国会会議録

【第174通常国会】

衆議院・予算委員会
(2010年2月15日)


○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 いわゆる箇所づけの内示問題について最初に質問します。

 今回のいわゆる箇所づけ問題は、箇所づけ、すなわち最終確定額に至る経過の資料を国会に提出せず、つまり国民にはオープンにしないで、民主党だけに当初渡した、利益誘導してくださいということかと疑問視せざるを得なかったやり方でありました。馬淵副大臣、そして前原大臣のこのやり方は、これまでの主張とは違う、まさに不透明化を助長するような行為だった、ここが核心だと思うんですね。

 そこで、道路などの公共事業のいわゆる箇所づけ問題に関して、政府の見解を確認したい。馬淵国土交通副大臣と前原大臣に聞きます。

 馬淵副大臣は、一〇年度予算編成作業を進めていた昨年末、数回にわたって、国会の審議に資する形で一定程度予算をつける箇所を表示したいという趣旨の発言をしております。今国会の審議で民主党に資料を渡したことが問題になった後も、八日の記者会見で、予算審議前までに仮配分のような形ででも御提示できれば私は理想的だと個人的には考えている、私どもが少なくとも目指そうとしていることは何か政治的なもので動かされることのないようなわかりやすい仕組みだ、そういう仕組みを決意を持って取り組んでおりますと述べています。

 前原大臣も、不透明さとか、あるいは何らかの恣意的なものが入るんではないかと思われないような、透明度を上げた、最終的には箇所づけというものをプロセスとしていきたいと述べています。

 この考え方の基本は何か、このことについてお二人からまず明らかにしていただきたいと思います。

○馬淵副大臣 穀田委員にお答えをさせていただきます。

 いわゆる箇所づけと今お話をされましたが、御案内のように、私も昨年まで予算委員会の委員として、透明性を高めること、これは常に私も主張してまいりました。とりわけ、昨年の予算委員会におきましては、個別箇所の事業評価、この結果が新年度の予算に反映されるようにすべきである、このことは強く主張してまいったつもりであります。

 そのため、新政権になりまして、国会審議、予算審議に特別に資するようにということで、直轄事業の事業評価につきましては、この評価結果を、時期を大幅に前倒ししまして、この一月の末、二月一日に、継続事業も含む対象事業すべてを、個別箇所を一覧表という形で作成、公表するなど、前原大臣のリーダーシップのもと、透明化に資する取り組みを行ってまいりました。

 しかし、一方で、この予算の審議に当たる中で、いわゆる箇所づけというものについては、当然ながら、この国会の審議で議論しようとしても、決定していないわけですから難しいことであるという認識は私も昨年の予算委員会の質疑の中で述べております。

 今般、新政権となりまして前原大臣の御指示のもと取り組んでいく中で、何とか地方自治体の皆さん方の、その事業を負担していただく、お声を聞くという中のその説明過程の中でわかりやすい形で提示することはできないか、このことに真摯に取り組んでまいりました。昨年の十一月には実施計画、事業計画という形で公表もさせていただいた。

 こういう意思のもとで進めてきたことではありますが、今回、当然、自治体の御事情もある、進捗状況やあるいは用地買収あるいは事業の困難度、こういったこともあることから、自治体への丁寧な説明が必要であるという判断のもとに、私どもとしては、仮配分という形で、国会に資するという形よりも以前に自治体への御説明をさせていただく、こうさせていただいたわけであります。そしてその直前に、党からの求めに応じて、途中経過でございますが取りまとめているものについて、これは御説明を申し上げたという経過でございます。

 したがいまして、昨年来より主張しておりました透明化を高めるというこの思いについては、何ら変わるものではないということだけは申し上げたいというふうに思います。

○前原国務大臣 馬淵副大臣と重複しないようにお話をしますが、我々はできるだけ透明性、客観性を維持した予算審議をしていただきたいと思っておりました。そういう意味で十一月に事業計画を公表し、そして二月一日に事業評価、こういったものも出させていただいたわけであります。

 その中で党にお見せをしたものが自治体に流れるということは想定外でありまして、これは極めて遺憾なことでありまして、私は深く反省しなくてはいけないというふうに思っております。

 先ほど福井委員にもお答えしました、また、ちょっとそのワーディングが間違っているところがあったので修正をする形でお答えしますと、ことしに限っては維持管理費の一部について負担金を残そうということになりました。その結果、維持管理費分が廃止されるという前提で事業計画を出していたものが、一部についてはこれが残るということになりましたので、その金額は国土交通省の道路分で四百六十億円、そして、維持管理費の削減を合わせまして五百億円以上が逆に事業計画からふえる形となりました。それが仮配分の中で何かふえたとかそういうふうに言われているわけであります。

 これはまさにことしのみの特別な事情でありまして、事業計画をお示しし、そして事業評価をお示しする中で、きっちりとした透明性や客観性を確保した予算審議をしていただけるのではないか、このように思っております。

○穀田委員 簡単に言えば、透明性を高めるためだということについては変わらないということですね。

 私どもの見解についても若干述べておきたいと思うんです。

 私どもは、透明化とは何かと。公共事業のいわゆる箇所づけ、この場合は最終確定額の配分ということになるわけですが、その過程について政権政党なりが利益誘導はしてはならない、そして、あわせて、そのためには国民のチェックに供することが必要だ、これが私どもの考え方であります。その点は自民党とは明らかに違う。

 したがって、これまでのように予算が通った後に最終確定額を発表するやり方では、その過程で政治家や官僚、政権党が関与しても国民にはわからないわけですよ。ここに利益誘導があるのではないかという疑念が生まれる、不透明ではないかということになるわけです。したがって、国会でも、道路予算案などの大枠はわかるけれども、個別の事業、箇所の予算についてはどうするのかの審議もできない、国民のチェックもできない。したがって、この公共事業の箇所づけに至る仮配分、今回提出された途中経過をオープンにして、予算審議の対象にすべきものだと考えるわけであります。

 公共事業では、特にダム事業などについては、予算案と同時に事業ごとの予算案を示しています。先ほど馬淵さんからもありましたように、事業評価に出していることについては知っていますし、また、馬淵さんは昨年の二月四日の質問の際に、このこととあわせて、いわゆる箇所づけの問題についても質問されているんですね。

 ですから、私どもは、道路でも河川でも港湾でも、同じように示せばいいんじゃないかというふうに考えているわけです。そして、既に、二〇一〇年度の道路などの公共事業の予算の途中経過を仮配分として発表されたわけであります。

 したがって、今後、形のあれこれはあっても、審議に供することをルール化すべきじゃないかと思っているんですが、前原さんの見解をお聞きしたい。

○前原国務大臣 基本的には考え方は同じでございます。今の委員の御意見も踏まえて、我々は、しっかりとした客観性、透明性、そして、予算を国会で御議論いただくというのが国権の最高機関の役目だと私は思いますので、それに資するような形で、今回の反省も含めて整理をさせていただきたいと考えております。

○穀田委員 しっかりこれは検討していただいて、ルール化したいと私も考えています。

 そこで、菅さんに少し、言っておかなかったんですが、一つだけ質問したいんです。

 今述べたのは、公共事業というのは道路事業だけではありません。公共事業全体の問題でもあります。私は、この際すべてオープンにすべきだと。例えば、今、ダムのように案として提示しているものもあります。今回のように途中経過を提出するという場合もある。要は、最終確定額の決定に至るまでの過程をオープンにせよということなんですね。そういうことはできるんじゃないかと思うんです。

 つまり、同じ公共事業というのはいっぱいあるわけですから、それらを含めて全体として、最終は財務大臣の承認が要る要件があるというのは知っていますが、そういうことがあればこそ、全部オープンにするということについて意見をお伺いしたい。

○菅国務大臣 まず、一般的に、予算編成においても、場合によっては予算の執行過程においても、できるだけ国民の皆さんがわかりやすいように透明化していく、公開していくという基本的な考え方は、そういう方向でこの予算が成立した後も進めていきたいと思っております。

 御承知のように、箇所づけに関しては、これまでのルールは、いわゆる財政法上の実施計画ということで、あくまで予算成立後に事業所管大臣が実施計画を策定して、財務大臣の承認を経て決定するということですので、この基本ルールはやはり守らなければならないと思います。

 ただ、先ほど来、国交大臣あるいは副大臣が言われているように、そういう基本ルールの中でどこまでどういう形なら公開できるのかは、それぞれこの基本ルールの範囲内で各所管大臣なり所管省庁で工夫をしていただくということがいいのではないか、そのように感じております。

○穀田委員 単なるそれぞれの省庁の工夫だけではなくて、やはりこの機会に、そういうものは、透明化とは何かという根本理念をしっかり具現化していく上でルール化すべきだということを、私は改めて主張しておきたいと思います。

 次に、トヨタのプリウスの問題についてお聞きします。

 トヨタ自動車のヨーロッパやアメリカにおけるアクセルペダルなど欠陥対応をめぐって、アメリカの新聞ウォールストリート・ジャーナルが、隠ぺい体質で道を誤ったと厳しく批判する記事を掲載しました。それによると、ことし一月、アクセルペダルのふぐあいについてリコールを実施したトヨタが、アメリカ運輸当局に対し、一年以上前からふぐあいを知っていたという点を明かして、担当者の怒りを買っているということが報じられています。

 アメリカではトヨタへの批判が高まっています。この報道やこの事態に対しての認識を経産大臣と国交大臣に問いたいと思います。まず、経産大臣の方からお願いします。

○直嶋国務大臣 私の方からまずお答えいたします。

 アメリカの話は、ちょっと私の方からコメントするという立場にないので、今さまざまな報道がなされておりますが、報道等を通して、それから、以前にトヨタからこういうリコールをするという報告を受けています。その範囲でしか存じません。

 それから、そういうことも含めて申し上げますと、まず、自動車産業というのは、やはり安全第一なんですね。品質の高い車をつくるということが一番の生命線でありまして、トヨタを初め日本の自動車メーカーはこれまで、そういう面で評価の高い車をつくってきたというふうに思っております。

 今回のプリウスの国内のリコールの件で申し上げますと、トヨタはユーザーからの苦情を一つ一つ精査、判断してリコールの届け出を行ったものというふうに認識をしておりまして、いずれにしても、同社、トヨタは、品質管理にしっかり取り組むことを表明されております。

 私の立場で申し上げれば、今後、トヨタが迅速かつ真摯に対応していただき、ユーザーの安心と信頼を回復していただく、このことが最も重要なことだというふうに思っております。

    〔海江田委員長代理退席、委員長着席〕

○前原国務大臣 先般、御同僚の吉井委員にもお答えをしましたけれども、リコールそのものは悪いことではなくて、むしろ責任を果たすという意味では、リコールを積極的にやっていただくことは、私は好ましいことだと思っています。悪いのは、リコール隠しあるいはクレーム隠しをして、ユーザーを不安に陥らせるようなことをすることはいけない。

 今回、トヨタの佐々木副社長から聞いたときには、フィーリングの問題だとかあるいは設定の問題だという話がありましたが、ただ、使っている人間がブレーキが抜けた感じがするとか制動が遅くなるとか、これは極めて重要な指摘がされていたのに、私は、ユーザー視点が欠けていて機敏な対応ができなかったということで、大変その点が大きな問題なんだろうと思っておりますし、アメリカにおいても、そういった視点での対応がおくれて、そして今のような状況に至っているのではないかというふうに思っております。

○穀田委員 なぜ私がプリウスのリコール問題について質問している最初に隠ぺい体質についてただしたかといいますと、トヨタのヨーロッパとアメリカにおけるリコール対応が極めて問題だ、そして、そのことは日本での対応の不十分と同根ではないかと思っているからであります。

 今述べたアメリカの新聞の二〇一〇年二月八日付では、欧州では、半年近く前に既にアクセルペダルがもとの位置に戻りにくくなる問題に対する対応策を発表していたにもかかわらず、同じ部品を使うアメリカですぐに同様の措置をとらなかったという指摘があります。そして、記事の後半で佐々木副社長の言を引き、「世間に対して問題を隠ぺいしようとしているのではとの印象を抱かせてしまったかもしれないが、「決して隠してきたわけではない」と述べた。」と報道しています。

 ですから、世論の批判の前に、結果は欧州やアメリカで数百万台というものを超えるリコールを行ったわけで、先ほどありましたように、自動車の安全にとって一番大事ともいうべきアクセルに関しての対応がいずれにしても遅かったことは否めない、この事実ははっきりしていることですね。今、前原大臣も、リコールそのものは悪くないと。しかし、リコールが多いのは問題だと私は思うんですけれどもね。

 翻って、日本におけるトヨタ車、プリウスのリコールに至る事実経過を確認したいと思います。皆さんに資料をお配りしているので、見ていただければ幸いです。

 これを見ますと、七月十九日に松戸の追突事故があった後、八月十三日にこのような形で県警から連絡があり、ポイントは、八月二十四日、国土交通本省に警察からの事故通報の入報、事故発生原因に係る調査、報告を指示したと。そして、九月二十四日、トヨタ自動車から国土交通省に調査報告書が提出された。こういう点での大筋は間違いありませんね。

○三日月大臣政務官 お答えいたします。

 今、穀田委員の方から資料に基づいて説明された事実経過は相違ございません。

○穀田委員 では、次に、私がお出しした資料の三ページ目を見てください。

 「車両不具合調査報告書」となっていまして、十四の「不具合の発生原因又は推定原因」という欄があります。ここには、「お客様より「ブレーキを踏んだが、ブレーキペダルが床までついてしまいブレーキが効かなかった」との申し出があり、ブレーキブースタ作動や制動力等を確認したところ、事故による損傷以外、車両側に異常は認められなかった。」というふうに記してあります。

 ひどい話やと思うんですね、私は。大体、ちゃんとプリウスの制動がきかないというふぐあいの状況が出ているじゃありませんか。しかも、中身が、先ほど大臣からお話あったように感覚の違いとかじゃなくて、車を運転できる人はだれでもわかるように、ブレーキペダルを踏んでずだっと最後まで行ったりする、それは感覚の違いなんというようなことになるはずがないんですよ。

 だから、国交省はトヨタの報告書に何の問題もないというふうに判断をしたのですか。お答えいただきたい。

○三日月大臣政務官 今、穀田委員の方からありましたように、九月の二十四日にトヨタ自動車から国土交通省に対して、別紙二にありますような「車両不具合調査報告書」が提出されました。十四番、十八番で、「車両側に異常は認められなかった。」「車両側に要因はないものと判断する。」ということの見解が示されましたが、大変重要な問題だと。特に、安全にとって最も大切なブレーキのふぐあいに関する事故並びに情報でありましたので、国土交通省として、穀田委員提出の資料の平成二十一年九月二十五日にありますように、国土交通省から独立行政法人交通安全環境研究所リコール技術検証部に対して技術検証を依頼しています。

 その技術検証は、九月の二十五日からことしの二月にかけて行ってまいりましたが、例えば車両に保存されております衝突直前のデータをトヨタ自動車から提出を求めて、例えば車速がどのように変化したとか、ブレーキペダルをどのように操作されたとか、そのような詳細の情報を入手した上で調査をしてまいりました。

 現在のところ、ブレーキの、こういう構造上の欠陥、ふぐあいということよりも、ブレーキ操作おくれによる事故であるというトヨタ自動車の見解は、現時点において妥当なものであるというふうに我々は認識しております。

○穀田委員 現時点においては妥当なものであるというのは困るんですよ、そうでないことが起こっているわけだから。

 ただ、いずれにしても、今あったように、これはおかしいなと思って検証部に検証を頼んだということですね。それで、九月二十五日に検証部に依頼をして、四カ月余り経過しているんですね。自動車のふぐあい情報というのは、国土交通省にも寄せられてホームページ上で公開しています。当然、トヨタにもユーザーからの苦情が寄せられているはずです。

 そこで、新型プリウスの制動装置に関する苦情の状況について、トヨタから国交省に報告がありましたか。

○三日月大臣政務官 トヨタ自動車から国交省に対してもありました。

 かつ、引き続き、今回のリコールの報告を受けてさらにそのふぐあい情報等が寄せられておりますので、その件についても引き続き調査をしております。

○穀田委員 いつ報告がありましたか。

○三日月大臣政務官 昨年の十二月以降、このブレーキがきかなくなるというユーザーの情報が相次いでトヨタにも寄せられ、あわせて国交省にも寄せられているという状況です。

○穀田委員 もう簡単に言ってえな。トヨタからいつ報告が国交省に、八十四件という報告があったでしょう、いつ報告がありましたか。

○三日月大臣政務官 済みません。二月の三日に朝刊に掲載され、その夕方、国土交通省に対して報告を受けました。

○穀田委員 だから、二月の三日の夜に報告を受けたということなんですね。それが実はこれなんですね。「不具合発生一覧」という資料で、八十四件の数字が載っています。だから、二月三日まではずっと報告がなかった、簡単に言えばそういうことなんですね。

 それで、八十四件、これを見ますと、言い方は、間違っていたらあれですから、空で走っている感じ、空走感というものと、制動おくれということと、ブレーキきき不良ということで、八十四件のうち、不明と言っているもの三十一件以外は全部これなんです。だから、これは大変なことであるわけですね。

 国交省がプリウスのブレーキの検証を継続している最中に、一方、トヨタはこの期間にどのような対応をしていたかということで、私は確認をトヨタにしました。それを国交省からいただいて、この資料の一ページ目の下欄に載せました。これも二月三日以降に初めて提出されたものであります。

 資料を見ていただきたいんです。「新型プリウスの制動装置に関連するコンピュータの設定変更について」。平成二十一年十二月十日、設計変更指示、一月七日、部品完成、二十二年一月二十八日、同設定変更を製造ラインにおいて開始ということであります。

 この報告書の提出は二月三日以降であるということと、内容も間違いありませんね、今私が述べたものは。

○三日月大臣政務官 事実関係として相違ございません。

○穀田委員 今お話しあったように、苦情の累計の八十四件の内容も、それから、こんなふうに実は直している、まあ、直しているというのはあっちの言葉で言うとバージョンアップらしいですけれども、そういう報告があったのが二月三日だということなんですね。そうすると、プリウスのブレーキ問題で独立法人の機関の検証部が検証している最中で、ブレーキに対する苦情を聞きながら、今日リコールせざるを得なかったコンピューターの設定変更をこっそり行っている。しかも、その車は大体新しい生産からは問題ありとして制動装置のコンピュータープログラムを手直しする、その前に生産した車両は知らんぷり、今ならリコールに該当する車両は販売しっ放し、サービスキャンペーンにも該当しないやり方をこっそりやっている。

 全く、単にユーザーの目線が感じられないというんじゃなくて、先ほども経産大臣もありましたが、自動車にとっては安全が第一だ、ブレーキの問題だ、そういう点でいうならば、顧客の安全問題についての責任がはっきり言って感じられない。

 この一連の経過を見てみると、要は、リコールにつながりかねない欠陥を自動車会社の判断によってバージョンアップと称して勝手に手直しが行われる、世論の批判を浴びればリコールすると。

 リコールの判断を会社の自主性任せにしていることが最大の問題だと私は思うんですが、この間のトヨタの対応を見て、大臣はそう思いませんか。

○前原国務大臣 結果としてそういうふうに多くの方々が感じられて、そして、先ほど答弁をしましたように、ユーザー目線ではない形での対応がとられてきたということは、私はそういうふうに見られても仕方のないことだというふうに思います。

○穀田委員 それは先ほども聞いたんです。ただ、私が言っているのは、事命の安全にかかわる問題が、目線が違うというような話じゃなくて、どこに質的に問題があるかということをこの際きちっとやらぬとあかんのと違うかという問題意識を持っているわけですよ。

 だから、いわばリコールという問題を、会社は、今あったように、苦情はしばらく黙っておく、ちょっとこれは調子悪いなと思って勝手に直す、それも報告しない。結局、今考えてみるとリコールに匹敵する、リコールすべきものだったことがわかるということは、当時の判断が間違っていたということに結果なるわけですね。そうなると、そういう自主性に任せていたらだめだということがはっきりしたんじゃないかと私は思うんです。特に、これはやはりブレーキという問題で、命にかかわる直接的な問題なんですね。

 したがって、私は、勝手な判断による形を変えたリコール隠しと言わざるを得ない、ここに本質があるということを、自主性に任せているとこういうことが起きるという点を言っているわけです。

 そこで、では、受ける側は問題なかったのかということについて少しただしたいと思うんです。

 国交省は検証機関に、トヨタに対してふぐあい情報の開示を要求したか、そして検証のための情報交換を行ったかという点について、三日月さん。

○三日月大臣政務官 九月の二十五日に独立行政法人交通安全環境研究所リコール技術検証部に技術検証を依頼して以降、トヨタ自動車とも資料、情報をやりとりしながら、この間、このプリウスの安全問題、構造問題について調査を継続しております。引き続きずっとやってまいりました。

○穀田委員 先ほど言っているように、ただ、その報告の一番肝心なところは二月三日以降に知ったということなんですよ。だから、それは、やりとりを全くしていないなんということはこっちも言っていないんですよ。肝心な問題は、苦情があって、しかも制動に関するものだ、しかも、制動に関するものだとわかっていて検証を受けていながら、その内容を知らせずに肝心かなめのところのプログラムを変えるなんということがあっていいのかということなんですね。だから、ここが、目線があるとかないとかという話じゃなくて、えらい問題だと私は思っているわけです。

 そこで、私どもは、三菱のリコール隠しの際も三菱の側からの情報提供がないということが問題になって、重大事故にかかわる事案については逐次情報を求めるべきだ、肝心なところを、靴の上から足をかいているようなのじゃなくて、ちゃんとやれよということを当時言ったわけです。

 さらに、リコールに当たる欠陥があるかどうか、この点を企業の自主性に任せていたのでは、いわゆる、トヨタが言っているように、欠陥ではない、フィット感の問題だというようなことになる。そこで、私は、外部の第三者機関できちんと検証する必要があるということを当時も主張しました。それで、欠陥の疑いのある自動車を持ち込めば検査してくれる部署を国交省として、今お話のあった独立行政法人交通安全環境研究所の中にリコール技術検証部をつくったわけですよ。

 そこで、その部署の体制はどうなっているか。リコール技術検証部は一体全体何人いるのかということについても聞いておきたいと思います。

○三日月大臣政務官 独立行政法人のリコール技術検証部については、十六名という体制でやらせていただいております。

○穀田委員 十六名なんです。ただ、職員は一名で、技術検証官は六名なんです。その他の非常勤職員がいるんですね。そして、トヨタの調査には、一人と補佐人が一人、要するに二人で対応しているということは、頭で言ってくれたらいいし、この点は間違いありませんね。今のは間違いないと。間違いないんです。

 それで、要するに、今言おうとしているのは、技術検証部十六名と言っているんだけれども、その肝心かなめの技術検証官というのは六名だ。そして、あとは非常勤の、補佐を務める事務を含めた人間なんだということなんですよ。そして、この今回のトヨタの事故に対応しているのは、技術検証官が一名と補佐人が一名、二人だということなんですよ。たった二人でこれをやっているということなんですよ。こんな大事な問題を、この程度の人間しか、人間というのは、この方を批判しているのと違いますよ、たった二人でしかやれないということは大問題だというんですよ。

 大体、アメリカでは、当局が判断してリコールを指導したなどと報道されていますし、聞くところによると、五十人ほどの体制でリコールへ当たっていると聞く。

 したがって、私どもは、この体制がつくられたのは結構だけれども、やはりこれほどの大問題になっているときに一名と一名では無理だ、ほんまにこれは強化をせなあかんと思うんだけれども、どうでっしゃろか。

○前原国務大臣 大変建設的な御意見だと思います。

 それで、リコールというのは、会社が届けるときと、そして、会社から情報を得て、会社がどうしても起きないというか、そういったときに国土交通省として勧告ができるということがございますけれども、その情報をどのように得るかという今の仕組みと同時に、その事故の調査をどういうふうにしていくのかということを、今の御趣旨も踏まえて、改善すべきところは改善すべきだと思いますので、少し検討させていただきたいと思います。

○穀田委員 非常に大事なことだと思うんです。私は、この問題は人の命にかかわることだから、こういった問題について、つくったことはよかったと思っていますし、ただ、今の事態への対応では、これはやはり、なかなか無理がある。先ほど言ったように、その法整備も含めてこれは検討する必要があるということを改めて言っておきたいと思うんです。

 最後に、トヨタは欠陥でないと言うし、国民は、今述べたように、ブレーキがきかない、不安、欠陥だという認識になるわけですよ。最終的にはリコールとして対応せざるを得なかった。これは、先ほど大臣が述べたような認識論の違いということでは済まないと思うんですね。

 問題は、制動装置に関するコンピューターを隠れて設定変更を行って、それをバージョンアップとして実行した。だから、これは、こんなことを任せておいたら、やはり大変なことになるということの結論だと私は思っています。

 先ほども大臣が吉井議員のことを言いましたけれども、私どもは、このプリウスの問題を初めとして、企業の基盤としての、そういう中小企業の物づくりという問題が一つあるんですね。もう一つは、やはり安全が第一という点での物づくりの精神、これをやはり踏まえないとあかんというところを徹底しないと日本の物づくりの根幹が揺らぐというふうに考えているからであります。

 私は、トヨタだけじゃなくて、それからホンダもヨーロッパやアメリカでリコールをしています。大臣の発言があったからかどうかは知りませんけれども、新たに他の会社も、他の車もリコールを始めています。アメリカでは公聴会も行われる。

 ですから、この機会に、国会での車両の安全問題の審議を行うよう私は提案したいと思います。そして、トヨタ、ホンダなどの参考人を招致しての審議を要求するものであります。

 委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。

○鹿野委員長 後刻、理事会において協議をいたします。

○穀田委員 では、以上で終わります。