国会会議録

【第177通常国会】

衆議院・国土交通委員会
(2011年3月23日)



○穀田委員 私は、今回の大震災で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表し、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。

 私は、今回の踏切道改良促進法の法案については、賛成であるという立場を表明しておきたいと思います。

 今回、震災後初めての国土交通委員会ですから、災害対策、被災者救援で重要な役割を担う国土交通大臣に、短時間ではあるが、ただしたいと思います。

 まず、基本姿勢についてお聞きします。

 未曾有の大災害であるということはもう論をまちません。それだけに、未曾有の災害に対応すべく、救援、復興について、現実をよく掌握し、どうしたら被災者の声にこたえることができるかを中心にして、知恵と力を総動員しなければなりません。今までの法律の範囲内でとやかくでは到底済まされないと思います。

 今回、地震と津波、原発事故の影響もあります。そういう中で、まず避難所の確保に万全を期すことが大事だと思います。あわせて、命からがらで生き延びた方々が避難所やその周辺も含めて生活されているわけで、せっかく生きたのに、これから避難先で命を失うことがないような対処に全力を傾注すべきだと思いますが、大臣の決意のほどを伺いたい。

○大畠国務大臣 穀田議員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 穀田議員から御指摘いただきましたように、私自身も対策本部におきまして、まず第一に人命救助を中心に全力を挙げようという話を十一日以降してまいりました。国土交通省、六万人の職員がいるわけでありますが、職員の皆さんもそういう気持ちで心を一つにして全力で頑張っていただきました。

 同時に、現実をよく把握すること、現状はどうなっているのかということをよく把握することは、御指摘のように非常に大事であります。そういう意味では、東京にいたのではなかなか現実の状況が把握できませんから、東北整備局等々が大変な努力をして、御自分自身も被災をしながら、家族の心配もありましたけれども、家族と連絡がとれないという状況もありましたが、国の、国土交通省としての責務を果たそうということで、全力で地域における事実の把握に努めていただきました。

 そして、今御指摘のように、まずは避難所というものの対策をしようということで、各所で、自治体の皆さんも大変な御苦労をされながら、避難所の確保をし、そこに避難の方に対してどういう形で支援をするか、こういうことで現在まで努力をしてきたところであります。

 先ほどもいろいろと御指摘を賜りましたが、エネルギー、いわゆる燃料の確保という意味では大変不十分であり、申しわけなく思いますが、さまざまな要因からこういう状況になっておりますが、しかし、燃料あるいは食料、水、そしてそれを運ぶための道路の確保、それから鉄道、飛行場、それから港、それぞれの物資を運ぶためのルートを開こうということで、全力で今日まで頑張ってきたところであります。

 いずれにしても、命を守るというのが私たち国土交通省の一つの大きな使命でありますから、そういう視点に立って、御指摘の点を踏まえて今後とも一生懸命頑張っていきたいと思います。

○穀田委員 被災者の避難地における避難所生活を一日も早く次のステップに移行してもらうことが、大臣がおっしゃるように、命を守る上で大切であります。その基本は住む場所の確保です。仮設住宅、公営住宅その他、私は仮住まいということで呼称をしたいわけですが、幾ら必要と考えているのか、端的にお答えください。

○池口副大臣 仮住まいの戸数ですが、端的にお答えをします。

 基本的には被災県の方で今必要数を集計しておりまして、最終的な数はまだ確定をしておりません。

 今福島県が発表しているのは、仮設住宅、民間の借り上げ、公営住宅空き家の提供等で、七月末までに県内で二万戸の住宅供給を目指すというのが福島県が発表しておる数字でございます。

 それ以外に我々の方に仮設住宅の必要戸数の要請が来ておる数字でいいますと、岩手県が当面八千八百戸、宮城県が一万戸を当面必要という要請が来ておりますし、栃木県では百四十五戸、千葉県が二百三十戸、長野県が四十戸必要という要請が来ております。

 ちなみに、三月の十三日、発生直後に大臣より住宅生産団体連合会に、まず最初の要請として、二カ月で少なくともプレハブ住宅三万戸を供給できるようにしてくれということで要請を既にしておるということでございます。

○穀田委員 では、今どれぐらいの仮住まいといいますか、そういうものを確保しているのか。

○池口副大臣 今確保されている数字でいいますと、公営住宅は一万七千戸、あとURの賃貸住宅が二千五百戸ということでございます。それに、先ほど言いました大臣の要請したプレハブが随時追加をされて確保されていくというふうに理解をしております。

○穀田委員 総体で幾ら必要なのかということを単に県に一々聞くだけじゃなくて、全体として今の被災者が少なくとも避難所に三十数万おられる、そうしたら例えば何戸の住まいが必要なのかということを考えないと、県もまた市に聞く、市町村に聞く、こんなことをやっておったんじゃ、少なくとも今わかっているのは、避難所におられる方々とその周りの方々も含めて何人おられて、幾ら必要なのかということをしっかり見きわめることが、先ほど大臣がおっしゃったように、現実をよくつかむことじゃないんですか。

 どうも、こういうときに及んで、県がどう言っている、こう言っているだけじゃなくて、今、全体としてこれだけ被災者がいて、避難所にこれだけいて、周りにこれだけおられる、したがってこれだけは必要だというぐあいに話をしないと、例えば公営が一万七千戸、URが二千五百戸、あとはプレハブというような話をしておったんじゃ、みんな、これを聞いておって、自分のところはどうなるんやろうかと思いませんか。そうなるじゃないですか。

 私は、そのことについて言って、やはり県などと言っているのは、借り上げということも提起しておられるようです。私は、国としても思い切って民間賃貸住宅を借り上げ住宅として確保すべきじゃないか。そこが一番、今お話があったように、公営とURでは合わせて一万九千五百しかないわけですよ。そして、プレハブを仮につくるとしても、プレハブ業界に三万戸なんですよ。どないしてそれは数が合うのか。問題は、空き家が一番多いところはどこか、民間住宅なんですよ。そこについて借り上げるということをはっきりすべきじゃないのか。大臣、いかがですか。

○大畠国務大臣 穀田議員からの御指摘のように、まず、被災者の方々がどういう希望をされているのか、こういうことを把握することが非常に大事だと思います。

 私自身も、今この委員会でやりとりがありましたような、いわゆる仮設住宅の課題、あるいは公営の住宅についての提供の戸数というのは確認をいたしておりますが、民間の賃貸住宅の情報も集めまして、それで、けさもいろいろ話をしたんですけれども、それをどうやって被災者の人に提示するのか。一つは、被災者向け公営住宅等情報センターというのがきのう開所いたしました。しかし、民間についての情報というのはまだ開設をしておりません。

 したがって、私どもといたしましては、御指摘の民間の賃貸住宅の情報というものについても何らかの形で提示をして、そして、避難された方々が、ここを希望する、こういうことをきちっと意思表示をして、希望するところに入れるような形の体制というのはぜひつくりたいと思いますが、国土交通省としても、職員を派遣して、そこら辺の体制を整備するように努力をしたいと思います。

○穀田委員 情報といっても、あるものをやったってあかんわけですよ。要するに、私が言っているのは、その分母となるものをしっかり掌握しつつ、分子となる、つまり、これだけ提供しようという場合に、今言っているのは、副大臣が言ったのは一万七千戸と二千五百戸と、あとプレハブなんですよ。それじゃ足りないと言っているんですよ。その基本的に足りないのを幾ら情報を出そうと言ったって、肝心な情報、これだけありますということがなければ、あるものをしょこしょこ幾ら情報を提供したって、それだけしかないのかという話になるじゃないですか。きちんと、少なくとも、一番大事なのは、民間の住宅を借り上げて、これをどんとやるということで公営住宅にする、これ以外に手はないということを言っているんですよ。

○大畠国務大臣 今の御提案についても、ぜひ検討をさせていただいて、対処できるようにしたいと思います。

○穀田委員 私は、ぜひ実行してほしいし、それ以外にないと思います。

 それから、福島原子力発電所事故との関係で聞きたいと思います。

 原発事故の二十から三十キロ圏外の自主的に避難している方々も仮住まい支援の対象とすべきではないのか、このことについてお答えいただきたいと思います。

○大畠国務大臣 現在、二十キロ圏以内、あるいは二十キロ圏から三十キロ圏というところ、それから三十キロ圏以外というところがございますが、今御指摘の点については、非常に混乱をしておりますが、いずれにしても、現実の状況というものを踏まえてしっかりと対処しなければなりませんが、いわゆる自主的に避難された方々には、受け入れ可能な民間賃貸住宅の情報提供等を強化いたしまして、居住の安定が図られるよう、今一生懸命努めているところでございます。

○穀田委員 今お話があったように、聞くと、最初に必ず情報提供になるんですよ。違うんです。情報を提供するというのは、現実にこれだけありますという話なんです。そうじゃないんです。政治姿勢の話をしているんですよ。

 つまり、三十キロ圏外の人たちは何で自主的に避難しているか。何でやと思いますか。この原子力発電所の事故で、危ないと思っているからじゃないですか。それを危なくないとだれが言えるのか。そういう方々に対して、自主的に避難された方々についても支援しますということはどうかと聞いているんですよ。

○大畠国務大臣 ここのところは非常に難しいところでございますが、政府としても、何らかの形でその方々に対しても正確な情報が提供できるように努力をしてまいりたいと思います。

○穀田委員 情報を幾ら提供したって、これを支援しますという肝心のメッセージがあるのかと言っているんです。そこを検討してくれなければ、情報を幾ら出したって、そんなこと、情報を聞きたいんじゃないんですよ。

 こういう問題について、今我々は、皆さんのお話を聞いていると、いわき市だってそうですやんか。例えば二十キロ―三十キロというけれども、その圏内で、いわき市などは一部分は入っている、市全体は入っていない。では、そういう人はどうするんです。少なくとも、ホウレンソウの問題とか野菜の問題とかを含めて、みんな危ないと言い出したら、被害が及ぶわけでしょう。そういった形で被害が及んで、やはりこれは危ないなと思ったら、みんないろいろするわけじゃないですか。そういう方々が、では、いわき市は、こっち側はあなたは対象ですよ、こっち側は対象じゃありませんよと、そんなことを言えるんですか。そうじゃないほど今東電の問題について不安が広がり、心配が広がり、そういった中で、自主的に避難せざるを得ない。こういう方々に対して、情報を出しますというような話じゃないでしょう。

 必要なのは、情報じゃなくて、どういう立場かということの説明があって、だからこういう情報がありますということなんじゃないですか。その前の段取りを聞いているんですよ。

○大畠国務大臣 なかなか、御指摘の点はわかるわけでありますが、今情報が錯綜しておりまして、私は、確かな情報を明確に出すことがまずは一つ大事だと思うんです。

 御指摘の点については、検討させていただきたいと思います。

○穀田委員 くれぐれも言っておきますけれども、もちろん、三十キロ圏内とそれら以外のところについてどういう危険があるかとか、それは確かに、正確な情報を出すと言われれば、その点ではそうなんですよ。そうじゃなくて、状況を踏まえてとかいろいろ言うからね。肝心な問題は、現状の原発問題についての状況はそれでいいと思いますよ。あわせて、そういう居住の問題についての支援をしっかりしてほしい。

 最後に、一つ聞きたいと思うんです。

 私、この間、日航問題について何回も質問してきましたよね。先ほど飛行場という話もございました。今、現場は、東北への臨時便対応など、疲労こんぱいの状況と言われているそうです。人手不足解消のために、一つは希望退職された方、二つは整理解雇された方々も含め、緊急時なのだから現場復帰を働きかけるべきじゃないのかということについてはいかがでしょうか。

○大畠国務大臣 御質問の点でありますが、いろいろと私も情報を収集させていただきましたが、今回の件で、新たに臨時便として三十二便増便をさせていただいたことは事実であります。その一方で、さまざまな理由から欠航便というのもございまして、三月二十一日には二十四便、それから三月二十二日には三十二便欠航をするということになりまして、全体的には何とかやっておりますが、今御指摘のように、さまざまなことを十分考えなければいけないと思っております。

○穀田委員 最後に、今、欠航したからと言うんですけれども、欠航するときに準備していないんじゃないんですよ。整備もするし、やるんですよ。欠航しているといって数字を言うと、三十二便ふやして二十何便減らしたから、何か八しかふやしていない、そんなことはないんですよ。そういうときにそういう話をすること自体が、私は、やはり現場の実態を知っていてそんなことを言うのはちょっといかがなものかと。うなずいておられますから、はっきり言うと、僕はまずいと思います、そういうことについては。

 国民挙げて被災者を救い、復興のために力を尽くそうというときに、人員や物資輸送に重要な役割を果たす飛行機を安全に、しかも多く運航させるのにちゅうちょがあってよいものか。私は、企業としての社会的責任を果たしてもらうべく促す。まして、一〇〇%出資の会社じゃないですか。総動員するのは当たり前だということについて最後に一言だけ聞いておきたいと思います。

○大畠国務大臣 以前から穀田議員からは御質問いただいておりますが、いわゆる航空事業、あるいは鉄道事業もそうでありますが、絶対安全というのがベースになるわけであります。したがいまして、今回の対応について、増便等において安全が損なわれることがないように、十分な対応をするように私の方からも指示をしておきたいと思います。

○穀田委員 終わります。