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【第169通常国会】 衆議院・国土交通委員会
「伝統的文化財の保存に国として責任もて」―歴史的まちづくり法案を質疑
○竹本委員長 次に、穀田恵二君。 ○穀田委員 歴史的まちづくり法案にかかわって、重要文化財に指定されている民間の住宅、重文民家について質問します。 今回の法案は、文化財保護行政とまちづくり行政とが連携をして、これまで点として守ってきた貴重な文化財を、点としてだけではなくて面として、文化財を核にしながら、周辺地域全体の歴史的風致を守っていくものだという説明がありました。 私は、まず第一に、これらを考える上で、法案における重要文化財の持つ意義について明確にする必要があると考えています。なぜなら、重要文化財がなければ、すなわち、核がなければ歴史的風致を守ることも成り立たなくなる法案だからだと考えています。 法案の趣旨を生かそうと思えば、中心、核となる重要文化財は守らなければなりません。国や地方自治体が所有する重要文化財については国と地方自治体が責任を持つのは当然です。私は、民間の住宅だった建物を重要文化財として保存、守ることの意義について大臣にお伺いしたいと思います。 ○冬柴国務大臣 そのような重要文化財に指定されるものは、きのうやきょうできたものではなしに、随分長い年輪を重ねた、そしてそこには住む方々の生活があるわけでございます。そういうものは我々にとって、過去の歴史あるいは町の成り立ち、そしてまたそこに住む人々のかたぎと申しますか、そういうものを知る上においても非常に必要なものですし、反面、最近のようにビルが林立する中で、そういうものに接するということは非常に心和むわけです。 したがって、そういうものを保存していくということは非常に大事な視点だと私は思っております。 ○穀田委員 保存は大事だと。それで、重要文化財の、そういう民家のみならず、法案に基づいて指定されることとなる歴史的風致形成建造物は、人が住むなり活用してこそ、登録されている民家として価値を維持、継承できるものです。 今度の法案は、活用を進めることを前提にしています。居住するなどの活用がされなくなってしまっては廃屋になる。したがって、この努力を高く評価することが大事です。保存という意味と同時に、この努力を高く評価することが大事ですし、そのための支援が所有者に見えなければならないと私は考えています。 そこで、歴史的風土部会の古都保存行政の理念の全国展開小委員会は、二〇〇六年六月の報告の中で、これに載っていますけれども、「歴史的・文化的資産が的確に保存・継承されるための防災の視点とともに、」防災、まあ防犯ということも事実上含まれているんだと思うんですけれども、「維持修繕を支える技術者や伝統的材料の不足にも留意する必要がある。」と指摘しています。 今回の法案の中で、この指摘がどのように生かされ、対策が具体化されているのかお示しいただきたいと思います。 ○増田政府参考人 お答えいたします。 先生御指摘のように、歴史的風致を維持向上させ保全していくというためには、歴史的建造物の維持修繕を支える技術者の技術の継承、さらにはそういった技術の継承の場の確保というのが大変重要であるというふうに考えております。 このため、国土交通省では従来から、例えば、木造軸組み工法の担い手の大工技能者の育成でありますとか、あるいは地域における伝統的な技術の継承と向上のための研修活動への取り組み、それからさまざまな制度における歴史的な町並みの保全のための事業支援というものを行ってきたところでございます。 私どもが支援するとともに、地域独自のさまざまな取り組みも現在なされております。例えば御地元の京都市におきましては、NPO法人京町家再生研究会、京町家作事組というのが京町家棟梁塾というような活動をされて、そういった技術者でありますとか伝統的材料についてさまざまな活動をされています。あるいはまた、財団法人の京都市景観・まちづくりセンターによるさまざまな取り組みもあります。 今回の法律につきましては、歴史的風致維持向上計画を市町村が定めるということになっておりますが、その計画の中で、こういう地域独自の取り組みというものをしっかり位置づけるということも可能となるような形で組ませていただいておりますし、先ほど申し上げましたような、さまざまな公益法人、NPO法人につきましては、法律上、歴史的風致維持向上支援法人という新しい制度をこの法律において定めております。 さらには、そういったNPO法人、指定法人が、公共団体とかさまざまな関係者とともに協議会をつくる、そういった協議会の場でさまざまな活動をし、計画策定にも意見を述べることができるような形で法案に盛り込ませていただいたということでございます。 ○穀田委員 このところ、議員が立つたびに、住んでいるところの特色を一生懸命言って、そんなことわかっているし、私思うんだけれども、そこでの取り組みというのはもっといっぱいあるんですよ。それを、かめへんねんけど、あんまり知り顔で言ってもらうとあかんのと違うかなと、一言苦言を言っておきたいと思うんですね。 そこで、では聞きますけれども、重要文化財に指定された民家への窃盗事件が相次いだと言われているけれども、被害の実態を簡単に述べていただきたいと思います。 ○高塩政府参考人 お答え申し上げます。 先生からお話がございました重要文化財建造物におきます侵入とか盗難に伴いまして、重要文化財に毀損があった場合につきましては、文化財保護法の第三十三条の規定によりまして毀損届というものが提出されることになっているわけでございます。 今御指摘のございました重要文化財建造物に指定されております民家の窃盗事件というものにつきましては、毀損届が出されたものにつきましては、この十年間で二十八件でございますけれども、特に平成十四年度に、これは平成十四年の六月から翌年十五年の二月まででございますけれども、近畿地区三県におきまして十件の侵入、窃盗の被害があったというふうに承知いたしております。このうち三件につきましては、ただいま申し上げましたような毀損届が提出されている、こういった状況にございます。 ○穀田委員 近畿で十件もあったと。それで、近畿六府県で重要文化財建造物に指定されている民家は合計で七十軒ですから、七軒に一軒がやられている。それを奈良でいいますと、重文民家が二十二軒です。そのうちやられているのは七軒となりますから、三分の一が空き巣などの被害に遭っている。 文化庁としては、防犯のためにどのような対応を行っているのか、明らかにされたい。 ○高塩政府参考人 お答え申し上げます。 重要文化財の防犯また防火につきましては、今御指摘のございましたような窃盗事件というものが発生した場合に、必要に応じまして私どもの方から都道府県教育委員会を通じまして通知を発しまして、文化財の所有者に対しまして文化財の防火、防犯の徹底について注意喚起を行っているところでございます。 ただいまお話のございました平成十四年度の一連の盗難事件につきましては、被害の集中しました近畿地区につきまして、当時、建造物課の方から、近畿六県につきまして注意喚起を行ったところでございます。 こうした通知といいますか、所有者の意識というものを高めるということをまず第一に私どもは努めておるところでございます。 ○穀田委員 所有者の喚起という、大臣、ちょっとここ聞いてほしいねんけど、持ち主に幾ら喚起したって、それはだめですわな。だって、文化財として広く多くの方々に活用してもらうためには、当然公開しなければならない。ところが、公開するということは、盗みの下見に来られてもわからないということに当然なるわけですね。そこなんですよ。 そこで、今あったように、所有者に幾ら喚起したって、今度は、防犯のための扉などの入り口を改築しようとしても、文化財保護法の規定によって許可がおりない。そうすると、古い民家ゆえに、先祖代々伝わる古きよきものが存在する。そうすると、窃盗犯などのねらい目となる。 ですから、私はこの間、京都の二条陣屋というところに行ってきまして、小川さんという方にお聞きしてきたんですけれども、奈良で重文民家ばかりねらった空き巣が発生した。京都府に対策を要望した翌月に、今度は自分のところがやられた。これは、注意を喚起しているといって、自分のところはあかん、大変だと思ってやっているんですよ。それだけれどもやられて、先祖代々伝わる大きな五月人形と和弓をやられちゃった。古美術の目ききのグループが逮捕されたけれども、残念ながら盗まれたものは戻ってきていないと語っておられました。 私は、通知を幾ら出して注意を喚起して、もちろん通知は全部見ましたよ。そうしたら、地域との連携が大事だとかいうふうに書いていますよ。でも私は、重要文化財を守り、有効活用のためにも、防犯設備に対する設置、維持管理補助などを新設して、こういうものを通知を出すのではなくて、国としての責任を果たすべきではないかと思うが、どうでしょうか。 ○高塩政府参考人 お答え申し上げます。 今先生から御指摘のございました重要文化財建造物の防火、防犯対策といたしましては、国庫補助事業によりまして、いわゆる放水銃、貯水槽等の消火設備、それからセンサー等の防犯設備などの防災施設につきましても補助を行っているところでございます。 今年度の予算におきましては、防犯設備の設置など、防災施設設備に係る予算を、対前年度七千二百万円増の八億四千万円と、数年ぶりに増額をしたところでございます。また、そうした設備の維持管理につきましては、国庫補助事業で設置しました設備につきましては、指定文化財管理費ということで、県を通じて国庫補助をいたしているところでございます。 しかしながら、先生から御指摘ございましたように、民家につきましての防犯設備というものにつきましては、これまでほとんど補助が行われていないという事例がございます。と申しますのは、今の補助対象になっておりますのは、いわゆるセンサーですとかそういった設備の補助でございまして、民家の場合には大がかりといいますか、やはりそういった警備の体制等を含めた、維持管理を含めた防犯体制が必要であるというようなことから、今の補助対象ではなかなか難しいということがございます。 また一方で、先般、中央防災会議の方からいわゆる火災の問題が非常に出されておりまして、我が国の文化財の大半が木造であるということから、防火ということをどうしても重点に置くということから、なかなか防犯につきましては、全文連の方からの御要望も伺っているところでございますけれども、まだ十分でないことは十分認識いたしておりますけれども、今後さらに先生方の御支持を得まして努力を続けていきたいというふうに考えている次第でございます。 ○穀田委員 所有者は、改築できない不便さとそれから出火を恐れて代替家屋に住んでおられる例が多いんですよね。そういう例も多いんです。だから、その意味でも、やはり幾ら注意を喚起したって、みんな、守らなくちゃならぬということで、先祖代々のものなんやから、それはわかっているわけで、防火や防犯ということからしても、きちんとそういう援助にどうしても踏み出すべき時期に来ていると私は思います。 次に、ひわだについて聞きます。 雪はひわだぶき、いとめでたし。少し消えがたになりたるほど、いとをかし。これは清少納言の枕草子の一節なんですが、雪はひわだぶきの屋根に降ったのが大層すばらしい、少し消えそうになっているころがよいということで、ひわだぶきの美しい情緒をうたっているわけですね。日本古来から伝わる植物性の屋根で、神社やお寺に使われています。 ちょっと持ってきまして、これは清水寺なんですけれども、清水寺の屋根がいわゆるひわだぶき。知らない方が多いので、ちょっときょうは持ってきました。 そこで、私はこの間一貫してこの問題をずっと追及してきたんですけれども、ひわだの不足だとか原皮師の高齢化の問題を取り上げてきました。文化庁は用具、原材料の確保に関してどのような取り組みを行ってきたのか、これは時間がありませんので、簡潔にお願いしたいと思います。 ○高塩政府参考人 お答え申し上げます。 文化財を支えます用具、原材料につきましては、先生の方から平成十二年に質問主意書もいただきまして、そうした結果で調査報告書をまとめたところでございます。 そして、平成十三年度から、ふるさと文化財の森事業といたしまして、文化財の資材の確保、それから資材の採取等の研修という形での事業を展開しておるところでございます。 資材の確保につきましては、このひわだぶきにつきましては、平成十九年度、昨年度までに岡山県を初めとして全国十カ所に資材供給林というものを設定いたしました。また、研修につきましても、平成十二年当時は毎年度四人程度の研修しか行っていなかったわけでございますけれども、平成十三年度以降人数をふやしまして、現在毎年三十人程度の方々に研修を行うということに体制を整備しているところでございまして、文化財建造物の保存修理に必要なひわだの原材料の確保、それから技術者の研修等に引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。 ○穀田委員 努力していただくことは当然なんですが、今お話がありました研修参加者、それはふえているのは確かなんですけれども、予算はずっと減って、ふえているわけじゃないということも、初級者がいつも四名だか二名であって、中級者が三十三名だ、三十名ふえているということは一言言っておきたいと思うんです。何かえらい右肩上がりに上がっているみたいな話を、人数がふえているといって、それは最初はずっと初級者が来ていて、それを研修していったわけで、そこはちゃんとしておかないと、何かえらいやっているなと。予算は減っているということも言っておかないと、何かえらい調子いい話をしたらあきまへんで、それだけは。これはもっときちんとやってくれな困る。 当時、文化財を支える用具・原材料の確保に関する調査ということで調査報告書を出しています。その報告書の中で、「まとめ」として「今後、更に継続した調査が実施されることを強く要望するとともに、「確保方策」として示したものを具体化するための検討がなされることを期待する」、こう結んでいます。ですから、引き続いて、二〇〇一年で終わりにせずに、きちんとやってもらわなければならないと思います。 私は、長年ひわだぶきの仕事に従事されている宮川さんという方にこの間お話を事務所としてお聞きしたんですけれども、ひわだは需要の変動が価格の変動に直結することもあって、安定を望む、大きな仕事が入った瞬間には、要るということでぐっと上がるということなんかも報告されていました。 それで、先ほど述べたこの絵でもそうなんですけれども、少しひわだぶきの屋根にこけが生えているなんというのは、これはだめなんですよね。これは耐用年数が過ぎているということで、皆さんかっこいいなと思っていらっしゃるけれども、そうじゃなくて、耐用年数を過ぎている。だから、そういう意味からいいましても、大規模な修繕の合間で、実は小さい、有名でない、有名でないといったらちょっと語弊がありますが、小さい寺なんかでは、やはりそういうことをやっているところがあるんですね。重要文化財の方は一定のレベルにはあるんだけれども、そういうことなんかでも、今後の見通しを立てた場合には、きちんとやるべきじゃないかということを言っておられました。 私は、そういう意味として、よくまず現場の意見を聞くということと、調査報告の最後には、「用具・原材料の生産・製造等の活動及び従事者に対する支援策」を講じるとして、「特に産業として成立し難い分野については緊急かつ積極的な支援の検討が望まれる。」とわざわざ書いているんですね。だから、一つの産業として成り立たない問題の背景にあるのが、この用具や原材料の問題ということは共通しているんですね。だから、その辺での責任を果たすことが、私はとても大事じゃないかなと考えています。また、そのことが、この調査報告による結論を実行していくことだと考えています。 最後に、文化財を核とした周辺地域全体の歴史的な風致を守っていく問題について聞きます。 この法案によりますと、市町村は、歴史的風致維持向上計画を作成し、認定を申請する。大臣は、それを認定する。維持向上計画には、重点区域を指定し、文化財の保存、活用、施設の整備などの方針を記し、域内の多くの方々、会社も協力するという解釈でよろしいな。 ○増田政府参考人 お答えいたします。 市町村の定める計画には、大きく方針と、それから具体にコアになる歴史地区である重点区域、二つを書くことになります。重点区域につきましては、当然、コアになる重要文化財、それから、それを支える周辺の町家等の建造物群がある、そこで生業なり生活が営まれている、そういうものを計画として盛り込むということでございます。関係者は、その計画に沿って、それぞれの務めをしていくということになると思います。 ○穀田委員 そこで、京都の島原のことについて少し触れたいと思うんです。 京都の島原というのは、江戸期の歌舞音曲を伴う遊宴の町、花街として発展した町で、角屋、これは今の料亭に当たる揚屋で、置屋、これは太夫や芸妓を派遣する輪違屋、それに島原の入り口の大門、この三カ所が往時の名残をとどめていまして、角屋は重要文化財です。間近にJRの山陰線が走っています。すぐ接近して走っているんですね。角屋保存会の中川理事長並びに地域住民は、重要文化財が騒音、振動で壊される危険があるとJRに善処をお願いしているのが今の現状です。 そこで、大臣、歴史的風致を守るといいながら、その核となる重要文化財が、騒音と振動で角屋の静寂な風情が台なしになっている。参加者の気分を害すことはもとより、振動がありますから、施設そのものの劣化を防げないでよいのか。JR西日本にそういう点での協力や社会的責任を果たさせるために、監督官庁としてさまざまな指導をすべきではないだろうか。いかがでしょうか。 ○冬柴国務大臣 なかなか難しい話ですね。これは山陰線ですね。それで、最初は平面で、ディーゼルが走っていたわけですよ。それを高架にしてやっているわけでございまして、ですから、これについては、平成十八年十一月以降、大阪簡易裁判所で調停手続が進められている、JR西日本と角屋さんとの間で。ですから、その中で話し合われる。 私はやはり、だからといって、山陰本線を取り除くというわけにいかないと思いますので、そうすると、その騒音を、少なくとも振動を少なくする工夫というのは、消音バラストを散布するとか消音マットを下に敷くということで随分変わるんですね。私の方の選挙区の中にも、新幹線のところで物すごい騒音があったんですが、そういうことをしていただくことによって、周辺の住民は随分改善されたということで喜んでいられますけれども、そういう手法もありますので、恐らく、その調停の中で、そういう形での解決というものが図られるのが望ましいのではないかなという感じがいたします。 ○穀田委員 取り除けと言っているんじゃないんですよね。そんなことは住民も言っていません。そこまでいくと、話が全然違うわけで。 ただ、大臣が今おっしゃいましたように、高架になる、それから複線化になりますと、丹波口というのは特急はとまりませんから、そうすると、一気に走ってくるとなると、また騒音が上がる。だから、防音壁をつくるとか、そういう当たり前のこと、可能なことをやれということを言っているわけですよね。そういうふうにみんなが要望しているわけですよ。バラスとか、それから消音のあれとか、それはやっているんですよ。問題は、少しはやっているんだけれども、それでおさまらないという現実をどないしたらいいか。 つまり、音というのは、下に行くと同時に、こう壁がありますと、上へ行くわけですね、それが大変な音になっているということも含めてあるわけですから、そういうものを含めてどうしたら最大の効果を上げることができるかというふうに考える必要があるんだと私は思っているんです。そこはよく見ていただきたい。 そこで、京都新聞の〇七年十一月十六日の記事には、「駅前マップ「角屋」外し? JR西「意図的でない」 保存会「嫌がらせでは」 騒音・振動対策で公害調停中 抗議後に掲載」、こういう記事が載っているんですね。〇六年二月にJRのつくった駅前散策マップ、これなんですね。重要文化財の角屋を含む島原地域の掲載なし。指定されていない記念館は紹介する。三月には保存会が回収を求め、JRは十月下旬に新たな散策マップを作成しています。これなんですけれども、記事は、「「角屋もてなしの文化美術館」や置き屋「輪違屋」など島原地域も掲載し、」と。複線化工事と環境アセスメントなどで対立しているとしても大人げないと私は思うんです。 事ほどさように、JRがこんなことまでして、地図からも除く、重要文化財をほかのところは全部かいて、国宝もかいているのに、そこだけをわざと除くというのは、いかにも、意図的であるかないかは、それは本人に聞いてみなわからぬけれども、明らかに抜いたことは事実だ。しかし、重要文化財でないものは載せるというのは、私は、いかにもそれはあかんのとちゃうかと思うんですね。 そこで、さきに述べました古都保存行政の理念の全国展開小委員会の報告は、「歴史的な風土の保存・活用と生活との共存」という項目を設けまして、対策の方向を次のように明らかにしています。「歴史的な風土や歴史的・文化的資産を後代に継承していくに当たっては、維持保存、修復、復元・整備、活用等、」中略しますが、「当該風土にそぐわない物件の修景・除却、」「など、歴史的な風土の保存・活用に係る総合的な取組みが必要であり、当該土地・資産の所有者のみならず、住民、行政、公共マインドを有する民間、専門家等、多様な主体の理解、協力と参画が必要である。」と。 つまり、住民だけじゃない、行政もそうだ、公共マインドを有する民間、これらが理解し、協力と参画が必要だ。お互いのものとして守って、どないしたらこれが一番効果になるか。そうすれば、人も来る、そのことによって当然JRにも乗ってもらえる。それ以上いいことないじゃないですか。まさにそういう至言だと私は思うんですね、この提起は。 したがって、民間会社は今、地域に対する貢献、そして社会的に責任を果たすということが求められていると思います。このことを、私はどうしても今必要だということを申し上げて、私の質問を終わります。 |
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