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【第171通常国会】 衆議院・国土交通委員会 ○穀田委員 高齢化が進展する中で、高齢者が安心して暮らせる住まいと福祉を充実させることは、喫緊の課題であります。住まいと福祉の連携を強め、高齢者向けのケアつき住宅の整備などを促進するなど、高齢者対策を充実させることは当然だと考えます。 高齢者を取り巻く状況は、先ほど来皆さんからもお話ありましたが、群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」の火災で明らかになったように、極めて深刻であります。その実態を踏まえて質疑したいと考えます。 まず、犠牲となられた十名の方々の冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。 未届けの有料老人ホームは全国で五百七十九施設あると厚労省は発表しています。ただ、北海道では、市町村から百四十七施設の情報が寄せられましたが、実態が老人ホームか判断できないという理由でゼロと回答しておりまして、この五百七十九施設には含まれていません。 法案では、都道府県は、基本方針に基づき、高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標等を記載した計画を作成する、こうなっています。 こういう、先ほど述べた未届けの有料老人ホームなどを初めとしたあいまいな施設はどう取り扱うのか。ここで言うところの老人ホームには有料老人ホームも入るということだけれども、未届けの有料老人ホームも入るのか。また、有料老人ホームかどうか判断できない施設はどう取り扱うのか、最初にその点をお聞きします。 ○和泉政府参考人 まず、きちんと届け出をしていただくことが大事で、それをまず徹底してやることが大事だと思います。そういったことになれば、当然、その老人ホームは今回の計画の中の賃貸住宅並びに老人ホームの中に該当する、こう思っております。まずはきちんと届け出をしてもらう。 ○穀田委員 そうすると、もう一遍お聞きしますけれども、そういうあいまいなものも含めて入るということですか。もう一度お聞きします。 ○和泉政府参考人 基本的に、そういったあいまいなものをなくして、居住安定確保計画の中にきっちりと高齢者の方々のいる場所として位置づける、そういうことになります。 ○穀田委員 私が心配しているのは、そうは言うんだけれども、もちろん、計画の中にはそういうのが入らないので届けさせるということは、当然の施策であります。 問題は、そういうすきができるということはあるわけでして、今回の法の中心点というのは、住宅と福祉の連携を強めて高齢者対策を強化しようというものであります。やはり今まで、厚生労働省やそれから国土交通省、両方から接近をしているんだけれども、すき間になっているということがあったわけでして、それは必ずしも届け出させるんだということで済む話じゃない。今までだって届け出は必要だったわけで、ただ、しなくても存在し得るという現実があったわけで、そういうことについては埋めることも必要だということを指摘しておきたいと思うんです。 ○金子国務大臣 渋川の「静養ホームたまゆら」の火災において亡くなられました十名の方、負傷一名の方、本当に心から御冥福をお祈りいたします。 今、穀田委員御指摘の点について、三月二十三日に全国の特定行政庁に対して、未届けの有料老人ホームの建築基準法令への適合状況に係る緊急の点検の、届け出なさいじゃなくて、緊急点検してくださいということを実施を要請したところであります。 そういう意味で、きちっと緊急点検の結果を踏まえて、今おっしゃったすき間がないように、厚労省、消防庁との連携強化を強めてまいりたいと思っております。 ○穀田委員 ですから、それは当然だ、だから、すき間がないようにせなあかんよという話をしたんですね。それはやってくれるということなんですが、くれぐれも、届け出じゃないんですよね、それはしっかり見定める必要があるということを指摘しておきたいと思うんです。 私は、今回の惨事を通じて明らかになったこととの関係で若干質問します。 一つは、東京には高齢者を受け入れる施設が満杯であって、極端に不足していることだと思うんですね。メディアの報道でも明らかです。生活保護を受ける高齢者がケアつき住宅を求めても、東京都内には受け入れ可能な施設や高齢者向けの賃貸住宅はなく、一千四百人超の高齢者が他県の施設等に入居させられています。特別養護老人ホームは、先ほど来議論になったように、全国で三十八万人の待機者がいる。東京都は、三万四千人の入所者よりも多い三万七千人が待機している。 こういう現実について、大臣はどう思われますか。 ○和泉政府参考人 御指摘のとおり、特別養護老人ホームなどの介護保険施設、これの六十五歳以上の人口十万人に対する定員を比較しますると、東京都は二千二百十九人、全国平均の三千四十九人に比べて低いわけでございますので、その限りにおいて、東京都における高齢者受け入れ施設等がかなり不足しているということは事実だと思っております。 これにつきましては、今後、こういった法律の改正が認められれば、居住安定確保計画などをつくることになっておりますので、そういった計画も一つの契機として、厚生労働省とも協力して、一気に解消するかどうかは別にしまして、前に進む努力をしなくちゃならない、こう考えております。 ○穀田委員 入所者よりも待機者が多い、こういう現実なんです。今もお話があったように、今すぐできるかどうかはわからぬがというような話をしているわけだから、これは結構大変だということがおわかりいただけると思うんです。 ですから、政治論としてどうするかという問題が本当は問われているんですよね。現実の数字を見て、どうしようかこうしようかというのは、それは今、和泉さんがお答えになったとおりのそういう現実が役所としてはあるんでしょう。 でも、これは、私は、この高齢者施設の絶対量が不足しているという現実、これにしっかり目を向けなくちゃならぬ。だから、他の県の施設を紹介し、生活保護費は、施設のある自治体が受け入れないので、住所を残して区役所が払う。東京都は公営住宅の応募倍率が三十四倍にもなっているわけですよね。だから、公営住宅も足りないわけですね。なぜこんなに絶対量が不足するのか。背景に、公営住宅や老人ホームの供給を事実上抑制する国の方針があると私は思います。 住宅政策においては、住生活基本法や住宅セーフティーネット法を制定し、住宅に困窮する低所得者や高齢者などに対する公共賃貸住宅の供給を規定しました。しかし、公営住宅の供給目標は、既存住宅の建てかえや入居者基準の引き下げなどによる入れかえが中心でした。 高齢者福祉の分野ではどうか。 ここでは、介護保険事業計画に関する国の基本方針で、施設の基準は、介護保険三施設、いわゆる三施設といって、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養病床となっていますけれども、それとグループホームなど居住系サービスの割合を二〇〇四年度の四一%から二〇一四年度には三三%に引き下げることとなっています。さらに、療養病床に関する国の計画におきましても、医療保険、介護保険の両方合わせて三十八万床あったものを一二年度末には十五万床に減らす計画を示している。 こういういわば土台となっているところでの抑制政策というのはやめるべきと違うのか、そのことが先決だ、その上で必要な公営住宅や特養ホームの供給目標を持つべきじゃないのか、こういう点は、大臣、いかがですか。 ○金子国務大臣 公営住宅、全国で二百十万戸供給されております。確かに、その応募倍率では東京が全国平均に比べて高いということも事実であります。 公営住宅の供給について、やはりそれぞれ地域事情がありますし、それから低額所得者の住宅不足を緩和していくということで、地方公共団体が実施しておりますものですから、国としては、地域住宅交付金によりまして、地方公共団体、自治体に公営住宅の整備を支援しております。 そういう意味で、この法案を通させていただいて、そして、地方公共団体がそういう地域のニーズ、特にこういう高齢者居住でありますけれども、公営住宅の供給を行えるように支援して、住宅セーフティーネットの充実に努めてまいりたいと思っております。 特養についても、全国的に入所待機者がいるのも事実でありまして、今後とも、公的賃貸住宅、老人ホームの供給促進ということは我々の大きな課題だと思っております。 ○穀田委員 大きな課題だと思っていますというのはそのとおりなので、問題は、こういう法律をつくって高齢者対策を強めようというときに、その土台となっている現実を見なくちゃならぬのと違うかと言っているわけですよ。 大臣は公営住宅の話をしましたけれども、公営住宅だけじゃなくて、住宅政策でまず出ている、高齢者福祉の分野でもやはり土台が大きく崩れつつある、それから療養病床に関する国の計画もそうだ。全部見ていると、減らす方向にばかり全部来ている。何かというと、公営住宅の問題についても、地方はそうなんだという話をして、東京だけが特殊みたいな話をするということに大体なるわけですね。僕は、そこは違うということを今言っているわけですね。 しかも、高齢者対策の強化というんだったら、例えば、やはり住宅、それから福祉、医療、この分野で、高齢者を大切にする、今述べた分野における政策的な転換がどうしても必要だと思いますし、特養ホームの待機者解消などについて言えば、思い切った基盤整備を行う以外にない。これは先ほど局長の方も、これはせなあかんとは言っているわけだけれども、めどがもう一つ立っていないみたいな話、大丈夫かどうかという話をしていましたけれども、抜本的にこれはする必要があるということを言っておきたいと思うんです。 これと関連して二つ目に言いたいことは、犠牲となった高齢者が生活保護を受けていたわけですが、特に東京都内には低所得者の高齢者を受け入れる施設や住宅が満杯で、今、現実にあきがないということなんですね。 この間、一月でしたけれども、NHKで福祉ネットワークという番組がありまして、次のように放映されました。夫を週二回おふろに入れる介護を受けるお金のために、妻は夕食を食べない、こういう放映がありました。こういう形の例があるように、少ない年金で暮らしてきた高齢者が、介護が必要になると、利用料が重くのしかかって生活を壊される事態が広がっているわけであります。 京都地裁の、問題になりました、介護殺人というのがありました。そのときの法廷で裁く裁判官は、裁かれるべきは介護や福祉の制度、こういうふうに指摘したほどでした。 法案は、都道府県に高齢者向け賃貸住宅と老人ホームの供給の目標を立てるというけれども、この計画の中に主として低所得者向けの対策は考えられていますか。 ○和泉政府参考人 不足だというおしかりは受けますけれども、低所得者向けとしましては、いわゆる公営住宅、特にシルバーハウジング・プロジェクト、さらに加えて、高齢者向け優良賃貸住宅に関しても、いわゆる低所得者に対しては四万円を限度とした家賃補助等もございます。 こういった仕組みを計画をつくる中でしっかりと位置づけて、再三大臣から御報告していますけれども、地域住宅交付金というのがそういった事業を進める基幹事業でございまして、二十一年度予算は千九百四十億円。これは全体が縮まる中で、わずかではございますが、平成二十年度に比べて伸ばしておりますので、こういったものを使いながら、公共団体と協力して、なるべく低所得の高齢者の方が安心できるような居住環境の整備に向けて、厚生労働省とも協力しながら努めてまいりたい、こう思っております。 ○穀田委員 今ありましたように、余り自信なげな報告であるように、きちんと対応できるということにはなっていないということは確かだ。だって、これほどふえていて、この事実が、例えば東京の例に見られるように、低所得者の高齢者がこんな形で出てきている問題がありながら、これにスポットを当てて、これに重点をやっているんですと胸を張って言えないということだけは確かだということを指摘しておきたいと思うんです。 三つ目に言いたいのは、受け入れる方の問題であります。 これは、「たまゆら」の側は、高齢者に支給されている生活保護費から入所費用を天引きしていました。建築確認もせずに増改築を繰り返し、迷路になっていた。徘回を防ぐために、部屋から出ないように、かぎや突っかい棒で閉じ込めていた。入所者の虐待があったという話もあります。生活保護費を一括して集め、受給者には家賃または入所費、食費などの経費を差し引いた残りを渡す。待遇が悪いなどの問題のある施設もある。いわゆる貧困ビジネスというものであります。 私は、若年向けの賃貸住宅の問題で、ゼロゼロ物件、追い出し屋と言われる家賃保証会社の問題を当委員会でも取り上げてまいりました。公的施設が不足している現状がある中で、善意でまじめに取り組んでいるところもたくさんあります。こういったところをもっと支援すべきです。しかし、悪質なところもあるのも事実であります。 高齢者を受け入れている住宅や施設に関して、実態把握や必要な規制措置、先ほど指示を出したと言っていましたけれども、そういうものが、現実に即した形で調査をし、そしてそのことに着目した実態把握を行い、それに基づく規制の措置をつくるべきではないのかということについて、いかがでしょうか。 ○和泉政府参考人 まことに遺憾なことでありますが、今回の事件、あるいは今委員が触れられましたゼロゼロ物件等、法の規制の網を抜けて、いろいろな、いわゆる貧困ビジネスが出てくる、これは事実でございます。 今回、「たまゆら」の事件に関して言えば、これは法を的確に執行して、きちんと届け出させるというようなことがまず第一だと思いますが、そういったことをやったとしてもいろいろな形ですき間を縫ってくる。 こういったことについては、我々住宅政策を所管する者として、関係部局とも連携しながら、絶えず注視して、そういったものが起きたときについては、できることは速やかにやるというような認識が必要だと思っております。 そういった意味で、今回、こういった法改正を通じてさらに福祉部局との連携が強化されますので、公共団体の現場におきましても、そういった縦割りを排除して、よく連携して、こういったすき間があったときに、関係部局が協力して迅速な対応ができるように心がけてまいりたいと思っております。 ○穀田委員 今言った、すき間をつくっちゃならぬということは、そのとおりです。 私、先ほど触れましたけれども、いろいろな抜け道が必ずあるわけで、問題は、そこからどういう教訓を学ぶかということなんですね。当然、識者もいろいろ言っているように、規制はきちんと強化しなくてはならぬ。だけれども、それだけではだめだというのも多くの方が言っておられる。私はそれらがすべて正しいとは思いませんけれども、基本はやはり公の関与や支援が必要だということなんです。それがあれば、少なくともそういう抜け道はなくなる。それが不足していたり、不十分なところをうまく彼らは、貧困ビジネスをやっている連中は入ってくるわけで、したがって、私は、支援を行う、関与する、あわせて規制を行う、この両面が必要だということだと思っています。 そこで、今言ったように、住まいを、高齢者に対する支援の施策をふやさなくちゃならぬ。そういうときに、国とUR機構が、今ある住宅を活用するどころか、その土地を売却する、現に住んでいる居住者さえも追い出すなんということを考えている、こういうとんでもない問題があるということを質問したいと思います。 「七十六歳孤独死 八カ月後の今も家賃」、築四十四年、足立区の旧公団住宅ということで、毎日新聞の昨年七月六日にこういう記事が載っていました。 記事では、居住者が孤独死した後もURが家賃を金融機関口座から引き落としていたという話でありますが、これは事実ですか。 ○尾見参考人 お答えを申し上げます。 今委員御指摘のように、二〇〇八年七月六日の報道にございますように、花畑団地におきまして大変不幸な孤独死事件があったことは事実でございます。 お答えする前に、こういう場合の手続について……(穀田委員「いいから、事実だけ言ってくれれば」と呼ぶ)わかりました。 今回の場合に、相続人を確認するのに大変時間がかかりました。相続人の方の確認ができるまで、家賃相当額に当たるものをちょうだいしていたことは事実でございます。 ○穀田委員 いろいろ言いわけしているけれども、死んでからも八カ月にもわたって取っていたということは事実だということでありますね。もう情けない話、こんないいかげんな話があるのかと、私は怒りに、憤りにたえませんよ。なぜこんなことが起きるかと。 それは、相続人がどうのこうのと言っているんだけれども、結局、事態は、いかにURが高齢者の居住者に対して配慮していないかという象徴的な出来事だと思うんです。私は、住宅と福祉の連携というんだったら、やはり福祉的観点が不足していたとして謝罪されなくちゃならぬ事態だと思うんですね。普通、そうですよ。そんなことを、理屈をあれこれ言ったって、そんなことは、まず、取っていたことに対してごめんと言うのが当たり前でしょうが。そういうまず謝りがないんだから、ここは。わかりましたやろ、大臣。うなずいていただいたとおりです。 先ほど「たまゆら」の問題で述べたように、まさに東京は高齢者の住まいが不足しているということが事実です。 今、尾見さんからお話があった花畑団地ですけれども、団地自治会の昨年の調査では、居住者は、七十歳以上の方が五三%、六十歳以上では八〇%を超えていると。新聞でも指摘されているように、まさに、いわゆる限界集落団地ともいうべき実態であります。 一九六四年に入居が開始された、全体で八十棟、住居戸数は二千七百二十五戸の大規模団地であります。ところが、今では、入居者は約千七百戸弱、千戸以上が空き家になっています。九八年に、老朽化による建てかえ計画で新規入居募集が停止されたからであります。以来、十年たっても、建てかえもされずに、新規入居もない、バリアフリー化などの大規模な改修が行われたわけでもない。まさに意図的に放置されたままになっているというのが現実であります。 一体、どうして放置しているのか。時間がないので、端的にお答えをいただきたい。 ○尾見参考人 できるだけ端的にお答えはいたしたいと思いますが、きちっと御説明をさせていただかないと、放置ということではないというふうに思っておりますので、それで申し上げます。 まず、この団地については、三十年代の団地については建てかえをしていくという方針のもとに、平成十年に建てかえをするというふうな方向づけをいたしました。そのためには、居住者が移転するための空き家を確保する必要がありますので、募集停止を行いました。その間に建てかえの検討をしていたわけでありますが、我が国の、日本の経済社会が大きな曲がり角に来ました。少子高齢化が進展するというような中で、将来の住宅需要等についてこのままいけるのかどうか、そういう問題が出てまいりました。 花畑団地につきましては、東京都内の団地でありますが、足立区の中の最北端にあるバス便の団地でありまして、従来と同じように全面的な建てかえをしていくことができるのかどうか、そういう検討をしてきたわけであります。 それで、そういう過程の中で、全体の世の中の変動の中で、再編みたいなことについて考える必要があるという政府の行革の御方針などもございましたので、一部を建てかえて、既存のものは継続管理として活用していく、そういう組み合わせの団地として着手をしていこうというふうに方針を決めて、昨年の九月に地元に御説明に入った、こういうことであります。 さらに、その間につきましては、建てかえるということが前提になりますので、安全、安心のための修繕とか、そういうもの以外は基本的に抑制するというようなことで、リニューアルについても、あるいはバリアフリーについても一部しか行ってきませんでしたし、外壁修繕とか防水も一部しか行ってこなかった、こういうことは事実でございます。 ○穀田委員 だから、要するに、十年間そういう形で結局のところ放置してきた、こういうことを、それを放置してきたと言うんですよね。わからない人だな。 再生とか再編とか言っているという計画でいいますと、やはり居住者の方々が何と言っておられるのかということなんですよ。修繕すれば百年ももつ計画だと。しかし、今お話があったように、若干の、手すりを直したり、そんなのをやった程度で、ほとんど直していない、言ったとおりなんですね。十年間ずっと黙ってやっていたという事実が残っただけだと。だから、今、現に住んでいる居住者の意向に関係なくて、団地を縮小し、売却すると決めたというのが現実なんです。 花畑団地は、千四百戸もの住宅を売却、解体する計画を進めているわけです。そこで、現に住んでいる居住者の住宅も確保されない。今お話があったように、解体する方と残す方があるわけだけれども、継続する棟に移っても、高齢者がエレベーターもない四階、五階に住まざるを得ない。高齢者の住宅のリニューアルも行われていない。 例えば、二〇〇四年に、高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針というところで国土交通省は方針を出していますけれども、地域におけるコミュニティー形成及び世代間の交流に寄与するようURなどに指示しているわけですね、しているんですよ。ところが、それもやられていない。だから、とにかく、そういうのをまとめて言えば放置と言うんですね。それが一般常識なんです。 そこで、私は改めて、再生事業については全面的に見直すべきだ、大もとにある再編方針というのはやめるべきだと思っています。したがって、今、雇用促進住宅の廃止決定は見直すことが、我々運動しまして、決まっていますが、同じように、派遣切りなどで居住するところのない労働者などに貸し出すべきだ。こういう全般的な大きな変化をもたらすべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。 ○金子国務大臣 今あるものであいているものについて、公営住宅あるいは雇用促進住宅も含めてなるべく職を失った方々に使っていただくというようなことは、今の景気の中で進めてまいりました。 ただ、今の特定の団地についての状況は、私は全く事情がわかりませんものですから、一度話をしっかり聞いてみたいと思っています。 ○穀田委員 一度話を聞いていただくということでありましたので、私は本当はそのとおりだと思うんです。やはり居住者の意見もよく聞いてもらって、この十年間、尾見さんが言うように、実際には大したことをやらずに、まともなリニューアルもやってこずにやってきた。しかも、今どき、皆さん、建てかえでなくして、こっちに移してくださいといって、四階、五階に新しい、今まで住んでいたところから上へ上がって、エレベーターもなしでどないして暮らせますかいな。そういう点を言っておきたい。 私は、最後に、高齢者が安心して暮らせる住まいと福祉を充実させるということをうたい文句にした法律が、今これでできようとしているわけですね。一方で、国交省が関与するUR住宅では、高齢者の声を聞かずにないがしろにする、まさにこれを是正することが法案の試金石だということを言いたいと思うんです。高齢者の住まいと福祉の充実というのであれば、まず国が率先してやるべきだ、現に住んでいる高齢者の住まいを改善することこそ大きな一つと位置づけてやるべきだ。 したがって、私は、今述べました花畑団地の問題でいえば、現居住者の住宅の確保、二つ目に、バリアフリーを主張するならまずエレベーターの設置を、そして三つ目に、住宅のリニューアル、四つ目に、若者の新規入居などによる、そういう世代間の融合。 もともとの国交省の方針をここでこそ実行すべきだということを述べて、質問を終わります。 |
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