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【第176臨時国会】 衆議院・国土交通委員会 ○穀田委員 私は、きょう流れました中国船衝突事件のVTRについて一言言っておきたいと思います。 それはやはり、今も同僚の議員からもるるお話ありましたが、本物かどうかということが一つあります。同時に、本物ならば、だれが、どうしてということについて徹底した調査を責任を持って行い、事実を明らかにすることを求めるものであります。 私は、尖閣諸島の問題について言えば、政府が、日本の領有権は歴史的にも国際法上も正当なものであることの大義を国際社会と中国に対して堂々と主張することが肝要だ、そのことを私ども一貫して述べてまいりましたので、その骨太い、きちんとした対処が肝要だということを再度申し上げておきたいと思います。 質問に入ります。 まず、八ツ場ダムの水没予定地の住民たちの移転先となる代替地の宅地造成の一部で、震度六から七程度の大地震で崩落するおそれがあることが発覚しました。どういう経過だったか、簡潔に述べていただきます。 ○津川大臣政務官 お答えを申し上げます。 今御指摘をいただきましたとおり、八ツ場ダム工事事務所が群馬県に報告をいたしました代替地の安定計算の結果の一部に誤りがございまして、国民の皆様方、地域住民の皆様方、町また県の関係する皆様方に多大なる御迷惑、不信感、また不安感を助長させる結果になりましたことを、まずもって心からおわびを申し上げたいと思います。 経過を申し上げますと、まず、平成十八年に宅地造成等規制法が改正をされました。造成宅地における安全性を確保する目的で、がけ崩れ等の危険のある既存の造成宅地に対しまして造成宅地防災区域として都道府県が指定をする、こういうルールになりました。 その後、当該区域の指定権者であります群馬県より、八ツ場ダムの移転代替地がその指定基準に該当するか否かの判断を行うためということで、八ツ場ダム工事事務所に対しまして盛り土の造成地の安定計算を要請いただきました。 この要請をいただきまして、工事事務所といたしまして、安定計算結果を本年八月三十日付で県に御報告をいたしました。県は、この結果に基づき、九月二十二日、八ツ場ダムの移転代替地を当該区域の指定基準に該当しないという判断をしたところでございます。 その後でございますが、私どもが計算を委託いたしました業者から、計算結果に誤りがある可能性があるという報告がございまして、工事事務所に対しまして計算結果に誤りがあるかどうかということを確認いたしまして、最終的に、十一月、今月の一日でありますが、誤りがあることが確認されました。大変申しわけございませんでしたが、翌日の今月二日に、その事実関係に加えまして、修正計算結果と対策工法等を県に対して報告させていただいたところでございます。 ○穀田委員 代替地は宅地防災マニュアルなどの各種技術基準や指針を参考に設計し、十分な安全性を確保することとしています、これがこれまでの国交省八ツ場ダム工事事務所の説明です。そうすると、十分な安全性を確保できていなかったということになる。 どうも今のお話を聞いていると、国交省が委託したコンサルタントが耐震性の計算を誤っていたという話ですね。では、なぜ計算を間違えたのか、原因を究明すべきだと思うんですね。コンサルタント業者が入力をミスしたというけれども、なぜ間違えて入力したのか。それから、計算結果を受け取った国交省工事事務所は、当然チェックしたわけですよね。それで、間違いを見落とした。なぜ見落としたのか。代替地の十分な安全性を確保すべきと言っている国交省の責任は重いと言わざるを得ません。 したがって、再発防止する上でも徹底した原因究明をすべきと違うかと思っているのですが、大臣の考えを聞きます。 〔委員長退席、長安委員長代理着席〕 ○馬淵国務大臣 まさに御指摘のとおりだと思っております。私も説明を受けて、いわゆるデータの入力ミス、さらには、計算手法を入力するそうなんですが、その入力ミスが原因であると判明したということです。 しかし、それについては当然ながらチェックをしなければなりませんし、これは安全ということが問われるわけですから、命にかかわることで、大変重要なものを見過ごしてしまったということについては、これは大変遺憾だというふうに私は思っております。 つい先日も、八ツ場ダムの問題に関しましては、基本高水の数値の根拠というものが明らかでないということ、少なくともありきで進めていたのではないかということで、私も本日の閣議後の会見で、基本高水の再検証を指示した、このようにお伝えをしたところであります。 こうした状況は、これを徹底的に組織として戒め、さらに、こうした見過ごし等ミスのないようにということは本日朝も河川局長にも伝えたところでありますので、こうしたことに対しての再発の防止に努めてまいりたいというふうに思っております。 ○穀田委員 基本高水の問題については、また議論は別個にしたいと思うんです。 今の答弁でありましたけれども、この計算ミスが発覚しなければ、それは今大臣がお話あったように、発覚して命にかかわる問題とありました。ですから、発覚しなければ、対策もとられずに崩壊を招くことになりかねなかった。だから住民からは不満の声が上がっている。同時に、国は万が一のことがないように安全を確保している、強度は大丈夫だと繰り返し言っていたことに対して不信感を募らせているわけであります。 代替地というのは生活再建の中心であって、その安全性は大前提にかかわる問題であると考えます。地元の住民の方々の生活再建を、どういう立場に立とうとも、今、ダム建設の問題についてどういう方向に行こうとも、私は最優先して支援する必要があると考えます。 日本共産党としましても、ダム建設ありきの政策を押しつけられてきたために地域住民が受けた困難や苦難を償うなどの観点から、国や関係自治体などが住民の生活再建支援や地域振興を図ることを義務づける、仮称ですけれども、住民の生活再建・地域振興を促進する法律の制定を提案してきたところであります。略して生活再建支援法というふうに言っていいと思うんですけれども、政府としても仕組みを早急に準備すべきではないかと思うんですが、見解をお聞きしたいと思います。 ○馬淵国務大臣 大変重要な御意見、御指摘だと思っております。生活再建対策につきましては、私どもとしても、熊本県の川辺川ダムでの取り組みというものを一つのモデルとして考えたいと思っておりまして、あわせて法案化を含めて検討を進めております。 川辺川ダムにおきましては、これは、五木村の今後の生活再建を協議する場ができておりまして、ここを通じて意見聴取あるいは現地調査などを行っております。また、熊本県とも協力をして生活再建対策の検討を進めておるところでございまして、そうした進捗状況を踏まえながら対応を考えてまいりたい、このように思っております。 ○穀田委員 これは前大臣もそういう点については一定言及していましたが、きちんと実行するということで努力をしていただきたいと私は思うんです。 そこで、問題は、この一連の問題について言うならば、代替地に限られたものではないというのが私の考えです。八ツ場ダム建設地域全体、吾妻川流域の地盤の問題でもあります。 かねてから地盤の安全性について懸念が指摘されています。当委員会で参考人として意見陳述したこともある奥西一夫氏は、この地域について、種類、数とも多い地すべりのデパートのような地域だと地すべりの危険性を指摘しています。八ツ場あしたの会を初め住民運動団体も、地盤の安全性について指摘し、要望もしています。 今回、代替地の計算ミスが発覚しましたが、八ツ場ダム貯水予定地域を初め周辺地域の地盤は大丈夫なのか。この際、八ツ場ダム周辺地域全体の地盤について徹底した安全調査をすべきではないでしょうか。 ○馬淵国務大臣 今、全体に関してこうした自然地形も含めて調査すべきではないかということの御指摘でありますが、今までは、通常、ダムに湛水をしたとき、貯水をしたとき、そのときに起因する事象が発生する可能性のある箇所についてのみ、地すべり、いわゆる自然地形の安定性の検討というものが行われるとなっておりました。 一方で、私ども、再検証ということの枠組みを提示して、それを今進めているところであります。総事業費の点検なども行いながら、今後も地すべり対策の妥当性については検討してまいらなければならないと思っておりますが、あくまでこうした湛水の状況ということを前提にしているがゆえ、今日においてはこのダムについて再検証の過程に入りますので、まずはその結果を踏まえてというふうに考えております。 〔長安委員長代理退席、委員長着席〕 ○穀田委員 再検証の過程で、今新しい事態が起こり、新しい法律のもとで一定の新しい考え方でやっているわけだから、そういう角度から検証するということが住民にとって安心につながるということを要求しておきたいと思います。 最後に、法案に関連して若干質問します。 災害時要援護者関連施設を土砂災害から守ることは重要な課題だと考えます。本年六月に公表された災害時要援護者関連施設の調査の結果を見ると、土砂災害のおそれのある施設一万三千七百三十のうち、砂防関係施設が未整備でかつ土砂災害警戒区域が未指定の施設が七千百二十も存在します。今るる議論がありましたように、いつ何どき突然土砂災害に遭うかもしれないという今日の状況にあって、放置できない問題です。 この関連施設は、地価の関係や市街地にこうした施設が建てにくい状況から、郊外の土砂災害のおそれのある場所に建てられることが多いと言われ、現在もその状況が続いています。このような危険な場所に立地しようとする計画に対して何らかの開発規制を設けることが必要ではないかと考えますが、見解をお聞きします。 ○馬淵国務大臣 立地の抑制についてのお尋ねでありますが、土砂災害特別警戒区域の指定によりまして、老人ホーム等の災害時要援護者関連施設等の開発行為というものは都道府県知事の許可制となっておりまして、安全性が確保されていなければ立地されないことになっております。基本的には、この特別警戒区域の指定を促進して立地抑制を進めてまいりたい、このように考えております。 ○穀田委員 土砂災害警戒区域等の指定がされていないということだけで、実際には規制はかけられないんですよ、その後でかけるわけでして。だから、実際は、今指定されていないけれども、ここは危険ですよと。というのは、指定をするのに幾らかかるかと聞いたら、それを完了するためには、ありていに言えば四十年近くかかるというわけでしょう。四十年か三十年か、何十年もかかる。それを待ってられへんわけです。 ですから、指定されていないということだけで何の規制もかけないというのはまずい、それは将来の危険を誘発することになる。そして、この危険を防止するために砂防関係施設も必要となる。そういう意味で、二重の意味で、開発の前にどうしたら規制を加えることができるかということを考えなければならないときに来ているということを言っているわけですよ。そこを理解してほしいんです。 同時に、この災害時要援護者関連施設が土砂災害のおそれのある箇所に既に立地、建設されている場合は、十分な安全を保障すべきであるということは言うまでもありません。 そこで、砂防関係施設の重点的整備を要請していると聞いていますが、その完了にはどれほどの時間がかかると推察されていますか。 ○馬淵国務大臣 現行の社会資本整備重点計画において定めておりますもので見ますと、平成十九年度から二十四年度までの五年間で約千二百施設整備する計画ということになっておりまして、現行は、計画を下回る整備状況になっています。 先ほど御指摘のように、指定に時間がかかり過ぎるということもありますので、私どもとしては、未指定であっても、開発申請者に対しての対応というものは必要だというふうに考えております。そして、それにつきましては、またお尋ねがあるかもしれませんが、私どもとしても、厚労省と共同で通知を出したところであります。 ○穀田委員 いや、計画はこれだけだと言って、いっていないと言っているんだけれども、大臣、計画は知っているんですよ、何ぼというもの。それで、うまくいっていないと。そこはもやもやと話をして、では何年かかるのやと聞いているわけやから。計画はわかっているんです。今の進行状況からすれば、実際進行していることとの関係でいけば何年ぐらいかかるんやと聞いているんです。 ○馬淵国務大臣 ケース・バイ・ケースなんですが、残る警戒区域十八万カ所で八年ほどかかるのではないかということが計算上想定されます。 ただ、こうしたところで、未指定の場所につきましても、開発申請者に対しては、土砂災害のおそれがある区域であること、また、将来指定された場合の指定に伴う規制内容等を情報提供する、土砂災害に対して安全が確保された計画となるよう促すという通知を本年七月に厚生労働省と共同で都道府県に発出したところであります。 ○穀田委員 何回も言うけれども、七千何ぼ今残っているものがあるわけですけれども、砂防関係施設の重点的整備というのがされていないのがあるわけですよね。それで、千数百というのは計画なんですよ、あくまでも。この二、三年進行しているのは何ぼやと。だから、それの計算でいけば何年かかるかと聞いているだけなんですよ。 だから、予定と計画だけ言わずに、何回も言っているように、これだけあるうち今何ぼ進行しているのやといったことを聞いているんです。同じことを何回も聞かせんといてえな。 ○馬淵国務大臣 平成二十一年度の実数でございますが、目標値二千七百八十に対して二千四百五十という状況でございます。 ○穀田委員 だから、ほんのちょっとしか進行していないということでしょう。何か、上の方の二千何ぼに対して二千何ぼ残っているわけで、やっている方の数字を言わへんから、皆、えらい何か進んでいるなと思うんだけれども、違うんやね。これまた何十年かかるんですよ。 問題は、だから、今大臣が一番最初におっしゃったように、ハードの面だけじゃなくてソフトの面もという話になってくるでしょう。ですから、私は、そういう意味でいうと、今まで起きた事態についてよく研究する必要があると思うんですね、こういう施設がどういう被害を受けたか。 これは私、時間がもうすぐ来ますから二つだけ言っておきたいと思うんです。 一つは、ソフトという問題がありますけれども、私は、介護施設その他のところに直接お聞きしました。そうすると、人を助けるということからすれば、例えば、あれが夜来た場合だったらもっと大変だった、結局、人でしかない、今、九人に対して夜一人で守っているような、こういう実態をせめて二人にする以外にない、これさえすればこれはほとんど解決するということをおっしゃっていました。これが、つまりマンパワーの問題の必要性が一つなんです。 もう一つは、大事な問題は、新しい問題提起を若干だけしておきますと、災害時要援護者関連施設に人がいる問題よりも、在宅で介護しなければならない人たちをいざというときどう救うかという方がもっと大変だと。ですから、ここに少し目を入れた形を同時にしないとだめだ。 この二つが、私は、関連施設との関係でいえば、砂防だとかそれは大事ですよ、やるなと言っているんじゃない、やるべきだ。だけれども、時間もかかる。 そういうことからいえば、本当にマンパワーをあてがう必要があるということと、それ以外に、関連施設だけじゃなくて、お年寄りをどう救うのかという問題については直面した問題だということについてしっかり考えておく必要があるということだけ述べて、終わります。 |
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