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【第170臨時国会】 衆議院・国土交通委員会 ○*望月委員長* 次に、穀田恵二君。 ○*穀田委員* 大臣に初めにお伺いします。 国土交通大臣になって、北朝鮮問題についての措置について初めてですので、原則を確認しておきたいと思います。 北朝鮮に対する船舶入港禁止と日本独自の制裁措置の目的、そして、そもそも制裁措置をとった理由についてお述べいただきたい。ここを確認したいと思います。 ○*金子国務大臣* 北朝鮮による平成十八年七月の弾道ミサイルの発射及び十月の核実験実施の発表、このことは、政府として我が国の平和と安全への脅威であります。これらの事案を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみまして、諸般の事情を総合的に勘案し、北朝鮮籍船舶の入港を禁止したものであります。 政府としまして、北朝鮮籍船舶の入港禁止の措置を講じることが、北朝鮮に対しまして、拉致、核及びミサイルといった諸懸案の解決に向けまして具体的な行動を求めることにつながると考えられております。そのために、我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があると認められ、これらの措置を講じてきたところであります。 ○*穀田委員* 私どもは、北朝鮮への日本独自の制裁措置を継続する案件に対して、昨年十一月には反対の態度を表明しました。 北朝鮮船舶の入港禁止及び輸入禁止の日本独自の制裁措置は、今お話があったように、二〇〇六年十月の北朝鮮による核実験を契機としてとられた対応措置でありました。その当時も確認したんですが、その目的は北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題の外交的解決を図るための手段として日本独自の制裁措置をとる合理的な理由があるとして、賛成の態度を私どもはとりました。 その後、北朝鮮の核をめぐる情勢には大きな前向きな変化が起こりました。核問題の情勢が前向きに進展したにもかかわらず制裁措置を継続することは、核問題解決のために日本政府が積極的役割を果たす上で障害になりかねないという点を指摘し、情勢の進展に即した対応が大切だ、したがって制裁措置の継続、延長に反対するということを私は昨年主張し、日本共産党としての態度を明らかにしてきたところであります。 そこで、国際社会と近隣諸国が北朝鮮に対して制裁措置をどのように行っているか、その状況について、外務省、簡単でいいですが報告をされたい。 ○*石川政府参考人* お答え申し上げます。 国際社会あるいは近隣諸国による対北朝鮮制裁措置ということでございますけれども、これは委員御承知のとおり、国連安保理決議千七百十八号というのができてきております。これに基づきまして、例えば、アメリカ、カナダあるいは欧州諸国、豪州、ロシア等、こういった国々が、軍関連及び核、ミサイル、大量破壊兵器計画関連の特定品目あるいは写真の輸出禁止等の措置を既に実施しておりまして、その状況に今大きな変化はないものと認識しております。 ○*穀田委員* 国連に対してそれぞれの国が報告をするということになっていることは御承知のとおりであります。 そこで、核問題をめぐる米朝両政府の核開発計画の検証方法について、申告した全施設に加えて、未申告の核施設の立ち入りも相互の合意のもとで進めることをこの間合意しています。北朝鮮は、一たん中断していた寧辺にある核施設の無能力化の作業の再開に着手していると言われています。政府としてはどのように把握していますか。 ○*石川政府参考人* お答え申し上げます。 もう委員よく御承知のとおりでございますけれども、本年八月、九月、北朝鮮は無能力化作業を中断しておりますけれども、その後、アメリカとの米朝協議等を経まして、アメリカがテロ支援国家指定解除をしたということで、十月十二日から核施設の無能力化を再開するということを発表しておりました。また、同時に、IAEAにつきましても、無能力化作業を監視することを再開するということで確認をしております。 ○*穀田委員* 大臣、今、北朝鮮の対応とIAEAの対応が再開ということが、事実が報告されましたけれども、この一連の動きを核問題の解決にとって前向きと評価するのか、後ろ向きと評価するのか、お聞かせいただきたい。 ○*金子国務大臣* 米朝間で一連の検証措置に合意したことを受けまして、アメリカが北朝鮮のテロ支援国家指定解除を発表し、その後、北朝鮮が寧辺の無能化作業を再開したということを今外務省が報告された、そういうふうに私も聞いております。 ただ一方で、今後、六者間で北朝鮮の非核化に関する検証の具体的な枠組みを構築する必要があります。また、無能力化作業も今後着実に実施されるのかどうか見きわめていく必要があります。 いまだ楽観視できる状況にはないと考えておりますけれども、六者会合プロセスが前進するよう、米国を初めとする関係国と密接に連携しつつ、努力を重ねることが必要だと思っております。 ○*穀田委員* 要するに、それはいろいろな問題点があることは事実なんですよ。この動いている関係が、米国も中国も、少なくとも前の段階よりは進んだということで評価しているわけですね。だから、中途半端な言い方じゃなくて、少なくとも今起こっている無能力化のそういう努力やIAEAが新しく再開をしたということは、私は明らかな前進だと思うんです。各国もそういうふうに評価しているんですね。 アメリカ政府は、十一日、北朝鮮核開発計画の検証方法について、先ほども言いましたけれども、申告した全核施設に加えて、未申告の核施設の立ち入りも相互の合意のもとで進めると合意をしているわけですね。だから、合意が確実に履行されるということが大事ですけれども、そういう合意をした、そして、その点で北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除した。 今申し上げましたように、この動きが朝鮮半島の非核化を目指す六カ国協議の合意の実施だ、そして、北朝鮮の核兵器の完全放棄につながることを期待する、私はそういう考えであります。 そこで、今度のテロ支援国家指定を解除した動きについて今お話があったので、では、逆に聞きたいと思うんですけれども、日本政府のこの国家指定解除についての態度はどうなっているのか。そして、時間がありませんから、各国の態度は、特に関係国、国連も含めた中心的なところについての態度について報告されたい。 ○*石川政府参考人* お答え申し上げます。 アメリカは、従来から、朝鮮半島の非核化のためには実効的な検証の具体的な枠組みが極めて重要であるということを主張してきておりまして、その検証の枠組みを北朝鮮に受け入れさせるための手段として、このテロ支援国家指定解除を効果的に利用するということでございましたし、そういうアメリカの方針については極めて重要であるということを日本政府も言ってきたわけでございます。 アメリカは、今回、六者会合が若干停滞をしているという状況を受けまして、これを動かすために必要であるということから、かつ一連の検証措置について米朝間で合意したということから、テロ支援国家指定解除ということには踏み切ったということでございます。 他方で、これはまだ米朝間の合意でございまして、今後これを六者の中での合意にきちんとまとめる必要があるということで、まだまだやるべきことは多いと思っております。 日本との関係でございますけれども、六者会合が動き出すということ自身は日朝関係にも前向きな影響を及ぼすものではないかと考えております。 いずれにしても、核問題も拉致問題も前進するように努力をしていきたいと思っております。 ○*穀田委員* 米朝合意の問題の性格というのはもう一度後で言いますけれども、今言ったのは、日本政府の問題は確かにわかりました。それは、中曽根外相が「この問題の解決のための一歩前進と思っています。」ということで記者会見もされていますから、それはそのとおりだと思うんです。 各国、特に国連、さっきも出ましたけれども、二つ目の話をついでに。 ○*石川政府参考人* 大変申しわけございませんでした。 各国の反応でございますけれども、中国を申し上げますと、十月十三日、外交部の報道官名で、ちょっと省略をいたしますと、関係各国が六者会合のプロセスを推進するために行っている建設的な努力を積極的に評価する、第二段階の措置を早期に履行することを希望する、こういう声明を出してございます。 韓国でございます。十月十二日の外交通商部の声明の中で、六者会合が正常な軌道に復帰し、究極的に北朝鮮の核放棄につながることに寄与する契機が設けられたものと評価し、これを歓迎するとした上で、六者会合が早期に開催され、検証議定書を確定し、今後、六者レベルで北朝鮮が提出した申告書の完全性と正確性を確認できる徹底した検証が行われることを期待する、こういう声明を出しております。 また、国連でございますけれども、十月の十三日でございます、事務総長報道官声明というものの中で、非核化検証措置に関する米朝合意を歓迎するとしまして、六者会合のすべての参加国に対しまして、できる限り早く無能力化の段階を完了するよう、さらなる努力を行うよう要請する、こういう発表をしております。 ○*穀田委員* 今報告がありましたように、関係各国並びに国連事務総長は、今回の決定と対応が核兵器の完全放棄という新しい段階に進む上で不可欠なステップと見ていることは大切だと。そこは重視する必要があると思うんです。 先ほど私は触れると言いましたけれども、北朝鮮の申告と同時に行われた米国によるテロ支援国家指定解除の手続というのは、もともと六カ国協議の中で設置された作業部会の一つである米朝国交正常化部会で合意されて、二〇〇七年二月の六カ国協議会合において、米朝間で完全な外交関係を目指すための協議、同じくテロ支援国家指定解除のための作業等を開始するとされて、これは日本政府も含めて、六カ国で一致して合意されていたことなんです。それが動いているということをよく見ないとだめだと思うんです。 その点で、米朝両国がこれまでの敵対的な関係から脱するということは、北東アジアの安全保障にとっても重要な出来事だと私は考えます。それは、核問題ばかりでなく、日朝間の懸案を解決する上でも前向きな影響を及ぼし得るものと私は判断をしているということをあえて触れておきたいと思います。 そこで、核問題の前進と拉致問題の関連について少し最後にお聞きしたいと思うんです。一つはことしの八月の日朝実務者協議の到達点、その後の推移の特徴について、簡単に報告いただきたいと思います。 ○*石川政府参考人* お答え申し上げます。 八月の日朝実務者協議でございますけれども、以下のような合意点に達したところでございます。 北朝鮮が拉致問題に関する調査を行う、拉致問題の解決に向けた具体的行動をとるため、すなわち生存者を発見し帰国させるための、拉致被害者に関する全面的な調査を行うこと。その調査の対象には、ちょっと省略をいたしますけれども、すべての拉致被害者が対象となること。あるいは、調査は、権限が与えられた北朝鮮の調査委員会によって迅速に行われ、可能な限り秋には終了すること。 北朝鮮側は、調査の進捗過程について日本側に随時通報し、協議を行うこと。調査の過程で生存者が発見される場合には、日本側に伝達され、その後の段取りについては、日本側と協議し、合意されること。それから、北朝鮮側は、日本側が関係者との面談、関係資料の共有、関係場所への訪問などを通じて調査結果を直接確認できるように協力すること。その他の事項について引き続き協議すること。こういった事項が合意されるとともに、調査委員会が立ち上げられて調査が開始されると同時に、日本側は、人的往来の規制解除と航空チャーター便の規制解除を行うということを確認したところでございます。 その後の推移につきましては、北朝鮮側から、国内の政権の移行ということもあって、九月四日の夜でございますけれども、我が国の新政権が実務者協議の合意事項にどう対応するかを見きわめるまで調査開始は見合わせたいという連絡がございました。その後、麻生政権においても従来の本件問題に関する対応は一切変わりがなく、八月の合意についてはきちんと履行する用意がある、したがって早く調査委員会を立ち上げて調査を開始すべきであるということをいろいろな形で再三にわたって北朝鮮側に申し入れをしているところでございます。 残念ながら、今のところ、まだ北朝鮮側から調査委員会を立ち上げたという連絡はございませんけれども、引き続き、できるだけ早期に調査委員会が立ち上げられて調査開始が行われるよう働きかけを強めていきたい、このように思っております。 ○*穀田委員* 最後に大臣に聞きたいと思います。 端的に聞きたいんですけれども、核問題の前進が拉致問題解決の妨げになると考えているのかどうか、そこはどうですか。 ○*金子国務大臣* 核問題と拉致問題を含む日朝関係の双方を前進させていくことが一番大事だという我が国の方針でありますし、核問題で前進が得られて六者会合プロセスが再度動き出すことになれば、日朝関係にもいい影響が、大変プラスの影響が出てくるんだと思っております。 ○*穀田委員* 私は、核兵器の問題が解決の方向に向けて道理ある形で進展するならば、日朝間の懸案である拉致問題の解決についてもその進展を促す新しい条件となり得るものであると考えます。我が党は、日朝両国政府に対して、日朝平 壌宣言に基づいて、核兵器、拉致、過去の清算を含む日朝間の諸懸案の包括的解決を目指す努力を図ることを求めたいと思っています。 最後に、日本政府の対応としては、行動対行動の原則に従って、意見が一致した事項について段階的に実施するという六カ国協議で確認された方法に基づいて、諸懸案の包括的な解決を目指すという主体的な外交戦略をしっかり持つ必要がある、そして、そのことによって事態の前向きの打開に当たることが重要になっているということを強調しておきたいと思います。 私は、制裁継続のこの案件については、核問題の新たな前進を踏まえ、前回に続き反対の立場を表明しまして、質問を終わります。 |
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