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【第169通常国会】 衆議院・予算委員会
予算委員会総括質疑で質問に立ち、福田総理らを追及した。
次に、穀田恵二君。 ○穀田委員 冒頭、米兵による少女暴行事件について総理にお聞きします。 二月十日夜、沖縄県北谷町で米海兵隊員が女子中学生をだまして連れ回したあげく暴行するという極めて卑劣な事件が発生しました。被害者とその家族の心情は察するに余りある。私は心から怒りを覚え、抗議するものであります。 総理は先ほどの答弁で、再発防止を言いました。考えてみますと、九五年の少女暴行事件以降も沖縄ではこのような事件が多発しています。そして本土でも、横須賀での強盗殺人事件、これは二〇〇六年でした。さらには広島での女性集団暴行事件、これは二〇〇七年、相次いでいます。 政府が再発防止を繰り返し言ってきたにもかかわらず、米軍人によるこのような重大な犯罪が繰り返されていることについて、総理はどのように認識されているのか、明らかにしていただきたい。 ○福田内閣総理大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、過去においても何度かあったわけですね。また今回もこういうふうなことが起こってしまったということでございまして、まことに残念であり、かつ、このことは厳しく米国にも、再発が絶対ないような要請を今回改めて強くしなければいけない、そういう思いを持っております。 いずれにしましても、本件は、既に沖縄県警が容疑者の身柄を拘束しておりますので、日本側において、我が国の法と証拠に基づいて適切に対処してまいりたいと思います。 ○穀田委員 政府は、米軍犯罪が起きるたびに再発防止を言うわけですよね。でも、事件は一向になくなっていないんですよ。米軍犯罪の大もとにある日米協定の抜本的見直しと、さらには米軍基地の縮小に踏み切らなければ、やはり問題の根本的な解決はできない、このことを改めて私は強調しておきたいと思います。 そこで、道路特定財源の問題について、私どもは二十数年来、一般財源化すべきであるということを主張してきましたが、私は、この点について質問したいと思います。 午前中にも議論がありました。道路を含む九本の公共事業分野別の計画を一本化した社会資本整備重点計画が五年前にできました。ダムや港湾や空港、河川、これらの事業は、総額を先に決めてどれだけやったかという事業の額で見ていくようなやり方は無駄をつくるからやめようということになりました。ところが、道路以外の公共事業すべて、総額を明示するやり方をやめたのに、道路だけは三十八兆円という総額方式が残りました。私たちは、こういう先に総額があるというやり方はやめるべきだと指摘しましたけれども、政府は強行しました。今回もまた、道路だけ五十九兆円という総額を決めようとしています。 なぜ道路だけが総額先にありきなのか、なぜ道路だけは特別扱いし、特定財源にこだわるのか。福田総理から、国民にわかるように説明をしていただきたい。 ○福田内閣総理大臣 今回、政府が予算案を提出しております。現下の厳しい財政事情のもとで、道路の受益者である自動車ユーザーに負担をお願いすることによって真に必要な道路整備を行うと同時に、これを上回る額は、納税者の理解が得られる範囲で一般財源として活用するということにいたしております。他方で、福祉や教育ということについては、直接受益する方のみに負担を求めるというのではなくて、国民に広く負担をお願いしているところでございます。 現実的にも、道路財源があるからといって道路予算が優遇されているというわけではございませんで、道路予算は、十九年度、これは補正後でありますけれども、ピーク時の十年度の四割減となっております。また、その一方で、社会保障関係費は同じ期間で四割増となっております。 ○穀田委員 いつも、この問題を質問すると、大体、受益と負担の関係それから納税者の理解、こうくるんですね。でも、納税者の理解、自動車ユーザーの理解と言うけれども、これは何度も議論していて、自動車ガソリン税というのは当然小売価格にも反映しているわけですよ。今や、受益者、負担者は、直接的な自動車ユーザーだけではなく国民全体と考えるべきだということは、この間の政府の議論でもはっきりしているんですね。 安倍内閣は、〇六年十一月三十日の経済財政諮問会議で、いわゆる道路特定財源の問題について議論し、安倍総理は、特定財源として自動的に道路ができていく仕組み自体は変えていかなければならないと述べ、一般財源化を進めていくということを基本方針として確認しているんです。このときに、納税者も議論になっていて、八千万人が免許を持ち、八〇%もの世帯が車を持っており、納税者とはやはり国民全体だ、国民一般が払っている税金を国民一般のために使う視点を確立することは非常に重要だという議論が既にあったわけです。それを前提にして、自動的に道路ができる仕組みを変える、一般財源化を進めていくと当時議論したわけです。 当時の閣僚は、先ほど帰りましたけれども大田さんや、冬柴さんも当時の安倍内閣の閣僚だったんです。それ自身は乗り越えた議論ではなかったのですか。はっきりしてください。 ○冬柴国務大臣 小泉政権のときにやられた議論というのは、九千三百四十二キロの、その当時、整備命令、施行命令が出ていた部分について、このまま進めていいかどうか、そういう議論が始まっているわけでございまして、その外側にある部分について、それを、白紙という言葉はありますが、やめるとか、あるいは法律を改正するとか、あるいは閣議決定を取り消すとか、そういうアクションはありません。予定路線として国民は期待しておられるわけです。したがって、これをやめるという、そういうことではなかったと思いますよ。 ですから、今おっしゃるのは、その部分については、そのまま有料道路としてつくり続けていいのかどうかということが非常に大きな問題であったと私は理解しています。 ○穀田委員 質問を全然理解しておられないというか、次の話はそれへ行くつもりですけれども、今言っているのは、もともと一般財源化するというのは基本方針ではなかったのかと。しかも、納税者という問題についていえば、理解とおっしゃられたけれども、そのことは既にクリアしている議論だということを言っているんですよ。そういう話をしているときに、何か次の、要するに九千三百四十二キロの話をしたって、それはだめですよ。 そこで、では、逆に聞きましょう。先日、民主党の岡田議員が、小泉元総理が九千三百四十二キロを超える路線については白紙とまで言った路線が、一万四千キロの高規格幹線道路の建設として突如生き返ったと指摘しました。それに対して、総理が発言しているので総理に聞きたいと思うんですが、まともに答えていないんですね。 一万四千キロが決められたのは、一九八七年の第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総。当時はバブル経済の入り口で、後年に、当時建設大臣だった江藤元建設大臣は、右肩上がりが続くと思っていたと言った時期なんですね。それまで七千六百キロの有料道路、高速道路計画を一気に倍にする計画だったんです。それぐらい、とてつもない計画だったんです。 ですから、総理大臣にもう一度お聞きしたいと思うんです。小泉元総理が白紙だと言った九千三百四十二キロを超える路線が、なぜ中期計画に盛り込まれ、復活したのか。もう一度答弁してください。 〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕 ○福田内閣総理大臣 小泉総理は、確かに、九千三百四十二キロを超える区間については白紙である、全部見直す、こういうふうに言っておられます。その際、同時に、民営化した場合は、民営化の会社が採算をとれるか、地域の人が必要になったら地域の人が負担できるのか、そういうことを考えながら、真に必要な道路はつくらなければならない、必要な道路は税金をかけてでもつくらなければならない地域があると思いますよという答弁もされているんですね。 ですから、小泉総理が、そういう意味で九千三百四十二キロ、これを絶対的だというように考えているということでなかったと思っております。 ○穀田委員 それは違いますよ。 小泉さんは、当時、今総理も言われたように、一万四千キロ白紙ですと言ったんです。そして、整備計画区間の九千三百四十二キロの中で、全部つくるんじゃないと明確に答弁したんですよ。そういうことだったんですよ。しかも、それを有料か有料じゃないかのような話にして次の話をしては、それはだめなんですね。今の話でいうと、結局、全部つくろうということになるじゃありませんか、一万四千キロ。 そこで、皆さんにお渡しした資料を見ていただきたいと思います。 その一ページ目にありますけれども、「「高速道路」の基幹ネットワーク」、実は、高速道路というのは一万四千キロだけではないんです。その下に地域高規格道路というのがありますが、これは道路の中期計画に盛り込まれています。何もこれは地方の生活道路のことではありません。この道路は、信号なし、そして立体交差、自動車専用道路という高速道路そのものであって、例えば首都高速、阪神高速、京都の高速道路なども含まれます。これも一般に言う高速道路です。この道路は中期計画にどのように位置づけられているか、この路線の計画はどうなっているか、明らかにしていただきたい。 ○宮田政府参考人 お答えを申し上げます。 二点御質問があったかと思いますが、地域高規格、中期計画の素案でどういうふうに盛り込まれているかという点につきましては、第一番目の国際競争力の強化、あるいは地域の自立、活性化というところに基幹ネットワークとして盛り込まれております。 二番目の御質問は、地域高規格道路はどういう計画であるかということでございますが、地域高規格道路は、平成十年のいわゆる五全総、二十一世紀の国土のグランドデザインに位置づけられておりまして、高規格幹線道路のネットワークを補完し、都市圏の育成や地域相互の交流促進などの機能を持つ道路でございまして、計画路線につきましては、都道府県等が作成する広域道路整備基本計画に基づいて出されました要望を踏まえまして、路線全体の整備計画を進める路線として、百八十路線、六千九百五十キロが計画路線ということで定められております。 ○穀田委員 今お話ありましたが、一万四千キロメートルとそれ以外の地域高規格道路がつながって初めて高速道路網のネットワークとして機能する、補完することになるということですよね。私が示しました資料にあるように、今答弁もあったように、高速道路の建設計画は一万四千キロ、これを超えてさらに百八十六路線、正確には六千九百五十キロでいいですよね、つくろうというものであります。 そうすると、当時、九千三百四十二キロメートルの計画だったものを一万四千キロに膨らませ、さらにはこの地域高規格道路計画路線、百八十六路線含めて、六千九百五十を足すと全部で二万一千キロメートルにもなる。これを全部つくるつもりということなんですか。いかがですか。 ○冬柴国務大臣 これは、まず五十九兆、それを超えないという、十年間の話でございますが、それから毎年毎年財務省の評価がございます。そういうことで、全部つくるというわけではなしに、目標として、今までこのように閣議決定なりあるいは法改正なりして国民に示したものでございます、予定路線は。そういう意味で、そういうものを全く抜きにして考えるわけにいかない。 地域高規格道路は、例えば、全く穴のあいているところがありますね。京都の宮津から豊岡へ行って、そして鳥取というところは高速道路が全くないですね。そういう意味で、日本海沿岸が、そこがつながれば全部つながるわけですね。そういう補完をする部分もございます、全く着手していませんけれども。また、高知と徳島を結ぶところも大変な道ですよ。しかし、そこは高速道路網には入っていません。また、三陸においてもそうでございます。 そういうところについては、ここで位置づけられているわけですから、大変な要望が強いわけでございます。 以上でございます。 ○穀田委員 地方のせいにしたらあきまへんで。先ほどもお話ありましたけれども、これはどういう計画を議論しているのかという話であって、個別のここを、例えば、先ほどもありましたように、私が京都に住んでいるということで、すぐ京都の例を出すんですね。 それは地域のせいにしたらだめですよ。それはいろいろな形で要望しているわけだけれども、当然、先ほど私言いましたけれども、もともと、国がつくる高速道路計画を補完し、ネットワークとして機能させるためにやっているだけの話であって、そういうものを何か地域の要望であるかのようにしてやるという言い方は、私は語弊があると。もちろん、当然、要望があることはありますよ。それは縮まった方がええのやから。それだけでは済まぬ問題がある。 そこで、もう一度資料を見ていただきたい。地域高規格道路でいえば、今明らかになった計画路線、百八十六路線、六千九百五十キロメートル以外に、候補路線というのもある。これはどういうものですか。資料をお示ししていますよね。 ○冬柴国務大臣 地域高規格道路の候補路線につきましても、都道府県等が作成する広域道路整備基本計画に基づいて出された要望を踏まえて、整備の妥当性、緊急性等を検討を進める路線として百十路線が候補路線となっているわけでございます。 以上でございます。 ○穀田委員 今聞いてわかったかと思いますけれども、九千三百四十二キロがあった。それはもともと、七千六百台であったものを大きくしようという話になった。一万四千にした。そしてさらに、今お話ししたように、六千九百五十ある、それ以外にもあるということなんですね。 そこで、資料の二を見てください。「関西の新たな都市圏をネットワークする環状道路。京奈和自動車道は、その一翼を担います。」という資料ですね。この資料は、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山を結ぶ高速道路のネットワークの地図です。一番内側は大阪湾環状線、真ん中が関西中央環状道路、そして一番外側が関西大環状道路という高速道路の構想であります。 一番外側の関西大環状道路は、京都、奈良、和歌山を結ぶ京奈和自動車道や第二名神高速などをつなぐ計画で、世界遺産に指定されている奈良の平城京跡の地下を通る計画や、京都市内に高速道路を乗り入れる計画で、多くの市民が反対している計画です。関西大環状道路を基幹ネットワークとして完成させようと思えば、和歌山から淡路島の海に巨大な長大橋をかけないと道路としてつながりません。それが紀伊淡路連絡道路とされているわけです。 紀伊淡路連絡道路も、地域高規格道路における、先ほど指摘をした候補路線には入っているんでしょう、大臣。 ○宮田政府参考人 入ってございます。 候補路線というのは、先ほど申し上げました国土のグランドデザインの中で、七千キロから八千キロ、地域高規格ということを言われておりまして、そこの中の構想レベル、そういう話も含めて候補路線ということでございます。 ○穀田委員 総理大臣、では、ちょっとそこを聞きますけれども、確かに、一つ一つの路線、今お話しした計画路線とか候補路線といったって、なかなかそれはわからぬでしょう。でも、こんなふうに大きな計画になっているということだけはわかっていただけましたやろ、今の実態が。 それだけかと。この問題は実はほかにも、東京湾口道路、伊勢湾口道路、豊後伊予海峡道路、関門海峡道路、島原・天草・長島架橋の、いわゆる六つの長大橋道路計画の大型プロジェクトが二十一世紀のグランドデザイン、いわゆる五全総で一九九八年に閣議決定している。地域高規格道路の百十という候補路線にこういうものも全部入っているんでしょう、大臣。 ○宮田政府参考人 入っております。 ○穀田委員 大臣、知っておいてくださいよ。だから、今私が言っているのは、この一万四千キロ、六千九百五十、そして候補路線で百十、この中には六長大橋道路も入っているということなんですよ。総理、こういう膨大な高速道路計画、今後もつくり続けるつもりですか。 ○福田内閣総理大臣 これ、お話を聞いていると夢のある話で、一見よさそうですけれども、しかし、その裏づけがつくのかどうか。それは、これが本当にこういうニーズが生ずるということであるなら、そのときに判断するということはあるかもしれませんけれども、しかし、今の段階でそこまで計画してそれに裏づけをつける、そういう段階ではとてもないと思っております。 ○穀田委員 そうじゃないんですよ。 私、きょう、国土形成計画(全国計画)(原案)というのを持ってきました。 これは、国土交通省がつくって、いわゆる国土総合開発計画、それ自身を改めて、そして名前を変えて国土形成計画法というのをつくりましたよね。その中に、結局、夢のある話だとか、ニーズはないとか、いろいろ言っていましたけれども、これは国土形成計画(全国計画)というんですけれども、その中に、一つは四全総の一万四千キロの計画、二つ目は地域高規格道路、三つ目に、湾口部、海峡等を連絡するプロジェクト、全部を閣議決定しようとしているんですね。 そんな話が、お金があればという話じゃなくて、あなたのところがこれに基づいて全国計画という形で決定しようとしていることを御存じですか。 ○冬柴国務大臣 年度内の閣議決定を目指して今準備しているところでありまして、長大橋までつくるとか、そういうような思想は、そこに書かれているかわかりませんけれども、それは、目標とかというのはあるとしても、私どもは、今度、それをやるためには、広域地方計画というのが八つのブロックでつくられるわけです。そこで、地元の御意向等を承りながら、これをそのブロックで、例えば東北地方であれば、六県にプラス新潟を足したその範囲でどう道路整備をするのか、港湾、空港はどうするのか、観光はどうするのか、そういうことを地元でやっていただく、それの指標といいますか、そういうものを指すわけでありまして、具体的にそれがそういうものではないと私は思います。 〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕 ○穀田委員 そんないいかげんな話をしたらあきまへんで。これは冬柴臨時議員提出資料なんですよ。この中にそれが入っていると言っているんですよ。入っているか入っていないかわからぬみたいな、入っていないみたいな話をしたらあきまへんで、それは。あなた自身が提出している資料で、これを決めるということをやっているから、私は問題じゃないのかと言っているんですよ。しかも、それは、今ずっとるるお話ししたように、どんな話になっているか。結局のところ、こういうやり方が続く根底に何があるかという問題について言っているわけですよ。 しかも、これは、先ほど来お話がありましたけれども、では、この問題について、道路、この地域高規格道路、これについてはどこで決めるんですか。路線はどこで決めますか。閣議ですか、どこが決めますか。国幹審ですか。 ○冬柴国務大臣 一部はもちろん国幹審で決める部分がありますけれども……(穀田委員「地域高規格道路ですよ」と呼ぶ)地域高規格はそうではありません。私が決めます。 ○穀田委員 先ほど来、見直す、精査する、一つ一つやる、こう言うんだけれども、実際は、先ほど言いましたように、国幹会議でやるんだなどという路線でもないということが明らかになった。つまり、大きな計画を次から次へと出していて、今度、国土形成計画によれば、今お話しした地域高規格道路、長大橋の話、路線、これは国幹会議で決めるのではなくて、国土交通大臣の指定によって決めるということですよね。 ○冬柴国務大臣 そういう大きいものにつきましては、バランスから見ても国幹会議で諮るというのが当たり前のことだと私は思っておりますので、抜けている部分があれば改正をさせていただきます。 ○穀田委員 改正はいいけれども、今の仕掛けはそうなっている。ですから、私が言いたいのは、こういうふうな計画が、冬柴大臣が言うような、一つ一つ吟味してとか国幹会議にかけてとかいう仕掛けはない、現実にはないということなんですね。それははっきりしている。ないんですよ。 したがって、そういう点でいいますと、もう一度かける、それはいいでしょう。だけれども、それは改めて言うまでもなくて、問題は、それほどまでに大きく広げるというあたりをしっかり私は見てとらぬとあかんということを言っているんですね。 そこで、私は、このやり方が際限なく高速道路をつくり続けるということだ、結局のところ。今お話ししたように、高規格幹線道路建設、そして地域高規格道路の建設、その中にある計画路線、候補路線、こういう形でやっていくというやり方というのは、結局のところ、やはり際限なく道路をつくり続けるのではないか。とまらないということなんですね、結局。高速道路をつくり続けるために、したがって財源が必要になる、そしてそれが道路特定財源だと言わざるを得ない。したがって、財源が入ってくるからこそ際限なく高速道路をつくり続ける、こういう悪循環になっているんですよ。 だから、こんなやり方を改める、特定財源をやめて一般財源にすることが必要ではないか。これが、安倍前総理の言うところの、特定財源として自動的に道路ができていくという仕組みそのものじゃないか。この点について、総理大臣、いかがですか。 ○額賀国務大臣 これは、安倍大臣、その前の小泉大臣、また時代の流れからいっても、昭和二十八、九年のころは道路建設というのは優先的でありましたし、そういう意味で特定財源化されていったと思いますけれども、ここまで道路も整備されてくると、財政を硬直化させるという意見もあるし、いろいろな意見の見直しが出てくるのも当然だというふうに思っております。 その中で、小泉政権、安倍政権と引き継いできまして、福田政権のもとで、揮発油税を改正して、道路整備を上回るお金はきっぱりと道路には使わない、一般財源化をするという法律を出しているわけでございますから、そこはもう明確になっているわけでございます。 だから、今後、国会の御議論をいただいたり、あるいは国の情勢等々、いろいろなことを考えながら、財源は有効に使わせていただかなければならない、そういう方向で一般財源化の端緒を開いたということでございます。 ○穀田委員 額賀さんはいつもそうおっしゃるんですけれども、それは、参議院の議論も含め、明らかにまやかしだと思うんですね。 だって、単年度で余った分を一般財源化できるというものでしかないんですよ。しかし、その分を翌年度の道路整備に充てなければならないという内容の法律でしかないんですよ。そのことはもう既に議論を通じて冬柴大臣も認めたところであって、硬直化などと言っているのを、それを変えるみたいな話をしていますけれども、内実はそれこそ一般財源化とは似ても似つかぬものだということだけは、私ははっきり言っておきたいと思うんです。 最後に、住民にとって本当に必要な道路の補修だとか整備というのは、本当に今削られているんですね。地方自治体も深刻で、住民の身近で緊急な道路整備の予算が組めず、大変な思いを多くの方々がしておられます。 政府は、口を開けば、特に冬柴さんは、渋滞解消のためにということで高速道路だ、工場の誘致に高速道路だ、それから果ては、救急病院へ一刻も早く搬送のために高速道路だ、こうきます。高速道路をつくれば何でも解決するような発言をしています。これは間違っていると思うんですね。だって、それだったら、今まで道路をつくったところへ全部工場が来たのか、過疎はなくなったのか、ずっと道路をつくり続けてきたんだから。そんなことになっていないじゃないですか。 地方からは、今大事なのは、高速道路の建設を優先するから、道路の中でどれを優先してつくるべきか、道路の中自身でですよ、高速道路をつくるのか、それとも地方のそういうさまざまな道路の補修をすべきなのか、そういう選択が奪われている。そして同時に、道路をつくるのか、それとも社会保障に金を使うべきなのかという選択も奪われている。これが道路特定財源のもたらす悪いところなんです。 だから、本当の意味で全部一般財源化する、先ほど額賀さんが言っているように、そんな法律で適当なまやかしをするんじゃなくて、どんとするということが今求められているんだということを強調しておきたいと思います。 何かあれば、総理。 ○額賀国務大臣 これは、一般財源化をして道路以外のところに自由に使ってもいいという形になっているわけでございます。しかし、一方では、日本の予算は単年度主義でございますから、その年々でこれはきっちりと道路整備以外のところには一般財源化をするということを毎年繰り返していくということになっているわけです。それで、二〇〇三年までは歳出改革をして、どんどん道路というのは減っているわけであります。 ですから、道路を建設することが我々は目的ではないのであって、道路を建設することによって地域の渋滞が解消されたり、子供を守ったり、地域が発展をしていったり、そういう目的に沿って道路というものはつくられていくわけでございます。 ○穀田委員 もう一度言っておきますけれども、一般財源にできるとしているだけで、使えるとしているだけで、次の年には戻るんですよ。それはもう議論済みなんですよ。それははっきりしている。 しかし、大事なことは、今そのお金を道路にだけ使うというやり方がおかしい。これが、実は、道路の選択にとっても、地方に大きなそういう困難を強いている。そして、道路に使うべきか、それから社会保障に使うべきか、そういう選択も奪っている。これによってつくり続けるということが自己目的になっている。そのためにお金がある、だからお金を使うんだ、こういう論理は間違っているということを言っているんです。 以上で終わります。 ○逢沢委員長 これにて穀田君の質疑は終了いたしました。 |
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