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【第169通常国会】 衆議院・国土交通委員会
15日の衆院国土交通委員会では、海難審判庁などを改組する国交省設置法改定案について質疑に立った。
○竹本委員長 次に、穀田恵二君。 ○穀田委員 海難事故調査、そして再発防止について聞きます。 国交省の説明資料では、運輸安全委員会、海難審判所の設置の効果として、原因究明機能の強化、海難について委員会調査の実施等により背景要因の客観的、科学的な調査が可能とあります。そうすると、これまでなぜ背景要因の客観的、科学的な調査ができなかったのかということになるわけで、聞きたいと思います。 ○福本政府参考人 お答えいたします。 海難審判庁におきましては、準司法手続でございます海難審判という制度によりまして、対審制という形で、原因関係者、理事官、補佐人が審判廷に一堂に会しまして、海難の原因究明とあわせまして、海技従事者の懲戒、いわば責任追及を行ってきたというものでございます。 しかしながら、審判におきましては、懲戒の基礎となる事故の直近の船員さんの過失の認定といったところにどうしてもその力点が置かれてきておりまして、そういう関係上、どうしても背景要因の客観的、科学的な調査に十分なところがないということではなかったかと認識をいたしております。 そのため、今般、御案内のとおり、原因究明と懲戒をきちっと分けるということで、原因究明につきましては、この運輸安全委員会で航空と鉄道とあわせまして調査をするという形につくらせていただいておるところでございます。 ○穀田委員 過失といいますか、そういうものの認定に重きが置かれていたということでありますが、しかし、では今回客観的、科学的な調査ができるようになるという根拠はどこにあるのか、そして、現在の海難審判庁の調査と安全委員会のそういう調査とは何がどう違うのかということについては、正確にする必要があると思うんですね。 ○福本政府参考人 お答え申し上げます。 多発する海難の発生を防止するためには、その背景要因も含めまして、多角的な原因究明を実施することが必要でございます。そのためには、さまざまな知見を有する多くの専門家にお入りいただきまして、委員会形式で事故調査を行うということが望ましいと考えております。これは、もう既に航空、鉄道の世界ではそういう形ができておるところでございます。 さらに、運輸安全委員会の委員長及び委員につきましては、設置法に基づきまして、科学的かつ公正な判断を行うことができる者から任命される、こういう規定になってございます。そういうことで、客観的、科学的な調査はその委員を中心に行ってまいれると思っておるところでございます。 さらに、現行の海難審判庁におきましては、先ほど申し上げましたように、海難に係る原因究明のほか、責任追及ということもやっておりまして、船舶交通の安全の向上のためには、やはりこれらをきちっと分離いたしまして、事故の再発防止に向けた事故調査、原因究明機能の強化を図るということが実は国際的な流れでもございまして、先進海運国ではすべてこのような形になっておりますので、私どもとしても早急にそのような体制を整えまして海難の事故調査に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。 ○穀田委員 そこで、そうなりますと原因究明や再発防止に関連して少し聞きたいと思うんです。 二月十九日に、自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船の清徳丸との衝突事故が発生しました。なぜこのような事故が防げなかったのか、これまで自衛隊の事故が起きた際の教訓が生かされたのかということが今問われています。 この事故について、自衛隊の側の「あたご」の見張りが不十分だったことは明らかであります。それは、なぜなら、全く不十分な防衛省の事故調査委員会報告、三月二十一日に出されていますが、それでさえ、艦全体として周囲の状況について見張りが適切に行われなかったと認めています。二十年前、一九八八年には、潜水艦「なだしお」が民間船に衝突し、三十名がお亡くなりになりました。この際にも、自衛隊の見張りの不十分が厳しく指摘され、再発防止策をとったのではなかったんでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。 ○横山政府参考人 お答えをいたします。 海難審判庁では、裁決の結果を集計、分析いたしまして、海難防止の啓発のためホームページやリーフレットなどで公表するとともに、これらの結果を生かして、必要に応じて関係行政機関の長に対しまして意見の陳述を行っているところでございます。 自衛隊の艦船の事故につきましても同様な扱いといたしておりまして、潜水艦「あさしお」とケミカルタンカー、スプリングオースターの衝突事故に関連しまして、昨年の八月二十四日には防衛大臣に対しまして意見を述べたところでございます。 ○穀田委員 事実経過を言っているのはわかるのやけど、要するに、この問題について、今若干報告がありましたけれども、「なだしお」事件の裁決では、「海上自衛隊第二潜水隊群が、安全航行の基本である見張り、他船に対する動静判断、衝突回避等について乗員の教育指導が十分でなかったことは本件発生の原因となる」と。だけれども、いろいろ改善すると言うから、「勧告しない。」とわざわざ言ったわけやね。 海難審判法では、この間の改正も含めて、少なくとも、必要があると認めるときには、例えば勧告した場合、そのことについて勧告を受けた者に対し、勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。つまり、行った内容が実際にやられているかどうかということについて、法律上からいえば、そういうことができるようになっているんですね。だから、そういうものをきちんと生かしてやる必要があると私は考えるんです。 そこで、今、「なだしお」事件以降も、自衛隊艦船が民間船に衝突する事故が繰り返し起こっています。 皆さんのところにお渡しした、本委員会に提出した資料、「海上自衛隊艦船と一般船舶との衝突事件の裁決状況」ということで出しました。防衛省と海難審判庁の資料に基づき作成しました。 これによりますと、見ておわかりいただけると思うんです、自衛隊艦船の動静監視不十分、それから航法の不遵守による事故が繰り返し起きているわけですね。〇六年十一月に発生した「あさしお」衝突事件でも、見たらわかります、「あさしお」の動静監視不十分が原因とされている。 先ほど、審判庁長官が防衛大臣に対して意見を述べたと言っているんだけれども、では、どのような再発防止策を求め、防衛省はどのように改善したと審判庁は認識しておられるんですか。 ○横山政府参考人 お答えをいたします。 先生御指摘の意見につきましては、「潜水艦と船舶との衝突防止について」でございます。 この意見は、平成十八年十一月二十一日、宮崎県日南市沖におきます潜水艦「あさしお」とケミカルタンカー、スプリングオースターの衝突事故に関連しまして、昨年八月二十四日に防衛大臣に対して意見を述べたものでございます。当該衝突事故につきましては、昨年八月二十四日に海難審判の裁決が言い渡され、事故の原因は艦長の船舶への動静監視不十分とされております。 具体的な意見の内容でございますが、船舶の動静監視を徹底し、新たな船舶を感知した場合には露頂を中止すること、意思疎通を確保できる艦内体制を構築すること、露頂場所は船舶の航行状況などを十分考慮の上決定すること、事故後、迅速に対応できる通信体制を構築すること、以上四点でございます。 これらの対策につきましては、防衛省においても事故再発防止対策として取りまとめられ、既に内規、達などに盛り込まれ、各潜水艦などに周知徹底されておると聞いております。 ○穀田委員 その内容が、今お話ありましたけれども、周知徹底されていると思いますというのは、その文書の中にあるんですよ。今、四つの意見を行った、その後周知徹底されていると見ているというんじゃないんですよ。その同じ文書の中にそう書いているんですね、「上記の事故再発防止対策等は海上自衛隊内部で周知徹底されているところ」だと書いているんですね。その後、こういう意見を述べて、そしてやっているんだという話じゃないんですよ。 その経過からいうと、今長官がおっしゃった話は、わかりますか、大臣、言った文書と、その後徹底されているという話をうまく言っているけれども、違うんですよ。実は、今述べられた八月二十四日付の当時の高等海難審判庁長官の文書の中自身に、上記の四つの内容についての対策等は、それは事故が起きてからしばらくたっていますから、そういう意味で海上自衛隊内部で周知徹底されているところだ、こう言っているんですよ。 では、その判断した根拠は何なんだ、そこはちょっと言ってください。 ○横山政府参考人 お答えいたします。 裁決の後、我々は裁決の内容等を踏まえて意見の取りまとめを行っているところでございますけれども、その過程において防衛省とも当然協議をいたします。そういう状況の中で、防衛省の中でもこれらの対策を徹底するということが確認されておるわけでございます。 ○穀田委員 徹底すると確認されているということ、それは徹底しましたという約束でしょう、今のお話だと、違うんですか。徹底しますと、過程の中で。 では、徹底されたという判断は皆さんはしているわけだけれども、どういう根拠をもって徹底したと判断されているんですかと聞いているんです。それはいかがですか。 ○横山政府参考人 お答えをいたします。 先ほどからお話をしてございますけれども、自衛隊の内部の各種の規則等でそういう趣旨のことを徹底するというふうに聞いておりますので、当然、役所の中のルールでございますから、そういう達類等が整備されれば、そのとおり実施されるものと我々は理解しておるところでございます。 ○穀田委員 その結果どうだったのかと。そこで事態が見られるわけですね。 例えば、長官、私思うのだけれども、そう言っていたけれどもまた起きたといって、いや、あれは失敗したな、まだ不十分だったなと言うのやったら、まだかわいいわ。だって、命がなくなっている問題について、もう一遍起きているわけでしょう、徹底されていなかったから。 つまり、動静監視不十分という言葉が何回も出てきているわけでしょう。そういったことを安易に、規則に書いたからなんという話で言っておってええのかということを私は言っているんですよ。だって、本当に徹底されていたら今回の事故は避けられたんじゃないのかという角度からの検証が必要とちゃうかということを言いたいわけですやんか。 そこに対して、そんなことを言っておって、皆さん聞いていてわかりましたか、今。自衛隊の各規則で文書を書いたさかいに徹底されていると思ったけれども、どうも違うたと最後言ってくれたら、まだわかりまっせ。それはないんじゃないかと。そういう徹底したと思ったけれども、なぜこの事態が起こったのかと今検証をしているというようなことを言ってくれたら、それはなるほどなと思うけれども、そんなこと文書で、規則で徹底したと、それは規則で徹底したら事故は起きないのか。そこにやはり踏み込まないとあかんのちゃうかということを言いたいわけですやんか。事は人の命にかかわる問題だと。 そこで、自衛艦は、実は小さい船がよけて当たり前という航行をしている、それから衝突防止法などのルールを守るつもりがあるのかと疑いたくなるというのが、多くの漁民が証言しているところです。私は、今述べた、そういう単なる規則でやったとかじゃなくて、しかしそれはあったけれども起こったという事態と、起こっている事態の経過の中で漁民がそういうことを言っているということも初めとしたものを踏まえて、再発防止の観点から見ても、このようなことがあってはならぬ、今述べた漁民の意見などのような事態があってはならぬと思うんですが、大臣、その点いかがでしょうか、二つ。 ○冬柴国務大臣 この文書自体が、審判庁長官から防衛大臣に対しては十九年八月二十四日付になっています。一番最後のところは十九年四月三日だから、後の話ですよね。十九年四月三日のことは十八年にわかるはずがないわけで、これでいいんですかね。十九年八月二十四日に、ああそうか、十九年四月の三日に起こったことをね。 それで、この文書をよく読みますと、「周知徹底されているところ、」で切れているんじゃなしに、「これが今後とも引き続き実施されることが重要である。」ここのくだりが海難審判庁長官の意思ではないか、私はそう思います。 しかしながら、残念ながら、それが重要であるにもかかわらず、また同じことをやった。ここは責められるべきだろう、私はそう思います。 ○穀田委員 要するに、こういう流れの中で、私は、やはり、周知徹底されているという、わざわざ聞いたわけですやん、文書でなっていると。そうしたら、審判庁は、規則でやっているからだと言うから、余計話はあかんのと違うかということが一つ。 もう一つ、そこの大きな検証をしなくちゃならぬ根本問題は、やはり自衛隊の艦船が、そこのけそこのけ通るという形で来ているようなことがあるから言っている。だって、大臣わかりますやろ。私は京都ですよね、舞鶴なんかでいったら、舞鶴はやはり自衛隊の基地があるわけでして、そういうところで自衛隊に文句を言うなんてなかなか大変ですやんか。しかし、漁民の方々は、自衛隊の船が航行したりするというもとで、はっきり言って衝突防止法などのルールを守るつもりがあるのか疑いたくなることがあるということを、やはりはっきり言うわけですわね。 そういうことが再発の防止の観点から見てもよう検討しておかなあかんのとちゃうか、こういうことがあってはならぬわなということについて二つ目は聞いたわけですよね。もう一遍、そこはどうですか。 ○冬柴国務大臣 まさに海上衝突防止法は、それは適用されるかどうかは別として、そこのけそこのけはだめですよ。あれは絶対だめです。 ○穀田委員 私はなぜこんなことを言っているかというと、たまたま事故にならなかったからよいけれども、多くの漁船がそういう自衛隊の航行について意見を述べているんですね。だから、海上保安庁や、それら関係するところがよく踏まえてほしいということを言っているんです。海上の安全を守る立場から、漁船が自衛隊艦船の航行との関係でどんな危険を感じているかを知らずして責任が持てないんと違うかということを私は言いたい。 そこで、一言だけ皆さんの声を紹介すると、自衛艦は船体の色が地味で航海灯も見づらい上、自衛艦が不定期の航行を行い、定められた航路をとらないため、より危険を感じている。自衛隊の漁場航行に当たっては、航路を当該漁協に周知徹底するなど安全対策をしてほしいと。 さらには、舞鶴近海で漁をする人たちの声を言いますと、船外機をつけた小さな漁船が多いが、自衛隊の艦船は喫水が深く波が大きい、スピードを落とさずにとても危険だ。潜水艦は潜望鏡にひっかけられたらすごい事故になる。はえ縄が潜水艦に切られたこともある。訓練はもっと沖でやってほしい。毎日出入りする自衛艦は漁場を行ったり来たりしているし、危険この上ない。こんなことを言っているわけですね。 さらに、海難審判庁の那覇地方懇談会では、報告によると次のような意見も出ています。「沖縄近海では米軍艦船と漁船のニアミスが頻繁に発生している。重大な海難発生を防ぐためにも、こういった海難に至らないインシデント調査を強化していただきたい。」 こういった要望を踏まえて安全管理に生かすべきだと思いますけれども、海上保安庁、どうでしょうか。 ○岩崎政府参考人 私どもの方でも、そうしたルールをちゃんと徹底していくことは非常に重要だと思っております。 このため、海事関係者、漁業関係者に対して海難防止の講習会をやるとか、それから、今話題に出ております自衛隊にいたしましても、自衛隊の隊員を対象に私どもの職員が出ていって講習会、講義などをやっております。 今後、今先生がおっしゃったようないろいろな現場の実態でありますとか、まだ今捜査中ではございますけれども、「あたご」の事例等々も参考にしながら、中身のいいものにしていくように努力をしていきたいと思っております。 ○穀田委員 では、最後に残りの時間でJR福知山線脱線事故調査について少し聞きます。 航空・鉄道事故調査委員会の事故調査で聞きたいと思うんですが、二〇〇五年四月二十五日、百七名がお亡くなりになったJR福知山線脱線事故から丸四年目を迎えようとしています。この事故に遭われた方々、また遺族の方々に、改めて私はお見舞いを申し上げたいと思っているところです。 また、我々自身がこの問題からどう学んでいくのかということが問われています。その意味で、最終報告書が出ていますが、一点だけ、国交省の安全対策の問題点についてどのような調査、勧告を行っているでしょうか。 ○辻岡政府参考人 お答えさせていただきます。 福知山線脱線事故調査におきましては、国の規制などが適切であったかどうかも含めまして、事実調査を行っております。その上で、私どもの方で解析を行いまして、報告書を取りまとめたところでございます。 まず、平成十七年九月六日に、この時点ではまだ最終報告書は出ておりませんでしたけれども、その時点までの事故調査結果に基づきまして、国土交通大臣への経過報告を行っております。その際に、まず、ATSについて、曲線区間における制限速度の超過防止機能を追加するなど、機能向上を図っていただきたい。事故発生時における列車防護の確実な実施を行っていただきたい。列車の走行状況を記録する装置の設置と活用を行っていただきたい。速度計などの精度確保を行っていただきたい。この四点について建議を行いました。 それから、その後、平成十九年六月二十八日に私どもは最終報告書をまとめたわけでございますけれども、その際には三点について建議を行っております。 まず一点は、非懲罰的な報告制度の整備など、インシデントなどの把握及び活用方法の改善を図ること。二点目は、列車無線による交信の制限を行うこと。三点目は、メーカーの担当者などへの関係法令等の周知徹底を図ること。この三点の建議を行ったところでございます。 ○穀田委員 建議を二回行っているのは知っています。この間の、独立性の問題を問われ、大臣は、勧告も建議も受けておりますと随分しゃかりきになって言ってはりましたけれども。少なくとも、建議はありますけれども勧告はなかった、冬柴大臣の時代にはなかったと思いますけれども。ありましたか、ないですわな。 ○辻岡政府参考人 本件についてはございません。 ○穀田委員 ないんです。 私は何を問題にしているかというと、改善策を提起したことについては知っていますよ。ただ、問題にしているのは、私が今言いましたように、国交省の責任についてはどうなのかということなんですね。福知山線脱線事故について被害者や遺族を初め多くの方々が国土交通省には全く責任はないのかということについて疑問に思ったのじゃないかと率直に考えます。 というのは、きちんとした対応をしていれば事故は防げたのではないかということを、私は当時何度も質問しました。とりわけ、JRが行っている、当時私は指摘しましたけれども、もうけ第一という張り紙までしてやっているという現状はつかんでおらなかった、当時の国交省は、冬柴大臣と言っているんじゃないですよ。さらに、安全問題での規制緩和などがやられていたという点も遠因としてなかったのかという、いわばその二つのことを大きく指摘したわけですよね。 改善の、例えば機械の反応だとか、三点の対応だとかいうものはやっていますよ。だけれども、国交省の持っている責任問題なんだということについて言ったのかということを、今、事務局長に聞いているわけですよ。 ○辻岡政府参考人 特に今回の事故調査につきましては、曲線区間における事故発生当時の国土交通省の速度超過についての認識という点がございますけれども、これは私どもの報告書にも書かせていただきましたけれども、旅客列車が速度超過によって曲線で外側に転倒する列車事故というものは、これは先生がおっしゃるように、一度発生すれば重大な結果を招くものでございますけれども、本件事故が発生した当時は、それまでの事故の発生状況からいたしますと、危険性を十分に認識するということは難しかったのではないか。 例えば、本件で、私ども、記載させていただいておりますけれども、ATSについて、例えば曲線速度照査機能を義務づけるといったようなことを提言させていただいておりますけれども、この事故が起きるまでは、そこまで見通すというのは非常に難しかったのではないかと私どもは考えております。 ○穀田委員 それは、曲線の話はわかっていますよ。だけれども、もともと私が問題提起したときを今でも覚えていますよ。 では、あそこの速度規制というのはどういう規制があるのか。規制は全くないんですよ。そういうのを初め、もうけ第一主義の根本はスピードだということを当時言いました。そして、スピードを上げるためにいろいろなことをやって、車両は軽くする、余裕時間をなくす、いろいろなことをやってきたというのを全部国土交通省は知っているんですよ。 そういった問題について、何らチェックせずに通してきた責任があるということを、私は当時、繰り返し言ったんですね。その責任がないとは言えないということは当時大臣も答えたし、そのやり方について、JRと当時の民鉄に対して、もし対応が違うとすればそれは問題だということで、総理大臣も述べたとおりなんです。そういう意味で、私は、国土交通省に全く責任はないとは言えないということを一貫して当時言ってきました。 ですから、最終報告書によりますと、JR西日本の企業体質は批判していますよ。だけれども、今述べたとおりで、遺族からは、読売新聞の〇七年九月十九日付によると、国交省への遠慮が感じられると批判されている、そういう意見が出ているわけです。私は、大臣が、自分のところに対して遠慮はないといろいろ声高に叫びますけれども、私は、今後、監督官庁の責任の内容も、その意味では調査、勧告をしっかり求めたいと思っています。 私は、運輸安全委員会が、統合によって、現在と基本的に変わらない予算と人員のもとで監督官庁や政府機関の責任についても厳しく調査し、徹底した原因究明を図ることについて、本当にできるだろうかということを、一抹の不安を感ぜざるを得ません。 そこで、国の安全というのは国に最終責任があるんだ、私は、そのことを肝に銘ずる必要がある。だから、一連の、この間の、この問題について言えば、先ほどあったように、当時そういう法令はなかったとか、そういうことがなかったというのでは済まない。そういう問題での不作為によって事故があってはならないんだということだけ述べて、質問を終わります。 |
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