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【第177通常国会】 衆議院・国土交通委員会 ○穀田委員 きょうは、日航の問題について再び質問します。 さきの予算委員会で、私は、日航の不当解雇、人減らし先にありきということで始められたリストラが絶対安全というものを脅かしている現場の実態について質問しました。それを受けて大臣は、日航と全日空の社長に絶対安全を守るように要請し、立入検査の実施などについて決断しました。 日航社長からの回答は来たのか、そして立入検査の結果はどうだったのか、これについて御報告いただきたいと思います。 ○大畠国務大臣 穀田議員の御質問にお答えを申し上げます。 ただいま御指摘をいただきましたように、さきの予算委員会におきまして、志位委員長並びに穀田議員から空の安全に関する御質問を賜りました。私自身も、その予算委員会の中でお答えをさせていただきましたが、国土交通省として、飛行機も、それから鉄道も、安全というものが大前提のものであろうということから、御指摘をいただきましたように、整理解雇等々で空の安全が確保されているかどうか、こういう視点で、二月の十八日に日本航空の大西社長並びに全日空の伊東社長をお呼びして、空における絶対安全の確立というものを改めて要請し、御指摘をいただいた幾つかの点、私の方では全部で七点ほど指摘をさせていただきました。 これについて、それぞれの会社で、これは日本航空についての御指摘でございましたが、全日空においてもこのような観点で点検をしてほしいという要請をいたしまして、それぞれ回答を求めるということにいたしました。まだその回答はいただいておりませんが、今、各社でそれについて点検をし、回答をいただけるものと思います。 なお、立入検査のお話がございました。 この立入検査のことにつきましても、現在、二月の二十三日から三月の三十一日までを一つのめどとして、日本航空に対する立入検査を実施中でございます。まだその結論は私のところには届いておりません。 ○穀田委員 取り組みの状況はわかりました。 それで、私が質問して後も、安全を脅かす事実、実態が現場から寄せられています。 そこで、資料をお渡ししていますが、その三を見ていただきたいと思います。それには、相次ぐトラブル発生に、会社側も「イレギュラーの連鎖を断ち切ろう!」と通達を出しています。二月十八日付、JAL運航乗員部長の通達であります。 国交省は、会社からこの通達の報告を受けているでしょうか。もらっていますか。その点についてお答えいただきたいと思います。 ○本田政府参考人 きょう御指摘の社内通達は、文字どおり社内での通達でございまして、日本航空から特段の報告は受けておりません。 ○穀田委員 特段の報告は受けていないと。私は、会社側が出している、安全にかかわるこういう情報はきちんとつかむようにすべきだと思うんですね。私どもが労働者の側にお話を聞いてみますと、組合の側からこういった資料については国交省にはお届けしたという報告を私は聞いております、局長のところに行っていたかどうかは知りませんけれども。 そこで、その次のページを見ていただくと、資料三の次、上からいいますと五枚目ですね。それは二月十四日から二十四日までという限定つきの掲示ですけれども、「揺るぎ無い安全運航のためにまず強く思うこと。「連鎖を断ち切る!」」こういうふうに職場で掲示されているわけです。 そして、そこでもう一度、その前の方のページを見ていただければわかりますが、実は、イレギュラーの連鎖を断ち切ろうということで、どういう例があるかということを一から十まで書いているわけですね。いろいろな用語があるから、そう簡単には私ども、言われてもなかなかすぐわからないんですけれども、皆さんからお聞きすると、例えば対地、陸に対して接近し過ぎただとか方向を間違っただとか、いろいろありますよ。そういうものが書かれてあって、特に十番目を見ていただきたいんですけれども、これは二月十日、一〇フェブラリー二〇一一と書いていますから、ことしの二月十日だということはおわかりいただけると思うんですね。その発生した成田発ホノルル行きの便ですが、突然風向きが変わって飛行機が揺れ、乗客三人と客室乗務員一名が負傷した事例です。 事故として今アメリカの事故調査委員会が調査中でありますけれども、これらの十件は報告されているでしょうか。 ○本田政府参考人 ここに記載しておられます十件は、いずれもイレギュラー運航あるいは今のお話の航空事故等に該当するということから、個別事案については、発生の都度、日本航空から報告を受け、私どもとしては、同社に対しまして、その要因の分析とともに適切な対策を講ずるよう指導をしております。 なお、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、現在、日本航空に対して立入検査、安全監査を実施しておりますが、この十件に対しての対策の実施状況についても報告を求めるよう対応しております。 ○穀田委員 今、報告を求めるとありましたし、この立入検査、監査の中で、これら一つ一つの事象についてもしっかり点検してもらうというのは当然だと思うんです。 私がつかんでいますのは、これらのほかにも、客室乗務員が立ったまま着陸したケースなど、不安全事例が相次いでいると言われています。職場ではこんな声が出されているということであります。 会社更生法が適用された一年前は、イレギュラーも少なく、お客様も再建頑張れと優しかったのですが、現在は事業改善命令が出されたときとほとんど状況が一緒です。機材故障が多く、一度イレギュラーが発生すると、機材変更等の判断が遅く、セクションごとのコミュニケーションがとれず、お客様に多大な御迷惑をおかけしています。五年前、事業改善命令が出されたとき、機材故障を初め不安全事例が多発してJALの信頼は一気に崩れました。現在の状況はあのときの再来と感じています。大きなインシデントが起きるのではないかとかなりの危機感があります。シニアの方が大量にいなくなり、安全について指摘する人も少なくなっており、不安全事例が起きているのではないでしょうか。精神論だけでなく、キャリアを重んじた格付の是正など、早急な対策が必要だと感じています。 こういうふうに声が出されています。 実態は、本当に深刻だと私は思うんです。私は、これから検査に入る際には、一つは、経営者や管理職から話を聞くだけでは実態はわからない、これは、大臣はよく、現場のことということで、何が起こっているかということだとか、仕事をやっている現場が大事だということを常々おっしゃっていますから、そのこととかかわっているわけですが、実際に仕事に携わっている現場の労働者の声を聞く必要がある、ここがどうしても、今ほど大事なときはないと考えていることが一つ。 二つ目は、これまでも指摘したわけですが、現場では物言えぬ雰囲気がある、こういうことも配慮する必要があると思います。なぜこんなことを言っているかといいますと、ベテランなどがいなくなって技術や経験を聞きたくても聞けない、一方、ミスすれば成績に影響する。 こんな事例まで出ています。器具を壊したという報告ではなくて、使おうと思ったら壊れていた。自分が壊した場合には当然それは報告というわけですけれども、使おうと思ったら壊れていたという発見がふえている。つまり、後でそれがわかってくるということがふえているということを現場では言われています。 したがって、こういう事例、状況を踏まえて、大臣が言うところの絶対安全確保のために、国交省は気を抜かずに監視、監督すべきではないかと思っていますが、いかがですか。 ○大畠国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、一つには、現場の声を聞くことが大事だと。それから、何となく物言えぬ雰囲気が強まっているんじゃないかという御指摘でございますが、基本的に、御指摘のように、私は、現場のことは現場の人が一番よく存じ上げておられるんだろうと思いますし、現場を把握しないで安全というのは確保できないだろうと、私も同じような考えであります。 したがいまして、今の御指摘等を踏まえて、航空会社に立入検査を今行っているところでありますが、この立入検査時に、管理職だけでなく、現場で実際に業務に従事している担当者の方から実情を直接聞く、こういうことが非常に大事だと思います。したがって、そのような形で立入検査が行われるように指示をしたいと思います。 ○穀田委員 指示を徹底するようにお願いしたい。本田さんからありましたけれども、こういう通達は知らない、こう言うんですけれども、安全にかかわる通達なんかが私のところには入るんだが、大臣のところや局長のところはわからない。こういう現状では、それは一議員がしこしこ走り回って皆さんから要望を聞いて、どうなっていると実態を聞けば出てくる、大臣のところにこういうものさえも届かないというのでは、それはあきませんで、ほんまに。したがって、今の言葉どおりを信じて、きちんと貫徹していただきたいと思っています。 先ほど述べたように、現場の声で言いましたように、やはり例の五年前の事業改善命令が出たときと雰囲気が似ているという、この感覚を私は大事にせなあかんと思うんですね。現場で働いている人たちが不安に思っているということ、特に大きなインシデントが起きるんじゃないかとかなりの危機感と指摘していることは重く受けとめる必要があると思います。 次に、日航の更生計画の進捗状況についてお聞きしたいと思っています。支援機構の方に聞きます。 日航が裁判所の管理から抜け出し、自主再建に踏み出すとした今年三月末がもうすぐ来ます。更生計画の進捗状況はどうなっているか、確認したいと思います。まず、財務状況はどうなっているか、営業利益や出資、リファイナンスなど、当初の計画に比べてどうか、端的にお答えいただきたいと思います。 ○水留参考人 支援機構の水留でございます。今の御質問にお答えを申し上げます。 まず、利益でございますが、昨年の四月から本年一月までで累積をいたしました連結での営業利益は、約千六百五十億円を超える見込みでございます。今後、今年三月の期末までの見通しとして、二月、三月で黒字を今見通してございますので、恐らく千七百億円を超える水準の営業利益が本年度末には計上できるというふうに今計画をしているところでございます。 また、出資に関しましては、更生計画案の認可を受けまして、昨年十二月一日に支援機構が三千五百億円の出資を完了いたしております。 以上です。 ○穀田委員 今あったように、利益は相当出そうだということですね。数字を見ましても、連結営業利益は千六百五十億円ないしは千七百億円となるだろうということでよろしいね。簡単に言うと、計画の二・五倍以上に上るということですね。 そこで、皆さんのところにお渡しした資料、それを見ていてほしいんですけれども、この千六百五十億円というのは、二〇一〇年三月期決算で見ますと、上場企業の四千社中二十位に当たるんですね。トヨタは千四百七十五億円で二十三位、三菱地所は千四百九十億円で二十二位、これの上を行く。運輸関係でいうならば、JR東でいいますと三千四百四十八億円、JR東海は二千九百三十五億円、これに次ぐ、けた違いの利益を上げていることになる。連結営業利益の千六百五十億円というのは、全日空の七百億円を一千億円も上回っていることになる。だから、どれほどすごいことか、千六百五十億円の意味がわかると思います。 そこで、資料を見ていただきたいと思うんですが、一の「更生計画案の概要」というものを見ていただきます。そうすると、真ん中に「初年度営業黒字の達成」ということに目標があります。営業利益の目標は二〇一一年三月期六百四十一億円、そして一二年三月期七百五十七億円、一三年三月期千百七十五億円、何と一三年三月期の目標までとっくに超えている。 今度は、資料二というところに表がありますから、見ていただくとわかりますが、利益がなかなか出ていなかったので売り上げがこのとおりだったんですが、ずっと利益が出ていなかったということがおわかりいただけると思います。 そこで、一〇年八月までは毎月、売り上げも営業利益も右肩上がりというのがわかりますよね。資料二のところで見たらおわかりいただけます。三ページというところに書いていますよね、下に。そこに白いグラフの棒があって、ずっとふえているというのがわかると思います。ただ、売り上げも営業利益も右肩上がりだったが、それ以後は下がってきているけれども、ずっと黒字だと。これほどの利益がなぜ上げられたのか。結局、営業費用が大幅に減少したことが要因だと思うけれども、何を削ったのかということを言ってください。 ○水留参考人 お答えいたします。 赤字体質からなぜ大きな黒字が生まれてきたのかというところの御質問として理解を申し上げましたが、まず、本年の営業利益に関しましては、更生会社特有の要素が含まれているということを御説明申し上げたいと思います。 それは、財産評定という形で、会社が持っている資産の価値の洗いがえというものをしております。その結果として、減価償却費として、コストとして認識される部分が大きく減っている、要は、コストがその部分で減っている、もしくは、年金等々の債務の一括認識をした影響で、毎月毎月に今認識をすべき債務というものが減っているというような効果もあって、更生計画としての要素として、七百億円ぐらいの底上げといいますか、更生要素が加味されているということは御理解をいただきたいと思います。 それに加えて、では、何が変わったかといいますと、まず、燃油費もしくはそういう部分でありまして、昨年よりもドルベースでの燃油費は上がっておりますが、円高の要素等もありまして、また昨年は大きくヘッジをしている中でヘッジ損を出していたという要素がありまして、今年度はそこが大きく改善したことも含めて、数百億規模の改善要素というのが見込まれます。それを足し上げるだけでも一千億を超える利益の改善要素があるということを御理解いただきたいと思います。 また、それ以外には、もちろん人件費、さまざまな委託費等のコスト、そういう自助努力の積み上げで現在の営業利益が生み出されているというふうにお考えいただきたいと思います。 ○穀田委員 では、聞きますが、人件費は幾ら削ったんですか。 ○水留参考人 具体的に細かい数字を申し上げることはできませんが、規模感で申し上げますと、昨年の一年間に対してことしの一年間、人数で減った部分、もしくは単価、一人当たりの人件費で減った部分を足しますと、五百億円を超える金額規模で減少しております。 ○穀田委員 だから、まさに人員を削減したことによって生まれたのが五百億だ、簡単に割り切って言うと。まあ、それ以上もあるんでしょうけれども。 そこで、先ほど言いました左側の欄のところを見ていただきたいんですけれども、資料の一ページ目「更生計画案の概要」の一番左の欄ですね、「徹底した固定費の削減」ということで、一〇年三月末の段階でグループ四万八千七百十四名から、一一年三月末三万二千六百人ということにする。わずか一年の間で三分の一の一万六千人も減らすという計画であって、実際に減らしてきているんですね。 ですから、結果、今何人減らしてきたのか、そしてグループ全体では何人減らして、運航乗務員は、さらには客室乗務員はそれぞれ何ぼ減らしたのかというのを教えてください。 ○水留参考人 まず、人員の削減に対する現状の状況としては、御指摘のとおり約一万六千人の削減を更生計画で計画しておったわけですけれども、現状としてはその人数の削減をもう満たしております。要は、一万六千人規模の削減が終わっております。 その内訳としまして、質問に直接お答えする形ではありませんが、JALインターナショナル、日本航空インターナショナルの社員として、特別早期退職、もしくは今般整理解雇ということもありましたけれども、そういう形でおやめいただいた数が約六千五百名強でございます。それ以外に、連結子会社を連結外、要は子会社を売却したということで、連結の対象人数から外れるという効果が生まれますので、それで削減として効果を及ぼすのが五千人強。それ以外の約五千名ぐらいに関しましては、定年を迎えられる方、もしくは契約の期間を満了される方、自然減と言うとおかしいかもしれませんが、そういう形でおやめいただいているという形になります。 ○穀田委員 もう一回聞きますけれども、運航乗務員と客室乗務員の数字は出せますか。 ○水留参考人 先ほどのJALインターの中から減らした人数の内数として、運航乗務員が約千名、客室乗務員が約三千名規模で減らしております。 ○穀田委員 これがどれほどの意味があるかということで、相当減らしていて、希望退職を募ったわ、その後先ほど整理解雇というのもありましたけれども、その間には、私何回も質問してきましたけれども、人権侵害の退職強要をやる、さらには組合のスト権に介入する不当労働行為をやる、今度、あげくの果てに、今裁判で争われている不当な整理解雇を強行した、こういう流れがあったわけですよね。私は、そういう点でいうと、一気に急激な削減がどんな事態をもたらしたかというのをこの間の予算委員会で明らかにしたところであります。 それで、では、安全を確保するための取り組みはどうかということについて聞きます。 もう一度お見せしますけれども、資料一のところに、これは一番下の欄にこう書いていますよね。「安全運航確保」ということを書いていまして、更生計画の中で「計画の実行にあたり安全への配慮が疎かにならないよう、経営陣と現場一体のコミュニケーションを密に図り、適切なマネジメントを通じて安全運航体制を堅持」と位置づけられています。 管財人である企業再生支援機構の目的や再生支援業務の中に、安全確保について明記されていますか。 ○水留参考人 機構法においては、さまざまな業種の企業を再生支援するということを前提に法として表記されているものというふうに理解されておりまして、その中に安全という具体的な言葉が入っているかといいますと、入っておりません。 ○穀田委員 入っていないと。 では、毎月裁判所に提出する月間報告に、安全の取り組みについて報告していることはありますか。 ○水留参考人 我々が管財人として日本航空を支援するに当たりましては、安全運航、安全への取り組みというのは大前提としての取り組みというふうに我々は理解してございますので、また、裁判所もそのように御理解されているのではないかと思いますので、月々の報告の中にあえて何か、イレギュラー的な事象があれば当然記述しないといけないと思いますが、これまでそういったことがあったという認識はございませんので、特に記述をしているところはございません。 ○穀田委員 いろいろ言ったけれども、報告には記載がないと。ところが、あなた方、報告に記載がないと言うんだが、こういうのだけはちゃんと報告しているんだよね。 私がこの間、二月の十七日に問題にした、絶対安全という哲学がない、これが欠けていると言ったことを既にお聞き及びかと思います。そのときに、今日の新しい会長のもとでJALフィロソフィとして書かれてあると。そこには、後ろの方に安全のことについてちょこちょこっと書いているけれども、大きな二つの柱には書いていないということを私は指摘しました。 しかし、そこではこう言っているんですね。一年目の本年一月十九日に、普遍的な経営の目的、経営の基本をJALグループ企業理念として制定をした、考え方を変えるに当たっての共通価値基準をJALフィロソフィとして定めたと。こういうことだけはちゃんと書くんですよね。では、これはいつ出したか。これは二月の二十八日なんですね。私が問題提起したのは二月の十七日なんですよ。だから、余り関心を持っていない、国会での議論は関心ないといえばそれまでかもしれないけれども、そういう安全を削ったという問題について指摘した内容については、書いているんだが、そういうものについては触れない、これがここの報告書だということは指摘しておきたいと思うんです。 今、現実の月間の取り組みについて、月間報告については言いましたけれども、そこで、それは再建に当たって安全運航が最優先されるべきというのは大臣も認めていることであります。だが、実際に再建に当たっている支援機構の目的、業務には、先ほどるるありましたが、交通運輸企業であっても安全を優先するような配慮すべき規定はない、裁判所にも安全運航の取り組みについては報告がない。 したがって、皆さんにお示ししたこういう更生計画、これが私どもは全部いいなんてとても思っていませんけれども、そういうわざわざ指摘して柱としている内容の中であっても、この間の管財人の再建過程での安全運航についての具体的な取り組みが見られないと私は思います。安全運航が大前提なのは、それは当たり前なんです。そういう中で、どうも財務面で人件費の削減だけを優先させているんじゃないかと言われても仕方がないと思うんですね。 そこで、副大臣、大臣がおられないので、副大臣にお聞きしたい。ゆっくり言います。 絶対安全、これは私がこの間改めて提起しまして、それで大臣も絶対安全ということで今臨もうということは言ったわけですよね。その絶対安全を必要とする公共の交通機関を再建させるためには、管財人自身がもっと安全が最優先の課題であると認識しなければいけないのと違うかと私は思うんですが、副大臣の見解をこの際聞いておきます。 ○三井副大臣 穀田委員が御指摘のとおりでございまして、当然これまでも、議論の中でも、安全運航というのはもう不可欠のものでございます。 それで、今御質問ありましたように、日本航空におきましても、この更生計画に盛り込まれました施策を確実に実行していく、また目標とされる業績を達成することが当然重要であると考えておりますし、国土交通省とすれば、当然しっかりとした指導監督を行っていく方針でございます。 以上です。 ○穀田委員 私、更生計画案の概要の資料を出しました。ほかの、真ん中の方は随分やられているんですよ。それで、こっちの方になるとさっぱり報告がないというのだけは、副大臣、わかっていてほしいと思うんです。 政府に、この再建の基本方針について改めて聞いておきたいと思うんです。 企業再生支援機構というのは政府が半分出資する公的機関であります。そして、政府保証のついた資金を使うことができる。それを活用して、今回、日航再建に三千五百億円を使ったわけですよね。いわゆる公的資金の投入と言われています。では、なぜ公的資金を投入するのか、改めて基本問題についてお答えいただきたいと思います。 ○本田政府参考人 改めてということでありますが、日本航空は、御案内のとおり、日本の国内あるいは日本と世界を結ぶ大変重要な交通サービスを提供しております。このサービスを継続していくためにこうした措置がとられたものと理解しております。 ○穀田委員 余り準備がないようで。運航を継続させるということですわね。 問題は、今度の再建というのは、運航をさせながらというのが大事なポイントなんでしょう。だから、当然、安全運航が大前提というのは、それは何回もみんな言うんですよ。ということは、公的資金というのは安全運航のために投入されたということで、我々国民の税金を含めて使っているというのはそういう意味だなということでよろしいね。 ○本田政府参考人 運航の継続にとって安全は大前提だと考えております。 ○穀田委員 だから、当然そのために、安全のために入れているんだということですね。 そうすると、公的資金を投入しているために整理解雇はやむを得ないというような意見もありますけれども、それは間違っていると思うのですね。今、局長もおっしゃったように、安全運航を大前提にして公的資金を投入しているわけでありますし、その安全を支えるのが労働者なんですね。 大体、企業再生支援機構というのは、雇用の安定等に配慮するということを目的にしているんですよ。そして、雇用に配慮することを強化するために厚生労働大臣を主務大臣に加えたという経過があるわけですよね。だから、そういう意味からいっても、整理解雇というのが公的資金を入れた趣旨とは相入れないということを考え方の根本に我々は据えなきゃならぬと思っています。 稲盛さんは、この間の質問で私も強調しましたけれども、日本記者クラブでの講演で、「(被解雇者)百六十人を残すことが経営上不可能かといえばそうでないのは皆さんもおわかりになると思います、私もそう思います。」こう言った後で、今回はこの後が問題ですから、「しかし、一度約束をし、裁判所も債権者も、みんなが大変な犠牲を払って、これならよろしいと認めたことを、一年もたたないうちにほごにしてしまう。今までJAL経営者というのは、すべてそうやってほごにしてきたと。そのために、信用ならないんだと言われ続けてきたと。」中略しまして、「一度(再生計画が)認められたものをやめるわけにはいかない。」と述べた。 要するに、整理解雇は銀行などとの約束だと言っているようだけれども、銀行などが本当にそう言っているんですか。 ○水留参考人 あくまでも更生計画案の中で認可された更生計画でありますけれども、約束もしくは記述をしましたのは、まず、運航に必要な人員規模への適正なスリム化を行うということと、それを具体的にどれぐらいの人数規模で行うかということが更生計画には記されています。また、それに対して債権者の方々の同意をいただいているというふうになっております。それを守っていこうというのが趣旨でございます。 ○穀田委員 あなた方が言っている趣旨はそうですけれども、彼が言っているのはそうじゃないんですよね、整理解雇の問題について発言しているわけですから。 聞いているのは、その計画の確実な実施の中に、整理解雇をしろということを言っているのかと。もう一度聞きます。 ○水留参考人 個別具体的に整理解雇に対して要望をお聞きしたこともありませんし、先方からそのことについて何かコメントをいただいたこともありません。 ○穀田委員 だから、そういう約束はないということなんですよ。相手から言われたということはないんですよ。 だから、こういう形で、百六十人を残すことが不可能かといえばそうでないというのはわかると思う、しかし一度約束をしたからやらざるを得ないんだ、こう聞いたらだれだって、整理解雇を約束しているのか、銀行に言われておどされているのか、こういうふうに思いませんか。そうじゃないということなんですよ。だから、管財人が労働者を退職に追い込むためにおどしに使った、まさにいわゆる方便と言わざるを得ないわけです。 大体、十一月三十日に更生計画案を認定し、債権放棄もリファイナンスも決定しているのに、その後に整理解雇をしているわけですから、理屈も何もあったものじゃないということを私は言いたい。更生計画にあるのは、今お話があったように従業員数の規模縮小であって、整理解雇することまではやっていないわけでして、約束していないものをほごにするということはできないわけで、まさにとんちんかんな話でしかないということを言っておきたいと思います。 ですから、改めてもう一度言いますと、百六十人を残すことが経営上不可能かといえばそうでないのは皆さんもおわかりになると思います、私もそう思いますと稲盛さんが認めたとおり、整理解雇の必要性は全くないということを改めて強調しておきたいと思います。 最後に、副大臣に聞きます。 日航が真の再建をできるかどうかというのは、今後も事故を起こさずに絶対安全のもとで収益を維持できるかどうかだと思うんですね。航空業界の事業環境を見ていますと、羽田や成田空港の発着枠拡大だとか、オープンスカイとか、LCCの参入など、競争激化は強まるでしょう。こういう中で、事業縮小や後ろ向きの経営方針で真の再建ができるかどうかは疑問です。他社が事業拡張方針を打ち出している中で、事業縮小方針がプラスに影響するとはなかなか考えにくい。これは客観的な問題であって、私どもの考えで言っているんじゃなくて、それはそう思うんだと。 そこで、企業イメージの低下による顧客離れというのは最大の懸念材料なわけであります。だから、絶対安全を国交大臣が要請するなど安全性への懸念、整理解雇や子会社を丸ごとつぶして全員解雇するなど異常な人減らし、こうしたやり方がリスクとなっていることを自覚すべきなんです。真の再建を果たす上でも、私はこの方針を転換する必要があると考えます。 ここからもう一度聞きますけれども、必要な事業と人材の確保を前向きに考えて、職場の労働者のモチベーション向上を図ることが大事だ。裁判をやっているうちは新規採用もできない。正常な事業計画に基づく再建こそ必要なんです。したがって、そのために解雇撤回を指導すべきだというふうに考えます。大臣がおられませんので、三井副大臣に最後にお聞きしておきたいと思います。 ○三井副大臣 穀田委員のおっしゃるとおりでございまして、確かに、これから再生するためには、先ほど立入検査等もございましたけれども、まさにそういう中で、本当に皆さんが、働く従業員の方が本当に真剣になって、労使一体になってやるということが私は重要だと思っておりますし、そういう中で、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、日本航空の確実な再生のためには、やはり安全運航というのは大前提になるわけですから、更生計画案に盛り込まれました施策を確実に実行していくということが必要だと思っております。 繰り返しになりますけれども、いずれにしましても、しっかりとした指導監督をしていくということを国土交通省としても取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。 ○穀田委員 絶対安全というものを確保しようと思うと、やはり人材、労働者のモチベーション、これがなけりゃだめだ、それを阻害する事態が急速な首切りによって起こっているじゃないかということをこの間から言っているわけですよ。そういう方針だと真の再建につながらないと。真の再建というのは、安全性と公共性を本当にいかに守っていくかということが最大のポイントだ。その最大のポイントの軸をなしているのは、やはりそういう整理解雇なんかやっておったんじゃできないぞということを言っているわけです。そこを今後また引き続いて議論していきたいと思います。 |
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