国会会議録

【第169通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2008年2月27日)

27日、国土交通委員会で参考人質疑が行われ、四人の参考人が意見陳述、 その後質問に答えた。

○竹本委員長 次に、穀田恵二君。

○穀田委員 四人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見ありがとうございました。私は、日本共産党の穀田恵二です。

 小井参考人にお聞きします。

 国交省が行った世論調査によれば、道路についての国民の要望の一番は渋滞対策です。高速自動車道の建設は渋滞対策の切り札なのか、このことについてお聞きします。

○小井参考人 奈良県における京奈和自動車道、特に大和北道路の建設については、大和北道路有識者委員会を組織されました。その中でのいわゆるPI協議会、PIの導入、パブリックインボルブメント、住民参加の導入があるんだということでのアンケートを住民がとりましたけれども、その中でも同様の質問が出されておる。

 例えば、質問の仕方が、国土交通省の有識者委員会の名前で出されているわけですが、幹線道路が必要かということを一つは尋ねられた。渋滞をしているから幹線道路が必要であると。南北に奈良県でも一本しかありませんから、これは八〇%の高率でそうだというふうになりました。

 もう一つは、現在、奈良県の道路で何が問題かという質問が同様にされたわけですけれども、その中で、渋滞その他いろいろ書いてありまして、もちろん渋滞が一番でありました。

 しかし、渋滞についての定義はいろいろあるんですけれども、大阪の人が奈良県に来たら、そんな込んでいないな、市内の人はそう言います。奈良県の山合いに、例えば、山添村には信号が一個しかないです。ここの人が奈良市に入ると、信号で一回とまったら、こんなのかなわぬ、大渋滞だ、こういうふうに言われているわけでありますけれども、そういう違いは別にしましても、質問の仕方が非常に意図的ではないのかという感じが僕はしています。

 なぜならば、幹線道路が必要だ、だから高規格幹線道路、ちゃんと後ろに幹線道路とついておるじゃないかということで、高速の道路をつくるということは住民は決して望んでいないということをやはりきちっとしませんと、全部目的が変なところに使われてきておるんではないかなというふうに思っています。

 渋滞問題というのは、既設道路の渋滞問題で私が考えておりますのは、まず、信号でありましたら交差点の改良であります。これは、現在の信号のコンピューター化、これは余りされておりません。御存じのように、警察の関係ですから予算がありません。これをもし国土交通省の管轄にしますと、いわゆるほうると言っては語弊がありますけれども、その財源でいとも簡単にできるはずであります。

 本線が込んでおるのに枝道ががらがらの交差点というのは山ほどあるんです。どこでもそうであります。それは、実績さえ入れてコンピューター化すれば、しかも時間帯によって入れれば簡単にできることです。まず、それが一つ。それから、右折、左折ラインの新設。そして、だめな場合は交差点の立体化ですね。

 さらに、現道の拡幅、車道の拡幅や歩道設置、登坂車線の設置などは今ほとんど予算が認められない。なぜか。高速道路中心にやはり予算がいきますので、そういったところに補助がつかないというふうに聞いておりますけれども、かなり真実性のある言葉ではないかなというふうに考えております。それでもだめならば、バイパス道路の新設あるいは局部改良、これは建設省時代からそういったマニュアルが当然にあるわけです。しかし、現実に補助がつかないわけですから、地方でやることができません。これさえやれば渋滞対策は十分できているんではないか。

 したがって、ずっと言っておりますように、既設の道路を中心として、どうにもならない、あるいは立体化してもだめだ、そこで初めて新設の高速道路なり、あるいは立体化されたいわゆる二階建ての道路を考えるべきでありまして、特に、それは地方において言っても言っても言い足りないほど重要なことではないのかな、こういうふうに考えております。

 そういう点で、渋滞対策で高速道路をつくるなどというのは、それは地方にとってはとんでもないことに、先ほど言いました、いわゆる将来の不良資産になるようなことが目に見えておるわけですから、今こそ、それは何としてでも法律で規制をしといいますか、いわゆる本来あるべき姿で現地の実情に合った道路政策というものをつくるべきではないか。

 それは、実態を知っているのはやはり地方自治体なんですね。国が先にありきということでぼんと出されますと、せっかくの補助ですから、高くても何としてもおつき合いをせないかぬ。札束でほっぺたをぺんぺんとたたかれますと、もったいなくてしようがない。おつき合いということにならざるを得ないのが今日の事情ではないかというふうに思います。

○穀田委員 なかなか、おつき合いと現場のあれで、ありがとうございました。

 そこで、今お話がありましたけれども、高速道路中心ないしは重視の予算配分が、生活道路の整備や、さらには維持補修の費用を圧迫しているという向きの発言がありましたが、その辺も少し詳しくお話しいただければありがたいんですが。

○小井参考人 先ほど意見の中で言いましたが、奈良県は中山間部です。すれ違いもできないような道路があります。したがって、奈良県の道路の改良率は、県道などでいきますと一番最下位を占めているわけです。お金がないからです。

 しかも、例えば渋滞対策ということですけれども、資料の三ページを見ていただければわかるんですが、大和北道路の下に大和区間ということで、現在十三・八キロが橿原から大和郡山市まで開通しております。四車線道路です。これはもともと橿原バイパスとして十五キロほどの都市計画決定がされている、その上にこの高規格幹線道路が乗ったわけです。そして、一九八七年六月三十日に閣議決定をされた第四全総、そのときまでに大方三分の一近くはもうできていたんです。鋭意それは橿原バイパスとして四車線道路計画でできていた。それが、いわゆる四全総閣議決定以後、ストップしちゃったんです。いわゆる高規格幹線道路をやろうということで、その二、三年後になりますけれども、予算が回らなくなっちゃったんですね、バイパスには。全部高規格に行っちゃったんです。

 奈良県には、残念ながら道路に強い先生がおられませんでしたものですから、多分よそへ行っちゃったんだと思うんですけれども、以後十五年間、ほったらかしになりました。新しい道路が通る、京奈和自動車道が通るということで、そのままだったんです。したがって、旧二十四号線は大渋滞でありました。渋滞しているから、それを逆手にとられまして、この高規格幹線道路、京奈和自動車道をつくるんだ、つくったら渋滞解消するんだということで、ようやく去年開通しました。

 確かに、今まで一時間ぐらいかかっておったのが、十分そこそこで到着しているんです。大喜びです。しかし、それは端と端だけですので、まだ地上が全然できていませんので、相変わらず二十四号線は込んでいます。奈良と橿原の人は行き来は便利なんですよ。したがって、現在は四車線ですけれども、それこそがらがらです。通る人は知れているんです。

 そういうふうに、渋滞対策というのは、つくったとしても、助かる部分はありますけれども、二十四号線は依然としてやはり渋滞をしているんです。そういう面で、高規格幹線道路をつくることは、現道との関係をもう少しきちっとしていただいて、そして計画をしていただきたいなと。もっとやはり現道を中心にして、何回も言いますけれども、それから高規格幹線道路を考えていただくという発想でお願いしたいなと思っています。

○穀田委員 実態はよくわかりました。

 そこで、道路中期計画は、実はその中心は高速自動車道の建設であることは明らかであります。そこで聞きますけれども、私、今ちょっと立ちどまって考える必要があるんじゃないかなと思っているんですよね。考え方、つまり高速道路が本当に必要かということと、二つ目に、では本当に必要な場合でも、施策の優先順位から考える必要がありやしないか。三つ目に、実際に工事に着手する場合でも、つくり方だとかコストだとか、それをよく考えてやるべきじゃないのかというふうに私は考えるんですけれども、小井参考人に、その辺の哲学なり考え方を、現場から見てどうなのか、お聞きしたいと思います。

○小井参考人 そのとおりだと思うんですけれども、私はやはり高規格幹線道路を実際に三キロほど現場監督もしてまいったんですけれども、例えば、京都から、京都の中でいけば、城陽というところから奈良の県界まで、僕はその間の三キロを現場でつくってきたわけですけれども、京都の場合は現在二車線で供用開始しています。それでも、二十四号線は込んでいるからといってやりましたけれども、非常に、まあ言うたら、がらがらですね。二車線の対面交通です。しかも、それは六十キロです、京奈和自動車道でも。一方、奈良へ行きますと、四車線道路でありますし、そして、この地図にあります大和区間というところは百キロの構想なんですね、五條まで。

 そういったところがこの奈良に必要なのか。しかも、何回も申しますけれども、古都奈良、アイデンティティーの地奈良のど真ん中に必要なんでしょうか。回ってもいいのではないか。これは、やはり、最初に高速道路ありきということでやられているんじゃないかなと。

 こういった手法というのは、本当にもう地方にとって大変なことになります。ぜひ考えていただきたいのは、例えば、奈良は全部で二千億円というふうに言いましたけれども、これはすぐ増税するわけにはまいらぬのです。やはり縁故債か県債か発行しなきゃなりません。お金を借りるんです。これはやはり利子を払わなきゃなりません。だから、二千億円が二千億ではないんですね。三千億円にもなるんです。

 そういう面で、道路公団にすべて管理を任せる、あるいは建設を任せるというのは、これは、利用料金は全部商品に転嫁されますので、極端に言えば消費税と同じだ。ざっと見積もっても二%の消費税に換算することができる。それはやはり、今五%ですけれども、七%の消費税と同じことじゃないかというふうに僕は思っておりますけれども。

 地方で負担金を取るというのは、そのことと同じことになっていくんです。せっかく直轄、直営で、道路公団がやるよりも半分の予算で建設ができるのに、それをおいておいて、結局、負担金の分はやはり倍は返さないかぬというのは何としても考えなきゃならぬ。

 そういう面で、高速ではなしに、一般財源化をし地方の裁量に任せる、そういう時代ではないのか。まさに地方分権はそういったところにあるのではないかなというふうに考えております。

○穀田委員 それでは、松下参考人と太田参考人にお聞きします。

 いただいたレジュメでは、きょうは時間の都合でなかったんですが、道路意思決定プロセスの透明化という話が述べられております。私も非常に大事なことだと思うんです。

 したがって、私は、道路建設の決定過程で住民参加の形式がとても大事だということを主張しているところです。大臣も、国幹会議に諮ることなく道路がつくられることについてはまずい、手続の透明化と、それと第三者機関に諮ると答弁しているわけですね。ですから、この辺の点について、お二方にお聞きしたいと思います。

○松下参考人 私は、繰り返しますけれども、やはり日本の将来のためには、安いコストで早く道路をつくる、本当に必要な道路であれば、そういう形でつくらなきゃいけないと思っております。

 そのためにも、急がば回れという言葉がありますけれども、やはり工事を着工する前に、計画を進める前に、公聴会で十分に話し合いをして、費用対効果分析だけではなくて、環境評価とか、社会的望ましさ、例えば、中小の小さいトラック業者さんの方が、この道路が完成して高い料金で使えなくなっちゃわないかとか、そういうようなことも含めて十分検討する。やはり目線を国民といいますか、ある程度所得の低い人にも配慮しながら決定していく必要があるというふうに思っています。

 これを日本の場合にはきちっとやらないから、工法とかルートとか予算とか、場合によっては下請業者までもうお上が決めて地方に持ってくるわけでしょう。現実にそうなんですよね。ですから、みんなが怒っているわけです。市民が反発して土地収用ができない、それから、もめれば時間がかかる、結局高い道路になってくるということになっているわけです。

 ここを改めれば、できないできないじゃなくて、改めれば、あしたからでも半額で建設はできるんですよ、三分の一でもできるんですよ。道路はもっともっとつくりたいですよ、国民としては。だけれども、その仕組みを変えてほしいと言っているわけです。

 合意形成もそうだし、もう一つ大事なことは、やはり、インスペクターという制度が英国にはあります。国会主導で、おかしいな、何かむちゃくちゃ高いんじゃないか、談合があるんじゃないか、天下りがあるんじゃないか、そういう場合に厳しく監査するインスペクター制度、国会が管理して、強力な調査権と処罰権を持って、乗り込んでいって、びしっとやる、それで、法廷に出たときには、イエス・サー以外言わせないぐらいの厳しい権限で取り締まる、そういうような制度をつくっていかないと。

 国民には潔く税金を払えと言っておいて、自分たちのやっていることはもうぬるま湯につかって、あぐらをかいているような形では、国民は納得しないですよ。そういうところからやはりやっていかないと、この議論は、コストだ、理屈だ、経済学だ、そんなことを言ったって始まらないと思っているんです。

○太田参考人 今の御質問は、幾つかの部分に分かれているような気がします。

 一つは、住民参加、パブリックインボルブメントの話。これにつきましては、やはり道路問題は随分たたかれたせいもありまして、割と公共事業の中で道路は進んできたのかなというふうに思ってはいます。

 ただ、アメリカが八〇年代ぐらいからこれに非常に取り組んでおりまして、その当時は当局が住民の前に行って卵を投げつけられたりというような、どちらかというと公共、道路をつくる施工側対住民、そういう対立の構図だったんですけれども、これではまずいということで、その後、少しずつ議論をうまくするように、合意形成を助けるような形にやはり高まってきていると思います。

 やはりそれがアメリカでも十年、二十年かかってきているわけで、日本についてもそういうものが取り入れられて定着していくことは非常に大切だと思っております。それがまず第一点、住民の話が第一点です。

 それから、工事の意思決定プロセスの話につきましては、やはりだれが見てもおかしいよねというものはおかしいので、それはなくすように仕組みができていなければおかしいということです。今、国の話、地方の話、あるいは道路会社、道路公社、いろいろなものがありますが、その間に関しては、共通の目的が設定されて、それに対してパートナーシップを組んで対処するという発想がやはり必要だと思うんですね。

 特に、京阪神ですと、もう有料道路会社だけで一体幾つあるんだというような非常に複雑な中で、一体どういう形で正しい交通流が流れるようにしていくかというようなものは、いろいろな工夫が恐らく必要であろうというふうに考えております。

 そこの部分に関しては、私はちょっとよくわからないんですけれども、国と地方が対立の構図なのか、それとも、それが制度のせいなのか、単に意識のせいなのか、そういうことはうまくやっていかなければいけないと思います。

 三点目に、おかしなことはおかしいから直す、これは簡単じゃないかもしれませんけれども、割と目標は明確なんですが、意見の分かれることをどう調整するかということに関しては、やはり日本はまだまだ議論が恐らく未熟なんだと思うんですね。意見が割れているということは、どっちかの案で得する人と損する人がいて、もう一つの案では得する人と損する人がいる。これをどういう形で合意させるのかというのは、まだまだ日本の場合はちょっと難しい形になっていると思います。

 そこの部分に関しては、意思決定プロセスをどういうふうに精緻化していくのか、目的に合致するようなものができるのかというものを含めてやはり議論しなければいけませんし、先ほど申し上げた一万四千キロの話でも、あの一万四千キロがいいのか悪いのか、それが何年度に向けての目標なのか。そういうことを議論すると、先ほど申し上げましたように、静岡に住んでいる人は、東名側に住んでいる人はもう終わりでいいよ、宮崎に住んでいる人はそういうわけにはいかぬよと。そういうふうに利害が対立したときにそれをどういうふうに落としていくのかということに関しては、やはりこれから真剣な議論が、仕組みも含めて必要だと思います。

○穀田委員 では、広瀬参考人と小井参考人にお聞きします。

 今、意思決定のプロセスの透明化という関係でありましたが、PIというやり方について、実際に地方自治体としてつくる側、また現場でつくっておられた側ということで、お二人にその辺の見解をお聞きしたいと思います。

○広瀬参考人 私どももなかなか固有の財源がないものですから、少しそういう工夫ができないだろうかな、民間の資金を導入してというようなことを考えた……(穀田委員「パブリックインボルブメントです、住民の意見を聞くということ」と呼ぶ)住民参加、住民の意見を聞きながらというものですね。わかりました。失礼しました。

 大賛成ですね。実は、先ほど冒頭申し上げましたけれども、市の中心地と周辺部を結ぶ道路を一・五車線とかいうようなことで工夫をしながらやっているんですけれども、そういう道路の形成に当たりまして、最近、できるだけ住民の意見を前広に聞いていこうということでやりました。

 そうしましたら、非常に早くから意見の交換ができまして、そこのところで話がつきますと、非常に用地の買収とかなんとかも足早に行われるということがありまして、私は、できるだけ早くから住民に参加してもらって話をしていくというのが大変有効だなと。非常に安くできたということもあります。そんなことは地方でもやっております。

 幹線道路、国道とかなんとかの整備に当たっても、かなり最近は国土交通省もそういうあたりは気を使っているような気がします。

○小井参考人 奈良県の、先ほど言いました大和北道路有識者委員会、その委員会をつくるときに、PI協議でやるんだ。その委員会の規約がありました。十条ほどあったわけですが、その中に、国の政策を遂行する側に立つ人は入れたらいかぬと。ですから、それを見ただけでも、あ、これは非常に民主的だなという気がしたんですが、実は、その委員長になった人は、国交省の近畿整備局の運輸委員をやっておられる方でした。

 これは違反しておるんじゃないかと言いましたけれども、いやいや、これはもう独立の人でありますから、それでいいんだというふうなことで、しかも、その委員長が最初に言った言葉、私は、PIというのは初めてです、さっぱりわかりませんので、これからおいおい勉強してやりますという趣旨の発言をされて、第一回目をやられたんです。

 やられた中身は、先ほど言いましたけれども、アンケートでした。住民に直接向かってとるアンケート、そしてヒアリング、指名によるヒアリングです。私も指名をしていただきましたけれども。それから公聴会です。主にこの三つが中心でした。

 これは、僕はPI、パブリックインボルブメントというのはむしろ積極的な住民参加というふうにとらえておりますけれども、従来どおりのことではなかったのか、アンケート、公聴会までの話というのは。道路でなくても、通常の政策をやられるときにどこでもやられている手法であって、全くPIと言うには中身のなかったものだ。

 言われたのは、道路で日本で第二のPI導入だと。第一はどこか。東京外郭道路です。ここは、住民の皆さんの代表も入れて、現在も粛々とやられていると思いますが、月二回の会議を持って、国交省、都と協議会をやられて論議されていますけれども、それから比べたら、これは全く、形骸化されたというよりも、従来の手法と変わらないだろう。これを住民参加だということでやられている。非常に一つの、食わされたなと、俗な言葉で言えばですね。

 それが今、それぞれの中で進んできているというふうに言われましたけれども、大体、道路の反対の運動のあるところはすべて、やられた、うそばかりじゃないかということで、むしろ国交省に対して非常に大きな憤りが上がっているのが実態ではないかな、こういうふうに感じております。

 以上です。

○穀田委員 広瀬参考人にお聞きします。

 私はきのう言ったんですけれども、総務省が集計した都道府県、つまり市町村などの自治体ですね、道路関係経費の公債費で、この十年間でいうと一・八倍になっている、九〇年代に湯水のごとく投資した公共事業、道路投資が今ツケとなって重くのしかかってきている現実がありますと。このことは大臣も認めているんですけれども。

 そうだとしますと、今後、高速道路建設を続ければ続けるほど、国直轄事業負担金や補助事業による歳出がふえて借金がふえる、こういう悪循環になっていくんじゃないかと思うんですね。そういう点の見解と、もう一つ、今、地方財政は危機になっていまして、先ほど参考人から交付税で五兆円減らされたとお話がありました。結局、大分県の場合には、それの中で、同じように交付税は幾ら減ったかということが二つ目。三つ目に、先ほど、一番最初の陳述で、歩道の整備や高速の負担金とありました。私は大変だと思うんですね。

 ですから、やはり地方自治の現場でなさっている方として、事実をお話しいただければありがたいんですが、歩道の整備費ないしは高速の負担金というのは大体どの程度あるのか、数字も含めてお教えいただいて、財政問題についての見解を明らかにしていただければ幸いです。

○広瀬参考人 確かに九〇年代に、景気対策というようなこともあって、随分公共事業をやったと思います。そのときに、後から交付税で見るからというようなことで、県債も随分発行してやりました。そういうものの償還が今来ているし、これからもそういうことは続いていくだろうというふうに思います。先ほども申し上げましたけれども、三百五十億円、一般財源を投入してつくっている財源のうちの二百八十億円が今年度は県債の償還に充てられたわけでございますから、そういうことで大変なことになっている。そのために、新しい事業をやるのにまた県債を発行してということでやらざるを得ないというのも御指摘のとおりでございます。

 しかし、道路の建設はそれこそ、建設公債みたいなところがありますから、この世代だけではなくて次世代にも負担が行ってもいいぐらいのことはあるんじゃないかというようなことで考えておりまして、ある程度、そういう長期的なレンジで返還を考えながらやっていくということが大事なのかなというふうに思っております。

 したがって、大変財政は厳しいし、借金は続けていかなきゃいけない、償還も大変なんですけれども、それでもやはり今のうちに道路の建設をやって、それぞれの地域の生活の安全とそれから命を守ること、そして、いろいろな発展の基盤をつくっていくということがやはり大事なのかなというふうに思っております。現に私どもは、道路があるから企業が来た、雇用の機会がふえた、税収もふえたというようなところはたくさんありまして、そういった意味では、あるいは、ないからその機会を失ったというのもありますので、それはぜひやっていきたいというふうに思っております。

○穀田委員 数字は出なかったですけれども、時間が来ましたので、終わります。