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【第166通常国会】 衆議院・国土交通委員会 ○塩谷委員長 穀田恵二君。 ○穀田委員 穀田恵二です。 四人の参考人には貴重な御意見を本当にありがとうございました。法の今後も含めて、我々がどういう点を注意すべきかということも含めて御示唆をいただきまして、ありがとうございます。 では、座らせていただいて質問させていただきます。 まず、村上周三参考人と金子光邦参考人にお尋ねします。 耐震偽装の被害者は、深刻な状況に追い込まれています。言うまでもなく、二重ローンの負担であります。瑕疵担保責任の制度をつくろうというとき、建物を担保に住宅ローンを組んだ金融機関にも一枚かんでもらおうというのは、私なんかにすれば非常に当然だと思うんですが、その点についてお聞きしたい。 住宅瑕疵担保責任研究会報告書では、銀行保証について、結論的に、履行確保措置の選択肢について慎重な検討が必要と考えられるとしています。最終報告を出す上でどんな検討をされたのか、これは村上周三参考人にお聞きしたいと思います。 そして、金子参考人には、消費者保護に対する責任という観点から、可能性はこれはないのか、また、銀行も一定のリスクを負うべきじゃないのかと思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。 ○村上参考人 金融機関がどこまで責任を持つかということは、これはいろいろな議論がございますが、審議会では、金融機関の責任を問うかどうか、そういうことは一切審議がなかったと思います。 それで、一般の金融商品で、取引の後に、それは金融機関とその借り主との合意に基づくものでございまして、その先の責任を金融機関に問えるかどうか、私、そういう法律的な部分は余り詳しくございませんけれども、少なくとも私が今まで関係方面から聞いているところでは、それは難しいのではないか、そういうふうに聞いております。 ○金子参考人 私もそういう考え方があるということは十分承知しておりますし、そういう制度として、外国には専門用語でノンリコースローンというんですか、担保の評価の限りで責任を果たすというのもあるようですけれども、日本ではそれは採用されていない、契約段階でそういうふうになっていないわけですね。 だから、事故が起きてから銀行も責任を負えと。銀行とすれば、私、別に銀行の代弁をするわけじゃないですけれども、貸し主としては、住宅融資をするについては、それなりの検査、建築確認はもちろんのこと、あるいは住宅保証制度をとっているかというような行政に対する信頼というか、それができている建物だという前提で、自分で検査しているんじゃないんだと思うんです。 ですので、何とかその辺をできる考え方はないのかということを考えないわけじゃないんですが、現時点では、現制度上は難しいというふうに残念ですが言わざるを得ない。 ○穀田委員 では、和田勇参考人と吉田浩二参考人にお尋ねします。 村上参考人も、供託問題を初めとした形態をとったのは多様な供給形態に対応しているということを言うておりましたけれども、瑕疵担保責任履行のための資力確保の義務づけの際、資力確保の方法として供託がなぜ入れられたのかという点をお二人にお聞きしたいと思うんです。 その上で、和田さんにはもう一点。 参議院でも議論がこれはありまして、先ほど、努力している事業者と怠っている事業者との差別といいますか区別といいますか、そんなことを言うておりましたけれども、中小の工務店が、地域に密着して、家族も友人も兄弟も住んでいる、そういう努力をしているということを言うておりました。私は、その意味で、中小業者への優遇システムというのはどう考えるのかということについてお聞きしたいと思います。 吉田浩二さんにはもう二点。 供託という企業にとって利益を生まないやり方について、株主に対してどのような説明が必要と考えるか。 それからもう一点は、供託した場合でも、住宅保証基金を支えるための拠出金の負担をすべきではないかという考えもありますが、その辺はいかがでございましょうか。 ○和田参考人 今先生のお話の、供託をどうして採用したかというお話でございますけれども、これは、どちらかというと、今まで保険とかそういうような制度がありましたけれども、今回の事件で、倒産してしまった場合、どこにも言っていくところがないから、それをやはり担保するのはそういうのがいいんじゃないかなと思って、我々としても国交省さんの意見には賛成をしているわけでございます。 それから、中小の優良な工務店、これはやはり地元で何百年という仕事をやっておられる非常に優秀な工務店がたくさんいらっしゃいますから、先ほど私も意見陳述で申し上げましたけれども、優良なものをつくっているところには何か優遇措置をというのは、これは大小とか関係なしに、いいものをつくっている人にはやはりそういう優遇をやっていただくのが正しいんじゃないかなと思います。だから、それは大だとか中だとかあるいは小だとか、そんなのは関係ないというふうに思います。 ○吉田参考人 なぜ供託が採用されたかということですが、もちろん保険以外に資力を確保する手段というのはあるわけで、供託あるいは信託等も検討されたという事実がございます。 その中で、最終、保険と供託ということになったわけでございますが、私どもの立場としては、保険ありきというのはやはり状況としておかしいのではないか、いわゆる建設業者さんあるいは販売者の方も、いろいろな選択肢がある中で同様の資力確保ができれば、それはそれで選択肢の多様化という観点からよいのではないかという主張もしてきたわけでございます。そういう意味でいえば、一応選択肢がふえたということは、我々の主張を入れていただいたというふうに感謝をしているところでございます。 それから、供託は利益を生まない、これは現金を想定されていらっしゃるのかもしれませんが、そのほかにも債券等も差し入れられるということですから、そういう意味では全く利益を生まないということではなかろうというふうに思っておりますし、また、保険との選択ということでございますから、そのどちらかを選んだということについてその企業が合理性を主張すれば、株主から御非難をいただくということはないのではないかなというふうに思っております。 それから、拠出金を供託を選んだ方もするべきではないかというお話でございますが、私どもとしては、その関係者ではございませんので、ちょっと妥当なのかどうか、その辺についての判断は控えさせていただきたいと思います。 ○穀田委員 では、金子参考人に、今の最後の供託した場合でもというのを含めて、ちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、それが一点。 あわせて、この間、例えば生保や損保において、保険金の不払いという事件が随分社会問題になりました。仮に、住宅瑕疵担保責任保険法人の払い渋りだとか、それから瑕疵の過小見積もりなどが生じる心配はないんだろうか。その意味で、吉田さんも先ほど言っておられましたけれども、保険法人の監視だとかそういったものをどう考えたらいいのかということを二つ目に聞きたいと思います。 ○金子参考人 供託の点ですけれども、要は、瑕疵担保責任の履行確保ということですね。ですから、一戸つくるごとに二千万円なんかとても供託することはできないよという会社は掛け捨ての保険を選んでもらう。うちは、そんな掛け捨ての保険なんかしなくたって十分お金があるんだよ、二千万でも、極端に言えば三千万でも十分、十年間、用意してあるよということで、私が聞いたのは、当初資産基準方式とかという名前で呼ばれていた、供託をしない、うちの会社の財務内容を見てください、別に供託しなくたって十分対応できるだけの資力は持っていますからという方式も考えられたというふうに聞いています。 その三番目の方式がなくなったのは、本当に資産基準に適合する会社なのかどうか、これは財務内容を調べるというのは大変です。それでそれが消えたということを聞いていますので、それで供託になったわけですが、供託した会社、業者からすれば、うちは十分あるんだから何で、故意、重過失の場合の資金手当てのことを言っているんですよね、そこまで出さなくちゃならないのかと。それは、供託は全部、故意、重過失だろうと何だろうと責任を持つんだから、保険制度の方のお金を出す理由はないじゃないかということで、まあ、取ってもいいと思いますけれども、理論的な、合理的な根拠はちょっと薄いんじゃないかなというふうに言わざるを得ません。 あと、保険法人の監督の点については、私の方は、もう国交省が厳格な、法律にも要件がいろいろ決まっている、公平公正、業界の人が偏っちゃいけないというようなことを聞いておりますので、払い渋り、今問題になっているようなことについては十分監督してくれる、たえられる第三者機関が指定されるものと考えております。 ○穀田委員 では、あと二つ、金子参考人にお聞きしたいと思います。 先ほど来、紛争処理機関での処理問題についてもるるありました。私も、各地の弁護士会に御了承をいただいたり、御協力いただかなくちゃならぬという点でも貴重な御意見だと思うんですが、今回の法案を受けて当然多くなるでありましょうし、紛争処理機関での紛争処理基準を初め、先ほど、研修やさらには支援センターの援助、財政支援などありましたけれども、私もとても大事だと思うんですね。したがって、業務体制などについての見直しが当然求められると思います。論文でも人的、物的な問題についていろいろ金子参考人は述べておられます。その辺を詳述していただければと思います。 二つ目は、私は別に性善説をとっているわけでもないし、性悪説をとっているわけでもないんですが、実は、自助努力というお話が最初に和田さんからもありましたし、まともなものをつくればということを言うんですけれども、例えば、アーキテクチュアなどの報告や資料によりますと、コストダウンによるさまざまな圧力というのが建築士に随分加わっているということで、自分もそういうことがあったという方がそんなに少なくないんですね。 私は、そういう意味で、建築基準法、建築士法と改正してきたわけですけれども、それらとの関係で、今、法が改めて三つ出されている、完成する一つの体系をつくったもとで、それぞれについて必要な改善やその他要望なり、私どもに示唆があればその点もお伺いしたいと思っています。 ○金子参考人 まず、弁護士会の住宅紛争審査会でございますけれども、先ほども申し上げましたように、十二年から発足してまだ百件足らずの事件しか起きていない。したがって、言い方は悪いかもしれませんが、地方の単位会ではまだ一、二件、全然ないという単位会が半分ございます。 だから、いつ来るかわからない、お店は開いていつでも受けるようにはしてあるけれどもということでのんきに構えていたかと思うんですが、新法が施行されると、年間千件、二千件というぐらい起きるだろうというと、もう日常的に、どの弁護士会、五十二単位弁護士会すべてが受け入れられるようにしておかなくちゃいけないということですね。 そうすると、事務局も審査会場もそれから紛争処理委員もそれだけの人数を確保しなくちゃならない、確保するだけじゃなくて教育しておかなきゃいけない、建築士さんにも頭を下げてお願いしなくちゃならないということで、これから大変な作業が始まるんだろうと思います。それについては住宅支援センターがバックアップしてくださると。 品確法の評価住宅の紛争処理を引き受けるについては、条件と言うと言い過ぎかもしれませんが、司法の一翼を担う弁護士会がやってもらうのが一番いいんだということで引き受けた経緯がございますので、私たちもその期待にたがわないように最大限の努力をしていくつもりで、今、これから準備に入っているところでございます。 もう一つは何でしたか。 ○穀田委員 耐震偽装事件を踏まえて、建築基準法が改正されたわけですね。そしてまた建築士法がされている。今度は瑕疵担保ということで、三つで全体を網羅するというシステムになっているわけですね。 ただ、私どもは、さっき言いましたように、建築士法その他の改正に当たっても、性悪説、性善説、どっちをとっているわけじゃないんだけれども、実態は大変なことになっている、コストダウンに基づいてやられている実態が結構あると。それらを踏まえて、私ども、問題提起をさまざましました。 この三つの法律を通して見て全体像が浮かび上がってくる中で、十分、不十分、いろいろあると思うんですね。既に二つはもう執行されているわけですから、それらを踏まえて、先生がいろいろな活動をされてきた紛争処理の問題を初めとして、そういう角度から見た場合、今改めて問題提起する必要がどんな点がありますかということです。 ○金子参考人 わかりました。 この三法によって、先ほど来村上先生もおっしゃっていますように、かなり改善されて、国民の住宅に対する不安が払拭されたというふうに理解いたします。ですから、ここまで来るのにもっと早くできればよかったなというふうにも思うんですけれども、一つ、こういうふうにも考えているんです。 建築というのは、国でいえば三権、立法、行政、司法みたいなところがございまして、建築士さんが図面をつくって立法をして、行政がそれを、工務店、メーカーが施工する、それを監視する司法、第三者的な機関として建築士、設計監理をする人がいる、こういうふうにも見られると思うんです。 今までの一番の問題は、この三権、三つがどうも独立していたんだろうか、独立の機能を果たしていたんだろうか。ちょっと言っちゃ悪いですけれども、建築を頼むと、設計士さんはその同じ請負会社、ゼネコンの設計士さんが図面を引くんですね。設計監理もやるんですね。これじゃ、癒着と言っていいかどうか、言い過ぎかもしれませんが、どうしたって十分な、言いなりになっちゃう。まあ、姉歯がそうだったと思いますが、ゼネコンの言いなりになってああいう図面をかかざるを得なくなった。 ですので、この三者を独立させる。建築士法の改正でかなり近づいたと思いますけれども、さらに独立的な検査官、アメリカで何かインスペクターとかといって全く業者とは関係のないところ、民間の建築確認機関というのもありましたけれども、必ずしも十分独立していない、機能していないということがございましたので、さらにそういう方向に進むことも考えていただけたらというふうにも思います。 以上です。 ○穀田委員 ありがとうございました。 |
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