国会会議録

【第176臨時国会】

衆議院・国土交通委員会
(2010年11月12日)


○穀田委員 馬淵国交大臣に、きょうはまず八ツ場の問題についてお聞きします。

 大臣は、六日、八ツ場ダム建設について、中止の方向性という言葉に言及しないと表明されました。この発言の真意を尋ねたいと思います。この発言は、中止しない、つまりは八ツ場ダムの建設を進めるという意味に解釈される方もいますが、そういうことですか。

○馬淵国務大臣 前原前大臣が、まさに政策転換を図るということで、一年弱でありましたが、予断を持たずに再検証という枠組みを決めていく、できるだけダムに頼らない有識者の会議というものを設けて議論を重ねてまいりました。

 そして、いよいよ実施の段階に移ったんですね。改めてここで予断を持たずに再検証するということで、これは関係者のみならず、かかわる、もちろん反対される方も賛成する方も含めて、さらには学識者という方々、主体は地整局であり、あるいは自治体であったりするわけですけれども、こういった場で幅広く議論をするわけでありますから、一切の予断を持っていただかないようにしていくためには、私は、今後この中止の方向性という言葉は言及しないんだということをはっきりと申し上げなければ、それこそ、この検証そのものが何らかの恣意的な方向に向いてしまいはしないかということを考え、こう申し上げたわけであります。

 したがいまして、現時点においても、私には一切の余談もなく、しっかりと再検証を行ってもらいたい、こういう思いでおります。

○穀田委員 私どもは、この八ツ場ダムについて、利水面でも治水面でも不要なダムであり、無駄で環境破壊につながるダムであるという立場に立って中止を求めてまいりました。

 この国土交通委員会でも、また各委員会などにおいても、例えば塩川鉄也議員も報告していますが、何度も現地に足を運び、長野原の町長さんや町議会議員の方々と率直な意見交換を行ってまいりました。その際にも、私どもは、自分たちの中止という立場について表明した上でお話もさせていただいたところであります。

 したがって、私どもは、住民の不安や要望に謙虚に耳を傾けて、ダム中止の理由を丁寧に説明するべきだと指摘もしてまいりました。そして、何度も、生活再建、地域振興策を住民とともにつくり上げることなども提案してまいりました。今大臣も発言ありましたが、建設ありきでも中止ありきでもない、予断を持たずにということで検証する、そのとおりの言葉を言っているというふうに受けとめたいと思います。

 その意味では、やはり改めて再検証することが重要だし、その検証が、だれもが納得いく形でしっかりやる必要があるという結論ではお互いに一致できると思うんです。

 そこで、予断を持たずに再検証する上で、洪水時に流れる最大流量、いわゆる基本高水の見直しが必要です。利根川の基本高水、利根川の治水基準点である八斗島では毎秒二万二千立方メートルとされているが、これを算出するもとデータの一つ、飽和雨量、これは森林などの保水力を示す係数ですが、これを小さく設定されていたことが明らかになっています。大臣も、この利根川の基本高水がどうやって算出されたのかを調査したが資料が見つからなかったという報告をされています。十分な検証が行われず、大変ずさんだったと陳謝しています。その上で、利根川の基本高水について見直す、改めて検証すると述べておられます。

 利根川の基本高水を改めて検証する理由について、簡潔にお答えいただきたいと思います。

○馬淵国務大臣 一年間、ダムに頼らない治水のあり方ということを議論いただく中で、私の中にもずっとひっかかっていたのはこの基本高水の問題でした。

 河川整備計画を見直すということであり、河川整備の基本方針は見直さないということであれば、そもそもその前提となる基本高水の議論がなされない、これでいいのかという思いもございましたが、私自身、その中で有識者の方々がつくっていただいた検証の枠組み、これも利用しながら、何らかの糸口で見直すことができないかということで調べておりました。

 そうしたところ、御指摘のこの二万二千トンに対して、平成十七年度に策定した検討報告書の中で、その具体的な計算過程というものが明らかにならなかった。私はその資料を捜すように指示をいたしましたが、資料がないことが問題ではありません、検討した経緯すら見当たらないということ、まさに二万二千トンありき、ずさんだったとしか言いようがないんですね。私は、だから河川局にも、もうやり直そう、見直そう、このように言ったわけです。

 建設を要望される方もいらっしゃいます。反対される方もいらっしゃいます。これを私は、押しなべて皆さん方に納得できる形で検証を進めるべきだと思っておりますので、その意味で、基本高水の見直しというものは極めて重要だと思っております。

 今回は、この再検証と、さらにはこの基本高水の検証ということをあわせて皆さん方に開示をしながら、納得いくプロセスで進めてまいりたい、こう思っております。

○穀田委員 今お話ありましたが、私どももこの高水の問題について一貫して指摘してまいりまして、やはり建設先にありきということが実はこの高水の計算をずさんにしたんじゃないかという見解を私どもは持っています。

 予断を持たずに再検証するという中にこの基本高水の検証は含まれているのか。有識者会議の中間取りまとめに基づいて検証がやられていますが、この中には基本高水の検証は含まれていません。予断なく再検証するからには、当然この基本高水の検証も含むべきだと思いますが、結論だけでいいですから。

○馬淵国務大臣 公共事業の再評価実施要領細目に定めたということでありますので、この基本高水の再検証という部分には含まれません。しかし、これは並行して行いたいというふうに考えております。

 ただ、穀田委員が先ほど御指摘のように、いや、この二万二千トンありき、建設ありきじゃないかと言われますと、それはまさに予断になりますので、私自身は持たずでと思っております。

○穀田委員 いや、それは、従来のやり方の際にそういうことが言われてきたことを私どもは考えて指摘しているということで、今大臣がどう思っているかなんという話をしているんじゃないんです。それは言っておきたいと思います。

 中間取りまとめが出された後で基本高水の根拠の不透明さが明確に出てきたわけであります。もともと、基本高水というのは過大じゃないかという指摘は、運動団体初め、私どももしてまいりました。また、民主党も言っておられたし、前原大臣も野党の時代は指摘してまいりました。その意味では、大臣の発言によれば、八ツ場ダムが第一歩、また、並行してやるということも言っておられるわけですが、それでとどまるべきじゃないと私は思っているんです。対象となっているダムの再検証について、この基本高水の見直し、つまり河川整備基本方針の見直しを位置づけて再検証すべきではないかと考えますが、いかがですか。

○馬淵国務大臣 河川整備基本方針を策定するとなると大変な時間がかかるということも、先輩方からお聞きしております。

 私は、まず、これほどまでに社会的な注目の的となった八ツ場ダム、とりわけ、明らかに二万二千トンありきということで、この十七年度の報告書がずさんだったということが明確になったわけですから、これについての見直しを指示いたしましたが、その他の水系については、今現時点でそれをすべて広げていくとなると、私は、せっかくの再検証自体も大きく滞ってしまいかねないと思っております。現時点においては、他の水系というものについては、まずは再検証を進めていただく。

 もちろん、この八ツ場ダムにかかわる利根川水系の基本高水の再検証も時間をかけずにしっかりとやっていただかないかぬですが、こうした、具体の検討の結果がないといったような、明らかな瑕疵なりが認められるものについては、これは行うべきだと思います。ただ、現時点において、私ども、そこまですべて行うということには考えは至っておりません。まず再検証、枠組みを進めていただきたい、こういうふうに思っております。

○穀田委員 なぜ私こういうことを言っているかといいますと、つい先日も新聞に出ているんですけれども、想定流量は河川法が制定された一九六四年当時から四十年間で約一・五倍になっている、それは全国の百九の一級河川のうち八十水系を分析した結果であるということで報じられていることもあります。

 私は、先ほど大臣がおっしゃった、この二万二千トンだけではなくて、全国でそういった形でいつの間にか基本高水自身が上がっていったという事態がある、だからこそ、単に、この問題で高水がいつの間にか上げられた、本当かというだけじゃなくて、では、ほかも本当かということが問われているということを申し上げたいわけですよね。

 だから、滞ってしまいかねないというよりは、このことが今、国民のそういう流域水系における安全とのかかわりで、正確なものを出して、どうしたら本当に治水ができるかという基本的な根拠となるそういうものを確かめることが、もちろん何も利根川水系を後にしてなんて言っているんじゃないですよ、それはそれでやりながらほかだってできるんだから、それはお互いにきちんとやろうじゃないかということを言っているわけであります。

 その点、いかがですか。そんなに長くなくていいです。

○馬淵国務大臣 今御指摘のような形で、全水系までも実はそういった見直しが必要じゃないかという御指摘は、十分傾聴させていただくに値すると思っております。

 ただ、先ほど来申し上げているように、まずは利根川水系、具体的な瑕疵が明らかになったということでありますから、私はそこをしっかりと検討させることを優先したいというふうに思っております。

○穀田委員 私も繰り返しになりますが、優先することについてとやかく言っているんじゃないんです。ただ、わざわざ陳謝したことは、こういうずさんなやり方が国民の生命と財産にかかわる問題だからでしょう。そうすると、ほかだって、そういうことがもしあったら、それをやらなくちゃならぬということを提起しているわけです。それは御理解いただけると思います。

 では、それは御理解いただいたということで、次へ進みます。

 次に、JALの問題について企業再生支援機構に尋ねたいと思います。

 第一に、更生計画案においての人員削減の目標とその内訳について、現在のそれぞれの到達点はどうなっているかということを御報告いただきたい。具体的には、内訳は、第一、希望退職募集、第二、定年退職等自然減、第三、子会社切り離し等及びその他。中身としては、パイロット、客室乗務員の削減目標は幾らだったのか、つまり職種について。大きく言うとこの二つの点についてまず報告をいただきたい。

○河本参考人 ただいまの御質問について、企業再生支援機構河本より御回答申し上げます。

 まず、更生計画上の人員削減計画人数としては、JALグループ連結で、いわゆる希望退職にて約六千四百人、子会社の再編で約六千人、その他、契約終了、定年退職及び自然減で約三千七百人の削減を計画しております。その達成状況につきましては、本年十月二十二日までで、いわゆる希望退職で約五千六百人、子会社再編で約三千百人、その他、契約終了、定年退職及び自然減で約二千九百人となっております。

 また、職種別の内訳についての御質問もいただいておりますが、この点につきましては、更生計画上の人員削減計画人数としては、JALグループ連結で、運航乗務職で約九百人、客室乗務職で約二千七百人、整備職で約千九百人、その他地上職で約一万六百人の削減を計画しております。その達成状況につきましては、本年十月二十二日までで、運航乗務職で約七百人、客室乗務職で約二千百人、整備職で約千九百人、その他地上職で約六千九百人となっております。

○穀田委員 今の数は、この間の報道ではいろいろ言われていますが、正式に言われたのは国会では初めてだと思います。

 数字を見ますと、今お話があったように、子会社の切り離しの問題やその他地上職というところが余り数字としては伸びていない、切り離しの部分が残っているのが中心だというのが見てとれます。

 そこで、次に、早期希望退職の二次募集、目標が千五百に対して実態はどうなっているかについてお聞きします。

 まず、職種別の目標と到達はどうなっているか。職種別とは、今お話がありましたけれども、パイロット、客室乗務員、整備職、事務系地上職に分けてお答えいただきたい。もう一つは、日経新聞によりますと、希望退職ということで、その応募状況を見ますと、合計は千五百二十人に到達しているということがありますけれども、これは事実なのか。この二つについてお答えいただきたい。

○河本参考人 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。

 JALグループ会社のうち日本航空インターナショナルについて、いわゆる二次募集、これは十月二十二日までに行われたものですが、これを含む約千五百人の希望退職計画について、計画と達成人数の状況はこれから申し上げるとおりでございます。

 まず、運航乗務職について、希望退職計画数としては約三百七十名、二次募集までの実績としては約二百四十名、最終募集の計画数として約百三十名でございます。客室乗務職につきましては、希望退職計画数は約六百十名、二次募集までの実績につきましては約四百七十名、最終募集計画数につきましては約百四十名。整備職につきましては、希望退職計画数が約四百八十名、二次募集までの実績が約五百二十名、最終募集については行っておりません。地上事務職につきましては、希望退職計画数が約百名、二次募集までの実績が約百十名、最終募集については行っておりません。合計で、希望退職の計画数は約千五百六十名、二次募集までの実績は約千三百四十名、最終募集の計画数は約二百七十名でございます。

 また、もう一つ御質問いただきました点につきまして、約千五百二十名の応募という点につきましての御質問ですが、休職している方など現在稼働していない方を含めると、おおよそその人数となります。

○穀田委員 そうすると、日経のところと今お話あった応募数の違いの中心は、客室乗務員のところを、今常務の方は四百七十と言い、そして日経は六百五十と言う。

 六百五十という数字、これは確かなんですね。

○河本参考人 その点につきましては、いわゆる頭数ベースとしては御指摘のとおりでございます。

○穀田委員 頭数というのは、非常に何か、人のあれを言うときに考えなあかんと私は思うんだけれども、在籍数と言ってもいいだろうと思うんです。

 そうすると、今お話あった稼働というのはあれですか、乗務員というのは稼働時間で判断すると。というのは、一人を一人と数えないということですか。

○河本参考人 いわゆる希望退職の募集数は、更生計画案に盛り込まれた事業計画を実行するための人員計画に基づいて算定した人員削減の計画数でございます。事業再生を図る上で、人員の規模は事業の規模に見合ったものである必要があり、こうした点を踏まえ、削減計画数は、実際に稼働している人の人数をベースに策定しております。このため、稼働していない休職者の方は数の対象に含めておらず、いわゆる希望退職の応募人数を集計する際にも休職者の数は含めてございません。

 なお、労働組合に対しましても、当初より、客室、乗務職に限らず削減計画数は休職者等を除いた人数にて御説明をしているところでございます。

○穀田委員 では、更生計画にある一万六千人の削減というのは、当初から在籍数と違うということを今あなたはおっしゃったんですか。どこにそれを書いていますか。

○河本参考人 先ほど御説明申し上げましたとおり、更生計画での削減人数の予定数は稼働ベースで算定をしてございます。その点につきましては当初よりそういう御説明をさせてきていただいておりますので、御理解をいただければと思います。

○穀田委員 いや、だれも理解できないですよ。どこにそれを書いているかと言っているんですよ。人員の削減の問題について、最初から一万六千人と書いているのは知っていますよ。それが稼働ベースだなんてどこに書いているんですか。相談はいいから、どこに書いているかと言っているんだ。

○河本参考人 更生計画にはその旨までの記載はしてございませんが、労働組合に対してはその旨御説明をさせていただいております。

○穀田委員 公的に明らかにした更生計画の中に、一万六千人を削減すると書いている。この数字の中にもあるように、それは一人一人、パイロットについても、客室乗務員についても、整備職についても、事務系地上職についても、あなたがおっしゃっているような実績、計画の中に全部入っていないなんということをどこに書いていますか。書いたことはないですよ、一度も。

 みんな知っているのは、例えば人員削減するときに、はなから休職者は別扱いなんという、そんなことをした例がどこにありますか。そういうのを、本当に人を人と思っていないというやり方なんです。だって、三万何千人のうちの半分にすると。では、三万六千人という中に稼働の人数しか入っていないんですか。もともとの分母には稼働人数しか入っていないんですか。

○河本参考人 更生計画ではその旨の記載はしてございませんが、組合及び職員の方々につきましてはきちんと御説明をさせていただいてございます。

○穀田委員 聞いていることにきちっと答えなくちゃだめですよ。そのことばかり書いているメモを言ったってだめなんです。

 あなた方は、三万何千人という中で一万六千人削ると言ってきたんですよ。半分にしたいとか三分の一にしたいと言ったんですよ。では、その分母には稼働人数しか入っていなかったのかと。そして、満天下に、仮に三万六千人いるとすれば、稼働人数は三万人だ、そして削るのは稼働人数一万六千人だ、こう言ってきたのかと言っているんですよ。

○古賀委員長 しばしお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

○古賀委員長 速記を起こしてください。

 河本常務取締役。

○河本参考人 在籍数については在籍数として御説明し、削減の予定数については稼働ベースにて御説明をさせてきていただいているところでございます。

○穀田委員 今、皆さん聞いてわかりましたか。自分の説明はそうだとわかっているんですよ。あなたが説明しているのは、稼働ベースでやっているという話を何回もしているだけなんですよ。それを組合にも言ったと言っているだけなんですよ。満天下に、三万数千人というのは稼働ベースか、それを削って一万六千人とやるときに、これは稼働ベースの話だと言ってきたのかと言っているんですよ。はっきりしているじゃないか、質問の内容は。

○河本参考人 三万二千とおっしゃる数字につきましては、これは更生計画で予定している最終的な在籍数ということでおっしゃっておりますでしょうか。

○穀田委員 まあ、いいから。簡単に言えば、在籍数で計算してきたのか、明らかにしてきたんでしょうと言っているんですよ。

○河本参考人 ですから、在籍数のものにつきまして在籍数であると御説明している……

○穀田委員 考えてごらん。人数、僕は正確じゃないけれども、全日航で、全体で何万人いる、これを何万人にしますと言っているときに、分母もあるでしょう、削る分の分子があるわけでしょう。分母も分子も、満天下に、国民向けに、これは稼働でやっているんですということを言ってきたかと言っている。言ってきていないでしょう。言ってきていないか言ってきたか、はっきりしろと言っているだけじゃないか。(発言する者あり)

○河本参考人 その点については明示はしておりません。

○穀田委員 今質問ありましたように、これを人員削減するというときに、何百人という人数を出した。ところが、休職者だとかそれから欠員になっている人たちなんかを含めてやるんじゃなくて、千人在籍しておられる、このうち五百人削ると言っているので五百人を募集した。応募している中に休職者があったらそれは除外よ、こういうやり方はないでしょうということを言っているわけです。

 だから、最初、分母も分子も在籍数で計算しながら、少しやり方を、ちょっとうまく出てこないといったら、それは、削るために在籍だとか在籍でないという区別をして、休職者は最初から省いてしまう、そんな世界がどこにありますか。休職者といったって在籍なんですから、その人たちを含めて応募したら、あなたはだめよ、違うよというような話、そんな世界がどこにありますかということを言っているわけです。

 これは、こういうやり方を含めて、要するにどんなことを言っているか。だから、現場でいくと、やはり出ているんですよ。稼働ベースの人数でいけば、フル稼働は一カ月丸々乗務している人を一名として計算する、休職者はゼロと計算する、部分就労は〇・五で計算して、今度は、達成の分子だけはそれではかる、分母は最初から、おられる方をしている。こんなあほなことがあるかと言っているわけです。だから、組合の方々も、説明した、説明したと言っておられるけれども、そんなことを当初から広く天下にだれも言っていなかったでしょうというふうなことで怒っているわけであります。

 そして、私は、全体の数字から見れば、一万六千人という数字から見れば、達成されていない数字はごく微々たるものですよ。一万六千人の中の、そちらから言わせれば二百数十名ですよ。たったそれぐらいの数字なのに、もともと計画遂行期限というのは、十一月末ではなくて三月末のはずです。

 しかも、私は前回、国交大臣所信質疑で指摘しましたが、退職強要がやられていると。それについては、認識の問題はいろいろあったとしても、事実を私は何度もお知らせしました。一つは、整理解雇をちらつかせるやり方。二つは、退職に応じないと仕事をさせない、パイロットや客室乗務員を乗務させない。三つに、繰り返し複数回にわたって執拗な面談を行う。四つに、退職勧奨対象者の構成問題で、パイロットでは退職勧奨対象者は五十五歳以上がほとんど、客室乗務員も同様だ。以上のような問題点を前回私は述べました。

 さらに調べると、その対象者の実際を見ると、組合つぶしと言われても仕方がない指名解雇的やり方だと組合から批判が上がっている現状であって、私、全く許せないと思うんです。

 大臣、報道されているような整理解雇、これを認めるおつもりかどうか、最後にお聞きしたいと思います。

○馬淵国務大臣 報道で上がっていることは承知しておりますが、現時点においては、これはまだ応募状況の集計中だということであります。これらを正式に分析した上で今後の対応を検討すると聞いておりますので、現時点において、お尋ねの件は仮定の話でございますので、お答えは差し控えたいと思います。

 いずれにしましても、日本航空が再建をしていくためには、こうした労使問題をしっかりと解決していかなければ、当然ながら、健全な経営などは望めません。私は、そのことも踏まえてしっかりと取り組んでいただけるということで、推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。

○穀田委員 中途でいろいろ時間が飛びまして失礼しましたけれども、私、人が人として存在しているのを、在籍している人たちをどうするかという話をしているときに、首を切るときは、休職者が応募したらあなたは数えないよというような話、そんな世界がどこにありますか。それを満天下に公表もせぬと、そして組合にだけはそんなのは初めからなっているんだなどというような話をしてやっていこうとする。こういうこそくなやり方、しかも、日本政府が関与している事態のもとでこんなことが行われているというようなことは、私は全く許せないと思うんです。

 大臣がおっしゃるように、再生というものを目指している点とすれば、もし整理解雇すれば安全がさらに脅かされる。大体、整備職は先ほどお話があったように既に人員不足になっておって、現場に聞いたらわかりますけれども、サービス残業しないと追いつかない危険な状況です。そして二つに、整理解雇すれば、労働者のモチベーション、コミュニケーションが一層低下する。そして、今あったように、三つに、労使できちんと話し合ってとありましたけれども、再建JALの信用に傷がつく。

 そして、私は、先ほど述べましたように、日航というのは、山崎豊子さんが書いているように、「沈まぬ太陽」でも指摘されているように……

○古賀委員長 穀田委員、時間が過ぎておりますので、よろしくお願いいたします。

○穀田委員 わかっています。

 闘う労働組合、活動家に対する不当労働行為を平気でやってきた前歴があります。そういう体質が今回の破綻を引き起こした要因の一つだと私は思います。ましてや整理解雇など断じて許さぬということを述べて、質問を終わります。