね、委員が言われた六兆円という数字は、十八年三月、都市再生本部事務局の調査でございまして、都市再生緊急整備地域における民間投資のうち、竣工済みあるいは着工済みのもの約六兆円のうち、東京都のプロジェクトは約二・二兆円であります。

○穀田委員 数値は、二・二兆円というのは、私はもう少し多いというのが実態だろうと思うんです。これは精査する必要があると思いますけれども、いずれにしても、都市再生政策の投入の大半が東京であるということがわかります。それらの事業の多くが実は、一番最初に局長から名古屋と東京の例についてるる説明がありまして、よくわかったのは、商業集客施設とオフィスビルと、住居も若干ありまして、あそこへ行きますと、物すごい立派なマンション、すごいマンションがあることもあります。

 そこで、実際に、東京二十三区内の現在のオフィスビルの床面積、そして都市再生事業などによる今後の増加予測については把握していますか。

○中島政府参考人 現在、オフィスのストックのデータでありますが、ちょっと調べまして、「東京の土地二〇〇五」という東京都の資料がございまして、これによりますと、二十三区内におけるオフィスビルの床面積のストックは、二〇〇五年一月一日現在でおよそ八千七百万平米というふうになっております。

 都市再生において今後供給される床面積の見込みにつきましては、申しわけありません、ちょっと今手元に数字がございませんので、お許しいただきたいと思います。

○穀田委員 今お話があったように、簡単に言えば極端に集中しているという現実なんです。だから、大臣は一極一軸というのはまずいと言うんだけれども、現実は、まずいどころじゃなくて、その事実に示されているぐらい極端に肥大化し、集中しているという現実が進行しているということを、方針としてそういう考え方として掲げるのはわかるんだけれども、現実はそれどころじゃない事実が進行しているということを私は見てほしいと思うんですね。

 その一方、では地方はどうなっているかということについて聞きたいと思うんです。

 地方の過疎化、衰退は実は深刻さを増しています。これは日本国土にとって大きな影響を及ぼす、過疎地域などにおける集落が消滅するという記事が、最近報道されています。

 そこで聞きます。一つは、今後消滅の可能性のある集落について、国交省が行ったアンケート調査結果ではどうなっているか。九九年との比較、そしてあわせて、それ以前は調査していないのかということをお聞きし、二つ目に、前回の調査以後、実際に消滅した地域はどうなっているかということについてお聞きします。

○渡邊政府参考人 今後消滅のおそれのある集落の数につきましては、本年中ごろを目途に策定を予定しております国土形成計画の全国計画の検討に資するため、過疎地域に指定されている市町村等を対象に昨年実施したアンケート調査に基づくものでございます。

 これによりますと、調査対象となった約六万二千の集落のうち、市町村の主観的な判断として、今後十年以内に消滅のおそれがあると判断される集落が四百二十二、十年以降に消滅のおそれがあると判断される集落が二千二百十九、合わせまして二千六百四十一の集落が将来的に消滅するおそれがあるとされております。

 ちなみに、平成十一年度にも同様の調査を行っておりますが、この時点では、今後十年以内に消滅のおそれがあると判断される集落が四百十九、十年以降に消滅のおそれがあると判断される集落が千六百九十、合わせて二千百九の集落が将来的に消滅するおそれがあるとされておりました。

 なお、平成十一年度調査と今回の調査では、市町村合併の進展等によりまして、過疎地域の範囲が異なっておりますが、仮に、平成十一年度の調査時点での対象地域で今回の結果を見ますと、今後十年以内に消滅のおそれがあると判断される集落が三百九十二、十年以降に消滅のおそれがあると判断される集落が二千一、合わせて二千三百九十三となっております。

 また、平成十一年度の調査時点から今回の調査までの間に消滅した集落数は、百九十一となっております。

 これ以前のデータはございません。

○穀田委員 ここをちょっと聞きたいんです。大臣、当時、新聞はこう言っていまして、この国から二千六百四十一集落が消え行く運命にあるということで、日本農業新聞はこの問題について警告を発しています。また、東京新聞も同じように、そのうち四百二十二カ所は十年以内だ、六十五歳以上の高齢者が半数以上の限界集落は一二・六%、七千八百七十三もあるということで、しかもこれが地方に集中しているという現実があります。

 コミュニティーが、今言った機能が維持できないいわゆる限界集落と、ほぼそれに近い限界化集落などがふえている。この事態をどう受けとめ、その原因についてどう認識しているか、所見を伺いたいと思います。

○冬柴国務大臣 東京一極集中はだめだ、これは全部、だれでもそう思うと思うんですね。しかし、昨年ですか、人口が東京でふえちゃっているんですね。十一万五千人ぐらいふえている。そして、それはどこから出てきたか。地方で十一万五千人減っているというようなことがありまして、我々の思いとは違う方向に進んでいるなという感じがいたします。

 こういう限界集落が出てくるということは、農用地の保全とか、あるいは林業ですね、森林の保全とかいうことも大変大きな影響がありますし、私どもは、冒頭申し上げましたけれども、この国土形成計画法における広域地方計画の中で、こういうものについて地方はどういうふうに考えていただくか、そして、それに対して国は大胆に資源を投入していかなきゃならないというふうに思うわけでございます。

 国土を保全するためには、やはりそこに人が住まなければなりません。しかし、深山幽谷にまで日本の人は住んでおられますし、そこをどうしていくのか、本当にみんなが真剣に考えなきゃいけませんし、それはそこに住む人たちが一番よく知っておられることですから、国土形成計画の広域地方計画を策定する論議の中で、そういう地方の方々の意見というものを伺っていかなければならないというふうに思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

○穀田委員 私は、感想的な発言でしかちょっとなかったかなと思うんですね。つまり、今の政府が行っている政策との関係でどうなのかということを検証する必要があるんですね。だから、私は先ほど来、この都市再生というやり方がほんまによかったのかということをずっと言ってきたわけです。

 その点では、以前からこういう問題については指摘されて、過疎化が問題になっていますよね。そして、今日のような深刻な国土の荒廃や空洞化というのは、とりわけバブル崩壊後、九〇年代にその端緒があらわれて、あわせて、構造改革による地方や地域の生活密着型公共事業がぐっと減らされるというもとで、集落の消滅などが加速され、進行している。その一方、対極にある東京一極集中がその格差を生み出した。

 だから、今、大臣は、一極集中はだめだとだれもが知っている、わかっている、こう言うんですけれども、まさに政府が今度進めている民間都市再生事業というのは、東京一極集中など大都市部への民間投資を加速する施策だ。だから私は、おかしいんじゃないかということを、今の、全体として見れば、論じてきたわけです。だから、むしろそのことによって地方再生や活性化を困難にする結果になるであろうということを、私どもは危惧せざるを得ない。

 しかも、現場へ行きますと、おととい大臣は尼崎の話をえらい持ち上げて、つち音高くなんという話をしていまして、聞いて私はびっくりしましたけれども、現実はそんなふうに格好よくなくて、京都でいいますと、京都駅南、それからキリンビール跡地、そして油小路なんというところが、大体大企業の跡地がずっとなっていて、もう全くそれは動いていないんですね。動いていないだけじゃなくて、住民不在のもとで超高層ビルの建築だけはもう進行している。だから、京都に、そういう地域に九十メートルの高さのビルが建つことだけはもう承認されている。周りの人は何が行われるかもさっぱりわからない。何の説明もないというまま三年推移している。これが現実なんですね。

 だから、確かに、尼崎の問題もきょう議論してもいいんだけれども、きょうは時間がないから終わりますけれども、私は、そういう意味でいいますと、地域住民、周辺住民も困難にさらされるし、まさにミニバブルまで起きている。この政策がもたらすものは、そういう意味で、今国民が目指していたり、不安を投げかけている問題を一層助長する結果になるであろうということを私は最後に申し上げて、終わります。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

○塩谷委員長 次に、糸川正晃君。

○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 私も十分という非常に短い時間でございますので、できるだけ多く質問したいと思います。

 近年のグローバル社会におきまして都市間の競争が激しくなっておるわけでございますが、その都市の再生を推進することによって、都市の経済力また魅力、こういうものを高めることが非常に重要となっているわけでございます。首都圏などの大都市部を見ますと、民間によります大規模プロジェクト、こういうものが次々と立ち上がっておるわけでございまして、都市再生施策による効果というものが着実にあらわれているのかなというふうに思いますが、他方、地方部におきましては、地域経済が疲弊しているなど、地域の活性化が喫緊の課題となっているというふうに思います。

 そこで、都市再生を推進し、地域の活性化を図っていくべきだというふうに考えておりますけれども、冬柴大臣に一問お尋ねいたします。

 今後の都市再生をどのように推進されていき、そして、それによりまして、地域の活性化、これをどのように図っていくおつもりなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○冬柴国務大臣 まちづくり交付金とかを利用しながら、地方の都市について自主的に、このように活性化したいという具体の案を達成する目標等も示して整備計画の申請をしていただき、それを我々が確認すれば、まちづくり交付金を活用して積極的に、市町村の創意工夫を生かしたまちづくりを支援していこうということでございます。

 例を挙げないと抽象的でわかりにくいものですから、例えば福井県、現在五市町、九地区においてこの制度が活用されております。そのうち勝山市の旧勝山城下周辺地区では、平成十六年度より、歴史的町並みを生かしたまちづくりとして、町中散策路や広場等、地域生活基盤施設や既存建築物を活用した地域交流センター等の整備を実施することにより、町中に市民や観光客を呼び込み、地域の活性化を図っていられます。

 これは、その前には大型店舗が郊外にでき、中心市街はいわゆるシャッター通り、そしてお年寄りの方々はなかなかそういうところに買い物に行けない、今まで長年買い物をしていた肉屋さんも八百屋さんも魚屋さんもシャッターが閉まる、そういう状況の中で、この町をどうするのかということについて、今のような、歴史をそれぞれ持っているわけですから、そういうものを生かしてまちづくりをしようということで、市民あるいは観光客を呼び込むということは一定の成果を上げつつあると思います。

 それで、私どもは、今回、都市再生特別措置法を改正しまして、NPO等の地域の担い手のすそ野をさらに拡大しようとしているわけでございまして、それによって、全国の都市再生を強力に推進して、地域の活性化を取り戻したいというふうに考えております。

○糸川委員 大臣、ぜひ、この法律が改正されていって、その中で、都市部と地方部の格差というものが今いろいろ話されている最中でございますが、場合によってはその格差が拡大してしまうんじゃないかという懸念もございますので、その辺はよく注視していただいて、見ていただきたいなと思います。

 次に、密集市街地の改善についてお尋ねをしたいと思います。

 今回の改正によりまして、制度スキームとして、密集市街地の改善に対する課題への対応、これを行っているようでございますが、実際にこうした制度スキームを利用して密集市街地の制度改善を行う際には、地方公共団体の役割が大きいと思うわけでございます。

 ただ、地方公共団体の中には、密集市街地の整備を担当する部署に権利関係の調整等のノウハウを持った人員が不足しているところも見受けられるわけでございまして、これが密集市街地の整備における課題の一つになっているんではないかなというふうにも考えるわけです。

 そこで、これは住宅局長で構いませんが、地方公共団体の職員が不足している、こういうことが密集市街地の整備改善が進まない一つの理由ではないかなというふうに思いますが、その対応策、これはどのようにされているのか、お答えいただけますでしょうか。

○榊政府参考人 委員御指摘のように、公共団体の密集市街地の整備ということになりますと、複雑な利用関係ですとか、いろいろな方が住んでおられることもございまして、その整備を担当する部署に、住宅のあっせん、権利調整のノウハウを持った人員が不足していることがございます。このような人員が不足しておりますために、地区整備が進捗しないという原因の一つにもなっております。

 このために、具体的には、都市再生機構が実はこういうところで事業をやっておりますので、そのノウハウを活用いたしまして、地区の整備事業の立ち上げ期におきまして、公共団体と連携をして、地区の現況調査、地区の整備構想の策定、公共団体や関係権利者との調整など、事業の推進を図るためのコーディネートの取り組みを現在実施させていただいております。

 さらに、今回の改正ができますれば、都市再生機構によりまして、地方公共団体から要請があれば、受け皿住宅の建設ができるようになります。こういったようなことで対応していきたいと思います。

 さらに、住民の積極的な参加を促しながら、まちづくり協議会等の活動を通しまして、住民や地権者などが、地域がみずから課題に対応しようとする場合に、まちづくり交付金等を活用いたしましてこの活動も支援ができる、こういうふうになっております。

 これらを通じて、各地の密集市街地の整備改善のための取り組みを支援してまいりたいと思っておるところでございます。

○糸川委員 ありがとうございます。

 もう私の持ち時間はほとんどございませんので、最後に一問、私も道路法の改正につきまして質問をしたいと思います。

 道路は、物流、人流の観点から重要な交通インフラであるということと同時に、都市や地域における貴重な公共空間でございまして、町並みの形成ですとか、人と人の交流、触れ合いの場、こういうものとしましても重要な役割を担っているわけでございます。

 今回の道路法の改正は、まさにまちづくり、そして地域づくりの観点から、市町村や地域住民等のニーズに即して柔軟に道路管理を行うための改正であるというふうには聞いておるわけでございますが、その点に関しましては私は評価はしております。

 ただ、これも局長で結構でございますが、改正内容について具体的にお聞きしたいと思う点が一点ございます。

 今回の法案におきましては、地元の市町村が国道や都道府県道の管理を行うことができる、こういう制度を創設するというふうに聞いておりますが、具体的にどのようなケースを想定されているのか、また、これによってどのような効果を期待されているのか、お尋ねいたします。

○宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 こういった今回つくります特例の適用のケースでございますが、例えば、ある市町村の駅前を通る都道府県道、そういうものがあった場合に、住民の方々の利便性を高める観点から、その市町村みずからが、歩道の拡幅でありますとかあるいはバリアフリー、そういうものをやるというような場合、あるいは、市町村道と都道府県道が交差するときに、市町村道と都道府県道を一体で整備したい、そういう歩道を整備したいという場合、あるいは、市町村のイメージアップの観点から、国道、都道府県道、市町村道をあわせて、例えば統一の並木道をつくりたい、そういったような場合を想定しております。

 今回のそういう特例制度の創設によりまして、バリアフリー化でございますとか、地域のにぎわいの創出でありますとか、良好な道路景観の形成といった、地域のニーズに即した道路の整備、管理、そういったものが可能になると考えております。

○糸川委員 時間が参りました。質問を終わります。ありがとうございました。

○塩谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

○塩谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

○穀田委員 日本共産党を代表して、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 本法案は三法をまとめて改正するものですが、中心は都市再生特別措置法における民間都市再生事業計画の認定申請の期限延長です。

 反対する理由の第一は、本法案により認定の申請期限が延長される民間都市再生事業計画が、大企業に対する優遇策であり、住民不在、追い出しの町壊しを促進させるものであるからです。

 我が党は、都市再生特別措置法について、二〇〇二年の制定時に、大企業のもうけを確保させるために都市を再活用する枠組みづくりであるとして反対しました。これまでに民間都市再生事業計画として認定された二十四件の主な認定事業者及び出資会社は、二倍から三倍を超える大きな利益を上げています。都市再生政策が大企業のもうけのための施策であることは明らかであり、大もうけしている大企業にさらなるもうけを保証する必要はありません。

 また、民間都市再生事業の多くが、大企業工場跡地や遊休地の再開発、大企業本社ビル等の建てかえなどであり、住民不在のもとで超高層ビルなどが建築されています。周辺地域にも地価上昇が波及し、実態を離れた不動産市場の形成やミニバブルを招いています。これらが、住民を追い出す地上げや町壊しを促進させることになりかねません。

 反対する理由の第二は、今後も民間都市再生事業を進めることで、東京一極集中が進むことになり、地域間格差を拡大することになるからです。

 認定された二十四件の民間都市再生事業計画のうち十三件が東京二十三区内の案件であり、東京への民間投資が加速されるのは明らかです。政府は本法案を地域活性化施策の一つとしていますが、地域活性化に役立つどころか、むしろ地方再生、活性化を困難にします。

 以上、反対の理由を申し述べ、討論とします。

○塩谷委員長 これにて討論は終局いたしました。