国会会議録

【第166通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2007年5月9日)

エキスポランドのジェットコースター脱線死傷事故についてと、タクシーの規制緩和問題について質問。

○塩谷委員長 穀田恵二君。

○穀田委員 ジェットコースター事故についてまず聞きたいと思います。

 亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げ、また、御遺族の方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。負傷された方々に対しては、心よりお見舞い申し上げます。

 あってはならない事故であり、私、いつもこういう事故が起こったときに言うんですけれども、未然に防ぐ手だては本当になかったのかという立場から点検する必要があるんじゃないだろうかと思っています。

 事故原因などはこれからですが、管理者であるエキスポランド社、さらには監督すべき吹田市の責任も問われます。そして、探傷検査も義務でなかったなど行政の対応や制度面など管理体制も不十分であって、その点でも、きちんとしていれば未然に防ぐことはできたのではないかという思いを私は強くしているところであります。

 そこで、国民の安全、安心が問われている中で事故発生が相次いでいまして、極めて異常だと思っています。

 建築基準法関連の事故も多いわけです。特に、点検検査の問題では、四月、六本木ヒルズで火災が起きたエレベーターも、保守会社がワイヤのさびや汚れを放置していたことが問題になっています。エレベーター事故については、昨年、港区の住宅で中学生が亡くなりました。原因がいまだに特定できていません。

 この事故を受け、点検検査のあり方について、国交省は、社会資本整備審議会の建築分科会の中の建築物等事故・災害対策部会で議論してきました。私どもも再発防止に関する申し入れを行ったところです。その中で指摘したことですが、昇降機の維持及び運行の管理に関する指針がありますが、これについて、私は、内容の充実、改善を行った上で法令化すべきであると提案しました。

 今回の遊戯施設について、検査基準のあいまいな位置づけを正すためにも、年一回の探傷検査を規定した、遊戯施設、いわゆるコースターですね、この検査基準、JIS規格を法令化することをあわせて提案したいと思うんですが、その点についての御所見を伺いたいと思います。

○冬柴国務大臣 委員からその名前も言われましたけれども、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会等にお諮りをいたしまして、今御提案がありましたような点につきましても、今のJISに決められている部分というのは、探傷試験ですね、こういうものがもっと明確な法規範の中に入れられるべきであろうと私は思っておりますけれども、専門家に諮りまして、検討させていただくことをお誓いします。

○穀田委員 この問題は私ももう少し勉強をさせていただいて、事態がいろいろわかるでしょうから、引き続き質疑をしていきたいと考えています。

 そこで、議題になっているタクシー業務適正化特別措置法についてお聞きします。

 大臣に、タクシー問題の一連の問題ということの基本認識についてお聞きしたいと思うんですね。結局のところ、今、タクシーをめぐる問題で解決すべき問題は何なのかという点について、まず大きな立場から御所見を承りたいと思います。

○冬柴国務大臣 自家用乗用車の普及が急でありまして、それ以外の公共交通につきましては、程度の差こそあれ、同じような問題を抱えているところであります。民間鉄道あるいはバス等、地方に行けば行くほど、そういうようなものが採算が立たずに廃業をしていく、廃業を申し出ているということ等が起こっているわけでございます。

 私は、視点は、余り明瞭ではないけれども、タクシーにつきましても、やはり乗客が極端に少なくなってきているというところ、それからもう一つは、バブルにおける非常に極端な経済の落ち込みというものがタクシー離れを引き起こしたと思われるわけでございまして、それがなかなか回復しない。しかしながら、新たな需要としましては、乗用自動車をみずから運転したりできない人たち、そういう人たちの需要は、タクシーというものが非常に貴重な存在だというような、今タクシーを取り巻く事情があろうと思います。また、不況の中でリストラに遭われた人たちが、私もタクシーに乗りますが、そのようなことを選択している人もあります。

 こういう中で、ちょっとほかと違うのは、不況だからということで倒産するかというと、倒産しないんですね。それは、事業者の利益というのは、本当に物すごく薄い利益率だけれども、利益があるんですね。そういうことで、そのしわ寄せは、非常に極端な歩合とか成績給を採用しているために、売り上げの減少というものがもろに労働者の賃金にはね返ってくる、そういう非常に特殊な業態になっているというのが私は一番大きな問題だと思います。

○穀田委員 最後の方は同感なんです。前の方は状況なんですね。

 私は、前の方から行けば、総合的な交通政策をどうするかという問題と、移動の権利をどう守るかという角度からどうやって全体の交通政策を考えるかという問題だと思うんですけれども、タクシー問題に限って言えば、やはり最後におっしゃられたように、極端な歩合制がやられていて、どういう形態かはもう少しあるわけですけれども、働く労働者の収入が低過ぎる、これを全体としてどう上げるかということと、二つ目には、安全性を向上する、この二つがはっきり言えば焦点なんですね。

 私は、こういうパンフレットもいただいてきたんですけれども、自交総連の「もうひとつのタクシー 確かな再生へ」というものをいただいたんです。その中にも書いているんですけれども、私が思ったのは、タクシーの運転手の劣悪な労働条件はタクシーの安全性に重大な影響を与えている、ここは明瞭だということだと思うんですね。だから、ここからすべて立て直すということが必要なんだという立場に立つことが出発点ではないかというのが私の考えなんです。

 その上でもう一つ、では、市場の競争を促進した規制緩和はどういうものだったかという問題について、先ほど因果関係はわからぬと言っていましたので、私はそうじゃないという意見なんですが、どうなのかということだと思うんです。

 当時、利用者サービスは向上する、需要の拡大によって事業は発展する、働く労働者の労働条件は向上するというのが道路運送法改正の際のうたい文句でした。私どもは、過当競争と運転者の労働条件の低下を生み出し、安全が脅かされると反対しました。

 規制緩和の後どうなったかというと、タクシーの最大のサービスである安全は向上したか。事故件数は〇三年から〇五年の間で二万七千件を超えて高どまり、タクシー労働者の低賃金は大問題としてメディアでも取り上げられるほどであります。先ほど大臣もお話あったように、〇五年の所得は三百二万円で、年間所得でいいますと、九一年をピークに減少していまして、全産業平均の五五%しかない。労働時間は二千四百時間を超えるといったひどい実情です。

 そういうもとで、タクシー小委員会の報告書がまとめられて、市場の失敗というものを認めたのは初めてなんですね。その中で、輸送サービスの質の確保、向上のための新たな仕組みを構築するとされました。その具体化とされる本法案で、輸送の安全、運転者の質の確保、向上のためにどのような改善が図られるのか、お聞きしたいと思います。

○岩崎政府参考人 一つは、登録制度の指定地域の拡大でございます。東京、大阪に限定しておりましたけれども、主な政令指定都市等にも拡大をしていきたいと思っております。

 それから、今まで東京、大阪でやっておりました登録制度等につきましては、輸送の安全の観点が抜けておりました。利用者の利便について、それを損なうようなものについていろいろな規制をしておりましたけれども、今回は輸送の安全についての観点も取り入れたところでございます。

 重大事故、重大な違反を起こした悪質な運転者を排除するということによりまして、タクシーの質の向上、安全の確保というものにつなげてまいりたい、このように思っているところでございます。

○穀田委員 これは、働く運転手に着目しているというのが一つの特徴なんですね、それはわかるんです。でも、きのう参考人質疑で議論になったのは、悪質な事業者が退出しない、本来退出されるべきものが機能しないというふうに言われたことも一つの特徴なんですね。本来、供給の側が絞り込むということをしないとだめなんですね。それをできないから、たまたまそういうところに着目しているというのが本質じゃないかなと私はふと思ったところであります。

 そこで、そうはいってもあれですから聞きたいんですけれども、今言った運転手の登録制度についてです。

 先ほどから議論になっていましたが、タクシー小委員会の報告では、安全運行のために地理試験の合格を運転者登録の要件とすることが必要とされていました。ところが、先ほど来お話あったように、地理試験は現行どおりで、東京、大阪だけだ、拡大される政令市では実施されない。なぜ地理試験を外すのか、骨抜きではないかと私は考えるんです。これはみんな質問しているところなんですね。

 先ほど局長はいろいろ言うんですけれども、確とした話をしてほしいんですよ。岩崎さんはこう言うんですね、効果測定と言うんです。やるのかと言うと、うなずく。うなずくじゃ困るんです。それで、補講をやると言うんですね。だから、効果測定をやる、補講をやると言っているんだけれども、それだったら、例えば補講するといって、大学の試験を例に出すのがいいかどうか、そんなところはないといったらしかられるのであれですが、赤点をとって補講を受けたら合格させるというわけにはいかないんですよ。だから、そこのところをもう一度はっきり言ってくれと。

 私は、講習の成果を総合的に確認すると言うんだったら試験したらいいじゃないかと。あなたは効果測定、補講と言っているんだけれども、ペーパーの試験をするんやな、テストをするんやな、もう一遍はっきり言ってください。

○岩崎政府参考人 今度拡大する地域につきましても、全般的に言いますと、地理についての利用者の苦情もある程度の数に達しておりますので、タクシー運転者に地理に関する知識をきっちりしていただくことが重要だろうと思っております。

 ただ、東京、大阪と比べますと、例えば札幌とか京都なんか典型的でございますけれども、そんなに都市構造が複雑じゃないということで、いわゆる東京、大阪でやっているほどの厳しい試験をやるということについては適切ではないと思っております。

 ただ、繰り返しになりますけれども、こうした地理についても講習をやりますが、その講習の中で、本当にちゃんと知識を習得したか、理解したかということについてチェックすることが必要だろうと思っておりまして、先ほど来申しておりますように、講習の中で効果測定等によって知識の確認を行って実効性のあるものにしていきたい、このように思っているところでございます。

○穀田委員 そこでうなずいてくれずに、テストするんですね、はいと言ってください。

○岩崎政府参考人 テストというやり方も含めて、効果測定の方法について、きっちりしたものにしてまいりたいと考えております。

○穀田委員 そのとき、いつも局長は札幌と京都という例を言うんだ。そんなもの、私は京都に住んでいるけれども、あそこはそう簡単じゃないんや。多分、札幌も京都も南北東西がわかりやすい、それだけの話で言っているから困るねん。そんなもの、あなた方の調査によっても、京都に行く人のニーズは何か。北と南と東西じゃないんですよ。お寺はどこかという、名所やそういうところに対する希望が一番多い。それが答えられないというところで、多いわけなんですよ。だから、それぞれの地域に従ってそれぞれの要求があるんだということが大事なんですね。だから、それに基づいて試験をしなさいと言っているわけなんですね。

 札幌と京都なんて、私は京都に住んでいるんだから、それをごまかしちゃ、そんなこと通用すると思ったら大間違いですよ。そんなもの、山科だとか伏見なんてわかりゃしないんだから、私だってわからないんだから。だから、そういう話をしちゃだめなんです。だから、講習であってはならない。

 まして、おたく、自社でも結構だなんて言っているけれども、それ本気で思ってはるのか、本当にそれでいいわけですか。ちょっともう一遍。

○岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、単に講習の受けっ放しということにはしたくないと思っております。そういう意味で、講習の効果測定なんかをやって、きっちり実効性のあるものにしたいと思っております。

 それから、今の御質問の自社のことでございますけれども、自社でやりたいということを排除するというような制度にはしたくない、こういうことでございまして、もしやりたいという希望が出てきた場合に、自社でやるものの内容、どういう講習をやるのか、どういうレベルの講習をやるのか、どれぐらいの水準のものをやるのかということをちゃんとチェックした上で認めていきたいと思っておりまして、野方図に、どんな講習でもだれがやってもいいよという制度にはしたくないと思っております。

○穀田委員 これも、あなた、現場を知らぬということの証明なんですよ。タクシーの運転手を募集します、行ったらどうすると思いますか。そんな講習をまずすると思いますか。違うんです。きょうから動けるか、こう言うんだよ。そういう現場を見て、それでこんなこと、自社で講習するなんということがほんまにええかということなんですよ。

 次、どう言うか。どういう教え方をするか知っていますか。初めてやさかいに教えてくださいと言えばいいから、こう言って教えるんですよ。そこまでやっている実態を知ってはりますか。それを自社の講習でやるなんということで逃げたらあかんということを言っているんですよ。そういう現実を見て対処しなかったら、本当の安全を確保するということについて、だめだと。

 だから、労働者を一刻も早く運転業務につかせたい事業者に任せたらハードルを下げることになりはしないかという不安と、現実を見て対処せなあきまへんよと言っているんです。どうですか。

○岩崎政府参考人 確かに先生のおっしゃるとおり、タクシー事業者は中小零細な方も多いわけでございますので、なかなか十分な講習が行き届かないところもあるかと思います。

 ただし、私どもが幾つか聞いているところでは、必ず事業規模に応ずるわけではございませんけれども、運転者を雇用して、直ちに乗せないで、十日なりそれ以上のちゃんとした講習をやって、それも、例えば地理なんかについて、指導運転者がつきっ切りで何日か実習させるというようなことをやっているという事業者も、最近なかなか厳しくなってできないとこぼしておりましたけれども、ないわけではございません。

 繰り返しになりますけれども、どんな講習でもどんな内容でもいい、そんなことを我々は考えているわけではございませんし、具体的にこの会社のこういうものと想定しているわけではございませんけれども、今後、制度設計をするに当たって、本当にいい内容の、いいレベルの講習をやっているところがあれば、それを排除しないようなことにはしていきたいと申し上げているところでございます。

○穀田委員 そういう場合、私が自社でやったらあかんと言ったら、すぐ中小企業の例を出して、そういうこともあるんだからというようなことを言って、何となく矛先を鈍らすような話をしてはあきまへん。

 やはりこういうものは、あかんものはあかんのです。中小企業がそういうことをやっているわけじゃないんですよ。そういうところはそういうところで本当に生き抜くための努力をしていて、また事業者としての矜持、それから働く運転手の協働という努力をしているところもあるわけだから、それは当たり前なんですよ。問題は、そういうときに厳しいハードルをつけてやるということをしっかりやれということであります。

 しかもそれは、私としては、利用者のそういう意見が反映されるかどうかというのが一つのポイントではないかと思うんですね。安全や安心を確保するためには、今言った、省が頑張ります、それはそれでいいけれども、講習の内容や認定基準を定めるときにも利用者が参加すべきじゃないかと思っているわけです。そこの点について意見を聞きたい。

 特に、実際、その点との関係で見たいのが、各地で規制緩和の法改正を受けて事業の適正化を推進するための協議会が設置されているわけですね。その協議会には、国交省の通達で、事業団体、労働者団体などに加えて、利用者代表、関係行政機関、地方公共団体等が参加することが望ましいと書いているわけです。

 ですから、私は、今言ったように、講習の内容や認定基準も地域ごとに違うだろう、だから利用者も参加する。そして、そういうもので言いますと、おたくのところがやっているタクシー事業の適正化を推進するための協議会でもそうなっておるんだから、そうしたらどうやという点についてはどないですか。

○岩崎政府参考人 講習の内容、レベルを考える場合に、やはりそこは、安全の確保、利用者の利便の向上のためにやるものですから、今、利用者がどんなふうな苦情があるかとか、利用者の声を反映させるという仕組みを考えていくというのは重要なことだと思っております。

 どんな形で具体的にやっていくかということにつきましては、先生御指摘のタクシー業務適正化の協議会というのが設置されておるのを承知しておりますので、まだこれからの制度設計でございますけれども、利用者の意見を反映するような形で、どんな仕組みにするかは考えていきますが、いいものにしていくように努力していきたい、このように思っているところでございます。

○穀田委員 今私が言いましたように、現実にある協議会などでそういう経験が出ているわけですから、一番大事なのは、先ほど言いましたように、この問題については、それを受ける側の利用者の意見を聞くということが大事かなと思っています。

 そこで、大きな二つ目に、私は労働者の賃金を上げるという問題について一つだけ質問しておきたいと思うんです。

 これはやはり歩合制に手をつける必要があるんじゃないかと私は思っています。この報告書では、運転者の賃金体系は歩合制が主流となっている、こういったタクシーの特性を背景に、「経済学で言ういわゆる「市場の失敗」が生じ、問題のある事業者がなかなか市場から退出せずに温存されてしまう」、こういう点をきのう参考人の方々はずっと言っていたわけです。さらに、報告書は、「そもそもタクシーは車両価格が相対的に低く増車が容易な上、歩合給の賃金体系を採っている場合には、増車リスクを運転者に転嫁することが可能であることから、事業者が安易に増車を行い、」と指摘しているわけですね。

 大臣も、一番最初に極端な歩合制という問題について発言がありました。だから、この点についての改善のめどなり方策はとられているのかという点についてお聞きしたい。

○岩崎政府参考人 どういう形で給料を支払うかというのは、基本的には労使の問題だろうと思っております。歩合制をとるというのは、タクシー事業の今の事業者それから運転手が外で働くというような中で、ある程度こういうことが定着しているのは事実でございます。

 私どもの方は歩合制自体についてとやかく言うことではないんだろうと思っておりますが、そうしたことは、渋滞でありますとか、増車でありますと環境問題でありますとか、いろいろな形で影響が出ていることはある程度あろうかと思っておりますので、そうしたものについて、安全の問題を含めていろいろな対策を考えていきたい、このように思っているところでございます。

○穀田委員 この辺になりますと、もごもご言って、さっぱりやね。やはり一番肝心なのはここなんですよ。極端な歩合制ということで、累進歩合制をとっているところが広くあるということも御存じでしょう。そこにメスを入れなきゃならぬと思うんですね。それが一つある。だから私はこの問題を今後もずっと追及していきたいと思うし、歩合制というやり方でいけば、結局、供給の側の、タクシー会社としての車をふやす側のという意味での供給ですが、これがいつでもできるということなんですよ、自分に響かぬわけだから。ここにメスを入れない限り供給過剰の現実をなくすことはできない。だから、運転手の質に着目するのは大事だけれども、ここにも書いているわけだから、ここもしなさいよということを言っているわけです。

 もう一つ大事な点は、先ほども同僚議員からありましたように、運賃の値上げの関係で、労働条件の改善を理由にしているということが先ほど大臣からもありました。そうすると、労働条件の改善を理由にしている以上、そういうときだけ労使の関係だと逃げずに、この問題が本当に、自分たちの運賃値上げの申請がそういう理由である以上、労働者の条件の改善が確実に行われるべきである。その点については、当然、そういう申請があるわけだから、それをちゃんとしなさいよという点での保障はどうとるのか、お聞きしたいと思います。

○岩崎政府参考人 今回の運賃改定は、先生御指摘のとおり、労働条件の改善をしたいということで事業者から申請が出てきたものでございます。

 既に長野と大分では運賃改定を認可いたしましたけれども、そのときの認可の際に、地方運輸局長から事業者団体に対しまして、各事業者において適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること、それから、運転者の労働条件改善についての考え方を利用者に対し積極的に表明すること、それから、しかるべき時期に運転者の労働条件の改善状況について自主的にその実績を公表することということを指導しているところでございます。

 さらに、事業者団体における労働条件の改善状況の公表の結果を見まして、運賃改定の趣旨を逸脱するようなものと認められるときには、その事実関係の公表、必要な指導等を考えてまいりたいと思っております。

○穀田委員 ですから、今の通達を国民にもしっかり知らせ、守らせるということについては責任を持っていただきたいと思います。

 最後に、一番最初に大臣は、日本のもとで、バブルだとか、それから公共交通の利用者が減っているという問題があるということを言っていました。私は、それはそれで一理あると思うんですね。しかし、需要が減っている、だけれども車両は規制緩和以後二万数千台ふえている、だから規制緩和の因果関係がわからぬというんだけれども、そうじゃなくて、規制緩和後はどうなったかというと、参入が自由になったということでふえ出したということなんですよ。ふえ出すことによって起きている事態なんですね。

 単に、需要が減っている、そうしたらパイが小さくなるわけですから、当然車両が減るというのが普通であれば市場の原理なわけだけれども、そうじゃなくて、規制緩和をそこに入れることによって、参入自由という形で行うことによって、事業者の側は、損はしないという歩合制をてこに、それで参入するという事態が生まれているということなんですね。

 だから、そこをやはり改善しなければ、先ほど大臣自身も、労働者の賃金が上がることが大事だとおっしゃっていたわけですけれども、結局一台当たりの収入が減るのは当然なわけですから、ここのところの悪循環に歯どめをかけるためには、やはりもとへ戻って、もとへ戻ってというのは全部すべて戻せという意味じゃないですよ、需給調整をして、そういう車両がどんどんふえるというやり方を規制しないとあかんという意味での、市場の失敗を労働者にしわ寄せしちゃならぬという角度から物を考える必要があるんじゃないかと思うんですが、その見解を最後にお伺いしたいと思います。

○冬柴国務大臣 先ほど来、大変難しい問題と思って考えているところでございます。

 やはり、自由主義経済をとっている以上、本質的には、どういう事業にだれが参入していくかということは、職業選択の自由もあれば、本当にそういう中で起こっている問題でして、極端な歩合制度というものは、この世界でこういう事態を招いていることも事実、私はそう思っています。だからといって、ではその歩合制度をやめさせるような法制度、仕組みというのができるのかどうか、これも難しいんですね。

 しかしながら、これが労働者にしわ寄せされるということは客観的に事実ですから、そこら辺を労働省とも考えていただいて、単に労働時間とあるいは最低賃金が守られておればもうそこからは一歩も出られないということじゃなしに、何かそこに考えるところはないのか。きょうの委員の御質問もその趣旨があると思うんですけれども、私は、委員のように、もうちょっとそこを規制して、もう一遍参入規制をきちっとせいと、そこまで言っていませんけれども、そういうふうなことを私の方では、ちょっとその点は考え方が違いますので、よく考えさせてください。

○穀田委員 よく考えていただくのはあれなんですけれども、一番肝心なところは、労働者の働く条件をよくする、そのことによって安全性が保たれる、そのことによって業界全体をうまくする、軸はそこだと思うんですね。だから、その意味で規制緩和は見直すべきだということだけ主張して、終わります。